別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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めも。
ベシュタ帰宅 ⇒ 婚約
トリプトル帰宅 ⇒ 事件発生
トロイ帰宅 ⇒ アース救出
リュミ合流 ⇒ 狼狽
ベシュタ帰宅 ⇒ 婚約
トリプトル帰宅 ⇒ 事件発生
トロイ帰宅 ⇒ アース救出
リュミ合流 ⇒ 狼狽
気を失っているアースの髪を撫でていた、情事後の女に優しくするなどベシュタにとっては有り得ないことであったが何故か触れていたかった。
「私はこの娘を”愛して”いるのだろうか」
いや違う、と呟く。自嘲気味に笑ったが、それでもベシュタは髪を撫でる手を止めなかった。指通りの良い美しい髪だ、しなやかで柔らかく、光沢を放っている。触り心地がよく、抱いた際に解ったのだが花のような香りがする。
「不思議な娘だ、女神の嫉妬を起こさせるには十分だろう」
お前は目立ちすぎたのだ、頬を撫でながら囁く。
人目を惹く容姿に、触れれば知りたくなる不思議な人柄に皆が興味をそそられる。
「私もその中の一人だろう、毛色の違う珍しい娘にほんの少しだけ触れてみたくなっただけだ。お前が愛しいわけではないよ」
口でそう告げてはみたものの、それが偽りである事などベシュタとて気付いていた。でなければこうも優しく頬を撫で、愛おしく狂おしく見つめている筈がない。
「私の事を見ず、あんな青二才しか目に入らぬお前など……」
言いかけて、口を噤んだ。これを口にしてしまえば真実になる、実感してしまう。自分が、歳若き火の精霊に敗北したという事実を認めてしまう。
それだけは避けねばならなかった、今まで築き上げてきた次期神候補とまで言われた愛すべき自分が崩壊してしまう。
「私は、私を愛している。比類なき才能と美貌を持ち、神として未来永劫その名を語り継がれることが産まれて来た意味だと思っている。こんなところでお前ごとき娘に潰されるわけにはいかないのだよ」
自身に言い聞かせた。寝息を立てているその頬に、そっと口付け皮肉めいて微笑む。
「もし、私があの青二才のように特に秀でた才能を持たずに産まれて来たら、お前に愛を囁いていたかもしれないが。そういう運命なのだ、女神の逆鱗に触れたお前を救う手立てなどないし差し伸べる腕すら私は持っていない」
言い訳だ、と自分でも思ったがベシュタは言葉を止めなかった。こうして自分の中に芽生えた感情を口に出して押さえつけなければ、そちらへと引き寄せられてしまいそうだった。
早く立ち去らねばならないと何度も言い聞かせたが、ベシュタはどうしてもその場から動けずにいる。初めて愛した女の傍らにいたいと思ったのか、今後哀れな末路を辿るであろう娘にせめてもの情けをかけているのか。
ふと、首にかけられている装飾品に目がいった。嬉しそうに、大事そうにそれを包んでいたアースが脳裏に浮かび、思わず舌打ちする。無意識にそれに手をかけ、引き千切ろうとした。が、震える手を懸命に堪えて止まる。
紫銀の髪を持つ男が、嘲るように立っていた。
幻影を振り払うように思い切り唇を噛むと、微かに血の味がする。顔を顰めて舌で唇を舐めると、ふとアースの唇で視線が止まった。
決して自分には触れさせなかった、柔らかく瑞々しい唇がそこにある。虚ろな瞳でその唇を指でなぞった、思わず顔を近づけた。
「ベシュタ、様……? ごめんなさい、私寝てしまいましたか?」
寸でのところでアースが目を醒ました、驚き慌てて顔を背けたベシュタの頬が赤く染まる。見られない様に俯きながら、ぶっきらぼうに身体を逸らすと彼にしては珍しくたどたどしく弁明する。
「あ、あぁ、わ、私の愛が重すぎたのだろう。すまなかった、疲れさせてしまったな」
小さく笑ったアースは、ぎこちなく身体を起こすと節々の痛みに顔を顰める。
「大人しく寝ていると良い、私は取り急ぎ主星へ出向いて報告をしてこよう」
「トリプトルのことですか!? 彼は真面目で懸命な方だとお伝えください」
「……そのつもりだ、アース。だから私は行かねばならない」
トリプトルのことになると声がワントーン上がる、ベシュタは自分でも気付かぬうちに悲痛そうに顔を歪めていた。安堵したアースは嬉しそうに微笑んだまま、胸元の装飾品に触れていた。それがまた、ベシュタに追い討ちをかけることになるとも知らず。
「……では、アース。健やかに」
「? はい、ベシュタ様。戻られたらまた色々教えてくださいね、聡明なお方なのでお話することがとても楽しいのです」
アースの微笑む顔が見られなかった、あからさまに避けてしまった。トリプトルを思い描いている表情とは、全く別のものだと気付いてしまったからだ。アースを見れば見るほど、実感してしまう。
それでも。
「アース、もし何か困ったことがあれば。あの団栗の大木の下で待つが良い、私は会いに行こう。忙しくなるので早々戻れないかもしれないが、あの場に居てくれ」
「そうなのですか? 解りました、では次お会いできる時までに質問を考えておきますね」
「……火の精霊の力量不足で私が派遣された故に、彼が真面目に勤務をこなしている場合、私の存在が不要になる。私が来なくなるということは、彼が認められたということだ」
「ベシュタ様にお会いできなくなるのは、寂しいですね」
そんなことを言うな、と飛び出そうになった言葉を飲み込んだ。
勘違いしそうになる、まだ好機があるのではないかと思いたくなる。しかし、その感情は棄てねばならない。
「さらばだ、アース。少しここで休んでいろ」
「お見送り致します」
「いや、辛いだろう? 大丈夫だ」
振り返ったベシュタは、アースと一瞬視線を合わせるとその髪を撫でる。感触を忘れないように、一本ゆっくりと毛先まで指を滑らせて離れた。
「では、お気をつけて。色々とありがとうございました!」
全く疑っていないアースから逃れる為に、足早にベシュタは部屋を出ると主星へと戻る。冷汗が流れた、罪悪感で押し潰されそうになった。
自分を信じている娘は、何も悪くない。知らない間にご法度である禁忌を犯した、その事実は消すことが出来ない。
「……すまない、アース」
もし、お前がトリプトルではなく私を選んでいたならば。未来は変わっていたのかもしれない。
「変わらないか、お前は私を選ばない」
喉の奥で笑うと、顔を片手で覆う。低く呻きながら、一筋の涙を流した。
数分後にゆっくりと手を下ろした時には、ベシュタの表情はなんの感情も持っていないような、以前と同じく無機質なものに戻っていた。
「多少の犠牲は、付き物だ」
吐き棄てるように呟き、大きくゆったりと進む。主星に戻ってきたベシュタの姿を見るなり、極秘に女神へと通す手筈が直様行われた。無事”事が済んだ”と報告を終えると、目の前で女神は満足そうに大きく頷く。控えている巫女二人も、クスクスと含み笑いを漏らしていた。
「近況を伝えておきましょうか、光の精霊ベシュタ」
「トロイとトリプトル、ですか。主星に来ているのでしょう?」
「水の精霊トロイは、未だに議会に訴えています。トリプトルとは親友ですものね、必死ですこと。のらりくらりと話を聴くように伝えてありますから」
「つまり、拘束しているのですね。 トリプトルは?」
その名を呼び、多少胸がざわついたが平然を装った。
「トロイとは会わせない様に、別の場所で言い分を聴いています。……そろそろ帰しても良いかしら、愉しみですこと。……さようなら、アース・ブリュンヒルデ」
華美な装飾品を揺らしながら、豊満な身体を見せ付ける薄布を身に纏っている女神エロースは立ち上がると冷笑する。控えていた巫女も戦慄する程、綺麗過ぎる笑顔だった。
「私はこの娘を”愛して”いるのだろうか」
いや違う、と呟く。自嘲気味に笑ったが、それでもベシュタは髪を撫でる手を止めなかった。指通りの良い美しい髪だ、しなやかで柔らかく、光沢を放っている。触り心地がよく、抱いた際に解ったのだが花のような香りがする。
「不思議な娘だ、女神の嫉妬を起こさせるには十分だろう」
お前は目立ちすぎたのだ、頬を撫でながら囁く。
人目を惹く容姿に、触れれば知りたくなる不思議な人柄に皆が興味をそそられる。
「私もその中の一人だろう、毛色の違う珍しい娘にほんの少しだけ触れてみたくなっただけだ。お前が愛しいわけではないよ」
口でそう告げてはみたものの、それが偽りである事などベシュタとて気付いていた。でなければこうも優しく頬を撫で、愛おしく狂おしく見つめている筈がない。
「私の事を見ず、あんな青二才しか目に入らぬお前など……」
言いかけて、口を噤んだ。これを口にしてしまえば真実になる、実感してしまう。自分が、歳若き火の精霊に敗北したという事実を認めてしまう。
それだけは避けねばならなかった、今まで築き上げてきた次期神候補とまで言われた愛すべき自分が崩壊してしまう。
「私は、私を愛している。比類なき才能と美貌を持ち、神として未来永劫その名を語り継がれることが産まれて来た意味だと思っている。こんなところでお前ごとき娘に潰されるわけにはいかないのだよ」
自身に言い聞かせた。寝息を立てているその頬に、そっと口付け皮肉めいて微笑む。
「もし、私があの青二才のように特に秀でた才能を持たずに産まれて来たら、お前に愛を囁いていたかもしれないが。そういう運命なのだ、女神の逆鱗に触れたお前を救う手立てなどないし差し伸べる腕すら私は持っていない」
言い訳だ、と自分でも思ったがベシュタは言葉を止めなかった。こうして自分の中に芽生えた感情を口に出して押さえつけなければ、そちらへと引き寄せられてしまいそうだった。
早く立ち去らねばならないと何度も言い聞かせたが、ベシュタはどうしてもその場から動けずにいる。初めて愛した女の傍らにいたいと思ったのか、今後哀れな末路を辿るであろう娘にせめてもの情けをかけているのか。
ふと、首にかけられている装飾品に目がいった。嬉しそうに、大事そうにそれを包んでいたアースが脳裏に浮かび、思わず舌打ちする。無意識にそれに手をかけ、引き千切ろうとした。が、震える手を懸命に堪えて止まる。
紫銀の髪を持つ男が、嘲るように立っていた。
幻影を振り払うように思い切り唇を噛むと、微かに血の味がする。顔を顰めて舌で唇を舐めると、ふとアースの唇で視線が止まった。
決して自分には触れさせなかった、柔らかく瑞々しい唇がそこにある。虚ろな瞳でその唇を指でなぞった、思わず顔を近づけた。
「ベシュタ、様……? ごめんなさい、私寝てしまいましたか?」
寸でのところでアースが目を醒ました、驚き慌てて顔を背けたベシュタの頬が赤く染まる。見られない様に俯きながら、ぶっきらぼうに身体を逸らすと彼にしては珍しくたどたどしく弁明する。
「あ、あぁ、わ、私の愛が重すぎたのだろう。すまなかった、疲れさせてしまったな」
小さく笑ったアースは、ぎこちなく身体を起こすと節々の痛みに顔を顰める。
「大人しく寝ていると良い、私は取り急ぎ主星へ出向いて報告をしてこよう」
「トリプトルのことですか!? 彼は真面目で懸命な方だとお伝えください」
「……そのつもりだ、アース。だから私は行かねばならない」
トリプトルのことになると声がワントーン上がる、ベシュタは自分でも気付かぬうちに悲痛そうに顔を歪めていた。安堵したアースは嬉しそうに微笑んだまま、胸元の装飾品に触れていた。それがまた、ベシュタに追い討ちをかけることになるとも知らず。
「……では、アース。健やかに」
「? はい、ベシュタ様。戻られたらまた色々教えてくださいね、聡明なお方なのでお話することがとても楽しいのです」
アースの微笑む顔が見られなかった、あからさまに避けてしまった。トリプトルを思い描いている表情とは、全く別のものだと気付いてしまったからだ。アースを見れば見るほど、実感してしまう。
それでも。
「アース、もし何か困ったことがあれば。あの団栗の大木の下で待つが良い、私は会いに行こう。忙しくなるので早々戻れないかもしれないが、あの場に居てくれ」
「そうなのですか? 解りました、では次お会いできる時までに質問を考えておきますね」
「……火の精霊の力量不足で私が派遣された故に、彼が真面目に勤務をこなしている場合、私の存在が不要になる。私が来なくなるということは、彼が認められたということだ」
「ベシュタ様にお会いできなくなるのは、寂しいですね」
そんなことを言うな、と飛び出そうになった言葉を飲み込んだ。
勘違いしそうになる、まだ好機があるのではないかと思いたくなる。しかし、その感情は棄てねばならない。
「さらばだ、アース。少しここで休んでいろ」
「お見送り致します」
「いや、辛いだろう? 大丈夫だ」
振り返ったベシュタは、アースと一瞬視線を合わせるとその髪を撫でる。感触を忘れないように、一本ゆっくりと毛先まで指を滑らせて離れた。
「では、お気をつけて。色々とありがとうございました!」
全く疑っていないアースから逃れる為に、足早にベシュタは部屋を出ると主星へと戻る。冷汗が流れた、罪悪感で押し潰されそうになった。
自分を信じている娘は、何も悪くない。知らない間にご法度である禁忌を犯した、その事実は消すことが出来ない。
「……すまない、アース」
もし、お前がトリプトルではなく私を選んでいたならば。未来は変わっていたのかもしれない。
「変わらないか、お前は私を選ばない」
喉の奥で笑うと、顔を片手で覆う。低く呻きながら、一筋の涙を流した。
数分後にゆっくりと手を下ろした時には、ベシュタの表情はなんの感情も持っていないような、以前と同じく無機質なものに戻っていた。
「多少の犠牲は、付き物だ」
吐き棄てるように呟き、大きくゆったりと進む。主星に戻ってきたベシュタの姿を見るなり、極秘に女神へと通す手筈が直様行われた。無事”事が済んだ”と報告を終えると、目の前で女神は満足そうに大きく頷く。控えている巫女二人も、クスクスと含み笑いを漏らしていた。
「近況を伝えておきましょうか、光の精霊ベシュタ」
「トロイとトリプトル、ですか。主星に来ているのでしょう?」
「水の精霊トロイは、未だに議会に訴えています。トリプトルとは親友ですものね、必死ですこと。のらりくらりと話を聴くように伝えてありますから」
「つまり、拘束しているのですね。 トリプトルは?」
その名を呼び、多少胸がざわついたが平然を装った。
「トロイとは会わせない様に、別の場所で言い分を聴いています。……そろそろ帰しても良いかしら、愉しみですこと。……さようなら、アース・ブリュンヒルデ」
華美な装飾品を揺らしながら、豊満な身体を見せ付ける薄布を身に纏っている女神エロースは立ち上がると冷笑する。控えていた巫女も戦慄する程、綺麗過ぎる笑顔だった。
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