別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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した。
「……その人のことを、とても大事に想い、常にその人のことを考え、その人が笑顔で、幸せであれば良いと想い願うこと。それが”アイシテイル”」
復唱するアースを見つめ、引き攣った笑顔を浮かべたベシュタはそれでも優しく抱き締める。軽く背を擦りながら「愛している、アース」と耳元で囁いた。
瞬間、アースの身体がビクリ、と反応した。
甘い声で囁いた、今まで他の女にしてきたように誘惑の言葉を囁いた。上手くいったのだと思っていた。
「その言葉! その言葉、ありがとうございます! わ、私、トリプトルにそれを伝えたいです! アイシテル……なんて素敵な響き!」
普段より声のトーン高く、見上げてきたアースは頬を紅潮させている。その艶やかな桃色の唇から零れた名は、自分ではなかった。
「は? アース、何を言って」
「トリプトルに……愛しています、と。早く伝えたいです、ベシュタ様、教えてくださってありがとうございました! 探しに行ってきますっ」
大きく腰を折って、礼を述べる。唖然とその様子を見ていた、姿勢正しく美しくも恥じらい可愛らしい目の前の娘を見ていた。
有望な自分という光の精霊を撥ね退けて、感情のままに動いているただの火の精霊を欲する娘を見ていた。
愛していると告げた男より、アイシテイルと告げたい男の名を呼んだ娘を見ていた。
ベシュタは我を忘れた、混乱し軽く額を押さえ、真っ暗になった目の前に嘔吐しそうになる。初めて味わう屈辱は、眩暈の後からやってきた。
敗北したのは、何にだろうか。
上手く行くと思っていた策が失敗したからか、アースを騙す事が出来なかったからか。
いや、まだ策はある……ベシュタは額に浮かぶ汗が滴となって流れ落ちる様を唇を噛み締め受け入れた。冷静になれ、と言い聞かせた。
「トリプトルの事を考えると、こう……この辺りが熱くなるのです。ぎゅっ、と締め付けられて。けれど、姿を見て声を聴けて、微笑んで名前を呼んでもらえると、ふわってそれが解けるのです。でも、別の痛みが来ます。痛いけど、苦しくは無くて。手を伸ばして指を絡めて、ずっと一緒に居たいなって思うのです。
彼が大事で、彼の笑顔が好きで、彼が幸せでいてくれれば良いと、そう思っていました。……これが、アイシテル、ですか」
アースの熱に浮かされた声に、ベシュタの思考は掻き乱される。考えがまとまらない、足元に大きな穴が空いたようだった。足が竦む、とはこの事なのか。
「アイシテイマス……トリプトル」
ベシュタは息を飲んだ。産まれて初めて”美しい”人を見た。瞳を潤めて愛する男の姿を思い浮かべているその娘を、美しいと思った。
そして羨ましいと思った、想われている男が。
今存在する女神などただの虚像であり、本当に精霊も人間も動物達をも思い救う事が出来る女神がいるとするならば、彼女の様に慈愛に満ちている者だろう。
そんな唯一無二の女神が焦がれる男に、激しい嫉妬の念を抱いた。
男に存在する女神、それは愛する女。自分だけの女。
何不自由なく育ち、美貌も才能も手中にしていた次期神候補とまで言われていた光の精霊は、産まれて初めて苦渋を舐めた。
最初は出世の為だけの足がかりだった、処女の娘を誑かすだけの簡単なものだった筈だ。
何処で歯車が狂ったのだろう、ベシュタは目の前のアースを虚無の瞳で見つめる。
最初から、見誤っていたのかもしれないと思った。近づき誘惑し、手中に収めるなど無理だったのだと笑いが込み上げる。
近づいた、しかし、誘惑が出来なかった。何故ならばこちらがすでに彼女の手中にいたからだ、心捕らわれていては演技など出来ない。
「……だから惹かれたのだろうか、甘い誘いに乗ることもなく、ただ只管に一人の男を求め続ける女だと私が見抜いていたから」
小声で、そう呟いた。惚けているアースは、そんな言葉聞き取ることが出来ない。
しかし、今更計画を中止することなど出来ない。遂行するべきだと、ベシュタは瞳を閉じる。気付いてしまった自分の想いを押し殺す。
アースの想いが欲しかった、そのほうが自分が優位に立てるからだ。無敗続きの自分を護るためにはそれしかなかった。
トリプトルが憎かった、アースに一途に慕われている男は自分よりも貧弱で取るに足らない男である筈なのに、勝てなかった。
気付いた恋心は、音を立てて崩れることはなく、軋みながら悪意へと変わる。想いが成就出来ぬならば、道連れにしてしまえ。
急に熱が冷めた気がした、いや、鎮火したのではなく心の奥底で燻っていた。何かあれば、一気に燃え上がる状態のまま。
「アース、申し訳ないが私の話を聴いてくれないか。……アースがトリプトルに抱いている想いを、私もそなたに抱いている。想いを私に告げさせておくれ」
ベシュタに肩を揺さ振られ、ようやく視線を合わせたアースは恥ずかしそうに俯く。瞳を細め、優しい眼差しと甘い声色のベシュタに蕩けたのではない、気持ちここにあらず状態にいた自分を恥じただけだ。
「私と同じ想いを、ベシュタ様が私に?」
「そうだ、この想いの昂ぶり、アースには解るだろう? どうか、私に想いを告げさせておくれ。その後、トリプトルに伝えに行けば好い」
何度か瞬きを繰り返していたアースだが、小さく頷いた。
微笑し、正面から抱き締めたベシュタは暫くその温もりを味わった。良い香りがした、森の香しい壮大な大地の香りだった。
顎に手をかけ、上を向かせると、そっと唇を近づける。
と。
眉を顰めたアースは必死に首を振り抵抗する、身体を捩って、右腕を自由にすると自分の口を手で塞いだ。
困惑気味に、何故か焦る気持ちを必死に押し殺しベシュタは精一杯優しく声をかける。
「どうした、アース。私に想いを」
「唇は、駄目なのです。トリプトルと約束したのです、この唇は私のものではなく、トリプトルのものなのです」
小刻みに震えるアースに、ぐっと唾液を飲み込んだ。すでに、二人は恋仲であったのだろう。口付けを交わすような。
だが、育成中は恋愛御法度である為に互いに想いを告げ合う事はなかったのかもしれない。
唇は駄目であっても、身体はまだ誰にも触れさせてはいない。処女であることは間違いないのだから、奪ってしまえば好い。
「そうか、ならば口付けは止めておこう。アースはトリプトルを愛しているのだから」
軽々とアースを抱き抱えると、そのままベッドへと運び押し倒す。ベッドの脇でぼんやりと光っていた火を吹き消し、部屋を暗闇に変えると手際よく衣服を脱がし始めた。
「あ、あの?」
狼狽するアースだが、有無を言わさずに肌を重ねる。
「私の想いを、受け取っておくれアース」
シャラン、と何かが揺れて指先に触れた。服の下に装飾品を身につけていたことを初めて知ったベシュタは、それを外そうとアースの髪を持ち上げたがその手が叩かれる。
「だ、駄目です! これは、これは外せません、ずっと一緒なのです。……トリプトルがくれた、大事なものなのです」
暗闇の中目を凝らした、紅い宝石の首飾りをアースは大事そうに触れて抵抗を見せる。
面食らったが、苦笑し謝罪する。
「ならば、それはそのままで」
耳元でそう囁くと、背中に指を滑らせその肌を堪能した。誰も触れた事の無い柔肌は、確かに上玉だった。今まで抱いた女の誰よりも、艶かしく手にしっくりとくる肌を持っている。その滑らかさに、必要以上に全身を愛撫する。
アースの声色が戸惑いがちだが女の声に変わり、息遣いが荒くなってきた。
「愛している、アース。誰よりもそなたを愛し、見つめている。……そなたが欲しい」
やがて、悲鳴が漏れた。痛みを訴えるアースだが、「愛を受け入れる痛みだ」と教え、無理やり身体を開き……自らを押し込んだベシュタは。
勝ち誇った表情を浮かべると、醜い笑みを浮かべた。
土の精霊アースは、光の精霊ベシュタによって、純潔ではなくなった。
復唱するアースを見つめ、引き攣った笑顔を浮かべたベシュタはそれでも優しく抱き締める。軽く背を擦りながら「愛している、アース」と耳元で囁いた。
瞬間、アースの身体がビクリ、と反応した。
甘い声で囁いた、今まで他の女にしてきたように誘惑の言葉を囁いた。上手くいったのだと思っていた。
「その言葉! その言葉、ありがとうございます! わ、私、トリプトルにそれを伝えたいです! アイシテル……なんて素敵な響き!」
普段より声のトーン高く、見上げてきたアースは頬を紅潮させている。その艶やかな桃色の唇から零れた名は、自分ではなかった。
「は? アース、何を言って」
「トリプトルに……愛しています、と。早く伝えたいです、ベシュタ様、教えてくださってありがとうございました! 探しに行ってきますっ」
大きく腰を折って、礼を述べる。唖然とその様子を見ていた、姿勢正しく美しくも恥じらい可愛らしい目の前の娘を見ていた。
有望な自分という光の精霊を撥ね退けて、感情のままに動いているただの火の精霊を欲する娘を見ていた。
愛していると告げた男より、アイシテイルと告げたい男の名を呼んだ娘を見ていた。
ベシュタは我を忘れた、混乱し軽く額を押さえ、真っ暗になった目の前に嘔吐しそうになる。初めて味わう屈辱は、眩暈の後からやってきた。
敗北したのは、何にだろうか。
上手く行くと思っていた策が失敗したからか、アースを騙す事が出来なかったからか。
いや、まだ策はある……ベシュタは額に浮かぶ汗が滴となって流れ落ちる様を唇を噛み締め受け入れた。冷静になれ、と言い聞かせた。
「トリプトルの事を考えると、こう……この辺りが熱くなるのです。ぎゅっ、と締め付けられて。けれど、姿を見て声を聴けて、微笑んで名前を呼んでもらえると、ふわってそれが解けるのです。でも、別の痛みが来ます。痛いけど、苦しくは無くて。手を伸ばして指を絡めて、ずっと一緒に居たいなって思うのです。
彼が大事で、彼の笑顔が好きで、彼が幸せでいてくれれば良いと、そう思っていました。……これが、アイシテル、ですか」
アースの熱に浮かされた声に、ベシュタの思考は掻き乱される。考えがまとまらない、足元に大きな穴が空いたようだった。足が竦む、とはこの事なのか。
「アイシテイマス……トリプトル」
ベシュタは息を飲んだ。産まれて初めて”美しい”人を見た。瞳を潤めて愛する男の姿を思い浮かべているその娘を、美しいと思った。
そして羨ましいと思った、想われている男が。
今存在する女神などただの虚像であり、本当に精霊も人間も動物達をも思い救う事が出来る女神がいるとするならば、彼女の様に慈愛に満ちている者だろう。
そんな唯一無二の女神が焦がれる男に、激しい嫉妬の念を抱いた。
男に存在する女神、それは愛する女。自分だけの女。
何不自由なく育ち、美貌も才能も手中にしていた次期神候補とまで言われていた光の精霊は、産まれて初めて苦渋を舐めた。
最初は出世の為だけの足がかりだった、処女の娘を誑かすだけの簡単なものだった筈だ。
何処で歯車が狂ったのだろう、ベシュタは目の前のアースを虚無の瞳で見つめる。
最初から、見誤っていたのかもしれないと思った。近づき誘惑し、手中に収めるなど無理だったのだと笑いが込み上げる。
近づいた、しかし、誘惑が出来なかった。何故ならばこちらがすでに彼女の手中にいたからだ、心捕らわれていては演技など出来ない。
「……だから惹かれたのだろうか、甘い誘いに乗ることもなく、ただ只管に一人の男を求め続ける女だと私が見抜いていたから」
小声で、そう呟いた。惚けているアースは、そんな言葉聞き取ることが出来ない。
しかし、今更計画を中止することなど出来ない。遂行するべきだと、ベシュタは瞳を閉じる。気付いてしまった自分の想いを押し殺す。
アースの想いが欲しかった、そのほうが自分が優位に立てるからだ。無敗続きの自分を護るためにはそれしかなかった。
トリプトルが憎かった、アースに一途に慕われている男は自分よりも貧弱で取るに足らない男である筈なのに、勝てなかった。
気付いた恋心は、音を立てて崩れることはなく、軋みながら悪意へと変わる。想いが成就出来ぬならば、道連れにしてしまえ。
急に熱が冷めた気がした、いや、鎮火したのではなく心の奥底で燻っていた。何かあれば、一気に燃え上がる状態のまま。
「アース、申し訳ないが私の話を聴いてくれないか。……アースがトリプトルに抱いている想いを、私もそなたに抱いている。想いを私に告げさせておくれ」
ベシュタに肩を揺さ振られ、ようやく視線を合わせたアースは恥ずかしそうに俯く。瞳を細め、優しい眼差しと甘い声色のベシュタに蕩けたのではない、気持ちここにあらず状態にいた自分を恥じただけだ。
「私と同じ想いを、ベシュタ様が私に?」
「そうだ、この想いの昂ぶり、アースには解るだろう? どうか、私に想いを告げさせておくれ。その後、トリプトルに伝えに行けば好い」
何度か瞬きを繰り返していたアースだが、小さく頷いた。
微笑し、正面から抱き締めたベシュタは暫くその温もりを味わった。良い香りがした、森の香しい壮大な大地の香りだった。
顎に手をかけ、上を向かせると、そっと唇を近づける。
と。
眉を顰めたアースは必死に首を振り抵抗する、身体を捩って、右腕を自由にすると自分の口を手で塞いだ。
困惑気味に、何故か焦る気持ちを必死に押し殺しベシュタは精一杯優しく声をかける。
「どうした、アース。私に想いを」
「唇は、駄目なのです。トリプトルと約束したのです、この唇は私のものではなく、トリプトルのものなのです」
小刻みに震えるアースに、ぐっと唾液を飲み込んだ。すでに、二人は恋仲であったのだろう。口付けを交わすような。
だが、育成中は恋愛御法度である為に互いに想いを告げ合う事はなかったのかもしれない。
唇は駄目であっても、身体はまだ誰にも触れさせてはいない。処女であることは間違いないのだから、奪ってしまえば好い。
「そうか、ならば口付けは止めておこう。アースはトリプトルを愛しているのだから」
軽々とアースを抱き抱えると、そのままベッドへと運び押し倒す。ベッドの脇でぼんやりと光っていた火を吹き消し、部屋を暗闇に変えると手際よく衣服を脱がし始めた。
「あ、あの?」
狼狽するアースだが、有無を言わさずに肌を重ねる。
「私の想いを、受け取っておくれアース」
シャラン、と何かが揺れて指先に触れた。服の下に装飾品を身につけていたことを初めて知ったベシュタは、それを外そうとアースの髪を持ち上げたがその手が叩かれる。
「だ、駄目です! これは、これは外せません、ずっと一緒なのです。……トリプトルがくれた、大事なものなのです」
暗闇の中目を凝らした、紅い宝石の首飾りをアースは大事そうに触れて抵抗を見せる。
面食らったが、苦笑し謝罪する。
「ならば、それはそのままで」
耳元でそう囁くと、背中に指を滑らせその肌を堪能した。誰も触れた事の無い柔肌は、確かに上玉だった。今まで抱いた女の誰よりも、艶かしく手にしっくりとくる肌を持っている。その滑らかさに、必要以上に全身を愛撫する。
アースの声色が戸惑いがちだが女の声に変わり、息遣いが荒くなってきた。
「愛している、アース。誰よりもそなたを愛し、見つめている。……そなたが欲しい」
やがて、悲鳴が漏れた。痛みを訴えるアースだが、「愛を受け入れる痛みだ」と教え、無理やり身体を開き……自らを押し込んだベシュタは。
勝ち誇った表情を浮かべると、醜い笑みを浮かべた。
土の精霊アースは、光の精霊ベシュタによって、純潔ではなくなった。
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