別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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よし!
明日の昼に用事が終わった者から集合し、各自調査に向かうことを再確認して解散した。
アサギは一旦地球に戻り夕飯を家族と食べたが、再び惑星クレオの天界城へと出向く。早速宝物庫に行くことにした、焦る気持ちを抑えているものの、駆け足になる。
宝物庫の位置は先々の天界人が教えてくれた、礼を述べてようやくたどり着くと、金で出来た扉に圧倒される。この扉自体がすでに宝に見えるが、中にあるものはこれ以上希少価値が高いものばかりだった。
意を決してアサギは左右に立っていた警備の者達に深く礼をした、自身の武器を取り出す。不審に思われ、声をかけられる。
手にしていたのは、細長い一本の銀色の杖だ。
「アサギ様? 武器は必要ないのでは?」
唇を噛み締め、アサギは微笑んだ。
「あの、杖の造形が知りたいのです。素敵な杖のほうがいいな、って思って。私のこの武器は、様々な武器に姿を変えることが出来るのですが、杖のイメージ、というかデザイン……えぇと、可愛い形の杖を探しに来たのです。真似しようと思って」
変わったことをする勇者だなぁ、と思ったが「それならばどうぞ」と、門を開いてくれた。アサギは再び礼をすると、そのまま吸い込まれるように中に入っていく。やがて、扉はゆっくりと閉じられた。
中に入り、扉が閉まるのを確認するとアサギは直様目当てのものを探し出す。所狭しと様々な物が並んでいるが、欲しいものは一点だ。
いわくつきの宝石で作られた王冠、火を操る剣、恋人達の怨念が宿ってしまった首飾り、死者の蘇生が可能な水に、狙ったものは逃がさない弓矢。
見ただけで効果は解らないが、アサギは懸命に目的の物を探した。
「何処かに宝物庫に収められている一覧表ってないのかな」
呟きながら、軽く溜息を吐く。想像以上に量が多かった、挫折しそうになった。
このままでは終わりが見えてこないので、瞳を閉じると神経を研ぎ澄ます。ふわり、と風もないのにアサギの髪が揺れた、頬をくすぐる風に連れられて、歩き出す。誘うように、風はアサギの周囲をくるりと回った。楽しそうに舞い踊っている気がした。
やがて、目の前で静かに風は消えていく。同時にアサギが瞳を開くと、不思議な造形の杖が目の前にあった。
身長程度の長い杖は木製で、片方に何かを模して象られた何かがある。手を伸ばしてそれを掴むと引き寄せた、目を細めて見つめる。
すっ、と手に馴染む、しっとりとした感触のその杖はとても握りやすい。不思議な光沢が浮かび上がっているそれを、静かに抱きしめて瞳を閉じる。
「これだ」
間違いない、と確信したアサギは、嬉しそうに微笑むとすぐさま踵を返した。他の宝には目もくれず、杖を胸の前で抱えてドアを開く。重たいドアは上手く開かず、首を傾げて何度かノックすると開き始めた。
「ありがとうございました! こんなに可愛い杖になりました!」
屈託の無い顔で微笑みそう言われたので、天界人も釣られて微笑んだ。杖を見せるように差し出され、優しく頷くと走り去るアサギを見送る。「可愛い子ですね」「素直ですしね」そう言い合う警備兵だが、その杖は本物だ。
勇者アサギは、宝物庫の杖を一本、盗んでしまった。
後で返却するつもりではいたが、許可無く持ち出してしまったのである。その杖は……。
鱗の様に浮かぶ雲が、不気味に空を覆い尽くしていた。月の光がところどころ差し込むが、妙に禍々しい雰囲気を醸し出している。生暖かい風が、頬を撫でる。死臭が鼻先をくすぐった。
ミシアは天界から仲間達と離れ、人間の街に佇んでいる。小高い丘に、潮風が届く。
最大都市ジェノヴァ。
人間の出入りが激しく、警備は万全だと思われがちだが、実は甘い。
「破壊の姫君ミシア様」
小高い丘に若く顔が整った男が二人現れた、ミシアの前に跪くと、恭しく靴に口付ける。
「駄目よ、人目につく。顔を上げて私の隣へ」
「恐れ多い……」
「いいのよ、ほら、あのベンチに座ってお話致しましょう」
優雅に微笑むと、ミシアはベンチへ二人を誘った。水晶を膝に置き、あたかも占いをしているように見せかける。恋に悩む青年に、相談に乗っているような雰囲気だ。ミシアの左右に青年達は座ると、水晶を覗き込むような振りをする。
物分りの良い青年二人に、ミシアは嬉しそうに微笑むがすぐさま顔色を変えた。
「一体何が起きているの? 私も出向いたけれど不可解な魔物が出没してるでしょう、アイとタイは何を動いているのかしら? 私には聞く権利があるわよね」
ミシアの冷徹な小声に、青年達は臆することなく口を開いた。
すっ、と手に馴染む、しっとりとした感触のその杖はとても握りやすい。不思議な光沢が浮かび上がっているそれを、静かに抱きしめて瞳を閉じる。
「これだ」
間違いない、と確信したアサギは、嬉しそうに微笑むとすぐさま踵を返した。他の宝には目もくれず、杖を胸の前で抱えてドアを開く。重たいドアは上手く開かず、首を傾げて何度かノックすると開き始めた。
「ありがとうございました! こんなに可愛い杖になりました!」
屈託の無い顔で微笑みそう言われたので、天界人も釣られて微笑んだ。杖を見せるように差し出され、優しく頷くと走り去るアサギを見送る。「可愛い子ですね」「素直ですしね」そう言い合う警備兵だが、その杖は本物だ。
勇者アサギは、宝物庫の杖を一本、盗んでしまった。
後で返却するつもりではいたが、許可無く持ち出してしまったのである。その杖は……。
鱗の様に浮かぶ雲が、不気味に空を覆い尽くしていた。月の光がところどころ差し込むが、妙に禍々しい雰囲気を醸し出している。生暖かい風が、頬を撫でる。死臭が鼻先をくすぐった。
ミシアは天界から仲間達と離れ、人間の街に佇んでいる。小高い丘に、潮風が届く。
最大都市ジェノヴァ。
人間の出入りが激しく、警備は万全だと思われがちだが、実は甘い。
「破壊の姫君ミシア様」
小高い丘に若く顔が整った男が二人現れた、ミシアの前に跪くと、恭しく靴に口付ける。
「駄目よ、人目につく。顔を上げて私の隣へ」
「恐れ多い……」
「いいのよ、ほら、あのベンチに座ってお話致しましょう」
優雅に微笑むと、ミシアはベンチへ二人を誘った。水晶を膝に置き、あたかも占いをしているように見せかける。恋に悩む青年に、相談に乗っているような雰囲気だ。ミシアの左右に青年達は座ると、水晶を覗き込むような振りをする。
物分りの良い青年二人に、ミシアは嬉しそうに微笑むがすぐさま顔色を変えた。
「一体何が起きているの? 私も出向いたけれど不可解な魔物が出没してるでしょう、アイとタイは何を動いているのかしら? 私には聞く権利があるわよね」
ミシアの冷徹な小声に、青年達は臆することなく口を開いた。
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