別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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つづき。
会話が全く噛み合わない、アサギは頭を抱えた、簡単に説明できないかと思案したが、宇宙の本があれば良いのではないかと、それしか思いつかない。そもそも太陽が二つあるらしい時点で、どう言えば良いのか解らない。
混乱しているアサギに反し、解ろうとしないトランシスは楽観的だった。
「まぁいいや、とにかく、アサギはオレと違うってことだろ?」
キィィィ……カトン。
「あ、はい。簡単に言うとそういうことです」
カトン、トン……。
「なら解った、そういうことだ。よし、まぁ細かいことは良しとして。ねぇ、アサギ、どう? オレの事、好きになった? どのくらい好き? オレ達、恋人だよね? さっきの口付け、もう怒ってないよな?」
「え、えーっと」
好きか、と訊かれて「好きです」と簡単には言えない。口ごもるアサギだが、痛いくらいの視線を注がれている。返事を待っている目の前の男に、何を言えば良いのか解らない。
好きか嫌いか、ならば『好きだ』とアサギは思った。
だがこうも簡単に好きだと言ってしまって良いのかが、アサギには解らなかった。何も知らない相手だ、過去にアサギが好きになった相手といえばミノルだが、彼は幼稚園が同じで、一緒に過ごしていた。名前も知っていた、性格も知っていた。
しかし、謎の惑星に住んでいるらしい、謎の男に『好きだ』と言ってどうなるのか。流されているだけで、好きなのかどうかが解らない。
いや、違う。
アサギは別の不安を抱えていた、そんな状況下で『好きだ』と言って信じてもらえるかどうか、が不安だった。
何故好きになったのかと訊かれても、アサギは答えられない。
トビィに似ている、いや、同じ色合いの瞳と髪の整った顔立ちをした、男。五つ程度年上で、何をしている人なのか、どういった性格なのかまだ分かってない男。
「こ、声は好きです」
消え入りそうな声で、アサギは呟いた。
「ひ、瞳が綺麗で、好きです」
泣きそうになりながら、呟いた。
「その、長い指とか、大きい身体とか、あったかい手とか、くしゃっ、て笑うと可愛い感じのところとか、時折鋭い視線になるところとか、そういうところは、好きだと、思います」
聞いていたトランシスは、顔から火が出る程、恥ずかしかった。そんなことを言われたのは初めてだった。
「その、今まで見た男の人の中で一番かっこいいような気がすると、思いました」
「わ、解った、解った、解った! ……なにそれ、オレにベタ惚れって事?」
照れ隠しでアサギに背を向けると、そう言い放つ。
慌ててアサギは、両手を振り回し反論する。
「ち、違います! 好きなところを言っただけです!」
「……好きなんだ?」
好き。
アサギの唇から溢れたその言葉に、知らずトランシスは笑みを浮かべる。安堵したように、照れ笑いを浮かべた。だが、口角はゆっくりと、皮肉めいて捻じ上がった。
美少女から言われた好き、は特別だった。だが、トランシスとて異性との経験がないわけではない。寧ろ、同年代と比べたら経験は多い。それでも、その『好き』の威力は絶大だった。
優越感に浸れた、何にかは分からないが。
支配欲に襲われた、何故かは分からないが。
独占欲が湧いてきた、何故かは見当もつかないが。
その言葉を待っていた、欲していた。
熱を帯びていた身体が、血液が、静まり返って脳内が鮮明になる。耳元で「落ち着け」と誰かが囁く。
「好き、なんだ? オレの事。もっと言えよ、好きだって言えよ」
振り返ると、笑みを絶やさずに近づいた。だが、アサギは後退していく。何故逃げるのか分からずに、それでもトランシスはそれが愉快で仕方がなかった。
自分が今、どう笑っているのか、知らなかった。
腕を伸ばし、逃げようとするアサギを掴むと強引に引き寄せる。小さく悲鳴を上げたアサギの唇を軽く塞いだかと思えば、地面に押し倒した。
回転する空に対応出来ず、アサギは荒い呼吸を繰り返し、目の前のトランシスを見つめる。
アサギの吐息が、揺れた。
「声が、好き? なら、何度も名前を呼んであげよう。アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ」
耳元で言い続ける。
「瞳が、好き? なら、ずっと名を呼びながら、見続けてあげよう。アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ」
鼻が触れる至近距離で、食い入るように見つめながらそう言い続ける。
「この、長い指が好き? なら、いつでも名を読んで見続けながら、触れてあげる。アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ」
アサギの頬を優しく撫で、震える様子を楽しむ。
「この、大きい身体が好き? 目も指も瞳も身体も声も好き、つまり全部が好きってことかな? いいよ、欲しがるならいくらでもあげる」
欲しいとは言っていない、好きだと言っただけだ。
左手で軽々とアサギの両手首を捉えると、頭上で拘束する。身動きの取れないアサギの顎を持ち上げると、微笑んだ。
アサギは息を飲んだ、その残忍な笑みには、逆らえないと思った。
「オレを見て、オレの名を呼んで、好きだと、好きだから欲しいと、そう言って」
混乱しているアサギに反し、解ろうとしないトランシスは楽観的だった。
「まぁいいや、とにかく、アサギはオレと違うってことだろ?」
キィィィ……カトン。
「あ、はい。簡単に言うとそういうことです」
カトン、トン……。
「なら解った、そういうことだ。よし、まぁ細かいことは良しとして。ねぇ、アサギ、どう? オレの事、好きになった? どのくらい好き? オレ達、恋人だよね? さっきの口付け、もう怒ってないよな?」
「え、えーっと」
好きか、と訊かれて「好きです」と簡単には言えない。口ごもるアサギだが、痛いくらいの視線を注がれている。返事を待っている目の前の男に、何を言えば良いのか解らない。
好きか嫌いか、ならば『好きだ』とアサギは思った。
だがこうも簡単に好きだと言ってしまって良いのかが、アサギには解らなかった。何も知らない相手だ、過去にアサギが好きになった相手といえばミノルだが、彼は幼稚園が同じで、一緒に過ごしていた。名前も知っていた、性格も知っていた。
しかし、謎の惑星に住んでいるらしい、謎の男に『好きだ』と言ってどうなるのか。流されているだけで、好きなのかどうかが解らない。
いや、違う。
アサギは別の不安を抱えていた、そんな状況下で『好きだ』と言って信じてもらえるかどうか、が不安だった。
何故好きになったのかと訊かれても、アサギは答えられない。
トビィに似ている、いや、同じ色合いの瞳と髪の整った顔立ちをした、男。五つ程度年上で、何をしている人なのか、どういった性格なのかまだ分かってない男。
「こ、声は好きです」
消え入りそうな声で、アサギは呟いた。
「ひ、瞳が綺麗で、好きです」
泣きそうになりながら、呟いた。
「その、長い指とか、大きい身体とか、あったかい手とか、くしゃっ、て笑うと可愛い感じのところとか、時折鋭い視線になるところとか、そういうところは、好きだと、思います」
聞いていたトランシスは、顔から火が出る程、恥ずかしかった。そんなことを言われたのは初めてだった。
「その、今まで見た男の人の中で一番かっこいいような気がすると、思いました」
「わ、解った、解った、解った! ……なにそれ、オレにベタ惚れって事?」
照れ隠しでアサギに背を向けると、そう言い放つ。
慌ててアサギは、両手を振り回し反論する。
「ち、違います! 好きなところを言っただけです!」
「……好きなんだ?」
好き。
アサギの唇から溢れたその言葉に、知らずトランシスは笑みを浮かべる。安堵したように、照れ笑いを浮かべた。だが、口角はゆっくりと、皮肉めいて捻じ上がった。
美少女から言われた好き、は特別だった。だが、トランシスとて異性との経験がないわけではない。寧ろ、同年代と比べたら経験は多い。それでも、その『好き』の威力は絶大だった。
優越感に浸れた、何にかは分からないが。
支配欲に襲われた、何故かは分からないが。
独占欲が湧いてきた、何故かは見当もつかないが。
その言葉を待っていた、欲していた。
熱を帯びていた身体が、血液が、静まり返って脳内が鮮明になる。耳元で「落ち着け」と誰かが囁く。
「好き、なんだ? オレの事。もっと言えよ、好きだって言えよ」
振り返ると、笑みを絶やさずに近づいた。だが、アサギは後退していく。何故逃げるのか分からずに、それでもトランシスはそれが愉快で仕方がなかった。
自分が今、どう笑っているのか、知らなかった。
腕を伸ばし、逃げようとするアサギを掴むと強引に引き寄せる。小さく悲鳴を上げたアサギの唇を軽く塞いだかと思えば、地面に押し倒した。
回転する空に対応出来ず、アサギは荒い呼吸を繰り返し、目の前のトランシスを見つめる。
アサギの吐息が、揺れた。
「声が、好き? なら、何度も名前を呼んであげよう。アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ」
耳元で言い続ける。
「瞳が、好き? なら、ずっと名を呼びながら、見続けてあげよう。アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ」
鼻が触れる至近距離で、食い入るように見つめながらそう言い続ける。
「この、長い指が好き? なら、いつでも名を読んで見続けながら、触れてあげる。アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ、アサギ」
アサギの頬を優しく撫で、震える様子を楽しむ。
「この、大きい身体が好き? 目も指も瞳も身体も声も好き、つまり全部が好きってことかな? いいよ、欲しがるならいくらでもあげる」
欲しいとは言っていない、好きだと言っただけだ。
左手で軽々とアサギの両手首を捉えると、頭上で拘束する。身動きの取れないアサギの顎を持ち上げると、微笑んだ。
アサギは息を飲んだ、その残忍な笑みには、逆らえないと思った。
「オレを見て、オレの名を呼んで、好きだと、好きだから欲しいと、そう言って」
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