別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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うーん、文字数が(吐血
ベシュタとトロイが静かに会話する、部屋の隅でここだけ異空間に思えた。悲鳴が聴こえたので何気なく見ると、転移の間と外を繋ぐ入口が閉じている。誰かがこれ以上の混乱を防ぐ為に、扉を下ろしたようだ。一般人では出来ないので、ここに出入りしていた人物によるものだろう。
扉の向こうから、泣き叫ぶ声と救出を求める声、数分立つと憤怒で何を言っているのか解らない罵声が聞こえ始める。
転移装置は、先程からしきりに動いていた。消えていく精霊達が何処へ飛ばされているのか解らないが、リュミが重い溜息を吐く。
「無駄だと思うな、主星だけが狂った、とは考えにくいと思わない?」
「オレにとってはどうでもいい、すべきことは一つだけだ。オレはスクルドへ向かう、誰かどうにかしろ」
ベシュタがトロイに同意すると、リュミは嬉しそうに笑った。この三人だけが、隔たれた空間で愉快そうだった。
精霊達の数が減っていく、何処かへか消えていったのだ。もう、数えられるだけになってしまった精霊達。ベシュタが転移装置に向かうと、見覚えある顔に出食わす。
前回強引にスクルドへ突破した際に脅した男だ、この場にいた。
真っ先に逃げているのだと思ったが、残っていたことに感心する。
腰が抜けているのか、椅子に座ったままの男に近づくとベシュタは同じように告げる。
「惑星スクルドへ飛ばせ」
男は、微動だしなかった。ただ、植物人間のように呼吸しかしていなかった。ベシュタは眉を潜めると、机を軽く指で叩く。
「惑星スクルドへ、私とこの二人を飛ばせ」
後ろにいるトロイとリュミを微かに見ると、ベシュタはそう告げる。それでも男はまだ動かない。
「駄目だ、この男は動かない。いや、動けない。醜悪な姿に絶望し、脳を停止させたのでは?」
「どうする、スクルドへの行き方が解らない」
目の前で手を振ったトロイは、舌打ちする。視覚も聴覚も、捨ててしまったらしい男を非難することは出来なかった。
装置の使い方を間近で見たことがあるのはベシュタだけだ、藁にすがる思いで、トロイとリュミが見守る。
「男神になりたかったんだろ? これくらい朝飯前だろう?」
「無茶言わないでくれないか」
男を椅子ごと遠くへ移動させ、装置の前に立ったベシュタは、眉間に深く皺が刻み込まれるほど顰めて、睨み合いを続ける。
固唾を飲んで二人は見守るが、恐る恐る手を出しては引っ込めるベシュタに痺れを切らし、トロイが適当に装置に触れた。
「勝手に」
「何もしないよりマシだろう」
「ちょ、ちょっと、いい加減にしなよ! 早くスクルドに行きたいんだから」
三人の手が同時に装置に触れたとき、水晶に”スクルド”の文字が映し出される。呆然と見つめたが、弾かれたように歓声を上げて転移装置へ乗り込んだ。
その装置の起動法は、精神力だ。行きたい惑星を思い描き、装置に触れると水晶が望んだ先を映し出す。三人が同時にスクルドを思い描いたので、上手く起動した。
三人の姿が消えると、転移の間には植物人間と化した男と、潰されて死んでしまった精霊達の亡骸だけが残される。外では、中に入ろうと必死に声を荒げる者たちで溢れかえっていたが、もう、誰も開けられない。
スクルドに到着した三人は、アースを求めて飛び出す。
と、目を大きく見開き変わり果てた大地を見つめる。一歩も動けず、立ち尽くした。
何も、なかった。荒野、とは目の前の光景を指すのだろう。むき出しの地面が広がるばかりで、生い茂っていた木々も草花も何もない。不気味だった、地面には乾いた砂しかない。
命あるものなど、何処にも存在しなかった。
「アースは、何処だ」
トロイが声を搾り出し、その名を呼びながら姿を捜した。ベシュタもリュミも、懸命にアースの名を呼んで走り回った。
障害物はないが、目印になるものが皆で住んでいた建物しかなく、前進しているのか、右に向かっているのか、距離すら解らなかった。
やがて、幻覚ではないかとリュミが乾いた笑い声を出して一つの方向を指し示す。「違う、あれは現実だ」トロイが真っ先に走り出した。
見えたのは、皆で作った小屋だ。
荒野にぽつん、と立っていた。
息も絶え絶えに、アースはマスカットの木に寄りかかっている。
「あなたで、最後です。大丈夫、まだ力は残っています。あなたは、飛ばせます」
か細い声でそう告げると、ズルズルとそのまま根元に身体を委ねた。麻痺している右腕を動かし、胸元からネックレスを取り出すと、宝石を見つめる。
「綺麗……美しい深紅。ねぇ、マスカットさん、この宝石を私にくださった方は、火の精霊です。トリプトル、という名前です。彼は、神様になりました。素敵な世界を造り上げていくのでしょう、どうか私の代わりにそれを見ていてください。彼の隣には見たこともない美しい女性がいます、二人は愛し合っています、運命の恋人、というのでしょう。運命の恋人は、どんな困難にも打ち勝つのです。きっと、あの二人はそう、なのです。いい、な。いいな、いいな……」
……違いますよ、アース様。あの二人は運命の恋人ではありません。
「絹のような金の髪は、とても柔らかでした。陶磁器のような滑らかな肌は、本当に見ていて心が洗われるようでした。華やかな、大輪の花のような女性でした。トリプトルに、とっても、お似合い……私とは全然、違いました」
……アース様、聞いてください、アース様。ダメか、もう、私たちの声が届かないのですね。いつから届かなくなったのでしょう、絶望し、自らを蔑み、異質だと思った時から、でしょうか。
マスカットの木は、嘆き悲しむように身体を震わせる。と、しぼみかけの旬を過ぎた実が一つ、アースの胸元に転がり落ちた。微かな振動にアースはそちらを見つめる、震えながら一粒摘むと、じっとそれを見つめた。
「トリプトルが、あなたを美味しいと言っていました。いいな、いいな、いいな、あなたはトリプトルを喜ばせることが出来るのですね」
……違いますよ、アース様。あれは私の味を気に入ったのではありません、貴女と共に二人きりで食べた彼が、喜んで出た言葉です。
「あぁ、私があなたのように美味しい実をならせる木だったらよかったのに……って、ダメですね。きっと、私では不味いものしか出来ません」
……あぁ、アース様。違います、違います、違います、彼の言葉を鵜呑みにしてはなりません。
アースは、そっとその根元を撫でた。
「私の話を聞いてくれて、ありがとう。今、何処かへ飛ばしますね。出来れば、また、彼に美味しいこの実を食べさせてあげてください。きっと、あのひと、は、よろこんで、くださる」
……アース様、しっかりしてください、アース様。
「あ、あぁ。普通の女の子に産まれていたら。変な力がなければ、両親にも愛されていたのでしょうか? 気軽に抱ける女、だったら彼の目に私も止まりましたか。いえ、止まらなくても構いませ、ん。どうか、もし、願いが、叶うのなら。普通の、普通の、平凡な女の子に、なり、たい、です。そして、あの人が笑っているすがたを、遠くで良いので、一目見られたら。それで」
……なりません、アース様、いえ、アサギ様! その願いを望んではなりません! 貴女様の願いを思い出してください、何を言われても、貫き通してください! あ、あぁ、声が、届かない! 駄目です、間違っています、力を持たぬ貴女では、私達の声が聞こえない! お助け出来ません!
「ありがとう、さようならマスカット。どうか、元気で」
……あ、あぁ、やはり宇宙の創造主は惑星の器に収まらず、馴染むことが出来ず。なんて気の毒なお方!
マスカットの木が、忽然と姿を消した。
アースを支えていた身体が、トサリ、と砂に埋もれる。瞳をゆっくりと閉じた。
夢を見た。
平凡な家柄だったが、家族に恵まれて愛情を受けて育った土の精霊アースは、学友にも恵まれ、良い成績を収める。やがて惑星の育成に入ると幼馴染の風の精霊リュミに、頼れる水の精霊トロイ、知識豊富な光の精霊ベシュタと、常に笑顔の火の精霊トリプトルが選抜された。
五人は、親しく、時に意見の交換でぶつかりつつも、納得がいくまで話し合いアースの惑星スクルドを完璧な惑星へと成長させた。それは、歴史に残ると言われる程、美しい惑星で、その楽園に住みたいと志願する者が続出する。
その功績に、五人は称号を与えられるが、アースとトリプトルは惑星の育成が完了すると同時に、身体を重ねた。育成する中で愛が芽生えていたのだ、身体を重ねては惑星が崩壊するので、二人は口づけと指を絡ませ、毎晩愛を語っていた。ようやく、結ばれたのだ。
講師の話もあったのだが、二人で惑星スクルドの小高い丘に、赤い煙突の小屋を建て、そこに住んだ。時折トロイやベシュタ、リュミが訪ねてきたが、二人きりで暮らしていた。主星に住めばもっと豪華な暮らしが出来るのに、と苦笑するトロイに、トリプトルは首を横に振ると『二人きりでいられることほど、幸せなことはない』と満面の笑みで応える。
ベシュタは男神に選ばれ、アースは女神に、と推薦があったが丁重に断った。トリプトルとの暮らしを優先したのだ。
朝目覚め、口づけを交わし。
共に食事を作り、口に運び微笑む。
畑を耕し、牛乳を絞り、鶏の卵を集め、花に語りかけながら二人で腕を組んで散歩した。
夜にベッドで指を絡め、身体を重ね、自分の愛を与え、愛を受け、深く口づけを交わし、汗ばみながら眠りにつく。
同じことの繰り返しだったが、最大の幸福に包まれていた。
「愛しているよ、アース」
「愛しています、トリプトル」
二人は離れるのを惜しみ、身体を寄せ合いながら、手をつないだままその生涯を閉じた。
……そんな、夢を見た。
扉の向こうから、泣き叫ぶ声と救出を求める声、数分立つと憤怒で何を言っているのか解らない罵声が聞こえ始める。
転移装置は、先程からしきりに動いていた。消えていく精霊達が何処へ飛ばされているのか解らないが、リュミが重い溜息を吐く。
「無駄だと思うな、主星だけが狂った、とは考えにくいと思わない?」
「オレにとってはどうでもいい、すべきことは一つだけだ。オレはスクルドへ向かう、誰かどうにかしろ」
ベシュタがトロイに同意すると、リュミは嬉しそうに笑った。この三人だけが、隔たれた空間で愉快そうだった。
精霊達の数が減っていく、何処かへか消えていったのだ。もう、数えられるだけになってしまった精霊達。ベシュタが転移装置に向かうと、見覚えある顔に出食わす。
前回強引にスクルドへ突破した際に脅した男だ、この場にいた。
真っ先に逃げているのだと思ったが、残っていたことに感心する。
腰が抜けているのか、椅子に座ったままの男に近づくとベシュタは同じように告げる。
「惑星スクルドへ飛ばせ」
男は、微動だしなかった。ただ、植物人間のように呼吸しかしていなかった。ベシュタは眉を潜めると、机を軽く指で叩く。
「惑星スクルドへ、私とこの二人を飛ばせ」
後ろにいるトロイとリュミを微かに見ると、ベシュタはそう告げる。それでも男はまだ動かない。
「駄目だ、この男は動かない。いや、動けない。醜悪な姿に絶望し、脳を停止させたのでは?」
「どうする、スクルドへの行き方が解らない」
目の前で手を振ったトロイは、舌打ちする。視覚も聴覚も、捨ててしまったらしい男を非難することは出来なかった。
装置の使い方を間近で見たことがあるのはベシュタだけだ、藁にすがる思いで、トロイとリュミが見守る。
「男神になりたかったんだろ? これくらい朝飯前だろう?」
「無茶言わないでくれないか」
男を椅子ごと遠くへ移動させ、装置の前に立ったベシュタは、眉間に深く皺が刻み込まれるほど顰めて、睨み合いを続ける。
固唾を飲んで二人は見守るが、恐る恐る手を出しては引っ込めるベシュタに痺れを切らし、トロイが適当に装置に触れた。
「勝手に」
「何もしないよりマシだろう」
「ちょ、ちょっと、いい加減にしなよ! 早くスクルドに行きたいんだから」
三人の手が同時に装置に触れたとき、水晶に”スクルド”の文字が映し出される。呆然と見つめたが、弾かれたように歓声を上げて転移装置へ乗り込んだ。
その装置の起動法は、精神力だ。行きたい惑星を思い描き、装置に触れると水晶が望んだ先を映し出す。三人が同時にスクルドを思い描いたので、上手く起動した。
三人の姿が消えると、転移の間には植物人間と化した男と、潰されて死んでしまった精霊達の亡骸だけが残される。外では、中に入ろうと必死に声を荒げる者たちで溢れかえっていたが、もう、誰も開けられない。
スクルドに到着した三人は、アースを求めて飛び出す。
と、目を大きく見開き変わり果てた大地を見つめる。一歩も動けず、立ち尽くした。
何も、なかった。荒野、とは目の前の光景を指すのだろう。むき出しの地面が広がるばかりで、生い茂っていた木々も草花も何もない。不気味だった、地面には乾いた砂しかない。
命あるものなど、何処にも存在しなかった。
「アースは、何処だ」
トロイが声を搾り出し、その名を呼びながら姿を捜した。ベシュタもリュミも、懸命にアースの名を呼んで走り回った。
障害物はないが、目印になるものが皆で住んでいた建物しかなく、前進しているのか、右に向かっているのか、距離すら解らなかった。
やがて、幻覚ではないかとリュミが乾いた笑い声を出して一つの方向を指し示す。「違う、あれは現実だ」トロイが真っ先に走り出した。
見えたのは、皆で作った小屋だ。
荒野にぽつん、と立っていた。
息も絶え絶えに、アースはマスカットの木に寄りかかっている。
「あなたで、最後です。大丈夫、まだ力は残っています。あなたは、飛ばせます」
か細い声でそう告げると、ズルズルとそのまま根元に身体を委ねた。麻痺している右腕を動かし、胸元からネックレスを取り出すと、宝石を見つめる。
「綺麗……美しい深紅。ねぇ、マスカットさん、この宝石を私にくださった方は、火の精霊です。トリプトル、という名前です。彼は、神様になりました。素敵な世界を造り上げていくのでしょう、どうか私の代わりにそれを見ていてください。彼の隣には見たこともない美しい女性がいます、二人は愛し合っています、運命の恋人、というのでしょう。運命の恋人は、どんな困難にも打ち勝つのです。きっと、あの二人はそう、なのです。いい、な。いいな、いいな……」
……違いますよ、アース様。あの二人は運命の恋人ではありません。
「絹のような金の髪は、とても柔らかでした。陶磁器のような滑らかな肌は、本当に見ていて心が洗われるようでした。華やかな、大輪の花のような女性でした。トリプトルに、とっても、お似合い……私とは全然、違いました」
……アース様、聞いてください、アース様。ダメか、もう、私たちの声が届かないのですね。いつから届かなくなったのでしょう、絶望し、自らを蔑み、異質だと思った時から、でしょうか。
マスカットの木は、嘆き悲しむように身体を震わせる。と、しぼみかけの旬を過ぎた実が一つ、アースの胸元に転がり落ちた。微かな振動にアースはそちらを見つめる、震えながら一粒摘むと、じっとそれを見つめた。
「トリプトルが、あなたを美味しいと言っていました。いいな、いいな、いいな、あなたはトリプトルを喜ばせることが出来るのですね」
……違いますよ、アース様。あれは私の味を気に入ったのではありません、貴女と共に二人きりで食べた彼が、喜んで出た言葉です。
「あぁ、私があなたのように美味しい実をならせる木だったらよかったのに……って、ダメですね。きっと、私では不味いものしか出来ません」
……あぁ、アース様。違います、違います、違います、彼の言葉を鵜呑みにしてはなりません。
アースは、そっとその根元を撫でた。
「私の話を聞いてくれて、ありがとう。今、何処かへ飛ばしますね。出来れば、また、彼に美味しいこの実を食べさせてあげてください。きっと、あのひと、は、よろこんで、くださる」
……アース様、しっかりしてください、アース様。
「あ、あぁ。普通の女の子に産まれていたら。変な力がなければ、両親にも愛されていたのでしょうか? 気軽に抱ける女、だったら彼の目に私も止まりましたか。いえ、止まらなくても構いませ、ん。どうか、もし、願いが、叶うのなら。普通の、普通の、平凡な女の子に、なり、たい、です。そして、あの人が笑っているすがたを、遠くで良いので、一目見られたら。それで」
……なりません、アース様、いえ、アサギ様! その願いを望んではなりません! 貴女様の願いを思い出してください、何を言われても、貫き通してください! あ、あぁ、声が、届かない! 駄目です、間違っています、力を持たぬ貴女では、私達の声が聞こえない! お助け出来ません!
「ありがとう、さようならマスカット。どうか、元気で」
……あ、あぁ、やはり宇宙の創造主は惑星の器に収まらず、馴染むことが出来ず。なんて気の毒なお方!
マスカットの木が、忽然と姿を消した。
アースを支えていた身体が、トサリ、と砂に埋もれる。瞳をゆっくりと閉じた。
夢を見た。
平凡な家柄だったが、家族に恵まれて愛情を受けて育った土の精霊アースは、学友にも恵まれ、良い成績を収める。やがて惑星の育成に入ると幼馴染の風の精霊リュミに、頼れる水の精霊トロイ、知識豊富な光の精霊ベシュタと、常に笑顔の火の精霊トリプトルが選抜された。
五人は、親しく、時に意見の交換でぶつかりつつも、納得がいくまで話し合いアースの惑星スクルドを完璧な惑星へと成長させた。それは、歴史に残ると言われる程、美しい惑星で、その楽園に住みたいと志願する者が続出する。
その功績に、五人は称号を与えられるが、アースとトリプトルは惑星の育成が完了すると同時に、身体を重ねた。育成する中で愛が芽生えていたのだ、身体を重ねては惑星が崩壊するので、二人は口づけと指を絡ませ、毎晩愛を語っていた。ようやく、結ばれたのだ。
講師の話もあったのだが、二人で惑星スクルドの小高い丘に、赤い煙突の小屋を建て、そこに住んだ。時折トロイやベシュタ、リュミが訪ねてきたが、二人きりで暮らしていた。主星に住めばもっと豪華な暮らしが出来るのに、と苦笑するトロイに、トリプトルは首を横に振ると『二人きりでいられることほど、幸せなことはない』と満面の笑みで応える。
ベシュタは男神に選ばれ、アースは女神に、と推薦があったが丁重に断った。トリプトルとの暮らしを優先したのだ。
朝目覚め、口づけを交わし。
共に食事を作り、口に運び微笑む。
畑を耕し、牛乳を絞り、鶏の卵を集め、花に語りかけながら二人で腕を組んで散歩した。
夜にベッドで指を絡め、身体を重ね、自分の愛を与え、愛を受け、深く口づけを交わし、汗ばみながら眠りにつく。
同じことの繰り返しだったが、最大の幸福に包まれていた。
「愛しているよ、アース」
「愛しています、トリプトル」
二人は離れるのを惜しみ、身体を寄せ合いながら、手をつないだままその生涯を閉じた。
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