別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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よっこらせ。
ベシュタ帰宅 ⇒ 婚約
トリプトル帰宅 ⇒ 事件発生
トロイ帰宅 ⇒ アース救出
リュミ合流 ⇒ 狼狽
ベシュタ帰宅 ⇒ 婚約
トリプトル帰宅 ⇒ 事件発生
トロイ帰宅 ⇒ アース救出
リュミ合流 ⇒ 狼狽
その日、光の精霊ベシュタの婚約が発表された。相手は女神エロースの姪にあたる美女・ガーリャであり、周囲は契約婚だと噂した。この日初めて互いに顔を合わせた新婚夫婦は、興味を持たないままに身体を重ねた。
野心の為に結婚したベシュタと、時期神候補に選ばれるであろう夫を持つことに夢を抱いたガーリャ。利害は一致している、仲睦まじい夫婦を演じることなど、容易い事だった。
美しいガーリャの金髪に指を通し、その触り心地に顔を顰めたベシュタは情事後直様身体を洗う為浴室へと向かう。荒い呼吸でベッドの上に寝転がっていたガーリャは、そんな夫の様子を見つつそれでも気にしなかった。
そこに恋愛感情などないからだった、女神エロースに言われるがままに縁談を受け入れたガーリャにとって、ベシュタに思い人がいようがいまいが関係はない。
身体を”清めて”戻ってきたベシュタに、ガーリャは水を差し出す。受け取り、飲み干したベシュタは座りなれたソファに腰を下ろすと髪をかき上げた。
軽くローブを羽織ったガーリャが近づいてくる、何かをそっと差し出してきたのでそれに眼を落とした。
「大事なものですの? 装飾品小箱にしまっておきましょうか?」
思わず勢いよく奪うと、強くそれを握り締める。一瞬躊躇したが、大きく振り被るとそれを窓から投げ捨てた。抑揚のない声でガーリャが告げる。
「よかったのですか?」
「……気にしなくてもよい」
爪を噛み、身体を小刻みに震わせたベシュタに、ガーリャは追求しなかった。触れてはならない話題だと悟ったからだ、そのまま礼をして自らも浴室へと向かう。身体の体液を洗い流す為に。
窓から放り投げられたのは、団栗だった。アースがベシュタに渡した、団栗の腕輪だった。庭に転がったそれは、誰に気付かれるわけもなく、ひっそりとその場で……発光している。
女神エロースに呼ばれて、ようやくトリプトルは面会を許された。謁見まで何処にも行くことを許されず、家に帰ろうにも戻れずに拘束された。狭い個室に、時折交代でやってくる者い文句を言いながら苛立ち、足を踏み鳴らす。机を叩き、壁を殴り、喚き散らしていた。
「待たせましたね、火の精霊トリプトル」
瞳を細めて、大粒の真珠を身体中に散りばめた女神エロースの前へ案内されたトリプトルは、形式だけの礼をすると直様噛み付くように発言する。その態度に周囲が止めたが、叱咤したのはエロースだった。
「対等に話を聴きましょう、皆下がりなさい」
人払いに全員が不満の声を上げたが、エロースが軽く睨みつけただけで皆、部屋から出て行った。静まり返った室内に取り残されたトリプトルと、余裕の笑みで豪華なソファに腰掛けているエロース。
「さ、話を聴きましょう。どうぞ」
優雅に腕を差し伸べられたので、挑むような目つきで女神に直に発言した。
「……光の精霊ベシュタが派遣されたことに対して意義があります」
当然、内容を知っているエロースは驚くわけもなく静かに頷くとゆっくり微笑んだ。
「そうでしょうねぇ、貴方から見たらそうなりますね。ですが、勘違いをしていますよ、ベシュタを希望したのは土の精霊アースなのです。私達育成側から見て、特に火の力に不安は感じませんでしたが……育成主であるアースからの願いでは、断れません」
唖然と、トリプトルは女神を見つめるしかなかった。明らかに動揺しているトリプトルが愉快だったので、立ち上がると一歩ずつ近づきその頬を撫でて囁く。
「本人に訊いて御覧なさい、彼女は欲望の塊……より強大な力を持つ”男”を求めるのです。彼女の力は私も認めておりますし、次期女神候補にも上げておりますが、少々野心が強すぎますかしら?」
「……嘘だ」
絞り出した声に、エロースは一瞬瞳を開いたが瞬きも忘れて床を見つめているトリプトルに負ける気などなかった。追い討ちをかける。
「ですから、本人を問いただしなさいな。そうすれば全て解決いたしましょう。私としてもこのまま”優秀な”土の精霊を失うことは大変辛く遺憾ですもの、彼女の惑星スクルドはとても有望ですからね。
土の精霊アース・ブリュンヒルデは、火の精霊トリプトル・ノートゥングの力に限界を感じ、己の惑星発展の為光の精霊ベシュタ・ジークリンデを所望した……。それが真実です。
まさかこちらも”高貴”で”優秀”な”神に近い”、”美しい男”を強請られるとは思いませんでしたけれども。あのような純朴そうな娘でも、やはり色恋事には興味があるのでしょうか。不謹慎だとは思いましたが、今注目の惑星の担い手ですからね、苦渋の決断でしたのよ?」
耳元で、そっと囁いた。
「辛くなったらいつでもいらっしゃいな、火の精霊トリプトル。私はいつでも歓迎いたします、真っ直ぐな気質の貴方を」
手を数回叩くと、扉が開かれる。放心状態のトリプトルは、そのまま周囲の視線を気にすることなく去って言った。
「……大丈夫でしょうか、上手く動きますか? 尾行いたしましょうか」
巫女ユイが控え目にそうエロースに告げると、鼻で笑いながら答える。
「大丈夫、他言無用とは言わずとも彼は真っ先にアースのもとへ向かうでしょう。そういう性分ですもの。……さぁ、忙しくなる前に入浴の準備を。
トロイもそろそろ帰しておあげなさいな」
そんなことになっているとは知らず、アースは惑星スクルドで育成に励んでいた。ただ、自分の力が処女を失ったことによって消滅してしまったとも知らず、体調でも悪いのかと首を傾げて。普段ならば聴こえる木々や草花の声が、聴こえなかった。
リュミはアースを探して惑星内を奔放していたが、皆の家に戻ってきたところでトリプトルと出くわし、アースが見当たらない事を手短に話すと、逆に何があったのか話を訊こうとしたが、トリプトルは薄く微笑むだけだった。
「とにかく、不在だった分育成に励んでよ! 僕はトロイから報告を聞くよ、一緒じゃないわけ?」
軽く手を振って去っていたトリプトルに深い溜息を吐いたリュミは、舌打ちしてその背を見送った。
小屋の近くで植物の様子を見つめていたアースは、足音に気付き振り返る。
こぼれるような笑顔になると久し振りに見た、愛しい男の名を呼んだ。
キィィ、カトン……。
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