別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
×
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アーサー編、一話伸び伸び。
74~マビルで。
75~トモハル&ミノル
書きにくいです、3星チュザーレ。
メンドイです。
早くマビル書きたいです。
5日日記。
従姉妹からもらった色々ー。
昔のですね。
みんなのw-inds.の記憶がここで止まっている罠。
テレビに出ていたのが出なくなれば、確かに解散したと思いますものねー・・・。
でも、大人になってからのほうが声の表現が凄いです。
CDTVのカラオケ慶太、あの高音は何!?(感動)
流石5オクターブのお方。
綺麗だなぁ・・・。
http://www.nicovideo.jp/watch/sm8663034
↑最近見つけたw-inds.作業用100分。
一個だけ知らない歌がありましたが、従姉妹がくれたその本に載ってました。
もってないCDがあったらしいです。
えらいこっちゃ。
レコ大新人賞の曲とか懐かしいです。
その本が結構面白くて、アサヤンに慶太が出てたらしく、見てたらしい自分に激震。
あれですよ、当時の私の彼氏が「男ならオーディションに頼らず自力で夢を叶えろ!」と男性ボーカルオーディションに何故かキレてた時ですね。(なんでやねん)
21曲目のが滅多に出回っていない曲ですが、すごく優しい歌詞で、かなり好きかも・・・。
そしてこれは流れが凄く上手な上に、私の好きな曲が結構入っているっ!!!
おすすめでーす。
いやー、便利ですねニコニコとか。
知らなかった時代が懐かしいです・・・。
ありがとう、色んな人っ。
おやすみなさい、またそのうち。
お御籤が中吉で、「金運は大吉です」が気になる私でした。
あと、旅行は盗難に注意! が、気になりつつ・・・。
・・・どきどき。
ところで、何故数日前カウンターが3倍になったんですか(怯)。
ここのw-inds.のせい???←小心者。
揺らめく蝋燭の火、ジジ・・・と時折炎が勢いを増して燃えている。
顔立ちが整っていることもあり、思案している横顔は確かに真面目で禁欲的な雰囲気。
冗談の通じない、お堅い賢者・・・といわれれば納得も出来る。
4星クレオでのアーサーとは、まるで別人のようだがこちらが素なのかも知れない。
「わっ!」
「うわっ」
陽気な声と、背中に何かが当たる感触。
思わず悲鳴に近い声を上げたアーサーは、血相変えて振り返る。
「ぷっ! やだ、そんなに驚かないでよ。乙女心は傷つき易いのよ? お分かりかしらアーサー君」
「なんだ、ナスカか・・・。寿命が縮まった、図書館では静かに」
怪訝に眉を顰めて微笑しながら隣の席に座ったナスカに、一言文句を。
ちなみに、ナスカはアーサーと同じ歳である。
誕生日が離れているので、約一年といっても過言ではない差はあるが。
容姿が大人び、ゆったりとした風貌から年上に見られてしまうのだが。
アーサーは静かに立ち上がると、不要と感じた本を何冊か手にし本棚へと向かう。
その後ろをナスカが大人しくついてきた、興味津々でアーサーの行動をじっと見つめている。
城お抱えの宮廷魔導師である両親、賢者の称号を得ても不思議ではない父親は、厳しく優しくナスカを躾けてきた。
見るからに凡人ではない雰囲気、同年代の女性からは嫌悪されがちの才色兼備な雰囲気をかもし出すナスカ。
男から見ればお高い美人、噂はするが決して近寄れない高値の美女的な。
家系的には本来騎士、が、反対を押し切ってこちらへ進んで本当によかったとアーサーは家に戻ると痛感する。
有能な騎士である兄と、弟は賢者・・・家名は更に勢いを増すだろう。
アーサー自身、幼き頃は剣を習っていた為そこそこならば剣も操る事が出来る。
アーサーとナスカ、貴重な賢者。
幼き頃より家も近く親しかった者同士、無論婚姻の話とて浮上している。
だが、アーサーはナスカには妹か姉、親しい友人程度にしか見えない。
「ねぇ、何を探しているの? 私はアーサーがここに居ると小母様から聞いて、足を運んでみたのだけれど。こんな場所に、もはや私達の利益になるような本、残されていないわ」
「そうだろうか、禁呪レベルの本を探している。賢い本は所有者を選び、導くものだよナスカ」
行き詰っているけれど、と付け加え図書館の奥へと消えていく。
太陽の光が差し込まない場所、ツン、と黴臭さが鼻につく。
蝋燭を掲げながら、軽く瞳を細めて神経を集中させたアーサーの横顔を、じっと見つめるナスカ。
ほんのり、と顔が赤らんだがアーサーは知らない。
「私に出来る事はある? 役に立ちたいの」
思わずナスカは口に出した、はっとして慌てて口を塞ぐが。
ゆっくりとアーサーは振り返り不思議そうに首を縦に振る、身動ぎしているナスカに手を差し伸べた。
「一緒に、探してもらえるかな?」
埃を払い、抜き取った本を数冊ナスカへ手渡したアーサーは自分も何冊か手に取ると狭い通路に腰を下ろした。
思わず誇りに咳き込み、遠慮がちに受け取るとナスカも隣に座り込む。
そっと、動いてアーサーへと近寄った。
微かに触れるその部分が妙に愛しく、嬉しそうにナスカは微笑する。
本をめくる音と、蝋燭の火が燃える音。
そんな中で二人は黙々と作業に入るのだが・・・痺れを切らしたのはナスカだった。
高鳴る胸、こんな薄暗い中で好きな男と二人きり・・・誰も居ない、二人だけの空間。
不謹慎だが、再会出来るとは思っていなかったナスカにとってアーサーの存在は今、特別である。
仄かな恋心を確かに抱いていた、だがこんな悲惨な状況下では愛も何もない。
我慢していたが、昨日会って感情が昂ぶった。
「聞いて、アーサー」
「何を?」
命令調のナスカの言葉に、怪訝にアーサーは顔を上げる。
アーサーにとっては有余がなく、無駄な会話は省きたい。
邪魔をされれば当然だ、それならば一人で淡々と作業をしたほうが効率が良いというもの。
思うように進んでいない為、多少気が立っているアーサーは、口調が普段よりもきつくなっている。
思わず身体を引き攣らせたナスカだったが、左手を硬く握り締める。
「あのね、多方面へ伝令が向けられたの。転移装置で迎える場所へは数人で向かって、戦いへ向けて兵を集めるのよ。これが多分最後の足掻き。一斉蜂起、慎重に進めないといけないわね。次はもう、本当にないだろうから・・・」
言葉を飲み込み、ナスカは続ける。
それくらいの作戦であるならば、アーサーとて知っている。
だから、こうして本を手にしているのだ。
勢いに後押しされ、幸運が重なった事もあり。
世界中で一斉に総攻撃をかける、という半ば破れかぶれの。
だが、全てを今回の攻撃に託した捨て身で、覚悟の。
「勝たなければ、いけない。戦いに出向くものが死しても勝利を掴み取らなければ、いけない。生き残った人々が、次へ続けていけるから」
「そうだね」
だが、アーサーは。
4星クレオへ戻らねばならない、この星で行き途絶えるわけには行かない。
アサギが連れ去られたままだ、救出に向かわねばならない。
「あ、そうだ・・・。プロセインの地下で勇者の武器と思われる剣を入手したの、後で確認してくれない?」
「なんだって? あぁそういえば、昨日」
そういえばそう言っていた、本当にそれが勇者の武器ならばダイキ専用、ということになる。
それも勿論届けなければならないだろうから、アーサーは死ぬわけにはいかない。
どうすべきか、早速届けに行くのが良いのだろうか? 軽くアーサーは思案する。
「布に、包まれているわ。・・・一人、死んでしまったの」
「どういうこと?」
低音のナスカの声、怪訝にアーサーは顔を上げる。
首を横に振りつつ大きな溜息、ナスカは膝に顔を埋めるとくぐもった声で応える。
「厳重な宝箱に仕舞われて、一振りの剣が見つかったわ。観るだけでも神秘的な輝きを放ち尋常ではない力を秘めていると解るの。一人の騎士がそれに手を触れた、すると・・・一瞬のうちに炎に包まれて騎士は炎上。救出する間もなく、息絶えてしまった・・・。でも、不思議な事に直に触れないのであれば、平気なの。持ち帰ったわ、城内に保管されている」
「正統な勇者以外、触れることを赦されない・・・ということだろう」
もし、本当に勇者の剣であるのならば、だが。
「レーヴァテイン、か」
アーサーが呟いたのは、3星チュザーレの勇者の剣の名前だ。
古書で読んだ事がある、確か図解付だった筈だが・・・。
「片手長剣。災いを引き起こす剣だが、正統な持ち主が扱えば絶大な力を誇る・・・と」
「えぇ、神殿プロセインにて厳重に保管されていた、となると確かに辻褄は合うから本物の可能性が高いわね。布で巻いて持ち上げるときは、流石に私も冷汗ものだったけれど」
ナスカが持ち帰ったらしい、度胸が有る。
右手の親指の爪を噛み、アーサーは気だるそうに立ち上がると本棚に本を戻す。
「先にそちらを観に行く、禁呪探しは後回しだ」
「私も一緒に行くわ!」
同じ様に立ち上がったナスカ、不思議そうにアーサーは見つめた。
「場所さえ教えてもらえれば、一人で行ける。貴重な時間だ、ナスカは別の事を」
「いいじゃない、それくらい」
本を片付けて微笑するナスカ、軽い溜息と共にアーサーは踵を返した。
二人、無言で図書室を歩く。
不意に。
「ねぇ、アーサー?」
ナスカが、思いつめたような声で背後から声をかけた。
静かに足を止め、振り返ったアーサーを、ランプの光が照らす。
思わず息を飲み込んだナスカは、仄かに頬を染め。
「その、先程の新しい魔法の事・・・なんだけれど・・・私じゃ・・・ダメかしら?」
「は?」
深呼吸、控え目にナスカはそう告げる。
静まり返っている図書室だからこそ聞き取れたが、本当に弱々しいものだった。
アーサーの唇から出たのは、すっとんきょうな声。
何とも間の抜けたアーサーの声に、ナスカの心は軽く苛立った、そして自分が情けなくて惨めにも思えた。
確かに意味不明な単語であったかもしれない、がナスカにとっては精一杯だったのだ。
薄闇の図書室、対戦を前に控えて不謹慎かもしれないが、いや、だからこそナスカは。
「意味が解らない、説明してくれ」
怪訝に訊いて来たアーサー、おまけに近寄るどころか立ち尽くしたまま。
恋愛ごとは確かに鈍そうだが、こうして自分がうっすらと頬を染めて震える声で告げた精一杯の言葉を全くアーサーが理解できていないというのが、本当にナスカにとっては悲痛だ。
軽く肩を落とし気を入れ直す為に、大きく深呼吸すると胸に手をそっと置く。
解らなくもない、そうなのだ、アーサーは自分にとって”恋愛対象”にはならないから・・・気付かない。
「二人の術を合わせてはいけない? あなたは火炎、私は風。そう、この間の様に。タイミングの練習さえすれば良いと思わない? 空いた時間で、他の魔導士達の面倒をみて・・・」
「だがそれは、二人が常に共にいなければいけないのだろう? それでは、使い物にならない。私とナスカ、指揮官になるであろう状況で流石にそれは無謀だ」
つまりは、そういうことなのだが。
ナスカは唇を噛締めた、全く伝わらない。
・・・一緒に居たい、と。
そう言いたいのだが、微塵もアーサーには伝わっていなかった。
呆れて、眉を顰めるとアーサーは踵を返す。
去っていく背中を見て焦燥感に駆られたナスカは、思わず声を張り上げていた。
「一緒に、居れば良いのよ。私たちの他にも指揮官が立派に務まる人はいるわ、合成魔法の必要性を理解して貰えれば許可が必ず降りるから」
「無理だ、絶対に。そのようなことは、断じて許可できない! ・・・頭を冷やしてくれ、ナスカ。君はそこまで単純で愚かだったか?」
アーサーの鋭い声が、室内に響き渡った。
振り返り、本棚を拳で叩いた為に埃が舞う、黴が鼻につく。
暗転する空気、ナスカは思わず身体を震わせてそれでもアーサーを見つめる。
こんな時に冗談はよせ、と目が訴えているがナスカとて必死だ、冗談ではない。
生真面目なナスカ、無論恋愛など経験がなかった。
そんな暇すら、与えて貰えなかった、興味もなかった。
気付いたのはアーサーと離れてからだ、プロセインへ派遣された時からだ。
アーサーに会いたくて必死にもがいた、帰還すれば当の本人は勇者を探しに出向いた、と。
それからは懸命にアーサーの無事を毎晩天に祈った、また遭える様に願をかけた。
ようやく、再会出来たが・・・上手く気持ちが伝えられない。
恋愛事を話せる友人など、いないので勝手が解らないのだ。
賢者と呼ばれても、こちらはからきし、である。
苛立つアーサー、鬱陶しがっているのは一目瞭然。
「今のナスカとは会話する気になれない・・・。レーヴァテインは私一人で観に行く」
きつく言い放つとアーサーはナスカを、軽く睨みつける。
蛇に睨まれた蛙の様に、びくり、と硬直したナスカ。
去っていくアーサーの、揺れる髪を見ていた。
もし、世界が平和だったのなら。
・・・望むように、のんびりと・・・共に過ごせただろうか。
「一緒に・・・居れば良いと思うのに・・・」
ナスカの手にしている蝋燭は、残り少なく。
アーサーを暗闇が包み込む、呆然とその姿を見つめた。
まるで、暗黒が飲み込んで全てを抹消してしまうようで。
信頼を、失ってしまっただろうとナスカは自嘲気味に軽く笑う。
「もし、もし。帰ってこられなかったら・・・。もう、会えないのよ? 私は・・・それが酷く・・・怖いの・・・。だから、一緒に」
唇を不自然に歪め、瞳から零れ落ちる涙をマントの端で拭いながら歩き出した。
恋心に気付けば、恐怖が押し寄せた。
共に死ねるのなら、どれだけ素敵なことか。
だが、身を案じて離れ離れで戦うのは・・・嫌だった。
護れる位置に、居たい。
存在を傍らに感じれば、余計に勇気が、力が湧く気がした。
「泣いてはいけないわ、私・・・」
我儘だ、とナスカは思う。
悪いのは自分なのだと、解っている。
アーサーの態度は確かに冷たい、だが当然でもある。
自分は、賢者だ。
アーサーも賢者だ、貴重な二人なのだ。
一体、自分はアーサーになんと言ってもらいたかったのだろうか。
ただ、困惑させ、憤怒させただけだった。
誰も、なんの得にもなっていない。
『離れていても、互いに互いを想い合おう』
・・・とは、到底言ってもらえる筈もなく。
「私・・・我儘だったのね」
不安だった、恐怖に怯えて一人寂しく戦闘中も嘆いていた。
自分の支えは、アーサーへの想い、また会えるという希望。
恋愛感情が全くないアーサーだが、せめて、友人としてでもよいから。
何か、何か言葉が欲しい。
前髪をかき上げ、ナスカは。
悔しそうに、右腕で涙を拭う。
情けない、こんなに心乱れ惨めな思いをするのは初めてだった。
暫し、その場で泣いていたが泣いていても仕方なく。
涙が止まった頃、人目を避けナスカは帰宅する。
ベッドに倒れこみ、そしてそのまま眠りについていた。
その晩、質素ながらも勝利の宴を開く事になったのは、アーサーの帰還も含めてだ。
城の中庭にて少しのワインに野菜が主のスープ、厚切りベーコンにパンを皆で食べる。
夜空が星の瞬きを美しく際立たせている頃、食事会を終えここに残ったのは数人。
隊長クラスの顔見知りだった、指揮官として任されている人物達である。
その中には武術家ココ、剣士リンの姿があった。
「どう? 身体の調子は?」
花壇の縁に座り込みながら、ココが歩いてきたリンに声をかける。
苦笑いでリンはゆっくりとココに視線を送ると、肩を竦め自嘲気味に「まぁ、適度に」と呟いた。
「今はただ・・・完治に向けて」
歩いていた、ということはそこまで重症ではないのだろうが確かに顔色が悪い。
無理してベッドから這い出て来たのだろうと憶測、ココが今度は肩を竦める。
星のひとつを見つめながら、リンは切なそうに瞬きを繰り返した。
ふぅ、と深い溜息を一つ吐きながら困惑気味に笑い周囲に視線を送る。
友人を探しているのだが、先程から見つからないのだ。
花壇から飛び降りて、大袈裟に首を振る、誰かいないか物色していた。
「おっかしいなぁー、セーラもアーサーもナスカもいない。メアリは早々に帰宅したろうけど、さ。折角久々に会話を愉しもうと思ったのに」
腕組みしつつ、ココは不貞腐れてそっぽを向いた。
食事会など、とうに終わっているのだが人々は半数ほど残っていた。
こうして夜空を見上げていると、大戦中だという事を忘れそうになる。
顔立ちが整っていることもあり、思案している横顔は確かに真面目で禁欲的な雰囲気。
冗談の通じない、お堅い賢者・・・といわれれば納得も出来る。
4星クレオでのアーサーとは、まるで別人のようだがこちらが素なのかも知れない。
「わっ!」
「うわっ」
陽気な声と、背中に何かが当たる感触。
思わず悲鳴に近い声を上げたアーサーは、血相変えて振り返る。
「ぷっ! やだ、そんなに驚かないでよ。乙女心は傷つき易いのよ? お分かりかしらアーサー君」
「なんだ、ナスカか・・・。寿命が縮まった、図書館では静かに」
怪訝に眉を顰めて微笑しながら隣の席に座ったナスカに、一言文句を。
ちなみに、ナスカはアーサーと同じ歳である。
誕生日が離れているので、約一年といっても過言ではない差はあるが。
容姿が大人び、ゆったりとした風貌から年上に見られてしまうのだが。
アーサーは静かに立ち上がると、不要と感じた本を何冊か手にし本棚へと向かう。
その後ろをナスカが大人しくついてきた、興味津々でアーサーの行動をじっと見つめている。
城お抱えの宮廷魔導師である両親、賢者の称号を得ても不思議ではない父親は、厳しく優しくナスカを躾けてきた。
見るからに凡人ではない雰囲気、同年代の女性からは嫌悪されがちの才色兼備な雰囲気をかもし出すナスカ。
男から見ればお高い美人、噂はするが決して近寄れない高値の美女的な。
家系的には本来騎士、が、反対を押し切ってこちらへ進んで本当によかったとアーサーは家に戻ると痛感する。
有能な騎士である兄と、弟は賢者・・・家名は更に勢いを増すだろう。
アーサー自身、幼き頃は剣を習っていた為そこそこならば剣も操る事が出来る。
アーサーとナスカ、貴重な賢者。
幼き頃より家も近く親しかった者同士、無論婚姻の話とて浮上している。
だが、アーサーはナスカには妹か姉、親しい友人程度にしか見えない。
「ねぇ、何を探しているの? 私はアーサーがここに居ると小母様から聞いて、足を運んでみたのだけれど。こんな場所に、もはや私達の利益になるような本、残されていないわ」
「そうだろうか、禁呪レベルの本を探している。賢い本は所有者を選び、導くものだよナスカ」
行き詰っているけれど、と付け加え図書館の奥へと消えていく。
太陽の光が差し込まない場所、ツン、と黴臭さが鼻につく。
蝋燭を掲げながら、軽く瞳を細めて神経を集中させたアーサーの横顔を、じっと見つめるナスカ。
ほんのり、と顔が赤らんだがアーサーは知らない。
「私に出来る事はある? 役に立ちたいの」
思わずナスカは口に出した、はっとして慌てて口を塞ぐが。
ゆっくりとアーサーは振り返り不思議そうに首を縦に振る、身動ぎしているナスカに手を差し伸べた。
「一緒に、探してもらえるかな?」
埃を払い、抜き取った本を数冊ナスカへ手渡したアーサーは自分も何冊か手に取ると狭い通路に腰を下ろした。
思わず誇りに咳き込み、遠慮がちに受け取るとナスカも隣に座り込む。
そっと、動いてアーサーへと近寄った。
微かに触れるその部分が妙に愛しく、嬉しそうにナスカは微笑する。
本をめくる音と、蝋燭の火が燃える音。
そんな中で二人は黙々と作業に入るのだが・・・痺れを切らしたのはナスカだった。
高鳴る胸、こんな薄暗い中で好きな男と二人きり・・・誰も居ない、二人だけの空間。
不謹慎だが、再会出来るとは思っていなかったナスカにとってアーサーの存在は今、特別である。
仄かな恋心を確かに抱いていた、だがこんな悲惨な状況下では愛も何もない。
我慢していたが、昨日会って感情が昂ぶった。
「聞いて、アーサー」
「何を?」
命令調のナスカの言葉に、怪訝にアーサーは顔を上げる。
アーサーにとっては有余がなく、無駄な会話は省きたい。
邪魔をされれば当然だ、それならば一人で淡々と作業をしたほうが効率が良いというもの。
思うように進んでいない為、多少気が立っているアーサーは、口調が普段よりもきつくなっている。
思わず身体を引き攣らせたナスカだったが、左手を硬く握り締める。
「あのね、多方面へ伝令が向けられたの。転移装置で迎える場所へは数人で向かって、戦いへ向けて兵を集めるのよ。これが多分最後の足掻き。一斉蜂起、慎重に進めないといけないわね。次はもう、本当にないだろうから・・・」
言葉を飲み込み、ナスカは続ける。
それくらいの作戦であるならば、アーサーとて知っている。
だから、こうして本を手にしているのだ。
勢いに後押しされ、幸運が重なった事もあり。
世界中で一斉に総攻撃をかける、という半ば破れかぶれの。
だが、全てを今回の攻撃に託した捨て身で、覚悟の。
「勝たなければ、いけない。戦いに出向くものが死しても勝利を掴み取らなければ、いけない。生き残った人々が、次へ続けていけるから」
「そうだね」
だが、アーサーは。
4星クレオへ戻らねばならない、この星で行き途絶えるわけには行かない。
アサギが連れ去られたままだ、救出に向かわねばならない。
「あ、そうだ・・・。プロセインの地下で勇者の武器と思われる剣を入手したの、後で確認してくれない?」
「なんだって? あぁそういえば、昨日」
そういえばそう言っていた、本当にそれが勇者の武器ならばダイキ専用、ということになる。
それも勿論届けなければならないだろうから、アーサーは死ぬわけにはいかない。
どうすべきか、早速届けに行くのが良いのだろうか? 軽くアーサーは思案する。
「布に、包まれているわ。・・・一人、死んでしまったの」
「どういうこと?」
低音のナスカの声、怪訝にアーサーは顔を上げる。
首を横に振りつつ大きな溜息、ナスカは膝に顔を埋めるとくぐもった声で応える。
「厳重な宝箱に仕舞われて、一振りの剣が見つかったわ。観るだけでも神秘的な輝きを放ち尋常ではない力を秘めていると解るの。一人の騎士がそれに手を触れた、すると・・・一瞬のうちに炎に包まれて騎士は炎上。救出する間もなく、息絶えてしまった・・・。でも、不思議な事に直に触れないのであれば、平気なの。持ち帰ったわ、城内に保管されている」
「正統な勇者以外、触れることを赦されない・・・ということだろう」
もし、本当に勇者の剣であるのならば、だが。
「レーヴァテイン、か」
アーサーが呟いたのは、3星チュザーレの勇者の剣の名前だ。
古書で読んだ事がある、確か図解付だった筈だが・・・。
「片手長剣。災いを引き起こす剣だが、正統な持ち主が扱えば絶大な力を誇る・・・と」
「えぇ、神殿プロセインにて厳重に保管されていた、となると確かに辻褄は合うから本物の可能性が高いわね。布で巻いて持ち上げるときは、流石に私も冷汗ものだったけれど」
ナスカが持ち帰ったらしい、度胸が有る。
右手の親指の爪を噛み、アーサーは気だるそうに立ち上がると本棚に本を戻す。
「先にそちらを観に行く、禁呪探しは後回しだ」
「私も一緒に行くわ!」
同じ様に立ち上がったナスカ、不思議そうにアーサーは見つめた。
「場所さえ教えてもらえれば、一人で行ける。貴重な時間だ、ナスカは別の事を」
「いいじゃない、それくらい」
本を片付けて微笑するナスカ、軽い溜息と共にアーサーは踵を返した。
二人、無言で図書室を歩く。
不意に。
「ねぇ、アーサー?」
ナスカが、思いつめたような声で背後から声をかけた。
静かに足を止め、振り返ったアーサーを、ランプの光が照らす。
思わず息を飲み込んだナスカは、仄かに頬を染め。
「その、先程の新しい魔法の事・・・なんだけれど・・・私じゃ・・・ダメかしら?」
「は?」
深呼吸、控え目にナスカはそう告げる。
静まり返っている図書室だからこそ聞き取れたが、本当に弱々しいものだった。
アーサーの唇から出たのは、すっとんきょうな声。
何とも間の抜けたアーサーの声に、ナスカの心は軽く苛立った、そして自分が情けなくて惨めにも思えた。
確かに意味不明な単語であったかもしれない、がナスカにとっては精一杯だったのだ。
薄闇の図書室、対戦を前に控えて不謹慎かもしれないが、いや、だからこそナスカは。
「意味が解らない、説明してくれ」
怪訝に訊いて来たアーサー、おまけに近寄るどころか立ち尽くしたまま。
恋愛ごとは確かに鈍そうだが、こうして自分がうっすらと頬を染めて震える声で告げた精一杯の言葉を全くアーサーが理解できていないというのが、本当にナスカにとっては悲痛だ。
軽く肩を落とし気を入れ直す為に、大きく深呼吸すると胸に手をそっと置く。
解らなくもない、そうなのだ、アーサーは自分にとって”恋愛対象”にはならないから・・・気付かない。
「二人の術を合わせてはいけない? あなたは火炎、私は風。そう、この間の様に。タイミングの練習さえすれば良いと思わない? 空いた時間で、他の魔導士達の面倒をみて・・・」
「だがそれは、二人が常に共にいなければいけないのだろう? それでは、使い物にならない。私とナスカ、指揮官になるであろう状況で流石にそれは無謀だ」
つまりは、そういうことなのだが。
ナスカは唇を噛締めた、全く伝わらない。
・・・一緒に居たい、と。
そう言いたいのだが、微塵もアーサーには伝わっていなかった。
呆れて、眉を顰めるとアーサーは踵を返す。
去っていく背中を見て焦燥感に駆られたナスカは、思わず声を張り上げていた。
「一緒に、居れば良いのよ。私たちの他にも指揮官が立派に務まる人はいるわ、合成魔法の必要性を理解して貰えれば許可が必ず降りるから」
「無理だ、絶対に。そのようなことは、断じて許可できない! ・・・頭を冷やしてくれ、ナスカ。君はそこまで単純で愚かだったか?」
アーサーの鋭い声が、室内に響き渡った。
振り返り、本棚を拳で叩いた為に埃が舞う、黴が鼻につく。
暗転する空気、ナスカは思わず身体を震わせてそれでもアーサーを見つめる。
こんな時に冗談はよせ、と目が訴えているがナスカとて必死だ、冗談ではない。
生真面目なナスカ、無論恋愛など経験がなかった。
そんな暇すら、与えて貰えなかった、興味もなかった。
気付いたのはアーサーと離れてからだ、プロセインへ派遣された時からだ。
アーサーに会いたくて必死にもがいた、帰還すれば当の本人は勇者を探しに出向いた、と。
それからは懸命にアーサーの無事を毎晩天に祈った、また遭える様に願をかけた。
ようやく、再会出来たが・・・上手く気持ちが伝えられない。
恋愛事を話せる友人など、いないので勝手が解らないのだ。
賢者と呼ばれても、こちらはからきし、である。
苛立つアーサー、鬱陶しがっているのは一目瞭然。
「今のナスカとは会話する気になれない・・・。レーヴァテインは私一人で観に行く」
きつく言い放つとアーサーはナスカを、軽く睨みつける。
蛇に睨まれた蛙の様に、びくり、と硬直したナスカ。
去っていくアーサーの、揺れる髪を見ていた。
もし、世界が平和だったのなら。
・・・望むように、のんびりと・・・共に過ごせただろうか。
「一緒に・・・居れば良いと思うのに・・・」
ナスカの手にしている蝋燭は、残り少なく。
アーサーを暗闇が包み込む、呆然とその姿を見つめた。
まるで、暗黒が飲み込んで全てを抹消してしまうようで。
信頼を、失ってしまっただろうとナスカは自嘲気味に軽く笑う。
「もし、もし。帰ってこられなかったら・・・。もう、会えないのよ? 私は・・・それが酷く・・・怖いの・・・。だから、一緒に」
唇を不自然に歪め、瞳から零れ落ちる涙をマントの端で拭いながら歩き出した。
恋心に気付けば、恐怖が押し寄せた。
共に死ねるのなら、どれだけ素敵なことか。
だが、身を案じて離れ離れで戦うのは・・・嫌だった。
護れる位置に、居たい。
存在を傍らに感じれば、余計に勇気が、力が湧く気がした。
「泣いてはいけないわ、私・・・」
我儘だ、とナスカは思う。
悪いのは自分なのだと、解っている。
アーサーの態度は確かに冷たい、だが当然でもある。
自分は、賢者だ。
アーサーも賢者だ、貴重な二人なのだ。
一体、自分はアーサーになんと言ってもらいたかったのだろうか。
ただ、困惑させ、憤怒させただけだった。
誰も、なんの得にもなっていない。
『離れていても、互いに互いを想い合おう』
・・・とは、到底言ってもらえる筈もなく。
「私・・・我儘だったのね」
不安だった、恐怖に怯えて一人寂しく戦闘中も嘆いていた。
自分の支えは、アーサーへの想い、また会えるという希望。
恋愛感情が全くないアーサーだが、せめて、友人としてでもよいから。
何か、何か言葉が欲しい。
前髪をかき上げ、ナスカは。
悔しそうに、右腕で涙を拭う。
情けない、こんなに心乱れ惨めな思いをするのは初めてだった。
暫し、その場で泣いていたが泣いていても仕方なく。
涙が止まった頃、人目を避けナスカは帰宅する。
ベッドに倒れこみ、そしてそのまま眠りについていた。
その晩、質素ながらも勝利の宴を開く事になったのは、アーサーの帰還も含めてだ。
城の中庭にて少しのワインに野菜が主のスープ、厚切りベーコンにパンを皆で食べる。
夜空が星の瞬きを美しく際立たせている頃、食事会を終えここに残ったのは数人。
隊長クラスの顔見知りだった、指揮官として任されている人物達である。
その中には武術家ココ、剣士リンの姿があった。
「どう? 身体の調子は?」
花壇の縁に座り込みながら、ココが歩いてきたリンに声をかける。
苦笑いでリンはゆっくりとココに視線を送ると、肩を竦め自嘲気味に「まぁ、適度に」と呟いた。
「今はただ・・・完治に向けて」
歩いていた、ということはそこまで重症ではないのだろうが確かに顔色が悪い。
無理してベッドから這い出て来たのだろうと憶測、ココが今度は肩を竦める。
星のひとつを見つめながら、リンは切なそうに瞬きを繰り返した。
ふぅ、と深い溜息を一つ吐きながら困惑気味に笑い周囲に視線を送る。
友人を探しているのだが、先程から見つからないのだ。
花壇から飛び降りて、大袈裟に首を振る、誰かいないか物色していた。
「おっかしいなぁー、セーラもアーサーもナスカもいない。メアリは早々に帰宅したろうけど、さ。折角久々に会話を愉しもうと思ったのに」
腕組みしつつ、ココは不貞腐れてそっぽを向いた。
食事会など、とうに終わっているのだが人々は半数ほど残っていた。
こうして夜空を見上げていると、大戦中だという事を忘れそうになる。
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