別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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めも。
トビィ来る・最後の晩餐的な
~111 ロシファ死亡
~112 戦闘開始
~113 勇者達他到着
~120 第二章へ。
あと、9話。
とても、無理そう(おぃ)。
・外伝1 ベルーガまで進めてOK
・外伝5 開始
・裏 トレベレス×アリア
イラストはロマサガ2のロックブーケ。
昔描いたやつに色塗りました。
2012年8月24日くらい。
トビィ来る・最後の晩餐的な
~111 ロシファ死亡
~112 戦闘開始
~113 勇者達他到着
~120 第二章へ。
あと、9話。
とても、無理そう(おぃ)。
・外伝1 ベルーガまで進めてOK
・外伝5 開始
・裏 トレベレス×アリア
イラストはロマサガ2のロックブーケ。
昔描いたやつに色塗りました。
2012年8月24日くらい。
降ってきたスリザは、愛用の剣を両手に携えている。代々伝わる二本の剣は70センチ程度の片手剣と、1メートル程度の片手剣である。カストール、ポルックスという名がついていた。
楯を所持しないスリザは、二つの剣を巧みに操り攻防を繰り返すのだがそのようなことはこの場にいる誰一人として知らない。ただ、本気で構えていることだけは誰しもが解った。
「……エレ様、向こうへ行けばハイ様がいます。呼んできていただけませんか」
アサギが、上ずった声で小さく話しかける。反射的にエレンはアサギを見つめた、困惑気味にリングルスに視線を送った。
普段ならば、人間の言う事など聞き耳持たずだ。だが、どうしてもアサギの声には耳を傾けてしまう。
目の前のスリザが、魔王アレクの腹心であることなど誰しも承知だ。何故、敵意を向けられているのかはともかくとして、真っ向にやりあう気などさらさらない。
アサギを置いて、三人で逃亡すれば良かった。それが最善だ、面倒な事には首を突っ込みたくない。
まして、リュウからの命令など出ていない。アサギの言葉は訊かなかったことにすれば良い。
「スリザ様の、様子が変です!」
アサギの語尾が、悲鳴に近くなる。スリザが剣を一振り放ったのだ。
「は、速」
交差した二本の剣から、青白い光が放たれた。思わずリングルスがアサギを突き飛ばす、ケルトーンが狼狽しているエレンに渇を飛ばしていた。
「行け、エレン! お前が一番身軽だ、速くっ」
「わ、分かった」
直様エレンは1人身を翻し、飛び立った。背後でリングルスの絶叫が聴こえたが、振り返らなかった。
「リグ様!?」
アサギの悲鳴に近い叫び声に、ケルトーンは舌打ちすると地面を蹴って突進して来るスリザに向かう。背筋を大量の汗が伝う、対峙してスリザの能力が判明した。誰しも、勝てない程の絶対的な能力者だと直感した。
下手したら、リュウすらも凌駕してしまうのではないかとさえ、思えた。
無表情のスリザが、また威圧感を与えてくる。ケルトーンは渾身の一撃で羽をばたつかせ風を起こす、風圧で少しでもスリザの速度を落とそうとしたのだ。身体を海老反りにし、咆哮すれば両の手から爪が伸びる。
細身剣にも似たその10の爪を胸の前で構えながら懸命に、風を起こした。
若干、スリザの速度が落ちた。だが、確実に進んでくる。そのようなこと、承知の上だった。今は少しでも時間を稼ぐしかないのだ。
「は、速い……魔王アレクの腹心が、これ程までと、は」
「リグ様、しっかり! 今治癒の魔法をかけますから」
「アサギ様は、お逃げくだ、さい。食い止めますので、お逃げ、下さい」
青褪めて震えるアサギに、辛うじてリングルスは微笑んでいた。懐かしい、想いだった。昔、村を侵略してきた他種族の人間から自分を敬っていた人間達を救う為に、矢面に立った時を思い出した。
あの時も深手を負い、村中の人間が自分の為に涙を流してくれた。
「人を、護る。……懐かしい想いです」
情けなく、それでも、微かに満足そうにリングルスは呟いていた。皇子であるリュウを護っている想いとは、また別の熱き想いだった。か弱き人間を、護りたいと。自分を慕い、敬い、愛してくれる人間達の役に立ちたいと。
忘れていた、記憶だった。
スリザの振り下ろした剣は、凄まじい速度で全てを切り裂く刃となった。リングルスの左手は、二の腕からばっさりと斬り落とされたのだ。血液が、噴き出している。
治癒の魔法を扱えるようになったとはいえ、腕一本無くなった状態を、戻せるほどの力量などアサギにはない。
いや、知らない。
「……神官であったハイ様ならば、なんとか出来るはずです。それまで、辛抱してください」
アサギは、まだ暖かいリングルスの斬り落とされた腕を丁重に抱き抱えると、切断面に合わせる。腰に巻いていた布を取り、なんとか合わせられないか震える手で泣きながら縛ろうとした。
だが、上手く行かない。
「あ、あぁ、あ……ご、ごめんなさい、ごめんなさい」
「良いから、早くお逃げなさい、アサギさ、ま」
意識が、遠退くリングルス。ケルトーンが長くもたないことなど、分かりきっている。薄れ逝く景色の中で、スリザが今にもケルトーンに剣を振り下ろそうとしている姿が、見えた。
「絶対に、動かないで下さいね! すぐ、戻ります」
アサギは、強引にリングルスを地面に横たえ、切断面を合わせる。動かなければ、離れないだろう。
武器など、持ち合わせていないアサギだが、それでもケルトーンへと駆け出していた。
「ケト様、後方に飛んでくださいっ」
スリザの繰り出した剣を支えようとし、爪で防御したのだが爪は全て、折れた。
瞬間聴こえたアサギの声に、夢中で言う通りに宙を蹴り、身を翻しながら跳躍したケルトーンは、真下でアサギが魔法を放つ姿を見た。
「闇に打ち勝つ光よ来たれ、慈愛の光を天より降り注ぎ浄化せよ。聖光っ」
アサギは憶えていた、以前この光の魔法を魔界で使用した時”ハイ及び魔族”には有効で”リュウ”には効果が無かった事を。ケルトーン達も、リュウと同じ様に効果がないと判断した。一方スリザは魔族である、殺傷能力はないにしても一時的に動きを鈍らせる事は可能な筈だと。
思惑通り、真っ向から光を浴びたスリザは地面に倒れこんでいた。
肩を大きく揺らしながら、再び詠唱に入るアサギ。この魔法が最も安全で効果的だと判断したのだ、起き上がったら再び放つつもりで、両手を真正面に向ける。
「アサギ様……」
呆然とアサギを見つめるケルトーンは、今はこの小さな少女に任せるしかないのだと判断しリングルスへと向かう。
出血が止まらないリングルスだが、攻撃しか脳がなかったケルトーンは何も出来ない。ただ、気が遠くならないようにと必死に声をかけるだけである。
「しっかりしろ、リングルス! エレンがきっと直ぐ戻る、アサギ様とて懸命に戦っている。……我らを、護ろうと」
「……死なない、御優しく弱きリュウ様を置いてなど、死の世界に行ける訳が無い」
皮肉めいて笑うと、リングルスは片腕で自分の斬り落とされた腕を支えた。
「闇に打ち勝つ光よ来たれ、慈愛の光を天より降り注ぎ浄化せよ。聖光っ」
再び、アサギの詠唱が聴こえる。そして莫大な光。リングルスとケルトーンとて眩しいのは確かだ。だが、ケルトーンは見えていた。溢れる光に包まれて懸命に小さな身体で魔法を放つ、不思議な少女を。思わず、涙を浮かべて呟く。
「あれが、勇者……」
一方、ミラボーも室内で悲鳴を上げている。邪悪なものに有効な魔法だ、水晶で様子を窺っていたミラボーに光は直撃していた。
床を転がりながら目を押さえ、嘔吐し、泡を口から吹き出す。
最も邪悪なものには、身体に苦痛を与えられたのだ。暫し、ミラボーは起き上がることなく転げまわった。だが、スリザの呪縛は、解けることが無い。
「スリザ様、目を醒ましてください! スリザ様!」
構えながら、呼びかけ続けるアサギだが、まるで一定の動作しか出来ない機械の様にスリザは立ち上がり、向かってくる。その度にアサギは光の魔法を繰り出していた、だが連続で魔法を使うことなど慣れていない。
毎日訓練をしているからといって、実戦ではない。連続で、緊張感の中練習する事などなかった。
疲労が、襲う。著しい魔力の消耗だった、眩暈と吐き気に襲われる。
だが、今ここで自分が倒れた場合リングルスやケルトーンを護る事が出来ない。応援が来るまで、持ち堪えるしかないのだった。
アサギは、歯を食いしばって再び魔法を放った。
せめて、魔力増幅の杖を所持していればよかったのだが、何も持ち合わせていない。
エレンに導かれてようやくやってきたハイと、気配を感じて飛んで来たアイセルにサイゴン、そしてアレクは唖然とスリザを見つめる。
「スリザちゃん!? 何やってんの!?」
「アイセル様、スリザ様、様子がおかしいんです! な、なんだか操られているみたいで」
瞳に光が宿っていないことなど、一目瞭然だ。おまけに、皆にも全く反応しない。
「先日飲まされた薬物のせいではないのか!? ホーチミンは何処だ!?」
「今、呼びに行かせております。……スリザ殿に敵うとは思いませんが、俺にやらせてください。これでも一応、スリザ様の技を間近で体験していた者です」
引き攣った顔でサイゴンが進み出た、背中の剣を引き抜き、アサギに近づいていく。
「アサギ様、退いてください。代わります」
「……駄目です、サイゴン様ではどちらかが怪我をします。それより、スリザ様を正気に戻す方法を考えてください。……闇に打ち勝つ光よ来たれ、慈愛の光を天より降り注ぎ浄化せよ。聖光っ」
「げっ、そ、その魔法は俺達もまずっ」
魔族達は、一斉に悲鳴を上げた。助けに来た筈のハイにアレクも、その場で蹲るしかない。
「あ。ご、ごめんなさい……。で、でもこれしか私知らなくて」
「……き、気にするなアサギよ。私達が不甲斐無いのがいけないのだ、くっ」
邪悪ではない筈なのだが、先日まで暗黒神官として生きていたハイと、魔族として生を受けた者達には魔法が効いてしまう様だ。申し訳なさそうに俯くアサギだが、これしか方法はない。
幻獣達は、座った瞳で現れた魔王以下魔族達を見つめるより他ない。エレンは、小さく溜息1つ。そっとリュウを呼びに行った、やはり意見を賜りたかったのだ。何より、アサギしかあてにならないと思ってしまった。
「ど、どうしよう。このままだと……」
進展がなさそうだ。
楯を所持しないスリザは、二つの剣を巧みに操り攻防を繰り返すのだがそのようなことはこの場にいる誰一人として知らない。ただ、本気で構えていることだけは誰しもが解った。
「……エレ様、向こうへ行けばハイ様がいます。呼んできていただけませんか」
アサギが、上ずった声で小さく話しかける。反射的にエレンはアサギを見つめた、困惑気味にリングルスに視線を送った。
普段ならば、人間の言う事など聞き耳持たずだ。だが、どうしてもアサギの声には耳を傾けてしまう。
目の前のスリザが、魔王アレクの腹心であることなど誰しも承知だ。何故、敵意を向けられているのかはともかくとして、真っ向にやりあう気などさらさらない。
アサギを置いて、三人で逃亡すれば良かった。それが最善だ、面倒な事には首を突っ込みたくない。
まして、リュウからの命令など出ていない。アサギの言葉は訊かなかったことにすれば良い。
「スリザ様の、様子が変です!」
アサギの語尾が、悲鳴に近くなる。スリザが剣を一振り放ったのだ。
「は、速」
交差した二本の剣から、青白い光が放たれた。思わずリングルスがアサギを突き飛ばす、ケルトーンが狼狽しているエレンに渇を飛ばしていた。
「行け、エレン! お前が一番身軽だ、速くっ」
「わ、分かった」
直様エレンは1人身を翻し、飛び立った。背後でリングルスの絶叫が聴こえたが、振り返らなかった。
「リグ様!?」
アサギの悲鳴に近い叫び声に、ケルトーンは舌打ちすると地面を蹴って突進して来るスリザに向かう。背筋を大量の汗が伝う、対峙してスリザの能力が判明した。誰しも、勝てない程の絶対的な能力者だと直感した。
下手したら、リュウすらも凌駕してしまうのではないかとさえ、思えた。
無表情のスリザが、また威圧感を与えてくる。ケルトーンは渾身の一撃で羽をばたつかせ風を起こす、風圧で少しでもスリザの速度を落とそうとしたのだ。身体を海老反りにし、咆哮すれば両の手から爪が伸びる。
細身剣にも似たその10の爪を胸の前で構えながら懸命に、風を起こした。
若干、スリザの速度が落ちた。だが、確実に進んでくる。そのようなこと、承知の上だった。今は少しでも時間を稼ぐしかないのだ。
「は、速い……魔王アレクの腹心が、これ程までと、は」
「リグ様、しっかり! 今治癒の魔法をかけますから」
「アサギ様は、お逃げくだ、さい。食い止めますので、お逃げ、下さい」
青褪めて震えるアサギに、辛うじてリングルスは微笑んでいた。懐かしい、想いだった。昔、村を侵略してきた他種族の人間から自分を敬っていた人間達を救う為に、矢面に立った時を思い出した。
あの時も深手を負い、村中の人間が自分の為に涙を流してくれた。
「人を、護る。……懐かしい想いです」
情けなく、それでも、微かに満足そうにリングルスは呟いていた。皇子であるリュウを護っている想いとは、また別の熱き想いだった。か弱き人間を、護りたいと。自分を慕い、敬い、愛してくれる人間達の役に立ちたいと。
忘れていた、記憶だった。
スリザの振り下ろした剣は、凄まじい速度で全てを切り裂く刃となった。リングルスの左手は、二の腕からばっさりと斬り落とされたのだ。血液が、噴き出している。
治癒の魔法を扱えるようになったとはいえ、腕一本無くなった状態を、戻せるほどの力量などアサギにはない。
いや、知らない。
「……神官であったハイ様ならば、なんとか出来るはずです。それまで、辛抱してください」
アサギは、まだ暖かいリングルスの斬り落とされた腕を丁重に抱き抱えると、切断面に合わせる。腰に巻いていた布を取り、なんとか合わせられないか震える手で泣きながら縛ろうとした。
だが、上手く行かない。
「あ、あぁ、あ……ご、ごめんなさい、ごめんなさい」
「良いから、早くお逃げなさい、アサギさ、ま」
意識が、遠退くリングルス。ケルトーンが長くもたないことなど、分かりきっている。薄れ逝く景色の中で、スリザが今にもケルトーンに剣を振り下ろそうとしている姿が、見えた。
「絶対に、動かないで下さいね! すぐ、戻ります」
アサギは、強引にリングルスを地面に横たえ、切断面を合わせる。動かなければ、離れないだろう。
武器など、持ち合わせていないアサギだが、それでもケルトーンへと駆け出していた。
「ケト様、後方に飛んでくださいっ」
スリザの繰り出した剣を支えようとし、爪で防御したのだが爪は全て、折れた。
瞬間聴こえたアサギの声に、夢中で言う通りに宙を蹴り、身を翻しながら跳躍したケルトーンは、真下でアサギが魔法を放つ姿を見た。
「闇に打ち勝つ光よ来たれ、慈愛の光を天より降り注ぎ浄化せよ。聖光っ」
アサギは憶えていた、以前この光の魔法を魔界で使用した時”ハイ及び魔族”には有効で”リュウ”には効果が無かった事を。ケルトーン達も、リュウと同じ様に効果がないと判断した。一方スリザは魔族である、殺傷能力はないにしても一時的に動きを鈍らせる事は可能な筈だと。
思惑通り、真っ向から光を浴びたスリザは地面に倒れこんでいた。
肩を大きく揺らしながら、再び詠唱に入るアサギ。この魔法が最も安全で効果的だと判断したのだ、起き上がったら再び放つつもりで、両手を真正面に向ける。
「アサギ様……」
呆然とアサギを見つめるケルトーンは、今はこの小さな少女に任せるしかないのだと判断しリングルスへと向かう。
出血が止まらないリングルスだが、攻撃しか脳がなかったケルトーンは何も出来ない。ただ、気が遠くならないようにと必死に声をかけるだけである。
「しっかりしろ、リングルス! エレンがきっと直ぐ戻る、アサギ様とて懸命に戦っている。……我らを、護ろうと」
「……死なない、御優しく弱きリュウ様を置いてなど、死の世界に行ける訳が無い」
皮肉めいて笑うと、リングルスは片腕で自分の斬り落とされた腕を支えた。
「闇に打ち勝つ光よ来たれ、慈愛の光を天より降り注ぎ浄化せよ。聖光っ」
再び、アサギの詠唱が聴こえる。そして莫大な光。リングルスとケルトーンとて眩しいのは確かだ。だが、ケルトーンは見えていた。溢れる光に包まれて懸命に小さな身体で魔法を放つ、不思議な少女を。思わず、涙を浮かべて呟く。
「あれが、勇者……」
一方、ミラボーも室内で悲鳴を上げている。邪悪なものに有効な魔法だ、水晶で様子を窺っていたミラボーに光は直撃していた。
床を転がりながら目を押さえ、嘔吐し、泡を口から吹き出す。
最も邪悪なものには、身体に苦痛を与えられたのだ。暫し、ミラボーは起き上がることなく転げまわった。だが、スリザの呪縛は、解けることが無い。
「スリザ様、目を醒ましてください! スリザ様!」
構えながら、呼びかけ続けるアサギだが、まるで一定の動作しか出来ない機械の様にスリザは立ち上がり、向かってくる。その度にアサギは光の魔法を繰り出していた、だが連続で魔法を使うことなど慣れていない。
毎日訓練をしているからといって、実戦ではない。連続で、緊張感の中練習する事などなかった。
疲労が、襲う。著しい魔力の消耗だった、眩暈と吐き気に襲われる。
だが、今ここで自分が倒れた場合リングルスやケルトーンを護る事が出来ない。応援が来るまで、持ち堪えるしかないのだった。
アサギは、歯を食いしばって再び魔法を放った。
せめて、魔力増幅の杖を所持していればよかったのだが、何も持ち合わせていない。
エレンに導かれてようやくやってきたハイと、気配を感じて飛んで来たアイセルにサイゴン、そしてアレクは唖然とスリザを見つめる。
「スリザちゃん!? 何やってんの!?」
「アイセル様、スリザ様、様子がおかしいんです! な、なんだか操られているみたいで」
瞳に光が宿っていないことなど、一目瞭然だ。おまけに、皆にも全く反応しない。
「先日飲まされた薬物のせいではないのか!? ホーチミンは何処だ!?」
「今、呼びに行かせております。……スリザ殿に敵うとは思いませんが、俺にやらせてください。これでも一応、スリザ様の技を間近で体験していた者です」
引き攣った顔でサイゴンが進み出た、背中の剣を引き抜き、アサギに近づいていく。
「アサギ様、退いてください。代わります」
「……駄目です、サイゴン様ではどちらかが怪我をします。それより、スリザ様を正気に戻す方法を考えてください。……闇に打ち勝つ光よ来たれ、慈愛の光を天より降り注ぎ浄化せよ。聖光っ」
「げっ、そ、その魔法は俺達もまずっ」
魔族達は、一斉に悲鳴を上げた。助けに来た筈のハイにアレクも、その場で蹲るしかない。
「あ。ご、ごめんなさい……。で、でもこれしか私知らなくて」
「……き、気にするなアサギよ。私達が不甲斐無いのがいけないのだ、くっ」
邪悪ではない筈なのだが、先日まで暗黒神官として生きていたハイと、魔族として生を受けた者達には魔法が効いてしまう様だ。申し訳なさそうに俯くアサギだが、これしか方法はない。
幻獣達は、座った瞳で現れた魔王以下魔族達を見つめるより他ない。エレンは、小さく溜息1つ。そっとリュウを呼びに行った、やはり意見を賜りたかったのだ。何より、アサギしかあてにならないと思ってしまった。
「ど、どうしよう。このままだと……」
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