[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。
謝りきれない私の罪は、いつしか記憶から消えました。
都合よく自分で消したのです。
自分の存在に邪魔な記憶だから、消したのです。
ごめんなさい、また私・・・。
人を不幸にしてしまうみたいです。
アサギがビエルという国に勤めてから、数ヶ月が経過した。
時折テントで見る夢は、以前にもまして鮮明だ。
そしてアサギは分かっていた、単なる夢ではないと。
過去の、記憶だと。
長身の男が自分の名を呼んでいる夢。
懐かしくて、涙が出る。
彼は、自分にとって、どんな存在だったのか。
最初は、恋人かと錯覚した。
だが、違う。彼は、恋人ではない・・・。
良く見る夢は、その長身の彼に似た男が出てくる夢だ。
顔はよく、見えなかった・・・。
彼は、どうやら自分を嫌っているらしかった。
嫌うというか、憎むというか。
一度、殺されかけた夢も見た。
いや・・・殺された、のか・・・?
彼は何者なのか?
アサギはふと、気づいてしまった。
彼は、自分が好きだった人だ、ということに。
思い出しつつある、過去の記憶。
思い出してはいけない、しかし、思い出さねばならない。
思い出した時、アサギはきっと崩壊する。
思いださねば、罪から逃げることになる。
「・・・貴様、自分だけ記憶を失くして、生きていくつもりか!?
人を騙して傷つけて苦しめて、この世界も破壊破壊するきか!?
・・・気の毒な男。
貴様に惚れられた男の末路・・・貴様が一番良く知ってるだろう?
二人の末路、知ってるだろう?
どうせ貴様には、恋人なんて」
「ごめんなさい!!」
アサギは荒い呼吸で、涙を頬に這わせながら飛び起きた。
「ご、ごめんなさ、ごめんなさ・・・・・」
小刻みに身体を震わせて、うなされるように呟く。
『ごめんなさい』と、口癖を。
ふと、テントが揺れる。
アサギは小さく悲鳴を漏らすと、慌てて布団を被った。
・・・呼吸が、おかしい。
息が、出来ない。
・・・私は呪われた娘です。
人に接すれば、その人を必ず不幸にするのです。
私に好かれた人は、多大な不幸に飲み込まれ、絶望の淵にたたされます。
人と、離れて生きなければいけなかったはずでした。
人を、好きになってはいけないはずでした。
記憶を失くした振りで、本当は覚えていたのかもしれない。
ただ、都合が悪いから、失った振りをしていたのかもしれないのです。
馬鹿な私、また同じ事を繰り返す・・・。
でも。
あの方は。
私に、こう言ってくださったのです。
嘘でも、嬉しかったのです。
その言葉を、待って、いたのです・・・。
「 」
2000年くらい? の作品を旧HPから引っ張り出しました。
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |