別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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らくがき、たのしい(’’)
ペンタブ買い直そうかな。
一度消えたので書く気がなくなりました←
ペンタブ買い直そうかな。
一度消えたので書く気がなくなりました←
消えたアリンを捜して、トロンは街中を駆け巡っていた。誰に訊いても知らない、の一点張りである。拉致されてしまっていたらどうしたら良いのか、とトロンは絶望を味わった。目を離さなければ良かったと、後悔した。
息を切らせて公園へ戻ってくると、人影がぽつん、と立っていた。
見た瞬間にアリンだと解ったトロンは、大声で名前を呼ぶ。全速力で駆け寄って、抱き締める。震えながら抱き締めたのだが。
……アリンではない香りが、した。
思わず身体から離して、唖然と見つめる。不思議そうに小首傾げているアリンは、瞳を伏せる。
「ごめんなさい、遅くなってしまって。迷子になっていたら、親切な方が送ってくださいました」
「……何も、されていないか? 誰かに、何か」
口内は乾ききっており、上手く言葉が出てこない。トロンは震えながらそう呟いたが、アリンは不思議そうに首を傾げている。その様子から何もないと判断したトロンは、重苦しい溜息を吐き再び抱き締めた。
それでも、アリンから香るのは知らない香りだった。思わず、自分の匂いを移す様に強く抱き締める。
「トロンお兄様、大丈夫なのです。怪我もしていないですし、本当に」
「そういう問題ではないだろう、頼むから消えないでくれ。公園に、いてくれないか」
「……はい、ごめんなさい。私の目が見えていたら、何処にでも行けるのに」
アリンの背を撫でながら、ようやく身体の震えを収めたトロン。そのまま抱き上げて岐路につく。
その様子を、遠くの木陰からトラリオンが見つめていた。爪を噛みながら、憎々しげにトロンの背に視線を投げかける。
気配に気がついたのか、トロンが一瞬立ち止まり振り返った。思わず隠れたトラリオンは、再び爪を強く噛み、引きちぎると地面に吐き捨てる。
常に一緒の二人、それは覆すことが出来ない。血が繋がらないとはいえ、兄妹なのだから。
どんな生活をしているのだろうか、まさか同じ部屋で共に過ごしているのだろうか。
発狂しそうだった、胸をちりちりと焼ける音がする。嘔吐しそうだ、腹の中に虫がいて蠢いているようだった。鳥肌が立つ、全身を掻き毟りたくなる。大声で叫んで、地面に拳を叩きつけたくなった。
恋人になったのに、全く安らぐことが出来ない。
アリンは、処女だった。それだけが、トラリオンの思考を辛うじて引き戻してくれた。
大きく息を吐きながら、必死で震える身体を押さえつけるとよろめきながら岐路に着く。
トロンから外出許可が出なくなると困るので、以後二人は早目に別れることにした。時間が経過するのは恐ろしく早く、時が止まらないかとトラリオンは太陽を恨めしく見つめる。
川に脚を浸し、手頃な岩に腰掛けて寄り添った。アリンの瞳には煌く水面が映らない、水が岩にあたって飛び散る水滴も見ることが出来ない。水中に咲いている可憐な白い花も、見ることは出来なかった。
それらを説明してやると、アリンはもっともっとと話をせがむ。その様子が可愛くて、川に降り立った鳥の説明もした。
「ぷかぷかと浮いている鳥がいるんだ。親子かな、大きいのと小さいの」
「ぷかぷか……鳥さん……親子……見てみたいな」
興奮気味にアリンが身体を動かす、首筋に口付けながら耳元でトラリオンは自分の瞳に映る風景を必死に説明した。
アリンが自分の話に耳を傾け、聞き入ってくれる。頬を赤く染めて、頷いている様子が愛しくて嬉しくなって抱き締めた。
「私の瞳が見えたら。そうしたらシダとも色んなところに行けるね……」
日に日に、アリンは自分の瞳を責めるようになった。そんなことはないと言い聞かせても、アリンは遠くを見つめて嘆く。
「傍にいてくれる、それだけで十分だよ」
「でも、目が見えれば一緒に街も歩けるでしょう? シダも、じっとしていなくて山や川を飛び跳ねるのでしょう? 私が危ないからっていつもこうして抱き締めていてくれるけれど、ホントは」
「いいんだよ、アリン。目が見えなくてもアリンはアリン。その事に変わりはないだろ? オレが愛していることに変わりはない」
それでも、アリンは自分の閉じた瞼にそっと指を添えて溜息を吐いた。
もし、アリンの瞳が光を捉えたらば。……この関係は終わってしまう。
突然瞳に光が甦るなど有り得ないが、トラリオンは焦りを感じていた。自分はシダと名乗るトラリオン。アリンの瞳が見えていたならば、成立しない嘘である。
何れは説明しなければならない、それは理解しているのだが。いつ、説明したら良いのだろう。
シダとしてアリンと過ごす、愛を囁き口付けて身体を重ねて恋人として過ごす。
反面で、街ではトラリオンとして仲間達とアリンを苛めていた。髪を引っ張ったり、後ろから背を押したりして笑っていた。
うっとりと微笑むアリンも好きだった、けれども半泣きで俯いている姿も、トラリオンは好きだったのだ。
見つめていると、自分が征服しているような錯覚に陥った。それが、異様に興奮したのだ。
止めなければと、何度も言い聞かせたが止まらない。憶えてしまった快楽の手段、背筋を這う感覚が堪らない。
しかし、アリンが知ったらどうなるのだろう。同一人物だと知られたら、シダをいや、自分をどう思うのだろうか。
最初についた、些細な嘘が。まさかここまで膨れ上がるとは、トラリオンは思っていなかったのだ。
アリンの瞳が見えることなどありはしない、そう言い聞かせる。
髪に指を通し、黄緑色のその柔らかで艶やかな髪を口に含みながら、トラリオンはアリンの身体を指でなぞった。
「何処にも行かないで。視界に映る全てのものは、二人を遮るだけだよ。それならば見えないほうがいい、オレと居たいのなら、その美しい瞳には何も映さないで」
息を切らせて公園へ戻ってくると、人影がぽつん、と立っていた。
見た瞬間にアリンだと解ったトロンは、大声で名前を呼ぶ。全速力で駆け寄って、抱き締める。震えながら抱き締めたのだが。
……アリンではない香りが、した。
思わず身体から離して、唖然と見つめる。不思議そうに小首傾げているアリンは、瞳を伏せる。
「ごめんなさい、遅くなってしまって。迷子になっていたら、親切な方が送ってくださいました」
「……何も、されていないか? 誰かに、何か」
口内は乾ききっており、上手く言葉が出てこない。トロンは震えながらそう呟いたが、アリンは不思議そうに首を傾げている。その様子から何もないと判断したトロンは、重苦しい溜息を吐き再び抱き締めた。
それでも、アリンから香るのは知らない香りだった。思わず、自分の匂いを移す様に強く抱き締める。
「トロンお兄様、大丈夫なのです。怪我もしていないですし、本当に」
「そういう問題ではないだろう、頼むから消えないでくれ。公園に、いてくれないか」
「……はい、ごめんなさい。私の目が見えていたら、何処にでも行けるのに」
アリンの背を撫でながら、ようやく身体の震えを収めたトロン。そのまま抱き上げて岐路につく。
その様子を、遠くの木陰からトラリオンが見つめていた。爪を噛みながら、憎々しげにトロンの背に視線を投げかける。
気配に気がついたのか、トロンが一瞬立ち止まり振り返った。思わず隠れたトラリオンは、再び爪を強く噛み、引きちぎると地面に吐き捨てる。
常に一緒の二人、それは覆すことが出来ない。血が繋がらないとはいえ、兄妹なのだから。
どんな生活をしているのだろうか、まさか同じ部屋で共に過ごしているのだろうか。
発狂しそうだった、胸をちりちりと焼ける音がする。嘔吐しそうだ、腹の中に虫がいて蠢いているようだった。鳥肌が立つ、全身を掻き毟りたくなる。大声で叫んで、地面に拳を叩きつけたくなった。
恋人になったのに、全く安らぐことが出来ない。
アリンは、処女だった。それだけが、トラリオンの思考を辛うじて引き戻してくれた。
大きく息を吐きながら、必死で震える身体を押さえつけるとよろめきながら岐路に着く。
トロンから外出許可が出なくなると困るので、以後二人は早目に別れることにした。時間が経過するのは恐ろしく早く、時が止まらないかとトラリオンは太陽を恨めしく見つめる。
川に脚を浸し、手頃な岩に腰掛けて寄り添った。アリンの瞳には煌く水面が映らない、水が岩にあたって飛び散る水滴も見ることが出来ない。水中に咲いている可憐な白い花も、見ることは出来なかった。
それらを説明してやると、アリンはもっともっとと話をせがむ。その様子が可愛くて、川に降り立った鳥の説明もした。
「ぷかぷかと浮いている鳥がいるんだ。親子かな、大きいのと小さいの」
「ぷかぷか……鳥さん……親子……見てみたいな」
興奮気味にアリンが身体を動かす、首筋に口付けながら耳元でトラリオンは自分の瞳に映る風景を必死に説明した。
アリンが自分の話に耳を傾け、聞き入ってくれる。頬を赤く染めて、頷いている様子が愛しくて嬉しくなって抱き締めた。
「私の瞳が見えたら。そうしたらシダとも色んなところに行けるね……」
日に日に、アリンは自分の瞳を責めるようになった。そんなことはないと言い聞かせても、アリンは遠くを見つめて嘆く。
「傍にいてくれる、それだけで十分だよ」
「でも、目が見えれば一緒に街も歩けるでしょう? シダも、じっとしていなくて山や川を飛び跳ねるのでしょう? 私が危ないからっていつもこうして抱き締めていてくれるけれど、ホントは」
「いいんだよ、アリン。目が見えなくてもアリンはアリン。その事に変わりはないだろ? オレが愛していることに変わりはない」
それでも、アリンは自分の閉じた瞼にそっと指を添えて溜息を吐いた。
もし、アリンの瞳が光を捉えたらば。……この関係は終わってしまう。
突然瞳に光が甦るなど有り得ないが、トラリオンは焦りを感じていた。自分はシダと名乗るトラリオン。アリンの瞳が見えていたならば、成立しない嘘である。
何れは説明しなければならない、それは理解しているのだが。いつ、説明したら良いのだろう。
シダとしてアリンと過ごす、愛を囁き口付けて身体を重ねて恋人として過ごす。
反面で、街ではトラリオンとして仲間達とアリンを苛めていた。髪を引っ張ったり、後ろから背を押したりして笑っていた。
うっとりと微笑むアリンも好きだった、けれども半泣きで俯いている姿も、トラリオンは好きだったのだ。
見つめていると、自分が征服しているような錯覚に陥った。それが、異様に興奮したのだ。
止めなければと、何度も言い聞かせたが止まらない。憶えてしまった快楽の手段、背筋を這う感覚が堪らない。
しかし、アリンが知ったらどうなるのだろう。同一人物だと知られたら、シダをいや、自分をどう思うのだろうか。
最初についた、些細な嘘が。まさかここまで膨れ上がるとは、トラリオンは思っていなかったのだ。
アリンの瞳が見えることなどありはしない、そう言い聞かせる。
髪に指を通し、黄緑色のその柔らかで艶やかな髪を口に含みながら、トラリオンはアリンの身体を指でなぞった。
「何処にも行かないで。視界に映る全てのものは、二人を遮るだけだよ。それならば見えないほうがいい、オレと居たいのなら、その美しい瞳には何も映さないで」
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