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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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heiheiho-

1⇒ガーベラルートへ  ・オフィも人化 ⇒化粧水必須
           ・その後アサギが天界の図書館で、外伝3を読まねばならない 
           ・で、ブログを改稿して転載 http://asagilza.blog.shinobi.jp/destiny/%E7%B4%A1%E3%81%90%E9%81%8E%E5%8E%BB%E3%80%81%E5%9B%9E%E3%82%8A%E7%B6%9A%E3%81%91%E3%82%8B%E6%AD%AF%E8%BB%8A%E3%80%81%E8%8A%BD%E3%81%AE%E9%9A%A3%E3%81%AB%E5%92%B2%E3%81%8F%E8%8A%B1
           ・君に咲く花を更新する

2⇒トランシスルートへ ・ムーンライトを改稿して転載

3⇒マビルルートへ  2・マビルがイエン・タイ達に遭遇せねばならない
         
          1・ということは、イエン達とアサギを遭遇させねばならない
          3・その後ガーベラ誘拐とリンク
          4・マビルがクレシダに遭遇せねばならない 


クレシダとデズデモーナは、竜だ。
 目の前で竜へ変貌した二人に、流石にトランシスも面食らうと言葉を失う。平然とデズデモーナに乗り、トランシスに手を差し伸べるアサギにも、苦笑するしかなかった。

「どういう世界だ、ここは。どんな理屈で人間から竜に変化するんだよ」

 アサギに捕まりながら大空を舞いつつ、トランシスは本音を吐露する。風が激しく肌寒いので、アサギに密着出来ることは嬉しかったが、互いの言葉は上手く聞えない。それでも、初めて見る世界にトランシスは感動し、また歓喜した。
 空は澄み切った青空で、空気も美味しい。下は鮮やかな色彩で埋め尽くされている、自分が住んでいる惑星とは、文字通り別世界だった。トビィに遭遇したことに蟠りを感じているものの、眼下の光景でどうにか相殺出来そうだ。
 そのトビィが乗っているクレシダは、僅か先を飛んでいた。ニ体の竜は優雅に惑星クレオの空を飛行している。トランシスがこの惑星に居られる時間は、日付変更まで。陽が傾き、くっきりとした橙の光を放ちながら海に沈んでいく様を、トランシスはぼんやりと眺めていた。
 アサギの体温が心地よく、時折睡魔に気を許してしまう。共にいられない仲だと解り、時間が惜しいことは肝に銘じているが、こうして何も語らず微睡む時間も貴重なものだと思い知らされた。
 唯一気に食わないのは、今乗っている生物が先程アサギに恋慕の視線を送っていた男だという点だ。空中という悪環境で執念深くアサギに訊いた、この『デズデモーナという竜は、神の宝物庫にあった唯一無二の杖で人間に変化出来る』存在なのだと。
 つまり、その杖さえなかったら竜のままだったということだ。

「竜が人間に恋? 馬鹿らしい、問題視しなくても……」

 と口では言いつつも、トランシスはデズデモーナの強固な鱗を忌々しく睨み付ける。

「ケド、雄、だよな。じゃあ目障りな奴に違いない」

 そんな独り言など、アサギは知る由もなかった。トランシスが抱き始めていた劣情になど、気づかなかった。
 解るわけがない。
 結局この日はトビィが同伴していた為、夜半まで二人きりになることはなかった。
 天界へ帰らなければ共に居られるのではないか、と思案したトランシスだが、残念なことにクレロからアサギに怒りの連絡が入った。さながら門限を破った子への、親からの忠告である。
 アサギも睡魔に襲われ欠伸を繰り返していたので、渋々ながらも仕方なくトランシスは帰路についた。

「アサギ、またね」
「はい、またです」

 別れ際に、手を握り締めて互いの指を確認するように絡ませた。トランシスはアサギを抱き寄せると、強く抱き締め髪を撫でる。アサギの後方でトビィが舌打ちし、クレロが咳をし、デズデモーナが身体を軽く揺すっているのを瞳を細めて見ながら、唇を噛む。
 優越感には浸れなかった、何故ならば今から自分はアサギと離れるからだ。離れた後、一体この目の前の男達はどのようにしてアサギに群がるのだろう。
 考えるだけで、苛立つ。
 傍にいて護ってやれないのならば、アサギ自身に護らせるしかない。

「アサギ。アサギはオレのもの、オレはアサギのもの。それだけ、忘れないで。いつも、オレのことだけ考えていて。離れていても、互いのことを想っていれば、きっと共に居られる」
「はい、私は、トランシスのものです。大丈夫です」

 耳元で囁けば、アサギはやんわりと笑みを浮かべて同意した。
 しかし、それでもトランシスの心は晴れなかった。目の前のアサギを信用していないわけではないが、見えない場所にアサギがいることが、不安だった。
 口づけを交わすことはしないだろうが、先程の様にトビィはアサギを軽々と抱くのだろう。それをアサギが嫌悪していないことが問題だ。義理とはいえ兄、という微妙な立場が非常に腹立たしい。本音は『オレ以外の男に身体を触れさせるな』と言いたいのだが、流石にそれは躊躇した。

 手を振って名残惜しく帰って行ったトランシスを姿が見えなくなるまで、一心に見送っていたアサギ。見えなくなると、深く長い溜息を吐き、瞳を閉じる。振り返ると、立っていたクレロに軽く頬を膨らませる。

「早く、一緒に居られるようにしてくださいね」
「う、ぅうううんん」

 言葉を濁したクレロを、隣のトビィが肘で強打した。

「それで、アサギ。訊き難いが……ミノルはどうしたんだ?」

 気になっていた事を早速訊いたトビィ、クレロも神妙に頷く。その名を言われ、顔を引きつらせたアサギは、目を泳がせる。しかし、ぎこちなく笑みを浮かべて答える。

「ミノル、とは、別れていまして。あ、いえ、別れた、といいますか、えっと、最初から付き合っていたわけでは、ないのです。……です。あの、おやすみなさい、眠いのでおうちに帰ります」

 事実と違う、とトビィは瞳を細めたがアサギが言い難いことは百も承知だ。ミノルを庇っている事など、手に取るように解った。
 アサギは困惑すると、妙な作り笑いを浮かべ両手を背後で組み、小首を傾げる癖がある。

「そうか、おやすみ。また明日な」

 追及はせず、トビィはアサギの頭を優しく撫でると微笑した。去っていくアサギを見送ると、仁王立ちでクレロに向き直る。

「で、あの妙な男はアンタ把握しているのか?」
「こちらも困っている、あの男は嫌な予感がするので、引き離したいのだが……」
「珍しく意見が一致したな、オレも同意だ」

 その頃、一人きり家に戻ったトランシスは慣れたベッドに横になると瞳を閉じていた。思い出すのはアサギの事だ、今日も可愛かったと笑みを浮かべる反面、思い出したくないのにトビィやクレロ、デズデモーナがアサギに寄り添う姿が浮かんでくる。

「消えろっ、邪魔だっ!」

 大きく瞳を開き、手元にあった枕を壁に投げつけた。荒い呼吸を繰り返しながら、頭を掻き毟る。

「やめろ、近寄るな、それはオレのだ! オレのものに勝手に触るんじゃないっ」

 叫び声を上げて、何度もベッドに拳を殴りつける。

「アサギ……アサギ……一緒にいないと、苦しいよ……辛いよ」

 皮膚を掻き毟ったので、血がじんわりと滲み出した。
 キィィィ、カトン。

――気を付けて、見張っていないとあの子は浮気をするよ。
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