別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
×
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完結。
書きたいものがあったので、無理やり終わらせたんですが、書きたいものが時間が経ちすぎてどうでもよくなってしまったとか(おぃ)。
ケンイチのことです。
眠いです。
後もう少しで和歌山へ発たねばー。
眠いですー。
なんていうか、正月早々、ちょっとあれでそれなメールが来て、対応に困って困って困って・・・。
返信、なし(おぃ)。
何が言いたいのかよく解らなくて(遠い目)。
それはおいとて。
メモがてら。
トモハルお気に入りのホテルはこちらです。
こやつは、毎回ハイクラス。
多分お父さんが某会員制ホテルの会員権を所有してたりもするので、ともかくハイクラスしか泊まらない人。
ええい、金持ちめ!
http://www.lhotel-du-lac.com/index.php
ここは私も是非行きたいのですが、余裕が今はないので却下、そのうち行こう、頑張れ私。
トビィお兄様も似合いそうですね、おっそろしく。
アサギは別に気にしなさそうですが。
http://www.sirahama.net/
↑今回行こうとしてたのですが、空いてなかったので諦めたホテル。
彼氏が「・・・オレにはラブホにしか見えないが」と言っていた(私もそう見えた)けど、違う普通のホテル。
内装にほれ込んだので、次和歌山行くならここ行きたい。
可愛すぎるっ。
おなか空いたなぁ。
(カオスなブログ)
子供の頃から、しもやけが酷くて。
よく病院行かずに一冬越したな、私よ。
高校~病院勤務まで無縁だったのですが、今の職場は激寒いので数年前からまた悩まされてます・・・。
去年は出来なかったのに。
今酷くて、死にそうです。
痛いしかゆいし、くあああああああああああつ!!!!!
絵は上がダイキで左からケンイチ・トモハル・ミノル。
書きたいものがあったので、無理やり終わらせたんですが、書きたいものが時間が経ちすぎてどうでもよくなってしまったとか(おぃ)。
ケンイチのことです。
眠いです。
後もう少しで和歌山へ発たねばー。
眠いですー。
なんていうか、正月早々、ちょっとあれでそれなメールが来て、対応に困って困って困って・・・。
返信、なし(おぃ)。
何が言いたいのかよく解らなくて(遠い目)。
それはおいとて。
メモがてら。
トモハルお気に入りのホテルはこちらです。
こやつは、毎回ハイクラス。
多分お父さんが某会員制ホテルの会員権を所有してたりもするので、ともかくハイクラスしか泊まらない人。
ええい、金持ちめ!
http://www.lhotel-du-lac.com/index.php
ここは私も是非行きたいのですが、余裕が今はないので却下、そのうち行こう、頑張れ私。
トビィお兄様も似合いそうですね、おっそろしく。
アサギは別に気にしなさそうですが。
http://www.sirahama.net/
↑今回行こうとしてたのですが、空いてなかったので諦めたホテル。
彼氏が「・・・オレにはラブホにしか見えないが」と言っていた(私もそう見えた)けど、違う普通のホテル。
内装にほれ込んだので、次和歌山行くならここ行きたい。
可愛すぎるっ。
おなか空いたなぁ。
(カオスなブログ)
子供の頃から、しもやけが酷くて。
よく病院行かずに一冬越したな、私よ。
高校~病院勤務まで無縁だったのですが、今の職場は激寒いので数年前からまた悩まされてます・・・。
去年は出来なかったのに。
今酷くて、死にそうです。
痛いしかゆいし、くあああああああああああつ!!!!!
絵は上がダイキで左からケンイチ・トモハル・ミノル。
未成年の飲酒は、法律で禁止されています。
・・・ここは、賑わう酒場。
僕とダイキ、ミノルは二杯目のビールを飲んでいる。
地球では、高校生、未成年、飲酒禁止。
でも、こっちの星なら飲酒は16歳から可能だから時折こうして飲みに来ていたりする。
あぁでもミノル、煙草は良くないと思うよ。
目の前で煙草をふかしているミノル、僕はわざとらしく煙たそうに片手を振って煙を逃がす。
もう一人、来ない。
遅い。
約束の時間は、過ぎているというのに。
「どーせ、またマビルのご機嫌取りだろーよ」
ブツブツと管を巻き始めたミノル、そろそろビールの注文は控えさせたいけれど、三杯目からミノルは飲みやすいのかいつもカクテルだ。
全力で止めよう、後で被害を被るのは僕達なのだから。
「ごめん、遅くなった」
トモハルが、人混みを掻き分けてやってくる。
これで全員集合、僕達三人は部活が終わってこちらへ直行したけれどトモハルだけは優先すべき事があるんだ。
「マビルをトビィに預けて来たから」
言わなくても、解るよトモハル。
そうしてクレシダにデズデモーナ、オフィーリアに無論トビィが苦悶の表情を浮かべていたのも見て取れるようだよ。
マビル、というのはトモハルの恋人・・・なんだと思うけど本人同士は進展が全くない、変わった関係の女の子。
とても、可愛らしい子だ。
我儘で寂しがり屋なんだ、トモハルは彼女にぞっこんなのでこうして出てくるときはいつも対応が大変らしい。
一緒に住んでるからね、あの子は寂しがるんだろうね。
席に着いて、同じ様にビールと。
「えっと豚肉とゴーヤの梅ドレッシングサラダに・・・、マグロロールの甘辛あんかけを」
注文。
四人、揃った。
と言っても数時間前も高校で一緒だったけれどね。
僕の名前は、ケンイチ。
数年前から騒動に巻き込まれて、勇者なんて仰々しい肩書きを貰った。
ここは、地球ではなくて異世界。
「で、どうして4星クレオじゃなくて、1星ネロに集合だったわけ? 来辛いんだけど、この惑星」
届けられたビールを片手に、トモハルが軽く乾杯して呟いた。
うん、僕もそう思うけどさ。
僕達は、それぞれ4つの惑星の勇者だった・・・じゃない、今もそうだから勇者”だ”。
居心地が良いのは、4星クレオ。
ここは、1星ネロ。
最も関わりがなかった、ある意味忘れられた惑星でもある。
「4星だと、トモハルが目立つんだよ! どこ行ってもキャーキャーギャーギャー誰かがすっ飛んでくるだろ、落ち着けねぇ」
そういうことだ。
親しんだ惑星な分、僕達は目立つ。
余程田舎なら気にしなくてもいいんだろうけど、大都市の居酒屋に四人で足を踏み入れようものなら・・・大人しく周囲が飲ませてくれないんだ。
「まぁ、確かに・・・1星なら、その点楽だね」
しれっ、と言ってトモハルは冷えたから揚げを頬張りつつ。
通りかかったウェイトレスに声を。
「あ、すいません。持ち帰り出来る食べ物あります?」
「そうですね、本日は柚子のレアチーズケーキなどありますが」
「あ、それお願いします。二人分で」
マビルへのお土産だ、本当に律儀だね、トモハル。
僕とダイキはもう慣れたけど、非常に不愉快そうにしているのは勿論ミノルだった。
仲が良いんだか、悪いんだか。
でも、僕達は知っている。
ミノルがどうして機嫌をすぐ損ねて、不貞腐れるのかを。
「つーか。確かに酒呑むには便利だけど、頻繁に来るのもどうかと思うぜ、異世界」
何を今更。
と、言おうとしたけれど、ミノルは行儀悪くテーブルに足を投げ出し僕らを睨みつける。
酒がないと嫌だ、と言ったのはミノルじゃないか。
酔いが回ってきたらしい、僕達は密かに溜息を吐く。
「勇者は、終わったんだよ。魔王が居なくなったから、終わったんだ。いい加減、止めようぜ面倒だ」
面倒って・・・ミノルは特に、何もしてないと思うよ、うん。
「召喚された最初の原因は、魔王だろ? 4大魔王が今は・・・3人も生きてるが人間と共存してるだろ? 勇者なんて別に不要だと思うんですけどー」
止める間もなく、トモハルのビールを一気飲みしたミノル。
あー、嫌な予感。
「でも、俺は関わったことだし、今更”はい、さようなら”なんて出来ないよ」
静かに言い放ったトモハル、それは、僕達も同じ気持ちだ。
・・・違うよ、トモハル。
ミノルは、そんなことが言いたいわけじゃない。
トモハルにあって。
ミノルにないもの。
僕とダイキにもなくて、トモハルにはあるもの。
勇者の要、絶大な人気と信頼。
・・・そうじゃない、そうじゃないものを、トモハルだけが持っているから。
「そもそも、ミノル。1星ネロは魔王が居なくても世界中で戦争が頻繁に繰り返されて・・・。お前が一度くらいビシッと、さ。姿を現せば」
「まーっぴらごめんだぜ、そんな茶番! 大体、ここの惑星の住民だけ、他の惑星に比べて知能というか・・・戦国時代じゃねーけど、争う事しかしらねーんだよ」
「統一を志す人が多い、とも言うと思うけど」
「ここがどんだけ派手に戦争しようが、俺には関係ないね! 俺の使命は終わったんだ、あの日に、あの魔王を倒した日で終わったんだよ!」
テーブルから、フォークが転がった。
勢いでミノルが、拳を叩き付けるから振動で。
ミノルは。
勇者が嫌いだ。
気持ちは・・・解らないでもない。
けれど、ミノル。
勇者でなければ、彼女は・・・救えないよ。
救いたいくせに、本当は勇者で居たい筈なのに。
”勇者”が彼女を連れ去ったと、消し去ったと思っているから、前に進めない。
「終わってないだろ、ミノル。まだ、これから・・・いや、俺達が選ばれたのにはワケがあるんだ」
「うるせーな! トモハルはマビルのご機嫌とってりゃいーだろうがっ」
僕達が勇者にならなければ、彼女は生きていた筈だと。
ミノルが思い込んでいるから、先に進めない。
トモハルとミノルの口論は続く、あぁ、こう騒ぎが広がると注目を浴びるんだよね。
僕は、隣のダイキと溜息を吐いた。
いつもの、ことなんだけど。
トモハルの、大事な大事なマビル。
トモハルだけが、好きな女の子と一緒に居られる。
性質が悪いのは、マビルと僕らの大事な彼女が顔が似てる、ってことかな。
似ていて当たり前、双子の姉妹だ。
不意に。
トモハルとマビルを羨望の眼差しで見つめているミノルが、いる。
自己嫌悪を繰り返し、トモハルに八つ当たりしか出来ないミノル。
自分のせいで、彼女を苦しめ、追いやる破目になったと未だに後悔しているミノルは。
想いが行き場をなくして、よくあぁして爆発するんだ。
・・・けど。
「男だろ、もっとしっかりしろよ! でっれでっれ毎日毎日、マビルマビルマビルって」
「とっかえひっかえ女の子を泣かせて、ヤリ逃げミノルとか言われるよりマシだと思うけど」
「だから、誰がいつヤリ逃げしたんだよっ!」
「そう見えたから、そういう噂が流れたんだろっ」
「あんな我儘女の尻に敷かれてるお前の気持ちなんて、さーっぱりだ」
「・・・」
あ、やばい。
トモハルがキレた。
いい加減、学習してよミノル。
トモハルに”我儘マビル”は禁句だ、逆鱗に触れるって何度痛い目見たら・・・。
ゆらり、とトモハルが立ち上がった、僕とダイキには次の台詞が解るんだ。
『マビルは我儘じゃなくて、ただ寂しがり屋なだけだ』
「マビルは我儘じゃなくて、ただ寂しがり屋なだけだ」
心で思ったら、全くトモハルとはもってしまった。
・・・あぁ、やれやれ。
ダイキを横目で見れば、そ知らぬ振りで珈琲を飲み始めていた。
・・・。
「毎晩毎晩よくもまぁ抱き抱えてベッドまで運んで、おやすみーって! 女々しいんだよっ」
覗いてるわけ!? ミノル? ・・・あぁ、そうか、羨ましいのか・・・。
「・・・そんなに頻繁に覗くということは、意図的にマビルの着替えを見ようとしてるだろお前」
違うと思うよ、トモハル。
「だぁれが、覗くか! トモハルと一緒にすんな、ボケがぁっ」
「いつ俺が覗きたいなんて言ったんだよ!」
「毎晩毎晩一緒に居て、未だに手が出せねぇ臆病者の癖に、口だけ立派で」
互いに、胸倉を掴んで乱闘騒ぎ。
僕は、項垂れた。
部活で疲れてるんだ、頼むから大人しくしててくれないかな二人とも。
考える暇も与えてくれず、二人はヒートアップだ。
互いに罵りあいが始まった、っていうか知らなかった、トモハルは本当にマビルと何にもないんだ。
いやいや、そんなこと考えている場合じゃない。
観れば、周囲も乗ってきた。
騒ぎたて、囃し立て、別の場所でも乱闘が。
・・・これで勇者様御一行だというから、本当に泣けてくる。
「俺はミノルと違って好きな子としかしないんだよっ」
「はっ! 俺だって、好きな子としかしてませんー」
「本命を傷つけ泣かせたお前に、言われたくないねっ!」
「や、やかましいっ」
喧しいのは、ミノル、トモハル、二人共だ。
僕は。
立ち上がって、大きく深呼吸。
ダイキが耳を塞いだのを、見逃さなかった。
「大体、ミノルは・・・」
「前から、トモハルは・・・」
息を大きく吸い込む、止める。
「二人とも、いい加減にしろーーーーーーっ!!!!」
腹の底から、大声を出す。
あぁ、すっきりした。
シン、と静まり返った居酒屋、全員手を、無論口も止めて僕を見ている。
・・・流石に大声を出しすぎたみたい?
大きく肩を上下させながら、僕は呼吸した。
右手で喉を押さえる、なんか少し痛い。
「ご、ごめん」
「わ、悪いな」
気まずそうにトモハルとミノルが大人しく、着席してあたふたおどおど。
ふぅ、どうにか収拾できた、かな?
ダイキは隣で大人しく、再び珈琲を飲み始めていた。
一瞬、静寂が訪れた居酒屋だけれど再び喧騒の渦、だ。
まぁ、活気がない居酒屋なんて居酒屋じゃないけどね。
ミノルからアルコールを没収し、ほんわりまったり。
いい加減、本題に入りたいよね。
明日も高校だ、早く帰宅して眠らないと授業中起きていられないよ僕。
「それで、今日なんだけど」
僕がそう切り出した矢先、だった。
出入り口で、小さな悲鳴が聴こえた。
次いで、周囲の状況に異変。
皆、声も密かに席を移動しつつ・・・。
「何?」
トモハルが不思議そうに立ち上がる、僕も振り返った。
明らかに、下卑た感じの・・・無骨な・・・悪漢?
怯えている女の子達をはべらせて、中央のテーブルを陣取り、酒を注文している。
皆、目を逸らして関わらないように隅のほうへ。
逃げるように、会計を済ませている人達も居る、あの人達は・・・。
「今晩も来たよ・・・この店も厄介な奴等に気に入られて」
「でも、傭兵様様だもんなぁ・・・」
隣のテーブルの人達が身を屈めて、そう呟いていた。
傭兵? あぁ・・・この街に雇われているとか、かな。
1星ネロの最新状況が解らないから・・・なんともいえないけれど。
すでに酔いが廻っているのか、素なのか。
酒を注がせている女の子達への態度が・・・横暴すぎる。
音がした、トモハルだ。
剣を引き抜こうとして、ミノルに止められたらしい。
・・・さぁ、どうしよう。
何者なのかイマイチ把握も出来ていない、けれど、酷い。
耳障りな笑い声、皿をフォークで叩いて従業員を呼び、ウェイトレスの女の子を片っ端から呼んではセクハラまがい。
まがい、じゃないか。
トモハルの我慢も、限界に近いよね。
唇を噛締めて、ミノルに必死に抑えられているけれど。
でも。
女の子の悲鳴が、響き渡った。
テーブルに投げ出されて、服を破られたんだ。
・・・さぁ、行こう。
これ以上は、目を瞑っていられない。
「おいで、セントガーディアン」
トモハルの、専制。
剣を引き抜くとそのまま素早く駆け出した、さて続こう。
「行くよ、カラドボルグ、火鳥」
僕は背の剣を二本、引き抜いた。
普通の人間相手に、勇者の剣と霊剣を使用しなくてもいい気がするけれど。
念の為。
忌々しそうにミノルが舌打ちしたのが解る、面倒だ、って事なんだ。
けれどもミノルは隣を走っていた、結局ミノルだって見て見ぬ不利なんか出来ない。
「物騒な物は仕舞え、トモハル!」
トモハルを追い越して、傭兵の一人に踵落としを食らわしたミノルは満足そうにというか、優越感に浸って腰に手を当てた。
・・・いや、ミノル。
多分トモハルは剣で斬りかかろうとしたわけじゃないよ、傷つけようなんて思ってなかったよ。
むしろ、今の行動は。
「何すんじゃぁ、このガキャァァァ!!」
・・・憤慨した他の傭兵達が一気に立ち上がり、腰の剣を引き抜く。
うん、油に水を注いだね。
けれども、ミノルが引く筈もなく。
周囲は悲鳴を上げて逃げ惑う、店内は大混乱だ。
「うっせーよ! 何様か知らねぇけど、アンタら迷惑なんだよ」
大声で張り合うのかなんなのか、口喧嘩はミノルの得意分野だ。
何故か剣を抜いただけで斬りかからない傭兵達、辛うじて理性はあるんだろうか。
あぁ、面倒な事になったなぁ・・・。
宿題、まだやってないんだよね・・・。
だから、アルコールが入るとロクなことがないと、前から・・・。
と、考えても仕方がない自業自得な反省というか文句というかを脳内再生していたら。
耳を切り裂くような悲鳴が、外から聴こえてきた。
「何だ!?」
店内に居た全員が、そちらに集中する。
夜の空気には、煩すぎる程の足音が聞こえてきた。
店の扉を勢い良く開けて、入ってきたのは先程出て行った街の人。
「た、助けてくれ! 隣の街が攻めてきたんだ!」
当然、救いの言葉は僕達ではなくて、酒乱騒ぎを起こしていた男達に向けられている。
そういえば、傭兵、って呼ばれていたね。
・・・隣の街と、交戦しているらしい。
しかし、夜に奇襲攻撃だなんて・・・、何が発端なんだろう、そもそも、原因なんてないのかもしれない。
男達は、下卑た笑い声で街人を突き飛ばしふんぞり返ってテーブルで胡坐をかき始めていた。
・・・なんとなく、予感。
「ヤだね。そこのクソ餓鬼共におれらは腹立ってんだ、土下座でもすれば守備に入るけどよ。酒も台無しだぜ」
これだ。
なんて我儘な大人なんだ、傭兵ってことは、お金貰っているはずなのに。
当然、怒りの矛先は僕らに向けられるだろう。
でも、ね。
ここの人々は、僕らが誰かなんて知らない。
別に知らなくても構わない、寧ろ、知らないほうが良い。
「ケンイチ、火の鳥」
「了解、トモハル」
攻撃的な瞳で見てくる街の人達を擦り抜けて、トモハルが歩き出した。
不愉快な笑みを浮かべている傭兵達の脇を通り抜けて、僕らも追う。
「ミノルとダイキは先制攻撃、俺は守護の呪文を張る」
「あいよ」
「了解」
トモハルの指示、ミノルとダイキも剣を引き抜いた。
外に出れば、異様に明るい箇所がある。
・・・火を放ったらしい、なんてことを!
この街の全体が解らないけれど・・・目の前でトモハルが軽く跳躍して一気に視界から消えた。僕は空を見上げる、後方で悲鳴が上がっていた。
上空に浮かんだトモハルは、一気に戦況を見渡して叫ぶ。
「魔法使いがいる! 前列に弓兵、後方に魔法使い、火の矢を放っている」
宙に浮かんでいるトモハルを唖然と見つめている人々、だろうね、彼は魔法で空中浮遊が可能だ。
「火鳥、力を貸して」
僕は、引き抜いていた剣を空へと掲げた、これは霊剣だ。
数年前、勇者に成り立ての頃出合った魔法剣士が所持していた物。
僕が所持してよいのか解らないけれど、今もずっと、預かっている気分。
剣を掲げれば、ふわり、といつものように蝶の大きさくらいの火の鳥達が数羽、空へと駆け上った。
殺傷能力は、勿論あるよ。
でも、今回はそんな事に使わない。
ただ、街中を明るく照らしてトモハルに的確な指示を出してもらいたい、それだけ。
幻想的な、火の鳥達が、街中へと広がった。
同時に、トモハルの詠唱が終了したらしい。
要の彼だけれど、得意なのは攻撃よりも防衛だ。
・・・過去に様々な事があって、そうなってしまった。
街全体を薄い膜の半球体で囲んで、そのまま上空で瞳を閉じている。
「ダイキ! 怪我人の保護。右前方」
球体内部の状況を読み取っているみたい、結構疲労するんだけど、無茶をするねトモハル。
トモハルが状況把握に徹するのなら、回復係として適任なのはダイキだ。
僕とミノルは、不得手だから。
だから、ダイキの代わりにミノルを追いかける。
先制攻撃が僕の役目になる、抜けた部分を補うんだ。
トモハルの張り巡らせた結界は、火の矢も魔法も掻き消してくれる。
・・・簡単なことじゃない、トモハルが死に物狂いで習得した魔法だ。
大事な大事な人を護る為に、それだけに習得した魔法だ。
こんな広範囲で使用したら体力とて、魔力とてすぐに底をつくだろうから短期で決めないと。
僕は上空のトモハルを、微かに見上げてから狼狽中の隣の街の人? を瞳を細めて見やった。
武装している、剣とて兜とて、結構立派だ。
街同士で戦争にしては、大規模すぎないかな?
そういうもの、なのかな?
「な、何者だ貴様ら! 新手の傭兵か!? 幾らでついたのだ、倍額出すからこちらに・・・」
「偶然居合わせただけです、お金なんて貰ってません。お引取り、願います」
人ゴミの奥の方から、声がしてきたから反射的に返答。
この部隊を率いているリーダー格なんだろうけど、前に出てこないところがまたなんとも・・・。
僕とミノルは剣を構えた。
「こっちはなぁ、フツーに酒飲んでたんだ! それをめっちゃくちゃにしてくれやがって・・・。酒代、払えよな!」
ミノル・・・そこは問題にしないで欲しいな・・・。
そもそも、毎回お金を出すのはトモハルじゃないか。
横目でジト、とミノルを見たけれど本人は全くお構いなし。
「何が原因でいがみ合ってるのか知りませんけど。今日のところはお引取り下さい、僕達には戦う気がありません」
と、言ってみたけれど納得するだろうか。
でも、無意味な戦いは避けたいし、そもそもの原因なんて知らないし、ホントに。
けど、判ってくれたみたいだ。
まぁ、空飛んで防御結界張ってる男に、火で周囲を照らす魔具を所持している男が居れば、普通の人は引くよね。
ここ、1星ネロの人々にはずば抜けて戦闘能力が高い人物がいない。
魔族やエルフなど、人型の他種族も存在しない。
数年前までは、幻獣星から強引に召喚して使役させていた召喚獣がいたけれど僕達が元に戻した。
そう、戦争の道具として召喚師達が大量に存在し、召喚獣をどれほど大量に、強力に使いこなせられるかで戦争の勝敗を決めていたんだ。
で、魔王リュウが誕生したんだよね、この惑星。
ある意味、自業自得だったんだ。
魔王リュウは、幻獣星の皇子。
身勝手な1星ネロの召喚師達を赦せず、自ら魔王として惑星に降り、惨殺を繰り返した。
魔王リュウは本来非常に温和な竜族の皇子だ、今では自分の惑星でひっそりと暮らしている。
奴隷、いや道具の様に扱われていた召喚された者達を救出して強固な結界を張ったし。
行き来はもはや、並大抵の人間では不可能。
だから、今現在は本当に人間同士の・・・だけの、戦争だ。
この惑星が最も低文明な気がしてるけど、どうなんだろう。
「くっ・・・! 引くぞ」
あぁ、よかった言葉が通じたみたいだ。
引き上げていく人々を見つめながら、それでも剣の構えを解かないミノル。
油断するな、っていうのはミノルの癖。
ダイキとトモハルが怪我人の救護に辺り始めれば、徐々に人々が集まって市長まで出てきた。
・・・あぁ、長居したくなかったのに。
「あのぉ、これからも守護していただけませんかね?」
「いや、僕らは・・・」
こうなるんだ。
困惑気味にトモハルを見る、小さく溜息吐きつつ有る程度の治療を終えたトモハルは肩を叩きながらこちらへ来てくれる。
「原因は何なんです?」
「勢力争いです、もう、何年も繰り返して・・・」
「なら、話は簡単です。和解してください、そういうことで」
「いえいえいえいえいえいえいえいえいえ! 本来、あちらが先に攻撃をしかけてきたわけで、こちらは正当防衛です」
埒が明かない、けれど、このまま放置しておくわけにもいかない。
けれど僕らは高校生だ、眠い。
誰か他に守護できる人、いないかな・・・。
もしくは、両者を説得できる人、居ないかな・・・。
「トビィに頼めばいいだろ、一番強いし」
「・・・『断る』の一言で片付けられそうだけど?」
「んじゃ、マビルだ。結構強いし、街中に崇めさせれば気分良く・・・」
「だ、駄目だよ! そんな危ない事マビルにさせられるわけがないだろ!?」
断固拒否するトモハル、確かに、”危ない”ね。
・・・トモハルとは違う意味で、だけど。
「ダイキ、セーラとかメアリとかは? セーラなら理知的で適任だと思うけど」
「彼女達にも彼女達の都合がある、勝手には・・・」
ミノルの意見は、どれも聞き入れられない。
けど、このまま関わってしまったし街を放置するわけにもいかない。
困った。
僕達は困惑しながら、頭を掻いた。
誰も、傷つかないで人々が争いを止めてくれる方法・・・。
こんな時、彼女ならば。
麗しの彼女ならば、何をしただろうか。
頼ってばかりではいられないけれど、こういうとき、壁が立ちはだかったとき・・・願ってしまう。
”彼女が、居てくれたらな”、なんて。
空を見上げれば、満天の星空。
あぁ、あの宇宙の何処か、星河の何処かに。
・・・彼女はいるというのに。
ねぇ、聴こえる?
もし、ここにいたら・・・何をするかな?
・・・なんて、言ってる場合じゃないんだけどね。
考えよう、あまりに強固だと、他方からの襲撃を受けるかもしれない。
面白半分興味本位で仕掛けてくる人々もいるかも、しれない。
でも、誰も配置しないと・・・。
関わらなければ、知らずに済んだ現状。
神が不在で、荒れる惑星。
かといって、安定しない人々に魔具など与えても破壊にしか使わないだろう。
やはり人が必要だ、ここに。
「深刻に考える必要はなくね? 今まで通りこの傭兵達が護りゃーいんだろ。はい、終了、帰ろ帰ろ」
「で、ですが・・・!」
確かに、そうなんだけど。
傭兵達は機嫌を損ねているし、今後も街で我が物顔で立ち振る舞って人々の不安の種であり続けることに間違いはないし。
見捨てるみたいで、なんか・・・嫌だな。
「1星ネロの勇者は、ミノルだ。ミノルがそういうのなら、それでいこう」
「トモハル!」
トモハルらしからぬ発言に、僕は思わず叫ぶ、睨みつける。
まさか、トモハルがそんなこと言うなんて思わなかった。
真っ先に救助を先行すると思っていたのに・・・。
でも、僕らにとっては普通の会話でも人々にとっては聞き捨てならない単語が入っていて。
トモハルは、それを狙ったんだ。
一か八か、かな。
「勇者!? ど、どなたさまが!?」
「あ、こいつです」
僕もダイキも、トモハルが笑顔でミノルをずい、っと皆の前へ押し出した。
引き攣るミノル、そうだろうなぁ・・・。
「なんと、伝説の勇者様でしたか!? それならば不可思議な力も説明がつきますな、しかし多少口が悪い様ですが・・・」
「うるせー。
・・・言っとくけど、俺はお前らなんか無関心。勝手に争って勝手に自滅すればいいと思う、そのうち出現する歴史を動かす誰かが、統一して平和な世界を作り出すだろうよ」
開き直ったな、ミノル。
トモハルを睨みつけているけど涼しげな顔で、当の本人は微笑んでいる。
ふてぶてしい態度で、耳を穿りながらの気だるい応対に、憤慨する人もいたけど。
「・・・それは、御予言に御座いますか」
「へ?」
「判りました、このままでは共倒れで世界は破滅する、救世主の出現を待て、とのことですな!」
「いや、ちが」
「むぅ! 皆の者聴いたか!? 他者を広く受け止めねば世界は崩壊するのだ!」
「いや、そんなこと言ってねぇ」
ワー!
・・・。
すっごく都合の良いように市長さんが解釈してくれたお蔭で、唖然としているミノルを尻目にトモハルが前に出る。
こういアドリブがトモハルは上手いんだよね、僕も演出を手伝おう。
ダイキと目配せ、ダイキも神妙に頷いて剣を掲げる。
右往左往しているミノルは置いといて。
「力ある者が、その力を誇示し、人々を魅了し、もしくは慄かせて纏め上げる事は容易です。けれども、それでは長い目で見て駄目なんです。一人一人が、現状を理解し、隣の人々を見て、手を繋いで信頼して、皆で輪を作り上げないと。
現状に不満を抱く人々のほうが、多い筈です。
争いを好む人も中にはいるでしょう、何故ならば人間の思想は自由であり十人十色であるから。だから反発もあります、対立もあります。
けれど向かう先は同じはず、少しずつ交わって、理解し合って・・・極力皆が傷つかない世界を創り上げるのは、あなた方ですから。
勇者である、俺達が出来るのはここまで、助言だけです」
こういう時のトモハルは本当に妙に神々しくて、威圧感が有る。
口調もはっきりしているし、何より自信に満ち溢れているから人を安心させるんだよね。
爽やかな笑顔、気品有る佇まい。
あれは、僕らにはないものだ。
一種の、カリスマ。
僕とダイキが剣を掲げる、火鳥から眩い幾つもの炎が周囲に。
ダイキの剣からは、白い霧を発生させて周囲を取り囲んで。
ようやくミノルが頭を掻きながら、小声で文句を言いつつ剣を掲げた。
天空が一瞬煌く、遥か遠くの大地に轟音が鳴り響く。
「おぉ! 裁きの雷!」
どよめく人々、ミノルも雷系の魔法が得意だ。
われながら、非常に神秘めいた演出が出来たんじゃないかと思うんだけど・・・。
ダイキの発生させた煙に身を隠して、そっと、そっと僕達はその場から離れる。
騙していて、申し訳ないけれど、いや勇者は本当だけど。
・・・あまり惑星に介入してもいけないから、そっと、離れよう。
四人で駆けながら、そのうち、また様子を見にきてみよう、って思ったんだ。
争いは。
どちらかが消えるか、倒れるかの他に。
剣を捨てるという選択が出来る。
「ペテン師勇者トモハル様、今日も熱弁で」
「うるさいな! フォローしただけだろ、ミノルを」
「けーっ」
前方を言い争いながら走る二人を見つめながら、ダイキと軽く笑う。
僕らは。
四人。
・・・もう一人、ここにいる筈の”彼女”をこちらへ取り戻す為に。
きっと、これからも一緒の筈だ。
自然と決まった、勇者の役割。
僕らは、これで丁度良い。
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これの先が
早く読みたいわけだが
最近、KOCは農場とレベル上げのみだ…
面倒なので小説の間は足を運んでいない
読みたいものはここにあるし、なぁ…
あ、コロとか進めなければいけないか(苦笑
つーか、そのホテル、値段が…
最近、KOCは農場とレベル上げのみだ…
面倒なので小説の間は足を運んでいない
読みたいものはここにあるし、なぁ…
あ、コロとか進めなければいけないか(苦笑
つーか、そのホテル、値段が…
眠いんですよー
コレの続き、書きたいのですが眠いのです。
寒いし(関係ない)。
無駄な時間を費やして、GWの宿泊先を検索している私。
なので、トモハルのそのホテルが奥琵琶湖。
田崎様プロデュース万歳!!!!
寒いし(関係ない)。
無駄な時間を費やして、GWの宿泊先を検索している私。
なので、トモハルのそのホテルが奥琵琶湖。
田崎様プロデュース万歳!!!!
改稿中
※未成年の飲酒は、法律で禁止されています※
※煙草もです※
ここは、賑わう酒場。陽気な声が飛び交い、隣の声すら聞き取りづらい。
僕とダイキ、ミノルは二杯目のビールを飲んでいる。地球のビールの味は知らないけど、ここのビールは呑み易いから気に入っている。
地球では、高校生の僕らは当然未成年、飲酒禁止。
でも、こっちの星なら飲酒は十六歳から可能だから、時折こうして飲みに来ていたりする。成人の年代が違うんだよね、ズルしているように見えるだろうけど、気にしないで。
あぁでもミノル、煙草は良くないと思うよ。
目の前で煙草をふかしているミノルに、僕はわざとらしく煙たそうに片手を振って煙を逃がす。
それにしても遅いな……もう一人、来ない。約束の時間は、とうに過ぎているというのに。
「どーせ、またマビルのご機嫌取りだろーよ」
ブツブツと管を巻き始めたミノル、そろそろビールの注文は控えさせたいけれど、三杯目からミノルは呑み易いのかいつもカクテルだ。
全力で止めよう、後で被害を受けるのは僕達なのだから。
「ごめん、遅くなった」
そこへ丁度トモハルが、人混みを掻き分けてやってくる。安心した、話に集中していたらどうにかなりそうだ。
これで全員集合した。僕達三人は部活が終わってこちらへ直行したけれど、トモハルだけは優先すべき事があるから遅くなったんだよね。
「マビルをトビィに預けて来た、ごめん」
言わなくても、解るよトモハル。
そうしてクレシダにデズデモーナ、オフィーリアに無論トビィが苦悶の表情を浮かべていたのも見て取れるようだよ。 気の毒に。
マビル、というのはトモハルの恋人……だと思うけど本人同士は進展が全くない、変わった関係の女の子の名前だ。
とても、可愛らしい子だよ。我儘で寂しがり屋で、トモハルは彼女にぞっこんなのでこうして離れる時は安心した場所に送り届けてから来ている。
地球の日本は余程のことがない限り安全だけど、一緒に住んでるからトモハルがいないとあの子は寂しがるだろうね。だから、相手をしてくれそうな人に預けるんだよね。
可哀想なトビィ。
トモハルが席に着いて、同じ様にビールを注文した。同時に。
「えっとこのポロロッポー肉とニニガのメウウかけに……グロマ巻きの甘辛あんかけを」
なんだろう、そのポロロッポー肉とかニニガとかメウウとかグロマとか。
でもまぁ、注文してみた。
四人、揃った。直様運ばれてきたビールで、トモハル以外は本日二回目の乾杯をする。
と言っても、数時間前は高校で一緒だったけれどね。
僕の名前は、ケンイチ。数年前から騒動に巻き込まれて、勇者なんて仰々しい肩書きを貰った。惑星ハンニバルの勇者に就任? しているよ。
「で、どうして惑星クレオではなくて、ネロに集合だったわけ? 行き難いよね、この惑星」
届けられたビールを呑みながら、トモハルが眉間に皺を寄せる。うん、僕もそう思うけれど。
僕達四人は、それぞれ四つの惑星の勇者だった……じゃないか、今もそうだから勇者”だ”。
居心地が良いのは、惑星クレオかな。冒険をした惑星だ、魔王も倒した。……厳密に言うと僕らは歯が立たなくて倒していないけれど。
ここは、惑星ネロ。
最も僕らと関わりがなかった、ある意味忘れられた惑星かな。
「クレオだと、トモハルが目立つんだよ! どこ行ってもキャーキャーギャーギャー誰かがすっ飛んでくるだろ、落ち着けねぇ」
そういうこと。
親しんだ惑星な分、僕達は目立つ。余程田舎なら気にしなくても良いけど、大都市の居酒屋に四人で足を踏み入れようものなら……周囲が放っておいてくれない。静かに飲ませてくれない。特にトモハルは惑星クレオの勇者だから人気も僕らより高いし、容姿が整っているから余計に。
「まぁ、確かにネロなら、その点楽だね」
しれっ、と言ってトモハルは届けられた謎料理を食べ始めた。僕も食べてみる、見た目は普通だったし。
……よかった、美味しい。簡単に説明すると、豚肉? とゴーヤ? をスライスしたものを茹でて、梅? のソースをかけた温サラダだ。もう片方のは……マグロ? のローストに甘酸っぱい”あん”がかけてある。
※煙草もです※
ここは、賑わう酒場。陽気な声が飛び交い、隣の声すら聞き取りづらい。
僕とダイキ、ミノルは二杯目のビールを飲んでいる。地球のビールの味は知らないけど、ここのビールは呑み易いから気に入っている。
地球では、高校生の僕らは当然未成年、飲酒禁止。
でも、こっちの星なら飲酒は十六歳から可能だから、時折こうして飲みに来ていたりする。成人の年代が違うんだよね、ズルしているように見えるだろうけど、気にしないで。
あぁでもミノル、煙草は良くないと思うよ。
目の前で煙草をふかしているミノルに、僕はわざとらしく煙たそうに片手を振って煙を逃がす。
それにしても遅いな……もう一人、来ない。約束の時間は、とうに過ぎているというのに。
「どーせ、またマビルのご機嫌取りだろーよ」
ブツブツと管を巻き始めたミノル、そろそろビールの注文は控えさせたいけれど、三杯目からミノルは呑み易いのかいつもカクテルだ。
全力で止めよう、後で被害を受けるのは僕達なのだから。
「ごめん、遅くなった」
そこへ丁度トモハルが、人混みを掻き分けてやってくる。安心した、話に集中していたらどうにかなりそうだ。
これで全員集合した。僕達三人は部活が終わってこちらへ直行したけれど、トモハルだけは優先すべき事があるから遅くなったんだよね。
「マビルをトビィに預けて来た、ごめん」
言わなくても、解るよトモハル。
そうしてクレシダにデズデモーナ、オフィーリアに無論トビィが苦悶の表情を浮かべていたのも見て取れるようだよ。 気の毒に。
マビル、というのはトモハルの恋人……だと思うけど本人同士は進展が全くない、変わった関係の女の子の名前だ。
とても、可愛らしい子だよ。我儘で寂しがり屋で、トモハルは彼女にぞっこんなのでこうして離れる時は安心した場所に送り届けてから来ている。
地球の日本は余程のことがない限り安全だけど、一緒に住んでるからトモハルがいないとあの子は寂しがるだろうね。だから、相手をしてくれそうな人に預けるんだよね。
可哀想なトビィ。
トモハルが席に着いて、同じ様にビールを注文した。同時に。
「えっとこのポロロッポー肉とニニガのメウウかけに……グロマ巻きの甘辛あんかけを」
なんだろう、そのポロロッポー肉とかニニガとかメウウとかグロマとか。
でもまぁ、注文してみた。
四人、揃った。直様運ばれてきたビールで、トモハル以外は本日二回目の乾杯をする。
と言っても、数時間前は高校で一緒だったけれどね。
僕の名前は、ケンイチ。数年前から騒動に巻き込まれて、勇者なんて仰々しい肩書きを貰った。惑星ハンニバルの勇者に就任? しているよ。
「で、どうして惑星クレオではなくて、ネロに集合だったわけ? 行き難いよね、この惑星」
届けられたビールを呑みながら、トモハルが眉間に皺を寄せる。うん、僕もそう思うけれど。
僕達四人は、それぞれ四つの惑星の勇者だった……じゃないか、今もそうだから勇者”だ”。
居心地が良いのは、惑星クレオかな。冒険をした惑星だ、魔王も倒した。……厳密に言うと僕らは歯が立たなくて倒していないけれど。
ここは、惑星ネロ。
最も僕らと関わりがなかった、ある意味忘れられた惑星かな。
「クレオだと、トモハルが目立つんだよ! どこ行ってもキャーキャーギャーギャー誰かがすっ飛んでくるだろ、落ち着けねぇ」
そういうこと。
親しんだ惑星な分、僕達は目立つ。余程田舎なら気にしなくても良いけど、大都市の居酒屋に四人で足を踏み入れようものなら……周囲が放っておいてくれない。静かに飲ませてくれない。特にトモハルは惑星クレオの勇者だから人気も僕らより高いし、容姿が整っているから余計に。
「まぁ、確かにネロなら、その点楽だね」
しれっ、と言ってトモハルは届けられた謎料理を食べ始めた。僕も食べてみる、見た目は普通だったし。
……よかった、美味しい。簡単に説明すると、豚肉? とゴーヤ? をスライスしたものを茹でて、梅? のソースをかけた温サラダだ。もう片方のは……マグロ? のローストに甘酸っぱい”あん”がかけてある。
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