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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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書きたかったもの。
ガルーダで、メアリとセーラが出てるので。
それだけです。

第四章、1月。

サブなので本編には出てこない・・・です。


「はい。お誕生日、おめでとう。早いけど」
「あ。ありがとう・・・。わ、悪いね! 年下君にもらっちゃってさっ」

吐く息白い、寒空の下。
雪が滅多に降る事はない国であるが、どういうわけか昨年末から時折、雪がちらついていた。
異常気象。
今にして思えば、それは”予兆”だったのだ。
・・・惑星が、大気が、悲しみに明け暮れる前の。

ボルジア王宮内にて、普段通り宮廷魔導師として新魔法の開発研究に取り組んでいたメアリ。
と、いうと大袈裟だが彼女はまだ、雛である。
姉のエーアの指導の下、見習いとして参加しているだけだった。
知らせを受け、研究室から出て来てみれば来訪に目を丸くする。
確かに、研究中でも誰も無視できない人物・勇者ダイキ。
メアリよりも、3つ年下の少年だが身長はダイキが勝っているので稀に同年代の錯覚を起こす。
勇者なだけあり身体つきもがっしりとしているし、少年というよりメアリにとっては”男”だ。
突然の来訪に、微かに胸を弾ませて手を振ったメアリ、ダイキは軽く会釈をする。
そして受け取ったものは、誕生日プレゼント。
見慣れない包装紙は、異界のものだろう、メアリは胸を弾ませて包みを開いた。

「わぁ、綺麗! ありがとう」

木製の、ピアス。
少なくとも、メアリには見たことがないデザインで、大き目の雫型のそれは淡く光り輝いているようにも見える。

「いや、別に。女の子にプレゼントなんてしたことがないから・・・それでよかったのかどうか」
「とってもいいよ! なかなか、センスあるんだねダイキ。ありがとう、さっそくつけるよ」

照れ隠しで声が大きくなる、プレゼントなんてしたことがない、ということは自分が初めてだということだ。
それが嬉しくて、ついつい過剰に行動してしまう。
仄かに震える声、熱くなる頬、手にも動揺が走る。

「ふふ、どーう?」
「うん、いいと思う」
「あっりがとー! き、気遣ってもらって悪かったね。年下なのにさ」

トレードマークのポニーテールを摘み上げて、メアリは笑った。
年下、を強調したのは年上ぶり、このうろたえる自分を隠す為だった。

「気にしなくて良いよ、トモハルがさ、仲間だし女の子だから何かあげたほうがいいって」
「トモハルが? ・・・流石あの子は気遣いが細かいよね」

若干、心が沈んだ。
人に言われて、買ってきたものだと知ったからだ。
貰えて嬉しい筈なのに、人とは非常に不思議なものでそれだけのことで・・・気落ちする。

「まぁ、ついでもあったし。そんなに喜んで貰える物じゃないから、適当に使ってくれれば」
「ついで?」

ダイキにしてみれば、メアリの大層な喜びぶりが恐縮だった。
本当に、大したものでもないうえに、本来の目的は。

「ほら、今さ・・・。その・・・ミノルもなんとかしたくて立ち回ってるけど・・・」
「あ・・・あぁ・・・」

急に、両耳のピアスに重みがなくなる。

「励まそうと思って、俺もプレゼント品を捜しに行ったんだ。で、メアリが誕生日だってトモハルが言ってたから」
「うん、ありがと。早く行ってあげなよ、もう渡せたの?」
「いや・・・こういうのはトモハルが、向いてるし。なんのかんの言って、ミノルがもう一度、復帰したいのは当然だし」
「そういうんじゃないよ、気持ちが大事なんだよ。こっちは有り難く受け取ったからさ、行って来なよ」
「うん、じゃ」
「またね」

軽く片手を挙げて、去っていくダイキの大きな背中を見つめた。

「・・・ついで、か」

ぼそ、と独り言。
プレゼントをしたかった相手は、自分ではないことに気付いた。
彼女の誕生日も1月だ、何よりその彼女は酷く今・・・傷ついている。
ダイキなりになんとか励ましたかったのだろう、そしておそらく勇者達で何かを買いに行き、そこでメアリの事を思い出したのだ。
ぼぉ、っと立っていた。

「少年は、無邪気で鈍感で、故に乙女心が解らない」
「セーラ! いつからいたの?」
「ごめんなさい、立ち聞きするつもりは、なかったのだけれど・・・」

後方から、静かに姉的存在のセーラが歩いて来ていた。
申し訳なさそうに困惑気味に苦笑し、肩を竦めている。

「ダイキに、悪気はないわ。その、ピアスにも」
「知ってる」

純粋な、プレゼントだ。
”他意のない”、プレゼントなのだ。
自分が先走って、履き違えただけで。
ダイキには、片思いの少女がいる。
本人に自覚はないかもしれないが、いや、今回の事で気付いたかもしれない。
セーラの手が、肩に置かれる。
促されて、メアリは歩いた。
耳には、何もピアスなどないように・・・軽いまま。
それでも、水鏡に姿を映してみる。
ピアスは、華やかに鈍いアンティーク調の光を放つ。
水面に、新たに光る雫が一つ。
波紋を広げて、水鏡を揺らしていた。
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