別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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転載が出来ていなかった(’’)
何故だ。
何故だ。
トビィに連れられ、宿に戻ったガーベラは衣服を着替える。破れ、汚れた衣服を軽く唇を噛み廃棄する。そこそこ良い布で気に入っていたのだが仕方がない。思い出すので、見たくはない。
「仕事だからと抱かれるのと、休みの時に無理やり抱かれるのでは気分的に違うのよ。男から見たら同じかもしれないけれど」
「どちらも嫌々であっても、仕事ならば諦めがつく。同じなわけがない」
宿から近くの酒場にやってきた、早朝まで開いている店で二人は酒を頼む。ひっそりとした店内の奥で、ちびちびと飲み交わしながらぽつりとガーベラが話し始めた。愚痴は言わない性格だとばかり思っていたが酒が手伝い、先程の精神的苦痛も手伝い、親しいわけではない相手に軽く噛み付くようにして語る。
「何処へ行っても、娼婦ガーベラがまとわりつく。逃げても逃げても影の様に追ってきて、捕まってしまう。唄を誉めてくれる人も大勢いた、その度に勇気が沸いて来る。愉しくて心地良くて。けれども男がそれを邪魔する」
「……確かに、人目を惹くには十分な容姿だ。それで唄が上手ければ噂も広まるだろう」
「何処か、私の過去を知らない場所へ行きたい。そこでやり直してみたい」
強い酒を呑む、小さなグラスに琥珀色の液体、揺すりながらゆっくりと口に含んだ。飲み干し、お代わりをせがむ様にトビィを見つめる。軽く口の端を上げて空のグラスを持ち上げ、挑発的に瞳を何度か瞬きした。
軽い溜息と共に、トビィがガーベラのグラスを取り上げた。不服そうに唇を尖らせ、テーブルに崩れ落ちていくガーベラは瞳を閉じる。
暫しの沈黙の後、トビィが酒を追加しつつ前髪をかき上げる。
「惑星を、移動してみるか? そこで駄目ならそれがお前の実力だ。惑星を変わってしまえば、お前の事を誰も知らない。文字通り”生まれ変れる”だろうな。だが、保障はしない、自身の思い描く場所まで到達出来なければ後は今以上に惨めになるだろう。まぁ、諦めがついて娼婦に戻るのも良いと思うが」
「随分な言い様ね、トビィ。まるで知っているかのような口ぶり」
上半身を起こし、トビィの手からグラスを奪い取ると中の酒を一気に飲み干す。普段は酔わないが、やはり精神的疲労が原因なのだろう。酔いが身体を支配していることくらい、ガーベラにもわかった。身体中が熱く、目の前がグルグルと廻る。気分が良いというよりも、誰かに食って掛かりたくなった。
苦笑し、トビィが空のグラスを取り上げると腕を組んでガーベラを見つめる。
「いいわ、ノッてあげる。私を連れて行って、違う場所へ。這い上がってみせるわ、絶対に」
「……許可を貰ってこよう、今日は宿で寝るがいい。送って行く」
「もう少し呑むわ、呑みたい気分なの。イイ男が目の前にいると酒が入っていくって本当なのね」
流し目上目使い、クスクスと悪戯っぽく笑うガーベラに不機嫌そうに顔を顰めたトビィは水を差し出す。それでも視線を変えないガーベラに、皮肉めいて告げた。
「唄うたいは喉が大事なんだろ? 強い酒では明日唄えないんじゃないか?」
そう言われては仕方がない、渋々ガーベラは水を飲み干し、恨めしそうにトビィを睨みつける。お構い無しに勘定を済ませたトビィは、足元ふらつくガーベラを支えながら宿に向かった。
「お酒、強いのね」
「まぁ、適度に」
「暖かいのね、トビィ。軽薄そうに見えたけど意外と優しい」
「お前に潰れられるとアサギが哀しむ、それだけだ」
「勇者のアサギ、愛しているの?」
「あぁ、当然。でなければこんな面倒なこと、しない」
「アサギが私を気にかけなければ、こうして酒を呑み交わすこともなかったのよね?」
「あぁ、当然」
「気の利かない人、こんな美女を前にしてそんな言葉しか出てこないの?」
「生憎だが、アサギ以外の女はオレにとって全員同じだ。悪いな」
身体を支えてくれている腕が、逞しい。細身の長身だが引き締まった身体に無駄の無い筋肉、男独特の妙な色気も発している極上の男。顔もかなり美形だ、鋭く細い瞳が危険な香りがして吸い込まれそうになる。
「羨ましいわね、トビィにそこまで想われて」
トビィはそれには応えず、宿のガーベラの部屋に無事送り届けるとベッドに寝かせた。駄々を捏ねるように腕をトビィの腰に絡めたまま衣服を掴んだガーベラを、躊躇せず交わしてドアへと向かう。
「おやすみ”唄うたいガーベラ”。成り行きで男とベッドに転がり込むなら、娼婦に戻るがいい」
「あら、唄うたいだって男を欲するのよ。女だから」
「……おやすみ、確認が取れ次第迎えに来よう」
無表情でトビィは軽く振り返るとそう告げ、ドアから出て行った。その姿を見つめ、ぱたん、と音を立てて閉まったドア、床を歩く足音を聞く。遠ざかっていくトビィに、軽く溜息を吐いた。
ゆっくりとベッドに横になり、何度か深呼吸を繰り返す。窓から三日月が覗いていた、鋭い形がトビィの瞳を連想させた。
「イイ男。惚れている女以外、相手にしないのね」
男を誘うことなど、今までなかった。身体の関係は多々あれども、仕事でのみだ。個人的に付き合っていた男もいなかった、街へ出て意気投合することもなかった。
だが何故かトビィになら、抱かれても良い気がした。いや、抱かれたい気がした。好き、という感情はない。ただ、興味を持った。それだけだ。
「仕事だからと抱かれるのと、休みの時に無理やり抱かれるのでは気分的に違うのよ。男から見たら同じかもしれないけれど」
「どちらも嫌々であっても、仕事ならば諦めがつく。同じなわけがない」
宿から近くの酒場にやってきた、早朝まで開いている店で二人は酒を頼む。ひっそりとした店内の奥で、ちびちびと飲み交わしながらぽつりとガーベラが話し始めた。愚痴は言わない性格だとばかり思っていたが酒が手伝い、先程の精神的苦痛も手伝い、親しいわけではない相手に軽く噛み付くようにして語る。
「何処へ行っても、娼婦ガーベラがまとわりつく。逃げても逃げても影の様に追ってきて、捕まってしまう。唄を誉めてくれる人も大勢いた、その度に勇気が沸いて来る。愉しくて心地良くて。けれども男がそれを邪魔する」
「……確かに、人目を惹くには十分な容姿だ。それで唄が上手ければ噂も広まるだろう」
「何処か、私の過去を知らない場所へ行きたい。そこでやり直してみたい」
強い酒を呑む、小さなグラスに琥珀色の液体、揺すりながらゆっくりと口に含んだ。飲み干し、お代わりをせがむ様にトビィを見つめる。軽く口の端を上げて空のグラスを持ち上げ、挑発的に瞳を何度か瞬きした。
軽い溜息と共に、トビィがガーベラのグラスを取り上げた。不服そうに唇を尖らせ、テーブルに崩れ落ちていくガーベラは瞳を閉じる。
暫しの沈黙の後、トビィが酒を追加しつつ前髪をかき上げる。
「惑星を、移動してみるか? そこで駄目ならそれがお前の実力だ。惑星を変わってしまえば、お前の事を誰も知らない。文字通り”生まれ変れる”だろうな。だが、保障はしない、自身の思い描く場所まで到達出来なければ後は今以上に惨めになるだろう。まぁ、諦めがついて娼婦に戻るのも良いと思うが」
「随分な言い様ね、トビィ。まるで知っているかのような口ぶり」
上半身を起こし、トビィの手からグラスを奪い取ると中の酒を一気に飲み干す。普段は酔わないが、やはり精神的疲労が原因なのだろう。酔いが身体を支配していることくらい、ガーベラにもわかった。身体中が熱く、目の前がグルグルと廻る。気分が良いというよりも、誰かに食って掛かりたくなった。
苦笑し、トビィが空のグラスを取り上げると腕を組んでガーベラを見つめる。
「いいわ、ノッてあげる。私を連れて行って、違う場所へ。這い上がってみせるわ、絶対に」
「……許可を貰ってこよう、今日は宿で寝るがいい。送って行く」
「もう少し呑むわ、呑みたい気分なの。イイ男が目の前にいると酒が入っていくって本当なのね」
流し目上目使い、クスクスと悪戯っぽく笑うガーベラに不機嫌そうに顔を顰めたトビィは水を差し出す。それでも視線を変えないガーベラに、皮肉めいて告げた。
「唄うたいは喉が大事なんだろ? 強い酒では明日唄えないんじゃないか?」
そう言われては仕方がない、渋々ガーベラは水を飲み干し、恨めしそうにトビィを睨みつける。お構い無しに勘定を済ませたトビィは、足元ふらつくガーベラを支えながら宿に向かった。
「お酒、強いのね」
「まぁ、適度に」
「暖かいのね、トビィ。軽薄そうに見えたけど意外と優しい」
「お前に潰れられるとアサギが哀しむ、それだけだ」
「勇者のアサギ、愛しているの?」
「あぁ、当然。でなければこんな面倒なこと、しない」
「アサギが私を気にかけなければ、こうして酒を呑み交わすこともなかったのよね?」
「あぁ、当然」
「気の利かない人、こんな美女を前にしてそんな言葉しか出てこないの?」
「生憎だが、アサギ以外の女はオレにとって全員同じだ。悪いな」
身体を支えてくれている腕が、逞しい。細身の長身だが引き締まった身体に無駄の無い筋肉、男独特の妙な色気も発している極上の男。顔もかなり美形だ、鋭く細い瞳が危険な香りがして吸い込まれそうになる。
「羨ましいわね、トビィにそこまで想われて」
トビィはそれには応えず、宿のガーベラの部屋に無事送り届けるとベッドに寝かせた。駄々を捏ねるように腕をトビィの腰に絡めたまま衣服を掴んだガーベラを、躊躇せず交わしてドアへと向かう。
「おやすみ”唄うたいガーベラ”。成り行きで男とベッドに転がり込むなら、娼婦に戻るがいい」
「あら、唄うたいだって男を欲するのよ。女だから」
「……おやすみ、確認が取れ次第迎えに来よう」
無表情でトビィは軽く振り返るとそう告げ、ドアから出て行った。その姿を見つめ、ぱたん、と音を立てて閉まったドア、床を歩く足音を聞く。遠ざかっていくトビィに、軽く溜息を吐いた。
ゆっくりとベッドに横になり、何度か深呼吸を繰り返す。窓から三日月が覗いていた、鋭い形がトビィの瞳を連想させた。
「イイ男。惚れている女以外、相手にしないのね」
男を誘うことなど、今までなかった。身体の関係は多々あれども、仕事でのみだ。個人的に付き合っていた男もいなかった、街へ出て意気投合することもなかった。
だが何故かトビィになら、抱かれても良い気がした。いや、抱かれたい気がした。好き、という感情はない。ただ、興味を持った。それだけだ。
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