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寝てました。
ふー。
余程、3星が面倒らしいです。
すぐに眠くなってしまうー・・・。
ここを乗り越えないと、マビルとトモハルとアサギがー・・・。
7日日記。
最近、背後ブログで仲良くなったお方がいらっしゃって。
てっきりデザイナーの卵の女の子だと思っていたら、男の子でした・・・。
ま、また間違えたーっ。
服とか靴が女の子のものだったから、てっきり(おぃ)。
上手だなぁ・・・。
彼は、忙しくても一日20分必ず絵を描くとやっているらしく。
見習わなくちゃ。
「ココ! リン!」
不意に大声で名を呼ばれた、弾かれたように振り返ったココは満面の笑みで腕を大きく振り応える。
「アーサー! ドコ行ってたのさ、あたい探しちゃったよ~」
「レーヴァンテインを見てきていた、正真正銘、あれは勇者剣だ」
ココからおどけた声色が消え、唇を噛締める。
沈黙でリンが近寄ってくる、軽く頷きアーサーは手頃な椅子を三つ用意し、二人を座らせると余っていた食事を適当に皿に取りながら語り続けた。
「あれを。ダイキに届けたい、彼が持つべきだ」
「ぼうや、なんだろ? 本当に勇者なのか?」
「若干、12歳。幼い、正直目を疑ったのが事実だ。しかし、勇者である事に間違いはない」
「アーサーにそう言わせるくらいだ、余程秀でたぼうやなんだろうね」
「いや、勇者の破片すらまだ見出せていない。恐ろしく優秀なのは、4星クレオの勇者、アサギだ。彼女が勇者の要にして、全ての統括者、と言っても過言ではない」
魔王に、攫われているが。
・・・と自嘲気味に付け加えたアーサーは、ようやく席につくと冷えた食事を口に運ぶ。
ココが暖かな茶をリンに差し出した、3人で輪を囲み語る。
「アサギ?」
「あぁ、今まで見たことがないほど、美しい少女だ。外見もだが、内面からも不思議な魅力が沸き出ている。天性のフェロモンというか、カリスマというか」
「・・・賢者様を翻弄出来るとは、なかなかやるね勇者アサギ」
アーサーが上気した頬と興奮気味の声で語っていたので、多少の驚きと、僅かな嫌悪感とが混じった声を出したリン。
勇者が美しい、というのは意外でも有ったが何より堅物のこの男がこうも浮き足立っている様子は見慣れない。
不謹慎であるのだが、リンもココもその勇者に非常に興味を示さざるを得ない。
「各国の主要都市へと、伝令が向けられた。こちら側の動きを魔物達に知られては非常に不味いが、最大にして最後の戦いになるかと思われる。戦士や傭兵達は無論、一般市民も参加するかもしれないな」
二人を無視し、アーサーは口元を拭うと食事を終えて茶を啜っていた。
「それぞれ完璧な指揮官が必要となる、上手く纏め上げ迅速に行動出来る者が」
「・・・残されている将は少ない、アーサー」
「しかし、ミラボー不在のこの機を逃すわけにはいかない。そして私はダイキに剣を届けなければならない」
「アーサー、万が一がある。ここを離れ、先に剣を届けては? ダイキとの関わりはアーサーしか持ち合わせていないのだから」
リンのアーサーの会話を大人しく聴いているココ、会話には参加せずに髪を持て余したような素振りをしているが。
「ミラボーが戻ってくるとなると厄介だが・・・、考えないでおこう」
「しかし、先日の奇襲も有る。あちらとて簡単には敗北しないだろう、士気が上がれども綿密な計画は必要かと」
アーサーは地図を取り出した、無論、3星チュザーレの地図である。
広げ、二人に説明を始めた。
「あくまで大凡の予定だ、反応のあった都市次第では変更になる」
蜂起した仲間達は、近場で3~5の団体となり密集して今現在乗っ取られてしまった街や城の回収に向かう。
タイミングを間違えたり、狙う配置を間違えると非常に厳しいが、同時に他地方で起こせば魔物達とて混乱するだろう。
ゆえに、指揮官の重要性が問われてくるのだ。
武者震いなのか、ココがそっと身体を抱き締めている。
ココは、元は辺境の村出身である。
決して裕福ではない自給自足の村で、男達に混じって魔物退治に明け暮れていた。
が、あまりにも魔物の奇襲が増え、村の者達だけでは護りきれなくなり皆でここ、ボルジア城まで非難してきたのである。
途中、多くの命が失われた。
住み慣れた土地を捨てて、逃げるように転がり込めばこことて、安全ではなく。
魔物を倒す事に存在意義を見出し、快感と興奮に溺れそうになった頃もあったが、それを克服し強者を目指す。
村自体、足技を得意とする戦闘民族だった為ボルジア城に来てからも歓迎を受けた村人達。
特にココは足技を得意とし、ブーツの先端に鉄が埋め込まれている。
かなり重いがそれを毎日履きこなし、戦闘時に跳躍も俊敏に動く事も可能としていた。
強靭な脚、そして女だてらに最前線で戦う度胸。
茶色の髪を無造作に二つに束ねている、可愛らしい顔立ちをしているが瞳は狩をするチーターの様に鋭く。
リンは、微かに顔を顰め忌々しそうに自分の足を見つめながら軽く溜息を吐いた。
金髪長身の美女だが、引き締まった身体は豪快に剣を振り回す。
自身を多くは語らず、作戦会議には積極的に会話に入るがそれ以外は寡黙な女だった。
素性を皆知らないが、気付けばボルジア城にて剣を振るっていた。
彼女、実は遠方の大貴族の娘である。
戦闘とは全く無縁な筈であった、屋敷の中でぬくぬくと育てられていた。
しかし、ある時民衆を楯にし自分達を護っていた父親に嫌気が差し無我夢中で飛び出したのだ。
手持ちはありったけの宝石と、剣のみ。
世間知らずのお嬢様は何度騙され、宝石を奪われ。
人買いに捕まり、身体を奪われそうになったことか。
しかし運は味方した、師匠とも呼べる男に出会い、同行したのである。
その際に、剣を教えて貰った。
女だからと嘗められないように、と常に寡黙でどこか冷徹な雰囲気を出すようにとも教え込まれた。
リン、14歳。
出合った男は38歳、男女の仲になるには歳が離れてはいたが淡い恋心を抱かずにはいられなかったリン。
しかし、そういった関係も持たず二人は旅をした。
向かっているのはボルジア城、リンは知らなかったが彼は騎士団員であったのだ。
その途中、男は命を落とした為リンは一人、ボルジア城へ辿り着いた。
見知らぬ女を城が受け入れたのは、男の手紙及び剣をリンが丁重に差し出してからである。
あれは、魔物の奇襲であった。
リンを庇い、還らぬ人となった男。
初恋の、人。
リンは、彼から教えられた通りに剣を振るい続けている。
三人は、身体に障ると冷えた空気を感じ解散する。
ベッドに各々もぐりこみ、窓から瞬く星を見上げる。
数日後、伝令が徐々に集まり始めた頃。
「ボルジア城第一部隊・騎士スカルノ。第二部隊・騎士ハノイ。第三部隊・賢者ナスカ。第四部隊・賢者アーサー。それぞれの弓兵隊長、槍兵隊長、重兵隊長、軽兵隊長、僧兵隊長、魔兵隊長は・・・」
指揮官が四名、選出された。
人混みの中、名を呼ばれたナスカは表情を曇らせ引き締まった唇だが寂しそうに瞳を伏せる。
案の定、アーサーとは離れ離れだった。
承知していた、どうにも覆せない事だと知っていた、けれども。
「アーサー・・・。生きて。生きて、帰りましょうね」
ナスカの呟きに気付くものなど、居なかった。
リン、ココ、セーラー、メアリの顔見知り組は全員ナスカに配置されたらしく、気の知れた仲間ながらやり易いので多少の安堵を憶える。
「・・・こんなとき、ねえちゃまが居たら心強いのに」
メアリが、ぼそりと半泣きで呟く。
「ねえちゃま?」
不思議そうにリンが首を傾げた、納得したようにセーラが声をかけた。
「リンとココは知らないわね。メアリにはお姉様がいらっしゃるの。それは聡明で偉大な魔術師であられたわね・・・、彼女が居れば心強いけれど。でも、メアリ。貴女は彼女の妹、貴女とて彼女に近づけるはずよ」
「私には・・・、無理。まだ、水属性しか使えないし。ねえちゃまは、身内の私がいうのもなんだけど・・・本当に・・・素敵で・・・」
涙声になったメアリを引き寄せ、そっとセーラが髪を撫でて落ち着かせる。
リンが、く、と首を動かしセーラは瞳を伏せる。
つまり、メアリの姉は亡くなっているのではと察した。
「エーア・ロクシタン。優秀な魔術師です、今もこれからも。メアリ、いつ再会しても良いように勤勉に励みましょうね」
「うん・・・ありがとうセーラ」
まだ幼いメアリだが、彼女は自ら志願しこの場所に居る。
城からほど近い街が二人の故郷であった、姉であるエーアは近郊にも名を馳せるほどの魔術師であり、またかなりの美貌の持ち主でもあった為常に人気があった。
烏の濡れ羽色の髪はしっとりと艶があり、首を傾げるだけで妖艶である。
メアリは、金髪だった。
何度姉のような髪に憧れた事だろう、髪を弄びながら幼い頃から姉を見ていた。
両親はメアリが物心つく前に亡くなっていたので、エーアがメアリの母親代わり。
メアリを護る為に、必死に努力をしていたのかもしれない。
そんな姉の噂は無論、ボルジア城にも届き腕を買われて城へ出向いた。
幾度かの遠征で、エーアは・・・戻ってこなかった。
城へ出向いてから、同じ魔術師でエーアには相応しくないのでは、と影で囁かれた非常に貧相な男と恋仲になったエーア。
彼と居るときはメアリが初めて見る、姉の表情だった。
そんな彼と戦いに出向くときも常に一緒であった恋人達、二人同時に戻ってこない。
けれども、メアリは姉が死んだなどとは認めていなかった。
何処かで生きている筈だと、信じていた。
全く、死んだ気がしないのだ。
密やかに噂されるのは、姉の死だが荒立つ心を必死に押し殺してメアリは耐えている。
・・・そう。
メアリは正しかった、エーアは生きているのだから。
アーサーは、再びレーヴァティンの許を訪れた。
剣に誓いに来たのだ、生還することを。
今回の任務は魔王の撃破ではなく、そしてアーサーの立場を考慮して最も安全と思われる地域への派遣となる。
そして、城からも近い。
大部隊での移動は目立つので、徐々に指揮官達は移動していくのだが、アーサーは最後だった。
それまで、集まってきた一般市民達に戦闘を教えたり応急処置の仕方を教えたり。
やらねばならないことは、多々有る。
遠方の第一部隊が、精鋭部隊を引き連れて出発した。
数日後に、第二部隊が。
さらに数日後にナスカ率いる第三部隊が出発し、それをアーサーは見送る。
「勝利を、我らに」
レーヴァテインに跪き、アーサーは祈りを捧げた。
神にではない、自らの決意に。
「アーサー殿、指示を」
一礼し、兵が一人訪れた。
二人の声が地下の一室に木霊している、剣が静かに二人を見守る。
「まずは、皆に作戦を再度頭に叩き込んでもらう。意図を理解していなければ計画など破綻だ、誰かに指示されて動くのではなく、自らの意志で活動してもらいたい。そうすれば自ずと、皆団結できるだろう」
「はっ!」
「それから、志願した一般市民には所持品の説明も。憶える事が大変なれば、紙に書き記し薬草の扱い方を徹底だ」
「ははっ!」
「見て憶えている時間など、ない。実戦に移り怪我をしない程度に組み手を繰り返そう」
「畏まりました」
一刻も早く、任務を完了し。
剣をダイキに届け、そして・・・。
「アサギ、待っていてくださいね」
アーサーは微笑した、そうだ、アサギを救わねばならないのだから。
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