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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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まぐぐー(’ ’ )
頑張れ、一気に更新するんだ! 気がついたら9月だった!←



 キィィィ、カトン……。
 唖然と、アサギはトランシスを見つめた。
 今、なんと言っただろう。
 『愛してる』と、愛してると、言ったように聴こえた。
 放心状態で、アサギは何も言えず、瞬きも出来ずにそこにいた。
 トランシスは、そっとアサギの手を取る。二人の体温が重なり合い、触れた箇所から同じ温度へと変わっていく。
「おかしいな、ずっと以前にもこうしていた気がする」
「わ、私も、そんな気がします」
 アサギの手を頬にすり寄せて、切なそうにトランシスが呟く。間入れずアサギは反応し、強く手を握り締める。
「フフ、なら本当にそうかもしれないな」
「は、はいっ! そう、だったらいいな」
『はにかんだ笑みを浮かべ、頬を染めて嬉しそうに俯いた少女に、思わず青年はは手を差し伸べた。
「……少女、さっき『何でもする』って言ったよな?」
「はい、うん。言いまし……言ったよ?」
「少し、抱き締めさせて」
 少女の返事を待たないまま、青年は強引に腕を掴むとそのまま引き寄せる。ベッドに倒れ込んだ少女を素早く引き寄せて、夢中で抱き締めた』
 トランシスはアサギの甲に、恭しく口づけをする。ゆっくりと、何度も口づけた。愛しそうに、口づけた。
『喉の奥で笑い、少女の顔を覗きこんだ青年が息を飲む。反抗してくるとばかり思っていた少女が、赤面し言葉を失っていたからだ。
 意表をつく反応に、青年も困惑する。
「え」
「あ、ち、ちが、違うんです、違いますからね!? き、気にしてなんていませんから、からっ」
 今更、否定しても。
 青年は、夢中で少女の唇を奪う。
 名を呼びながら、無我夢中で抱いてくる青年に、少女は。
 思わず、名を呼んだのだ』
「アサギ」
「トランシス」
 二人は何故か泣きたくなって、互いに顔を逸らす。
『青年は「……ありがとう」と耳元で囁くと、躊躇う事無く一気に引き寄せて少女を腕で包み込んだ。
 驚いて身体を仰け反らせた少女だったが、顔を赤らめて、青年を見上げる。
 腕の中で、満身創痍ながらも嬉しそうにゆっくりと微笑んだ少女』
「好きだ」
「……好きです」
 顔を逸らしながらも、二人は言い合った。
『嘘をついた。
 嘘をついたが、少女は嬉しそうに泣き笑いしている。
「ありがとうございます。お傍に、居ますね。……知ってます? 私、最初にお目にかかったとき、貴方様をとても綺麗だと思ったんです」
 意外な言葉に、固まる青年。胸を押さえて、引き攣った声を漏らした』
「初めて見た時に、息が止まった気がした。待っていた気がする」
「私も、です」
 慣れたベッドで、アサギを組み敷く。小さな悲鳴を上げたものの、アサギは抵抗しなかった。ようやく二人の視線が交差する。
「口付け、してもイイ?」
「は、はい」
 赤面し、瞳をきつく閉じたアサギを見下ろし、軽く笑うとトランシスはそっと顔を近づける。
『安堵した少女に、思わず青年は口付けていた。唇に触れた何か温かいものに驚き身動ぎした少女だが、耳元で囁かれそのまま逃げずにいる。
「恋人同士は、口付けをするんだ。”好きだよ、大事だよ”って思いながら」
「口付け……」
「そう、口付け。いいかい、オレ以外と口付けは交わしてはいけないよ?」
「解り、ました」
 耳や首筋にかかる青年の吐息に、少女の身体が敏感に揺れる。くすぐったいのではない、身体が跳ねて、熱くなる。髪を撫でられ、何度か口付けを交わした二人。長い事、ぎこちなく口付けを続ける』
 音を立てて、何度も口づけを交わした。その度にアサギの身体が引きつるので、可愛らしくて止めるタイミングが掴めない。
『唖然と会場内の視線が、寄り添う二人を見つめた。少女の髪を撫でながら、優しく抱き締める青年の姿はそれこそ慈愛に満ちていて。
 ここが、闇市競売だと皆一瞬、忘れたのだ。
 青年の腕の中で、少女が嬉しそうに微笑んだ。
 待ち焦がれていたかのように、ここへ来れば逢える事を知っていたかのように。
 それこそ、引き裂かれた恋人同士が出会えたように』
「アサギ」
「トランシス」
 熱に浮かされ、互いの名前を呼び合う。それは、飽きることがないように思えた。
『他人に奪われる前に、奪うしかない。怯える少女を縛り上げ口を塞ぐと、用意してきた袋に押し込み、大事に持ち上げた。
「誰の物にも、させやしない、オレのものだ。一緒に村を出よう」
 少女は返事が出来なかったが、青年はそのまま袋ごと馬に乗せて、走り去った』
「どうしよう、こんな気持ち初めてだ。胸が痛い、痛くて、辛い、苦しい。けど、触れ合っていると安心する。アサギ、もうこれ以上オレから離れて行かないで」
「私も、一緒にいたいです」
 トランシスは頬を撫でた、微笑し、小さく頷いたアサギに再び口付ける。
 満ち足りた時間だった、二人きりの世界で、ただ、触れ合って口づけを交わす。それだけが、至福だった。誰にも邪魔されずに行える、神聖な行為だった。
「大好きだよ、アサギ」
「わ、私も、大好きです……」
「愛してるよ、アサギ」
「わ、私も」
 キイイイイイイィィイイイイイイイイイイ、カトン。
 二人は、名を呼び、好きだ、大好きだ、愛していると告げて、口づけを交わしあった。その時間は、終わりがないように思えた。
 いや、終わりが来て欲しくはなかった。誰にも邪魔されたくなかった、この時間さえあれば、何もいらなかった。
 それだけで、よかった。
 
 アサギが消えている頃、惑星クレオの天界城では再び騒動が起きていた。度々、人間界の街で火災が発生しているのだ、被害は甚大だ。おまけにそれは北へと移動している、目撃証言から割り出すと、小柄な少女が原因だと言うのでトビィ達は神クレロから指示を受け、犯人捜しに出向く羽目になった。
 当然アサギにも要請が行ったのだが、連絡はない。
 真面目なアサギが無視するとは思えず、トビィは不安に駆られたが、そういう時もあるだろうと軽くマダーニに言われ、渋々単独で行動する。
 ドラゴン二体を連れて、昨日被害にあった街から最も近い村へと先行した。ライアン達も急いで追い、何が目的なのか調査することにする。
「ナスタチューム達に会いに行きたいんだが……アサギは何処へ」
「心配ですね、大変嫌な予感がします」
「デズもそう思うか、オレもだ」
「はい、災厄に捕まっている気がしてなりません」
「奇遇だな、オレもそう思う」
 心配性だ、とクレシダは隣で溜息を吐いたが、トビィとデズデモーナは真剣だった。アサギがいないと、行動が鈍る二人である、クレシダは先が思いやられる、と思いつつも顔には出さない。
 表情が変わらないので、誰もクレシダが思案していることを知らない。
 聞き込みを開始した皆だが、原因はやはり”一人の美少女”だと被害に会った人々は口を揃えて言うのだ。
 一人の美少女。
 その美少女が何故街や村を破壊して回っているのか、捕まえないことには分からない。クレロの指示がなくとも、その少女を捜すことが最優先なわけだが、何分情報が少なすぎた。
「黒髪です、このくらいの。とにかく、見たことないような一度観たら忘れられないほどの美少女です、小柄なのに胸があって妙に色っぽい子です」
 絵心に自信があるという男が名乗り出て、その問題の美少女を描いてくれたのだが、トビィは絶句した。
「アサギ?」
「アサギ様ですね」
「アサギ様、放火魔になられたのですか?」
 人型になり、街に入ることが出来たドラゴン二体も、唖然とその絵を見つめた。
 口から出た言葉は、アサギ。
 男が描いた絵は、アサギそのものだった。瞳を細めてトビィはそれを見つめると、腕を組んで唇を噛む。
「そんなわけないだろ、アサギに似ているが、アサギではない」
「あのような美しい方、そういないと思っておりましたが、いるものですか」
「よく見ろ、デズ。アサギよりも目が釣り上がっている」
「あぁ、確かに。別人ですね」
 主と同僚の会話を聴きながら、クレシダは無表情のまま突っ立っていた。「絵なのに」とツッコミを入れたが、この声は二人に届かない。
 だがその絵は、特徴を良く捉えていた。
 アサギではない、マビルにそっくりな絵だった。
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