別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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クレロから話を聴く
→ 夏休み終了。ハイ、リュウに会いに行く
トビィの過去を知る
助けに行く、看病する
ミノル崩壊
トモハル激怒
アサギ、5星マクディを見つける
嘗ての魔王としての威厳は何処へやら、長い黒髪を後ろで一つに束ね、布を口元にあてて雑巾でそこら辺りを磨き続けていたハイに、リュウが哀れみの視線を送る。
辿り着いた場所は神殿であった場所、今はハイによって手入れされているが廃墟に近い。一人きりで掃除をしているその姿に、流石にアサギが心配になった。恐らくここが大聖堂であった場所なのだろうが、そこだけでも小学校の体育館程の広さで、高く太い柱が何本も立ち並んでいる。大理石で出来ているその場所は、磨けば美しいが、汚れが非常に目立ってしまう。
アサギは真正面の像を見た、豊満な身体つきの女性の像が倒れている。おそらくそれが女神なのだろう、罅が入り、腕がとれていた。ミロのビーナスを連想した、が、それよりも哀愁漂う。
「アサギ! ……と、おまけか。おぉ、おぉ! ありがたやありがたや」
ようやく二人に気がついたハイは、全速力で駆け寄ってくると自分の衣服で手を拭い、アサギの手を握る。埃塗れの顔から、笑顔がこぼれた。
「どうしてここへ?」
「神クレロ様が。あの、ハイ様? 一人きり、なのですか?」
解ってはいたのだが、一応訊いてみた。うっすらと微笑み、額の汗を拭う。
「戒めとして、一人で何処まで戻す事が出来るのか挑戦しているよ。おっと、手伝い無用だ」
「誰も手伝うなんて言ってないぐ」
「うるさい、私はアサギと会話を楽しんでいるのだ邪魔するな。
……それにしてもよかった、もう二度と会えないのかと。神とやらに感謝せねばな」
床に座り込み、三人で数週間前の思い出を語る。魔王と勇者、苦笑しながらそれでも懐かしい風景に思いを馳せて談笑した。魔王アレク、魔王ミラボーは死んでしまったがその分も生きなければならないと、ハイは静かに呟く。
「アレクは、隔たりのない世界を望んでいた。それは私も同じ事だ、人間同士で争う事は見苦しいが、他種族といがみ合う事も哀しい事だと思っている。しかし、僅かな”違い”が心に蟠りを植え付け、周囲に広がっていく」
「ぐもー。他種族がいがみ合う事がなかったならば、幻獣達も無残な死を遂げずに済んだぐ。他人を思いやる心が、小さくてもあればよいのだぐー」
「ですね。それは何処の惑星でも同じだと思います。惑星という規模だけでなく、街や村の中でも差別や苛めはありますし。仲良くするって、難しいことなのですね……」
首を捻って三人は低く呻いた、しかし、意識を誰かが変えなければこの先もこのままだろう。
「リュウ様の幻獣星は、そんなことないのですよね?」
「まぁ、規模が小さいぐー。あと、その惑星で支配者が決まっているぐ。村はあるぐーし長もいるぐーが、まとめるのは私だぐ」
「ふむ、何とも言いがたいが指導者がまともな思考ならば皆もそれに従う、ということか」
「上に立つ人が信頼出来て、下の意見も聞いてくれるなら良い方向へ進むのでしょうね」
暫く三人は語っていたが、陽が暮れたことと、クレロに呼ばれたので帰宅することにした。名残惜しそうにハイがアサギを見つめる、だが今後も会える事が解っただけで感激のあまり涙が零れそうだった。
明るく美しい娘、異界の勇者の娘。全てを魅了し、愛おしき存在。
「アサギ、また来てくれ」
「勿論です! 次は地球のお土産を持ってきますからね」
「おぉ、嬉しいな! またアサギの手料理も食べたいものだ」
「ふふ、そうですね。何か作ってきます」
アサギをそっと抱き締めた、艶やかな髪を撫で、柔らかな香りを堪能する。無表情で見ていたリュウが、そっと近づくと耳打ちした。
「……調べて欲しい。”破壊の姫君”とやらを」
アサギには聴こえないように小声でそれだけ囁くと、リュウは離れる。唇を噛み締め、リュウに視線を送ったハイは深く頷きながらアサギの髪を撫で続ける。
二人が帰った後、ハイは掃除を中断し両親の部屋へ向かった。何か物珍しい記述はないかと探す。ここを離れた時よりも身長が伸びているので、違和感を感じた。苦笑し、散らかった床の本を拾い上げていく。聖書がほとんどだった、もしくは細かに綴られた日報か。
埃塗れの本棚に一通り並べ終えると、次は隠し部屋へと出向く。過去の記述が残されているという、神殿の管理人しか所持していない鍵を使った。不要だと思っていたが、自分の部屋にそれがあることを思い出したのだ。
黴臭いその古めかしい臭いに顔を顰めながら、口元を手で覆い進む。松明に火を宿し、翌朝にすればよかったのだが何故か脚が勝手に動いていた。ハイを誘うように。
狭い通路を進み、小さな空間にびっしりと積め篭められた本の部屋。ハイは肩を竦めると中央にあったテーブルの上の蝋燭に火を灯した。半分ほど減っている蝋燭は、ゆぅらりと火を揺らす。
「ふむ、時間がかかりそうだな。とりあえず今日はここから調べてみるか」
入口の右にあった棚から一冊の本を抜く、ぱらりと紙をめくる。直様ハイは眉を顰めた。
「なんだこれは?」
何か解らなかった、歴史書でも聖書でもない。
『名前を呼んでください、私の名前を呼んでください。
貴方の声が聴きたいです、その熱い声で耳元で囁いてください。
私の、名前を。
けれども私の想いは口にしてはいけないの、伝えてはいけないの。
伝えたら破滅が押し寄せてくるの、みんな消えてしまうの。
だから、声は。
声は、出す事ができないの。
貴方の声は、聴いていたい……。
ずっと、ずっと、聴いていたい……』
紙をめくる、視線を文字に落とす。首を傾げる、蝋燭の火に透かしてみる。
「物語にしか思えないが、これが何か?
”……心痛そうに必死に説明する男に、アルゴンキンは低く唸ると傍らの娘の頭を撫でる。
言われたアロスは、にっこりと微笑むと大きく頷いた。
豊かな新緑色の柔らかく艶やかな髪に、温かみのある光を帯びた大きな瞳。軽く頬を桃色に染めて、熟れたさくらんぼの様な唇を持ち。
まるで少女達の夢物語、御伽噺の中のお姫様のような容姿。その愛くるしい顔立ちは、見る者全てを魅了してしまうと言っても過言ではなかった。
アルゴンキンの愛娘、アロス。最愛の妻が命と引き換えに産み落とした、たった一人の娘だった。
アルゴンキンは馬車を手早く降りると、1人の従者を連れて馬車を乗り換える。腰を深く折り、丁重にアルゴンキンを誘った男は再度申し訳なさそうに馬車に残されたアロスに深く礼をした。”
はは、形容だけならアサギに似ているな。髪は黒だが。
”一階、玄関の扉の前でトリフがラングを見上げていた。
その、ぞっとするような視線に思わずラングは喉から悲鳴を上げそうになる。まだ、二十歳前後の若造だ、自分はその倍生きているのだが威圧感のある刺す様な視線に喉を鳴らす。
冷たい瞳、不思議な色合いのアメジストを連想させる魔性の瞳の奥深く。”
ふむぅ、あのトビィとかいう小僧に似ている気がするな、というか容姿は同じだ。私も出てきたりしてな!」
ハイは深く考えず、それを読み更けた。暫くして読み終えると、不機嫌そうに顔を本から離す。
「……なんだ、この終わり方は。これではアサギに似た少女が気の毒ではないか、納得いかんな」
しかし、どうしてこのような物語がここに保管されているのか。首を傾げながら棚に戻し、隣の本を手にする。欠伸をしつつ、眼を落とした。次は普通の歴史書だった。その次はこの神殿の見取り図だった、抜け道などが記されている。
相当眠くなってきたので、ハイは静かにその場を後にする。辛うじて眠れるスペースを作った、荒れ放題の自室に戻り、洗って日干ししたふかふかの布に包まり瞳を閉じる。
湯浴みは明日するか、今日は最早無理だ。
呟きながら、直様深い眠りに落ちて行く。こほ、と軽い咳をして。黴のせいなのか、微妙に喉が痛い気がした。
翌日もハイは本を漁った、以後、物語の本は出てこなかったのだが、運命の出会いを果たすまで後……数日である。半分以上、ハイは本を読み漁っていた。
「コホッ……ふむぅ、喉の調子が悪いな。薬湯でも飲むか」
辿り着いた場所は神殿であった場所、今はハイによって手入れされているが廃墟に近い。一人きりで掃除をしているその姿に、流石にアサギが心配になった。恐らくここが大聖堂であった場所なのだろうが、そこだけでも小学校の体育館程の広さで、高く太い柱が何本も立ち並んでいる。大理石で出来ているその場所は、磨けば美しいが、汚れが非常に目立ってしまう。
アサギは真正面の像を見た、豊満な身体つきの女性の像が倒れている。おそらくそれが女神なのだろう、罅が入り、腕がとれていた。ミロのビーナスを連想した、が、それよりも哀愁漂う。
「アサギ! ……と、おまけか。おぉ、おぉ! ありがたやありがたや」
ようやく二人に気がついたハイは、全速力で駆け寄ってくると自分の衣服で手を拭い、アサギの手を握る。埃塗れの顔から、笑顔がこぼれた。
「どうしてここへ?」
「神クレロ様が。あの、ハイ様? 一人きり、なのですか?」
解ってはいたのだが、一応訊いてみた。うっすらと微笑み、額の汗を拭う。
「戒めとして、一人で何処まで戻す事が出来るのか挑戦しているよ。おっと、手伝い無用だ」
「誰も手伝うなんて言ってないぐ」
「うるさい、私はアサギと会話を楽しんでいるのだ邪魔するな。
……それにしてもよかった、もう二度と会えないのかと。神とやらに感謝せねばな」
床に座り込み、三人で数週間前の思い出を語る。魔王と勇者、苦笑しながらそれでも懐かしい風景に思いを馳せて談笑した。魔王アレク、魔王ミラボーは死んでしまったがその分も生きなければならないと、ハイは静かに呟く。
「アレクは、隔たりのない世界を望んでいた。それは私も同じ事だ、人間同士で争う事は見苦しいが、他種族といがみ合う事も哀しい事だと思っている。しかし、僅かな”違い”が心に蟠りを植え付け、周囲に広がっていく」
「ぐもー。他種族がいがみ合う事がなかったならば、幻獣達も無残な死を遂げずに済んだぐ。他人を思いやる心が、小さくてもあればよいのだぐー」
「ですね。それは何処の惑星でも同じだと思います。惑星という規模だけでなく、街や村の中でも差別や苛めはありますし。仲良くするって、難しいことなのですね……」
首を捻って三人は低く呻いた、しかし、意識を誰かが変えなければこの先もこのままだろう。
「リュウ様の幻獣星は、そんなことないのですよね?」
「まぁ、規模が小さいぐー。あと、その惑星で支配者が決まっているぐ。村はあるぐーし長もいるぐーが、まとめるのは私だぐ」
「ふむ、何とも言いがたいが指導者がまともな思考ならば皆もそれに従う、ということか」
「上に立つ人が信頼出来て、下の意見も聞いてくれるなら良い方向へ進むのでしょうね」
暫く三人は語っていたが、陽が暮れたことと、クレロに呼ばれたので帰宅することにした。名残惜しそうにハイがアサギを見つめる、だが今後も会える事が解っただけで感激のあまり涙が零れそうだった。
明るく美しい娘、異界の勇者の娘。全てを魅了し、愛おしき存在。
「アサギ、また来てくれ」
「勿論です! 次は地球のお土産を持ってきますからね」
「おぉ、嬉しいな! またアサギの手料理も食べたいものだ」
「ふふ、そうですね。何か作ってきます」
アサギをそっと抱き締めた、艶やかな髪を撫で、柔らかな香りを堪能する。無表情で見ていたリュウが、そっと近づくと耳打ちした。
「……調べて欲しい。”破壊の姫君”とやらを」
アサギには聴こえないように小声でそれだけ囁くと、リュウは離れる。唇を噛み締め、リュウに視線を送ったハイは深く頷きながらアサギの髪を撫で続ける。
二人が帰った後、ハイは掃除を中断し両親の部屋へ向かった。何か物珍しい記述はないかと探す。ここを離れた時よりも身長が伸びているので、違和感を感じた。苦笑し、散らかった床の本を拾い上げていく。聖書がほとんどだった、もしくは細かに綴られた日報か。
埃塗れの本棚に一通り並べ終えると、次は隠し部屋へと出向く。過去の記述が残されているという、神殿の管理人しか所持していない鍵を使った。不要だと思っていたが、自分の部屋にそれがあることを思い出したのだ。
黴臭いその古めかしい臭いに顔を顰めながら、口元を手で覆い進む。松明に火を宿し、翌朝にすればよかったのだが何故か脚が勝手に動いていた。ハイを誘うように。
狭い通路を進み、小さな空間にびっしりと積め篭められた本の部屋。ハイは肩を竦めると中央にあったテーブルの上の蝋燭に火を灯した。半分ほど減っている蝋燭は、ゆぅらりと火を揺らす。
「ふむ、時間がかかりそうだな。とりあえず今日はここから調べてみるか」
入口の右にあった棚から一冊の本を抜く、ぱらりと紙をめくる。直様ハイは眉を顰めた。
「なんだこれは?」
何か解らなかった、歴史書でも聖書でもない。
『名前を呼んでください、私の名前を呼んでください。
貴方の声が聴きたいです、その熱い声で耳元で囁いてください。
私の、名前を。
けれども私の想いは口にしてはいけないの、伝えてはいけないの。
伝えたら破滅が押し寄せてくるの、みんな消えてしまうの。
だから、声は。
声は、出す事ができないの。
貴方の声は、聴いていたい……。
ずっと、ずっと、聴いていたい……』
紙をめくる、視線を文字に落とす。首を傾げる、蝋燭の火に透かしてみる。
「物語にしか思えないが、これが何か?
”……心痛そうに必死に説明する男に、アルゴンキンは低く唸ると傍らの娘の頭を撫でる。
言われたアロスは、にっこりと微笑むと大きく頷いた。
豊かな新緑色の柔らかく艶やかな髪に、温かみのある光を帯びた大きな瞳。軽く頬を桃色に染めて、熟れたさくらんぼの様な唇を持ち。
まるで少女達の夢物語、御伽噺の中のお姫様のような容姿。その愛くるしい顔立ちは、見る者全てを魅了してしまうと言っても過言ではなかった。
アルゴンキンの愛娘、アロス。最愛の妻が命と引き換えに産み落とした、たった一人の娘だった。
アルゴンキンは馬車を手早く降りると、1人の従者を連れて馬車を乗り換える。腰を深く折り、丁重にアルゴンキンを誘った男は再度申し訳なさそうに馬車に残されたアロスに深く礼をした。”
はは、形容だけならアサギに似ているな。髪は黒だが。
”一階、玄関の扉の前でトリフがラングを見上げていた。
その、ぞっとするような視線に思わずラングは喉から悲鳴を上げそうになる。まだ、二十歳前後の若造だ、自分はその倍生きているのだが威圧感のある刺す様な視線に喉を鳴らす。
冷たい瞳、不思議な色合いのアメジストを連想させる魔性の瞳の奥深く。”
ふむぅ、あのトビィとかいう小僧に似ている気がするな、というか容姿は同じだ。私も出てきたりしてな!」
ハイは深く考えず、それを読み更けた。暫くして読み終えると、不機嫌そうに顔を本から離す。
「……なんだ、この終わり方は。これではアサギに似た少女が気の毒ではないか、納得いかんな」
しかし、どうしてこのような物語がここに保管されているのか。首を傾げながら棚に戻し、隣の本を手にする。欠伸をしつつ、眼を落とした。次は普通の歴史書だった。その次はこの神殿の見取り図だった、抜け道などが記されている。
相当眠くなってきたので、ハイは静かにその場を後にする。辛うじて眠れるスペースを作った、荒れ放題の自室に戻り、洗って日干ししたふかふかの布に包まり瞳を閉じる。
湯浴みは明日するか、今日は最早無理だ。
呟きながら、直様深い眠りに落ちて行く。こほ、と軽い咳をして。黴のせいなのか、微妙に喉が痛い気がした。
翌日もハイは本を漁った、以後、物語の本は出てこなかったのだが、運命の出会いを果たすまで後……数日である。半分以上、ハイは本を読み漁っていた。
「コホッ……ふむぅ、喉の調子が悪いな。薬湯でも飲むか」
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