別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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黒幕の乱入に混乱中。
家で待っていると、バラバラと勇者達がやって来た。最初に来たのはトモハルとミノルだ、自転車をかっ飛ばして来たのだろう、息が上がっている。アサギの家から一番遠いのがこの二人だが、まさかの到着に亮は驚いていた。
「浅葱の事、心配なんだ」
亮がそう呟いていると、迎えに行ったアサギが戻ってくる。田上家の応接間にオレンジジュースと菓子が出されていたので、亮はそれを食べていた。部屋に入ってきた二人は亮の姿を見て一瞬瞳を細め、軽く頭を下げると入口手前のソファに腰掛ける。
ダイキとケンイチがやって来て、家が一番違いユキが最後の到着になった。
ユキが到着するまで時間があったので、皆は口々に話をしており、遅れてきた彼女に苦笑する。ユキも会話についていけず、半ば心ここにあらずと俯いている。
オレンジジュースを飲みながら、間を持たせる。
「ユキが来たから本題に戻そう、今日のなんだったと思う? それから、亮はなんなの。アサギから話を聞いているにしたって、なんていうか、こう」
「……自分達と同じ感覚を味わった感じ?」
トモハルが最も頭の回転が速いので、会話進行は任せている。口籠りながら言うと、真顔で亮が言葉を被せる。
「僕も勇者の一員であったかみたいに、順応してた感じ?」
畳みかける亮に、勇者達は口籠る。アサギは、不安そうに隣の幼馴染を見つめていた。その亮がアサギに視線を投げかけてきたので、思わず軽く仰け反る。
「興味はあったんだ、今も行き来してるっていう異世界に、僕も行きたいって。次に行く時、連れていって欲しい」
そう言う亮に、トモハルが口を開く。瞳は困惑していた、しかしはっきりと言い放った。
「どうかな、俺達は勇者だから。アサギと親しい人物とはいえ、俺達の判断で連れていくことは無理じゃないかな。クレロに相談してみないと」
「……行けると思う、というか、行かなきゃいけない」
覚悟を決めたように、俯いた亮はパーカーに手を突っ込んだ。何かを引っ張り出すような動作に、皆が注目する。ユキも周囲の空気に釣られてそちらを見つめた、大したものなど出てこないと思っていた。
「もしかしたら、僕も勇者かもしれないんだ」
亮がゆっくりと皆の前に掌を出し、意味有り気に指を開いていく。小指、薬指、中指……そこまで来て、手の中のモノに皆も気づいた。驚いたが、声が出てこない。唖然とそれを見つめながら、皆それぞれ自分の身体をまさぐった。
指が触れたそれらを取り出し、同じように掌に乗せて差し出す。
「勇者の、石?」
絞り出したケンイチの声に、亮が頷いた。仄かに輝いているそれが普通の石ではない事など、一目瞭然だった。
混乱して言葉が出てこず、勇者達はただ亮の石と自分の石を見比べた。
「この間、突然これが目の前に転がってた。気分が悪くなった時だった、家の中だよ。これがその辺の石でない事くらい、頭痛に襲われてた僕でも解る」
「どういう、ことだ?」
額を押さえながらトモハルがそう呟けば、ミノルが首を横に振った。亮が所持している石は、皆が持っている石のどの色とも違う。
「冷静に考えてみたら、これ、石の色でどの惑星の勇者か解るんだよな。ってことは、もしこれが本当に勇者の石なら」
固唾を飲み込む音が、重なる。皆が各々の石を見つめてから、改めて亮が所持している石を見た。
「……何処の勇者だよ」
ミノルが乾いた笑い声を出す、皆は押し黙ったが、ただ一人アサギは思い当たる節があったので、弾かれて顔を上げた。
「マクディ!?」
聞き慣れない単語に怪訝な顔を浮かべた皆の視線が、アサギに集中する。その視線に気づかず、アサギは口元を押さえた。
「マクディしか心当たりが……あの惑星の勇者だとしたら辻褄が合う気が」
惑星マクディ、トランシスが住まう場所。
勇者達は、まだ知らない。惑星マクディという存在も、アサギの新たな恋人トランシスも。
キィィィ、カトン。
アサギに質問しようとトモハルが口を開きかけた時だった、クレロから緊急指令が届いたのは。
「地震速報みたいだな、これ」
「あれも確かに怖いよね、突然過ぎて」
ミノルとケンイチが苦笑しつつ、クレロの声を待つ。亮には聞こえなかったが、勇者達には脳内で声がこだましている。
『聞こえるか、勇者達よ。また何者かの奇襲を受けた街がある、調査に来てくれ』
「なんか特撮もののヒーローにでもなった気分」
悪態ついたミノルだが、颯爽と立ち上がると指を鳴らす。意外に乗り気なミノルに、トモハルが笑いを堪えたが今はそんな悠長なことをしていられない。
勇者達は、異界へ旅立った。新たな勇者と思われる、三河亮を連れて。
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