忍者ブログ
別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
[740]  [744]  [743]  [738]  [741]  [742]  [739]  [736]  [737]  [735]  [734
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

めも。

アレク&ロシファ

アーサー他チュザーレ組

マビル

トモハル&ミノル

アサギ

アサギ&トビィ



あああああああああ!!!!
さっき書いた小説返してー(絶叫)。

窓から視線を外すことなく、ロシファの表情など知ることなく。
アレクは上機嫌で再び口を開いた、些か興奮気味に。

「私達の事を”敵ではない”と、言ってくれたんだ。今もイヴァンに居てハイと仲良くやっている。あの子とならば、必ず私達の夢も実現できる、そんな気がする」

どう思う? ようやく振り返りそう訊いて来たアレク、げんなりとロシファはテーブルに突っ伏した。
まだ、自分の質問にすら答えて貰っていないというのに。
椅子に力なく座り込んだまま、溜息を吐きつつ小言を呟き続けるロシファに、無邪気に瞳を光らせながらアレクは返答を待つ。

「落ち着いてね、アレク。嬉しい気持ちは良く解ったわ。でも、私の質問にも答えて欲しいの。まず、一つ目よ、いい?」
「どうぞ」
「今度から、そういう重要な事は真っ先に言って欲しいの。約束できる?」
「うん、約束しよう」

子供に語りかけるように心底丁寧に、スローテンポで教えるロシファ。
若干嫌味も入っているのだが、アレクには気付かない。

「それで、その勇者は”セントラヴァーズ””セントガーディアン”、どちらの所持者なの?」
「・・・勇者の武器、か。彼女はそれを所持していない気がする」

アレクとて、会ったのは昨日だけだ。
魔族会議出席中にはそのようなものを手にしていなかったように思える、無論、食事会の時も。
思い浮かべながらアレクはそうおぼろげに呟いた、ロシファは静かに立ち上がると本棚へと歩み寄った。
一冊の本を手にし、後半をぺらぺら、と捲り始めた。
手製の本、唯一の本。
先祖代々護られてきた、古代からの本。
4星クレオにエルフ達が生まれ出でてから、護られてきた本。
人間が手にすれば、絶大な知識を得られるであろう究極の価値を持つ本だ。
丁寧に扱わねば、古くなった紙が破れて字とて見えなくなっていく。

「セントガーディアン。伝説の神器、勇者の武器。眩い光を放ちながら勇者が”勇者に目覚めたときにこそ”力を発揮する、守護の剣。護るべき者を強く想い続ける事によって、増幅できる特殊な剣。傷つけるのではなく、全てを守り抜くこそが使命だと思えた者のみが手に出来る、”優”の剣」
「彼女らしい気もする」

読みなれた本を、声に出しアレクに聴かせる。

「セントラヴァーズ。伝説の神器、勇者の武器。非常に特殊な素材で出来ており普段は何の変哲もない腕飾り。付属の石を”反応させる事が出来た者のみが”その稀な効果を発揮させられる、変化の剣。所持者の思い通りの武器形態に変化させられる、攻めの武器。ありとあらゆる状況に合わせ変化させた武器を使いこなす事が出来るのならば、武器の申し子。セントガーディアンとは真逆の”攻”の武器」
「名前に似つかわしくない武器だ、彼女のイメージではないかな」

椅子に腰掛、茶を啜るアレクに一瞬視線を投げかけたがロシファはそのまま続けた。

「その昔。セントラヴァーズを使いこなす事が出来た人物は、愛する者を護る為だけに武器を手にしていたからそう名付けられたのよ」
「成程。・・・どちらの勇者だろう、今は判別出来ないよ」
「何をもってして、彼女が勇者だと?」
「ハイが、一目惚れをした勇者だ。勇者の石を所持し、異界から呼び寄せられた少女であることは間違いない。非常に不可思議な空気を身に纏っているよ」

本に視線を落とす。

「・・・勇者の武器は。その昔、まだ、神が人間を創って間もない頃に。神と、魔族と、エルフ族が作りあげたもの。いつの日か、互いに仲良く暮らすことなくいがみ合い、敵対し合い、戦争を繰り返すであろうことを予見して造り出されたもの。保管は、神が創った人間へと託された。神でも、魔族でも、エルフでもない、ひ弱な人種に託された。無限の可能性を秘めている、ある意味未知なる種族・・・それが、人間。その後人間達が何処へそれらを保管する事にしたのかは、私たちは知らないけれど。絶大な力を秘めた二つの武器は、幾度として野心を抱く魔族を脅かした。けれども、破壊など出来るわけがない、何故ならば創製には神だけでなく、魔族の祖先も関わっているのだから。・・・過去の人は、本当に立派だわよね」

生まれ居て出た頃、皆、種族が違えど願いは同じだったはずだ。

”幸せに、暮らしたい。”

それが、願いだった筈だ。
だが、均衡は崩れる。
いつか、誰かの心に邪な念が生まれ出でる。

「武器を持っていないって・・・それはそれで、どうなのかしら」
「別に所持していなくても問題はないと思う、戦う必要などない」
「・・・異界からやってきた、他の魔王様方は? アレクの意見に賛成とは思えない方々だけれど」

隙あれば、アレクを亡き者にし世界を乗っ取ってしまうような・・・そんな雰囲気が他の魔王にはあった。
ゆえに、ロシファは心配していたのだ。
アレクが非常に強い魔力の持ち主である事など、知っている。
しかし、多勢に無勢ではいくらアレクとて無理なのだ。

「リュウは相変わらず理解出来ない突拍子もない行動をとるけれど・・・彼女には親切だ。ミラボーとて同じ。ハイに至っては、もう虜だからね」

俄かに信じ難い。
魔王を心酔させられる勇者、とはどんな人物なのか。
ロシファとて、他の魔王を見たことがないわけはなく。
一度、無理言ってイヴァンへ連れて行ってもらい、その時に三人の魔王にも会っている。
最も危険な人物、と判断したのは他でもないハイだった。
目に映るもの全てが白黒、絶対零度の世界で近寄るもの全てを切りつけるような、そんな雰囲気だった。
だが、まさかハイが勇者を連れてきた、とは。
興味が湧かざるを得ない。

「一刻も早く、平和な世界を創り上げよう。まだ魔族の中には人間に敵対心を持つものが多くいるけれど、彼女となら何とかできる・・・いや、なんとかする。隔たりをなくした世界を創り上げ、そうしたら四六時中共に居よう、ロシファ」

ロシファは本を棚へと丁重に戻した、そうね、と静かに微笑むと近寄りそっとアレクの頭部を抱き抱え子供をあやす様に撫でる。
昔から、アレクが寂しそうに呟いていた言葉だった。
半ば諦めかけていた、夢だった。
だが今日はどうだろうか、非常にやる気が感じられる、熱望した夢を叶える努力をすべく自信に満ち溢れている気がする。

「そうね。頑張りましょう、アレク。ところで、私もその勇者に会ってみたいのだけれど・・・。会わせて貰える?」
「勿論。そのつもりでここへ飛んで来たのだから。都合をつけるから、暫し待っておくれ」
「うん、解ったわ」

自分の前でしか殻から出てこないアレクに、ロシファは心底魔界での生活を心配していた。
まるで、学校に行かせた親の如く。
頼りないわけではないが、繊細な心は崩れ易い。
本音は魔王を辞めてこちらで二人で暮らしたいが、現魔族の長は能力ではなく血筋で継承される。
正統なる魔王・アレクの肩書きは崩すことが出来ない。
アレクとて、ロシファと共に居たいが今自分が下りてしまえば魔族は人間へと侵略を開始するかもしれない。
次期魔王が、自分の目に叶う者が現われたのならば・・・その人物が絶大なカリスマ性を誇り、魔族を一丸と出来たならば・・・交代したい。
アレクの従兄弟・ナスタチュームとてアレク同様の意見の所持者で、彼とも気が合っていたが分け合って魔界イヴァンを離れている。
味方など少人数。
降りかかる重責、今の自分が幾ら平和を唱えたところで反発するものが多々居る事など目に見えていた。
実際、自分をよく思わず暗殺したい輩とて、少なくはないと聞いている。
二人は、身体を寄せ合いながら震えた。
捨てたい魔界の王の名。
けれども二人の願いを叶える為には、絶対的に必要となる名。
『平和な世界で、二人が仲睦まじく暮らすこと』
それが、願い。

「ロシファ、先程の茶葉を貰って帰ってもいいだろうか。室内で飲むと落ち着きそうなんだ」

来た日は、何かしらアレクは魔界へと持って帰る。
ロシファを思い出し、少しでも安らぎを捜し求めているのだろう、と胸が微かにキリリ、としたがロシファは直様茶葉を用意し始めた。

「多めに入れておくわね。他にも入れておきましょうか、循環を良く出来るように、カモミールにペパーミント、レッドクローバーにワイルドストロベリー、びわの葉とレモンバーム、セージと紅花、すぎなをブレンドした、私特製のお茶なんてどう?」
「はは、いいね。今度一つ一つ、教えて欲しいかな」
「えぇ、もちろんよ。たくさん作って置いたから皆さんで戴いてね」

日が陰る。
あまり魔界を不在にしていても立場上良くないので、アレクは名残惜しそうに正面からロシファを抱き締めると、何度も髪に口付けを降らせて帰宅した。
手には、多々のハーブティ。

「レモンバーム単品は生だから、早目に・・・寧ろ今夜飲んでね。ブレンドは乾燥しているから常備しても大丈夫よ」
「うん、ありがとう」

ロシファの身体からは、自然の香りがする。
優しい、素朴な、大地に寝転がった香りだ。
やがて、アレクが去り。
ロシファは乳母と共に夕飯の支度に入っていた。
小麦入りのパンに、豆を数種類入れてトマトで煮込んだスープ。
質素だが、豪華でなくとも構わない、味わい深い大地の恵みの食事である。
アレクとの会話を一頻り愉しんだ夜は、昂ぶる気持ちと反面良く眠りにつけた。
安堵で気が緩むからなのかもしれない、今日も元気そうだった、と。
眠りについたロシファだが、夜半に何故か目が冴えた。
喉が渇いた、起き上がり傍らの水を飲めば不意に気付く。
暗闇で光を放つ、緑の瞳が鋭く、険しく細められると思わず窓からロシファは飛び出す。
そのまま裸足で暗闇の森を疾走した、乳母は起きていないだろう大丈夫だ。

「夜更けに珍しい訪問者さんですね、こんばんは。ですが、お引取り願えますか。・・・森の皆は寝静まっています」
「・・・」

滑るように走り抜け、立ち止まった先に声をかける。
暗闇で見えないが確かにそこに、誰かが居た。
無意識の内に身構えたロシファ、来訪者は微かに身動ぎした。
ロシファの瞳が一層細くなる、非常に冷淡な光を放ち温和な雰囲気など微塵もない。

「・・・まさか、エルフの姫君が。ここまで攻撃的な方だとは」

高音。
女の声だ。
夜の空気に一際映える、美しい声だった。
まるで、無音の聖域の泉に落ちる、水の雫のような。
ようやく、人の形が見て取れた。
深紅の瞳は、吊り上がり気味。
手にしているのは・・・木でできた杖だろうか。
細身の女性のようである、瞳から生気が感じられないのが気がかりだが。

「人間・・・? 迷い込まれたわけではなさそうね」

感じ取った空気の流れから、種族を推測したロシファだが来訪者は答えない。
ず、と足を開き腕を構える。
肉弾戦である、ロシファは意外なことに格闘技が得意なようだ。

「信じられない、武器を使わず、魔力よりも・・・自らの身体で攻撃されるとはね。ただのお姫様とは違う、と」
「お生憎様」

ロシファの構えを見、感嘆に近い声を漏らした来訪者は自分は杖を構えなかった。

「計算違い。ここまで早く侵入が見破られるとも思わなかったし、今日は退散致しましょう」
「今日は? 永遠に退散してちょうだい。ここは聖域、人間立ち寄るべからず」

シャン・・・。
杖を空中で揺すると、何かが音をたて、来訪者の姿が掻き消えた。
静寂。
それでもロシファは態勢を崩すことなく何処からも攻撃を受けられるように身構えていた。

「まさか・・・結界を破って入れる人物がいるだなんて・・・」

ここは、孤島だ。
迷い人ではない、明らかな侵入者である。
意図的な。
誰だ。
誰の手先か。
この島には、ロシファと乳母の二人しか住んでいない。
他のエルフ達は、一定の人数で固まりながら世界中に散らばっている。
決して単独で行動しないのは、邪悪な者達から身を守るためだ。
一箇所に固まっていては、全滅の可能性がある。
ゆえに、親族で固まって転々と土地を変えたりする者達もいれば、人里離れ切り立った崖の合間の谷に住まう者達もいた。
エルフの血は、魔力増幅の効果を持つ・・・と知れ渡ったからだ。
無論、誰しもが知っていることではないが、知った者が邪念を抱けば当然乱獲に乗り出すだろう。
ロシファのこの住まう島は、エルフ族が結集し結界を施した。
今までは誰にも見つけられることなく、平穏に暮らしていたのだが。
・・・いや。
アレクには見つかった、か。
アレク以外には、許されない未知なる領域だった筈だ。
結界の力が弱まっているのか、それとも、先程の者が遥かに凌ぐ魔力を所持しているのか。
相手は、女。
相当綺麗な、女。
そして人間。
迷い子の清らかな人間であるなれば、大歓迎だ、しかし・・・。
彼女からは生気が感じられない、彼女の背後で何やらが犇いていた。

「彼女を媒介にして入ってきたとしか、思えない・・・」

明らかな、悪意。
ロシファはようやく身体の構えを解いた、森は静寂に包まれ普段通りの静けさを取り戻している。
どっと、背筋から汗。
護身用に憶えたこの体術は、自分の身体に流れる戦闘的な魔族の血の為か。
見た目では解らないが、ロシファの戦闘能力はそこらの魔族よりも上である。
魔力の底も計り知れないエルフ、研ぎ澄まされた感性の技術。
非力であれども、ロシファの戦闘スタイルは力2:技8。
それに鉄壁の補助魔法と治癒魔法が加わるのだから、能力は非常に高いのだ。
実戦をしたことなどは、ないが。
だが、万が一の事態に備えて今までもこれからも訓練は怠らないだろう。
魔王アレクの恋人として、エルフ族の筆頭に立つものとして。

「誰の・・・手先?」

ロシファは月を見上げ、鋭く呟いた。


「・・・ほぉ。まさか姫君が」
「はい。能力が高過ぎます、現在の私で五分五分・・・かと」
「ふむ、お前に匹敵する、とな? この私が丹精籠めて練り上げた魔力を施したお前と同等、とな?」
「はい。ミラボー様、いかがされますか?」

漆黒の髪、深紅の瞳。
整った顔立ちでミラボーに跪いている人間の、美女。
エーア・シェルキア。
先程、ロシファーザ島から帰還したばかりだが、極秘な任務ゆえに直様ミラボーに状況報告である。
しかしながら、エーアの存在自体知り得る者がミラボー以外存在しない。
ひっそりとミラボーが呼び寄せ、普段はミラボーの部屋に閉じ篭っている。
まさかこのような人間の美女を囲っていようとは誰も思うまい。
無論、それはただの手ごまなのだが。
人間のほうが動かし易い場合もある、エーアはミラボーが3星チュザーレにおいて破壊と殺戮を繰り返していた際に捕らえた、目を見張るほど魔力の高かった女だ。
洗脳し、籠に閉じ込めている。
忠実な、人間の部下。
反抗などしない、確実に任務をこなす。

「まぁよい、能力が高かろうとも所詮は二人きりのエルフ。良い案があるで、暫しお前は休んでおれ」
「畏まりました」

暗闇で、ミラボーはにんわりと下卑た笑いを浮かべた。
 

PR
この記事にコメントする
お名前
タイトル
文字色
メールアドレス
URL
コメント
パスワード   Vodafone絵文字 i-mode絵文字 Ezweb絵文字
この記事へのトラックバック
この記事にトラックバックする:
カレンダー
10 2024/11 12
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新コメント
[10/05 たまこ]
[08/11 たまこ]
[08/11 たまこ]
[05/06 たまこ]
[01/24 たまこ]
[01/07 たまこ]
[12/26 たまこ]
[11/19 たまこ]
[08/18 たまこ]
[07/22 たまこ]
フリーエリア
フリーエリア
最新トラックバック
プロフィール
HN:
把 多摩子
性別:
女性
ブログ内検索
カウンター
Copyright © あさぎるざ All Rights Reserved.
Designed by north sound
Powered by Ninja Blog

忍者ブログ [PR]