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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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こっからが大変だ(’’)
落ち着いて書かないと・・・。
完結目標、早くて年内、普通で二月、遅くて五月←

資料探さねばーひいいいいいいいいめんどくさいいいいいいいいいいいいいい←



「ねぇ、松長さん。浅葱ちゃん門脇君と別れたって本当?」

 校内で知らない人からも声をかけられた、話題はアサギのことだ。ユキは戸惑いながらも、控え目に頷く。そうすると、皆一斉に顔を顰める。男女関係なく、呟く言葉は同じだった。

「浅葱ちゃん、可哀想」
 
 それを聞く度に、ユキの手が震える。
 ミノルと別れたと聞いた際、ユキは思わず笑いが込み上げていた。まさかこんな早くに破局するとは思いもよらなかったが、好都合だ。これで、アサギよりも優位に立った。何故ならば自分には自慢の彼氏がいるからだ、ミノルとは違い優しいケンイチがいる。

「アサギちゃん、可哀想……どうして、酷い」

 泣きながらユキはアサギを抱き締めた、泣き出したアサギの背を擦りながら震えていたのは嘲笑していたからだ。同情からではない、嬉しくて堪らない。落ち込み、言葉少ないアサギを必死で慰めるフリをした。
 が、こうして学校に来ると苛々するのは何故だろう。皆が揃ってアサギが可哀想、と言う。ミノルが確かに悪いのだが、アサギの人気の高さを目の当たりにした。
 結局、それさえ確認できれば良いので、皆直様ユキから離れていく。話の中心になど、なれなかった。自分もケンイチと付き合っているのだが、誰も何も言ってくれない。
 アサギと自分はこんなにも違う、同じ地球の小学六年生で、異世界に召喚された勇者なのに。
 ギリリ、とユキは歯軋りした。
 そうして今度は元魔王ハイが死亡していた、との連絡が入る。いよいよアサギは気落ちして、塞ぎこんでいた。ユキは必死で励ました、アサギちゃんは何も悪くないよ、と説明した。
 しかし、アサギは「自分がもっと早くに惑星を訪れていたら。勇者なのに救えなかった」と呟く。苛々した、ハイをそこまで知らないユキにとって、死んだと言われても実感が湧かなかった。『過去に悪い事したんだからその報いかも』と言い出しそうになり、慌てて口を押さえる。
 アサギと周囲には苛立ったが、それでもミノルと破局した事実はユキにとって幸運であり。暫し平穏な時間を過ごせそうだと思った、勇者になってみてよかったと思った。
 だが、アサギと違いユキは異世界に行きたかったわけではない。彼氏が出来たしコスプレのような服も着る事が出来たが、それでもう十分だ。だから正直、再び異世界と関わりあう事はしたくなかった。他の勇者達は歓喜していたが、別に武器など持たなくても良かったし、魔法も使い続けたいわけではない。食べ物は美味しかったが、便利な地球の日本で愉しい生活を送っていたほうが良い。
 もう、面倒ごとに巻き込まれたくなかった。勇者の中に居ると、ケンイチがいても惨めだ、皆がアサギの名を口にするのだから。極力関わりたくはない。
 普通の少女に戻りたい、優しい彼氏がいる、美少女小学六年生に。勇者など、知らない。そもそも、戦って世界を救うなんて望んでいなかった。
 ユキは、ハイの死に放心状態のアサギから離れる。そもそも、かける言葉など思いつかない。「アサギちゃんのせいじゃないよ」これが精一杯だ。

 ハイの死から数日が経過し、不思議な赤い惑星の調査をクレロ達がしている中も、ぼんやりとアサギは考え込んでいる。そんな様子に、見かねてソレルがクレロに密かに訊ねた。過去のトビィを救ったアサギだ、また、過去に戻って助けることが出来るのではないか、と。
 唇を噛み、首を横に振ったクレロはそれでも項垂れているアサギを呼ぶと話しかけた。丁度良い機会だった、クレロの自室に誘い、二人きりになるとまずは水を差し出す。申し訳なさそうにそれを飲んだアサギは、半分くらい飲み干しクレロを真正面から見つめる。視線が交差した、一瞬クレロが怯んだのは、視線に穢れが全くないからだ。

「アサギ、伝えておかねばならないことがある。こんな時に申し訳ないが聞いておくれ」
「はい。……大丈夫です」
「過去に戻り、ハイを助ければどうか、とソレルに訊ねられた。可能、かもしれない」

 弾かれたようにアサギが小さく声を出す、だが翳った表情のクレロに口を噤んだ。可能なのにソレを実行しないということは何か理由があるのだろう。

「まず、アサギは過去に行きトビィを以前助けた。同じ原理ならば可能だろう、だが問題が生じる」
「……今、ハイ様がいないからですよね。未来の私はハイ様を救っていないのですよね、救っていたらハイ様は今、生きている筈だから。違いますか?」
「そういうことだ。トビィの場合は、過去を変えてもそれが必然だった。しかし、ハイの場合は違う。
 そもそも本来ならばアサギが過去へ行き、トビィを救うことは有り得ない。確かに神である私は、過去を操作することが可能だ。神になると同時にそのような権限を得た、それが神を引き継ぐものの背負わねばならないもの。・・・しかし、いまだ嘗て誰しも過去を操作した神はいない。生きている者達が幸でも不幸でも、時間を使って精一杯作り上げた時間を、神とはいえ白紙に戻すのだ。そのようなこと、してはいけないと皆判断した。過去を変えてはならない、それが神であった者達の結論だ」
「ならば私はこの間、してはいけないことをしたのですよね」
「そうとは言っていない、そもそも、トビィが生きていなければ魔王戦で勇者達が不利になる。それは承知しているだろう、アサギ。過去が変わってしまうのだ。もしかしたらトビィ一人が欠けたことにより、勇者達が全滅していた可能性もある。
 ハイを助けようとした場合、過去に戻り彼が体調を崩す前にここへ連れてきて治療するわけだが・・・。
 正直に言おう、やったことがないのだが、教えられた範囲ではそれが不可能なのだ。過去の人間を連れてくる、ということ自体、私には無理なのだよ。過去へ行き、例えばハイに薬などを手渡すか、あの場から離れるように指示は出来る」
「……では、何故私には出来たのですか?」

 首を傾げ、じっと返事を待つアサギにクレロは首を振る。解らないのだから仕方がない。

「勇者アサギ。自分でも気付いているだろう、能力が他の勇者とは違う事に」
「…………」
「ソレルから説明があっただろう、あの球体は神にしか反応しない。反応させたアサギには、もしかしたら次期神としての能力があるのではないかと私は判断した」
「え?」

 眉を潜めたアサギ、真剣な眼差しでクレロはアサギの肩を掴むと頭を下げる。その様子に狼狽したアサギだが、クレロは続けた。

「私の後継者になって欲しい、今はまだ決めなくても構わないが、その話を覚えておいて欲しいのだ。神は交代せねばならない、私の後継者はアサギ、そなたに頼みたい。そなたを見ていた、異界の小さな勇者だがその身体に纏わりつく不思議な空気は人を和ませる。魔王や魔族達がそなたを護っていたのもそのせいだろう。誰からも好かれる者が、神になって欲しい。そして心優しく、強い者こそが。アサギ、そなたには素質があるのだ」
「え、えっと、あの、え」

 混乱するアサギを突然抱き締めたクレロは、小さく悲鳴を上げたアサギの耳元で囁く。

「過去を変える……神のみが可能な方法だが、責任は大きい。一人に貸すのも不憫だと、神々は条件をもたらした。
 一、後継者を見つけ、全てを託した元神は、全ての能力を失う。
 二、万が一神が過去を変えた場合、変える前に元神、もしくは後継者の神に通達がいく。ので、不当な場合は身体を張ってでもそれを阻止せねばならない。」
「ええと、つまり、過去を変えられる神は必ずどの時代においても一人だけ、だと。けれど、誤った方向へ過去が変わらないように、監視する存在は必要なので、例えば今クレロ様が過去を変えようとした際には、私にその通達が来るということですか?」
「そういうことだ、アサギ。私の前任の神は、私がアサギを神候補に選んだ時点でその資格がなくなった」
「あ、あの、勝手に決められても、その、私は勇者なのです。神ではないですし、神なんて無理です」

 ようやく言えた、抱き締められながらアサギは声を荒げる。当然だ。

「無理を言ってすまないが、もう決めたのだ。今交代して欲しいわけではない、ただ、私の意志は覚えておいて欲しいのだ。……本当に無理なら、その時に断ってくれて構わないが、せめて今だけ、仮の後継者で居て欲しい」
「ぅ、う」

 混乱するアサギは、必死に整理をする。断っても良いのなら、とりあえず頷こうと。小さく疑念を感じながらもアサギは頷いた、その様子にクレロも溜息を漏らす。

「でも、お断りすると思います」
「それでも構わない、”仮の後継者”でいてくれれば」

 些か不服そうなアサギに、クレロは苦笑すると背中を撫でる。

「ハイを救えなくて、申し訳なかった。私が監視していればよかったのだが、まさかあんなことになるとは」
「いえ、クレロ様のせいではありません」
「アサギのせいでもないよ。……忘れられないかもしれないが、責めてはならない。そもそもハイはアサギ、そなたの笑顔が好きだったろう? だから落ち込んでいてはいけないのだよ」
「……頑張ります」

 ぎこちなく微笑んだアサギに胸を撫で下ろしたクレロは、アサギを部屋から連れ出した。
 待っていたソレル達にアサギを任せ、クレロは一人球体に向かう。深い溜息を吐き、映っている赤い惑星を睨みつける。

「アサギ、そなたを救いたい。球体を作動させてしまったそなたは、皆に疑念と期待を寄せられた。それは私が後継者にしたことで、後者のみになるだろう。次期神ならば、作動させてしまっても仕方がなかった、と。
 嫌な予感がするのだ、アサギ。こうして、目の前に浮かぶ不気味な惑星……私が夢で見た通りだ。禍々しいこれは、見なかったことにすべきだ。そなたにとって、これは凶星、近づいてはならぬ」

 私は、そなたを護らねばならない。
 クレロは無意識の内にそう呟くと、忌々しそうに惑星に舌打ちし踵を返す。

「なかったことにする、あれはアサギに近づけない」
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