別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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タイトル変更でござる。
真夏日、勇者だった六人は胸を弾ませて集合した。それぞれ、浮き輪を手にしている。
バスに乗り込み、一番後ろの席を陣取ると思わず笑みが零れた。目的地まで、他愛のない話をする。
「誰も世界を救った勇者だなんて思わないだろうなー」
「思うわけがない」
小さく笑い合う、数日前の話だが、何年も前のような錯覚を起こした。手に入れたものは、友情。かけがえのない、絆。
「いやー、魔法が使えた時は嬉しかったよね」
こんな話をしていても、周囲は気にも留めない。ゲームの話だろうと皆思うだろう、もしくは聞いていないかもしれない。その為、悠々と六人は思い出に浸っていた。
ふと、ダイキが顔を顰める。
「でも、いいのか? 謎が残ったままだけど……。破壊の姫君って、どうなった?」
「それは気になってたんだ、悪化してまた召喚されたりして」
ケンイチが何気なくそう言ったので、皆が口を閉ざす。しん、と静まり返る。
「……まぁ、勇者はまた呼ばれるかもな! 武器も最初からあるだろうし、今度は直様駆けつけてやるよ」
「調子がいいなぁ、ミノル」
アサギは、おどけるミノルを見つめて軽く微笑んだ。視線が合うと、照れくさそうに鼻の頭を指でかく。その癖が可愛いと思った。不意にバスから外へと視線を移す、街路樹の中を走っている。
「……こうしてみると、地球は自然がやっぱり少ないね」
小さく、そう漏らした。
『アサギ様、アサギ様。そこまで解っているのならば、何故』
キィン、と耳の奥で金属音が鳴り響いた。小さく悲鳴を上げると、隣のユキに倒れ込む。ミノルが慌てて駆け寄った、トモハルも席を立って近寄る。
口元を押さえ、顔面蒼白のアサギを必死になってミノルは励ました。背中を擦る。
「っ、ひ、ぁ!」
がたがたと震えるアサギを、ユキも手を繋いで名を呼び続ける。前の席から大人が心配そうに声をかけてきた、車酔いしたのかと思っただろう。
脳の中で、何かが蠢く。頭痛が止まらない、耳鳴りが止まない。吐き気がする。
「アサギ!? 何やってんだよ!」
聞き覚えのある声に、皆が一斉に顔を上げた。アサギの幼馴染のリョウが立っている、隣には妹もいた。
ミノルとトモハルを押し退けてアサギに近寄ると、思わず抱き締める。唖然と大口を開いたミノルなど気にもせず、静かに瞳を閉じると囁いた。
「大丈夫だよ、アサギ。ここにいるから、必ず、護るから」
ミノルが思わず身を乗り出した、がトモハルが止める。これではどちらが彼氏なのか解らない。
やがてアサギは、胸を押さえながらゆっくりと顔を上げた。苦しそうだった、が、無理に微笑む。
「ご、ごめんね。もう、へっきだから」
「……無理、するなよな」
アサギの頭を撫でるリョウを、ミノルが面白くなさそうに見つめる。隣で不安そうにトモハルが、三人を見つめていた。
トモハルの瞳には、アサギとリョウが親密に映った。それはミノルから見ても同じだろう。幼馴染だということは知っているのだが、短気なミノルが勝手に暴走してアサギを傷つけないか心配になったトモハル。
これでもトモハルとミノルは、親友のようなものだ。家が隣同士、互いの感情は手に取るように解る。特にミノルは把握しやすい性格だ。
リョウは次の駅で降りるので、プール前で降りていった友達を見送る。最後までアサギを見つめていたその視線に、ミノルが歯軋りした。
当然と言えば当然だ、仲が良い二人だと皆知っている。幼馴染で、友達。
『目障り、だなぁ。彼氏はこちらなのに。おかしいよなぁ、おかしいよねぇ。案外、二股かけられてない?』
ユキに手を引かれて歩くアサギを後方で見つめながら、ミノルは何故かそんなことを思った。
バスに乗り込み、一番後ろの席を陣取ると思わず笑みが零れた。目的地まで、他愛のない話をする。
「誰も世界を救った勇者だなんて思わないだろうなー」
「思うわけがない」
小さく笑い合う、数日前の話だが、何年も前のような錯覚を起こした。手に入れたものは、友情。かけがえのない、絆。
「いやー、魔法が使えた時は嬉しかったよね」
こんな話をしていても、周囲は気にも留めない。ゲームの話だろうと皆思うだろう、もしくは聞いていないかもしれない。その為、悠々と六人は思い出に浸っていた。
ふと、ダイキが顔を顰める。
「でも、いいのか? 謎が残ったままだけど……。破壊の姫君って、どうなった?」
「それは気になってたんだ、悪化してまた召喚されたりして」
ケンイチが何気なくそう言ったので、皆が口を閉ざす。しん、と静まり返る。
「……まぁ、勇者はまた呼ばれるかもな! 武器も最初からあるだろうし、今度は直様駆けつけてやるよ」
「調子がいいなぁ、ミノル」
アサギは、おどけるミノルを見つめて軽く微笑んだ。視線が合うと、照れくさそうに鼻の頭を指でかく。その癖が可愛いと思った。不意にバスから外へと視線を移す、街路樹の中を走っている。
「……こうしてみると、地球は自然がやっぱり少ないね」
小さく、そう漏らした。
『アサギ様、アサギ様。そこまで解っているのならば、何故』
キィン、と耳の奥で金属音が鳴り響いた。小さく悲鳴を上げると、隣のユキに倒れ込む。ミノルが慌てて駆け寄った、トモハルも席を立って近寄る。
口元を押さえ、顔面蒼白のアサギを必死になってミノルは励ました。背中を擦る。
「っ、ひ、ぁ!」
がたがたと震えるアサギを、ユキも手を繋いで名を呼び続ける。前の席から大人が心配そうに声をかけてきた、車酔いしたのかと思っただろう。
脳の中で、何かが蠢く。頭痛が止まらない、耳鳴りが止まない。吐き気がする。
「アサギ!? 何やってんだよ!」
聞き覚えのある声に、皆が一斉に顔を上げた。アサギの幼馴染のリョウが立っている、隣には妹もいた。
ミノルとトモハルを押し退けてアサギに近寄ると、思わず抱き締める。唖然と大口を開いたミノルなど気にもせず、静かに瞳を閉じると囁いた。
「大丈夫だよ、アサギ。ここにいるから、必ず、護るから」
ミノルが思わず身を乗り出した、がトモハルが止める。これではどちらが彼氏なのか解らない。
やがてアサギは、胸を押さえながらゆっくりと顔を上げた。苦しそうだった、が、無理に微笑む。
「ご、ごめんね。もう、へっきだから」
「……無理、するなよな」
アサギの頭を撫でるリョウを、ミノルが面白くなさそうに見つめる。隣で不安そうにトモハルが、三人を見つめていた。
トモハルの瞳には、アサギとリョウが親密に映った。それはミノルから見ても同じだろう。幼馴染だということは知っているのだが、短気なミノルが勝手に暴走してアサギを傷つけないか心配になったトモハル。
これでもトモハルとミノルは、親友のようなものだ。家が隣同士、互いの感情は手に取るように解る。特にミノルは把握しやすい性格だ。
リョウは次の駅で降りるので、プール前で降りていった友達を見送る。最後までアサギを見つめていたその視線に、ミノルが歯軋りした。
当然と言えば当然だ、仲が良い二人だと皆知っている。幼馴染で、友達。
『目障り、だなぁ。彼氏はこちらなのに。おかしいよなぁ、おかしいよねぇ。案外、二股かけられてない?』
ユキに手を引かれて歩くアサギを後方で見つめながら、ミノルは何故かそんなことを思った。
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