別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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スクルドに立ち入り不可となる
ベシュタ、トリプトル、スクルドに侵入を試みる
⇒クリフ気付く
⇒アース覚醒
⇒あぼーん
ベシュタ、トリプトル、スクルドに侵入を試みる
⇒クリフ気付く
⇒アース覚醒
⇒あぼーん
眠っていたアースだが、誰かに呼ばれた気がして起き上がった。身体は痛むが、前ほどではない。頭を抑え起き上がると、部屋から出たが不気味なほど静まり返っている。誰かを探して、外へ出た。
「何?」
瞬間、身体を何かが吹き抜けた、背筋が凍る、呼吸が止まりそうになった。
――逃げて、アース様!
一斉に声が聞こえた、足元から、空から、四方から声が聴こえる。訳が分からず狼狽するアースだが、射抜かれるような視線を感じたので唖然と空を見上げた。
「エロース様」
その名を呟いた、空に女神エロースが映っている。後方にはアースも見たことがある高名な精霊達が並んでいた。
主星から映像が届いているのだろうと思った、その女神の顔は険しく、アースにもただ事ではないと分かる。このように姿を見せるということは、緊急の用があるということだ。普通ならば、主星への召集があるだろう。もしくは書面で連絡事項が届くはずだ、遣いが来る場合もある。
――逃げよう、アース様!
まだ声は聞こえていた、何の声か解った。足元には、小動物達が集まってきていた。皆殺気立って空を見つめている。不思議そうにアースは見たが、動物達は低く唸り続けたままだ。
『罪を犯した愚かな土の精霊アース・ブリュンヒルデよ。そなたと惑星スクルドは、身をもって償え。大罪を犯した者の末路として、このまま消滅してもらう運びとなった』
「罪、ですか? あ、あの、私は何を」
響き渡った声に、目を大きく見開く。意味が解らないアースは困惑し、そう告げた。するとエロースの周囲に控えていた者達が口々に「白々しい!」と叫びだす。それを制止し、エロースは続ける。淡々と、無表情で。美しさが際立つが、冷酷な雰囲気だ。
『現在、民の移住先である新しい惑星が必要であり、その責務が課せられていると知っていたにも関わらず、そなたはそれを放棄した。十分な大罪だ』
「責務を、放棄」
それでも、アースは自分が何をしたのか分からなかった。純潔を守り通すようにとは、両親に教えられていなかった。純潔を失って惑星を育成することは不可能に近いのだが、それを知らない。
もし、本当の両親ならば愛情もって育て、教えるべきことを真っ先に教えていただろう。
だが、アースは捨て子だった。膨大な魔力を所持する類稀な捨て子を、『可哀想だから』ではなく、『利用する為に』拾ったのだ。
共に本を読み、食事をし、笑顔で会話をし、隣で寝て頭を撫で、時には叱り、良い成績を修めたならば褒め、”愛情”を注ぐことなくアースを育てた。義父は多少アースに情が湧いた、美しく可愛らしい少女であったこともあるだろう。しかし、それを義母が許さなかった。
捨て子の分際で、夫の気を引いたことが余計に溝を深めたのだ。
性交についても、普通は両親から子は話を聞く。他の精霊達から遮断し、極力関わるなと教え、異性の興味を持たぬよう勤勉だけをアースに押し付けた。義父がアースに興味を持った時点で、異性を惑わす魅力があると解った筈なのに、一番重要なことを教えなかった。
愛がなかったので、愛をアースに教えなかった。
『白々しい……そなた、”男を愛した”ろう?』
言われてアースが硬直する、その姿を見て皆口々に罵詈雑言を浴びせた。肯定したように見られても仕方がない。
だが、意味が違う。アースはトリプトルを愛しただけだ。女神の言う愛した、とは身体を重ねた事を指す。
そこまで意味が解らないアースだが、動揺する。
「愛することは、罪なのですか」
小さく呟いた、わけがわからなかった。
放心状態のアースを尻目に、エロースは判決を下した。
『消滅せよ、我ら輝かしき正しい世界に、そなたのような穢れは必要ない。その惑星ごと消滅するが良い』
「あ、あの、エロース様! 私とスクルドは構いませんが、この惑星には主星から移住してきた動物達がこの通り……それに、草花も生きています。この子達は助けてください。それに、トロイやリュミ、ベシュタ様も」
我に返ったアースは足元に擦り寄るリスを抱き上げると、差し出した。トリプトルの名は言わなかったが、その姿を思い浮かべる。
自分が知らず重大な罪を犯していた事は、受け入れるしかなかった。アースには反論する術がなかった。だが、今の女神の言葉は間違っていると判断する。むやみやたらに命を奪ってはならないと、それは習ったからだ。
そして女神こそ最も慈悲深く、全てに優しさを与えると習ったからだ。
だが、エロースは怪訝に眉を潜める。
『そなたの息がかかっているものを、何故受け入れねばならぬ。共に消滅するが良い。育成の協力者達はすでに主星へ戻っているから、彼らは普段通りの生活に戻ってもらうが』
トロイ達は無事だと知ると安堵のため息を吐いたが、それだけでは駄目だ。アースは声を荒げる。
「ですが、慈愛の女神様! この子達に罪はありません」
『罪を犯したものが、罪を語るでない!』
「けれど!」
女神達が幾ら自分を侮蔑しようとも、引き下がらないアースだった。しかし、懸命に説得を試みていた声が止まる。
口を閉ざした。
急に大人しくなったアースに、エロースは大袈裟に溜息を吐くと鼻で笑う。口論で小娘に負けるとは思っていなかったが、自分は女神なのだからこの場でそれを知らしめなければならない。
アースを蔑み、自分を持ち上げなければならない。
女神エロースはやはり希代の有能なお方だと、再認識させねばならない。
『威勢はだけは良いのだな、もてはやされて図に乗るからそうなるのだ。身分を弁えよ! では通達通り、これより惑星スクルドは消滅に入る』
空から、映像が消えた。消えた途端に、アースの大きな瞳から涙が零れ落ちる。はらはらと流れるその涙を、動物達が悲痛そうな表情で見つめていた。
『この唇は、オレのもの。オレの唇は、アースのもの。だから、絶対に他の誰にも触れさせないで。オレも触れさせない。解る?』
トリプトルの声が聞こえた、思わずアースは自分の唇にそっと手を伸ばす。
「私の、唇は、トリプトルのものです。だから、誰にも、触れさせません。……でも、トリプトルの唇は、私のものでは、ありません。なら、この唇は、誰の、も、の?」
身体が震えだす、脚が竦む、思わず座り込み、大声で叫んだ。
「私は、トリプトルを愛してはいけなかったですか!」
忘れたくとも、映像は残る。空にまだ、映像が浮かんでいるようだった。脳裏から消えてくれなかった。
先程、エロースの背後にトリプトルがいた。
金髪の柔らかそうな長い髪の美しい女性と、口づけを交わしていた。
何度も何度も、交わしていた。以前自分を見つめてくれていた優しい視線を投げかけ、親しく寄り添っていた姿が見えた。
「トリプトルの唇は、あの美しい人のもの。あの美しい人の唇は、トリプトルのもの。……なら、私の唇は、トリプトルのものでは、ないのです」
その場に蹲り泣き出したアースを動物達が取り囲む、必死に声をかけるが、その声を聞き取る余裕がなかった。
――アース様逃げよう、女神はもう駄目だ。
――力を開放して、出来るはずだよ。
自分はいつから嫌われていたのだろう。首に下げてある、トリプトルから貰ったネックレスが揺れている。
何をして嫌われたのか、最初から嫌われていたのか。
分からなくなっていた。
ただ、美しい人の隣で微笑むトリプトルの姿だけが、忘れられなかった。
「いい、な。なんて、お似合いのお二人……きっと、愛し合っているのでしょう」
……いいな、いいな、いいな、いいな、いいな。
自嘲気味にそう呟くと、ようやく頬を舐めていたウサギの存在に気づく。そっと抱き寄せ、撫でた。
「何?」
瞬間、身体を何かが吹き抜けた、背筋が凍る、呼吸が止まりそうになった。
――逃げて、アース様!
一斉に声が聞こえた、足元から、空から、四方から声が聴こえる。訳が分からず狼狽するアースだが、射抜かれるような視線を感じたので唖然と空を見上げた。
「エロース様」
その名を呟いた、空に女神エロースが映っている。後方にはアースも見たことがある高名な精霊達が並んでいた。
主星から映像が届いているのだろうと思った、その女神の顔は険しく、アースにもただ事ではないと分かる。このように姿を見せるということは、緊急の用があるということだ。普通ならば、主星への召集があるだろう。もしくは書面で連絡事項が届くはずだ、遣いが来る場合もある。
――逃げよう、アース様!
まだ声は聞こえていた、何の声か解った。足元には、小動物達が集まってきていた。皆殺気立って空を見つめている。不思議そうにアースは見たが、動物達は低く唸り続けたままだ。
『罪を犯した愚かな土の精霊アース・ブリュンヒルデよ。そなたと惑星スクルドは、身をもって償え。大罪を犯した者の末路として、このまま消滅してもらう運びとなった』
「罪、ですか? あ、あの、私は何を」
響き渡った声に、目を大きく見開く。意味が解らないアースは困惑し、そう告げた。するとエロースの周囲に控えていた者達が口々に「白々しい!」と叫びだす。それを制止し、エロースは続ける。淡々と、無表情で。美しさが際立つが、冷酷な雰囲気だ。
『現在、民の移住先である新しい惑星が必要であり、その責務が課せられていると知っていたにも関わらず、そなたはそれを放棄した。十分な大罪だ』
「責務を、放棄」
それでも、アースは自分が何をしたのか分からなかった。純潔を守り通すようにとは、両親に教えられていなかった。純潔を失って惑星を育成することは不可能に近いのだが、それを知らない。
もし、本当の両親ならば愛情もって育て、教えるべきことを真っ先に教えていただろう。
だが、アースは捨て子だった。膨大な魔力を所持する類稀な捨て子を、『可哀想だから』ではなく、『利用する為に』拾ったのだ。
共に本を読み、食事をし、笑顔で会話をし、隣で寝て頭を撫で、時には叱り、良い成績を修めたならば褒め、”愛情”を注ぐことなくアースを育てた。義父は多少アースに情が湧いた、美しく可愛らしい少女であったこともあるだろう。しかし、それを義母が許さなかった。
捨て子の分際で、夫の気を引いたことが余計に溝を深めたのだ。
性交についても、普通は両親から子は話を聞く。他の精霊達から遮断し、極力関わるなと教え、異性の興味を持たぬよう勤勉だけをアースに押し付けた。義父がアースに興味を持った時点で、異性を惑わす魅力があると解った筈なのに、一番重要なことを教えなかった。
愛がなかったので、愛をアースに教えなかった。
『白々しい……そなた、”男を愛した”ろう?』
言われてアースが硬直する、その姿を見て皆口々に罵詈雑言を浴びせた。肯定したように見られても仕方がない。
だが、意味が違う。アースはトリプトルを愛しただけだ。女神の言う愛した、とは身体を重ねた事を指す。
そこまで意味が解らないアースだが、動揺する。
「愛することは、罪なのですか」
小さく呟いた、わけがわからなかった。
放心状態のアースを尻目に、エロースは判決を下した。
『消滅せよ、我ら輝かしき正しい世界に、そなたのような穢れは必要ない。その惑星ごと消滅するが良い』
「あ、あの、エロース様! 私とスクルドは構いませんが、この惑星には主星から移住してきた動物達がこの通り……それに、草花も生きています。この子達は助けてください。それに、トロイやリュミ、ベシュタ様も」
我に返ったアースは足元に擦り寄るリスを抱き上げると、差し出した。トリプトルの名は言わなかったが、その姿を思い浮かべる。
自分が知らず重大な罪を犯していた事は、受け入れるしかなかった。アースには反論する術がなかった。だが、今の女神の言葉は間違っていると判断する。むやみやたらに命を奪ってはならないと、それは習ったからだ。
そして女神こそ最も慈悲深く、全てに優しさを与えると習ったからだ。
だが、エロースは怪訝に眉を潜める。
『そなたの息がかかっているものを、何故受け入れねばならぬ。共に消滅するが良い。育成の協力者達はすでに主星へ戻っているから、彼らは普段通りの生活に戻ってもらうが』
トロイ達は無事だと知ると安堵のため息を吐いたが、それだけでは駄目だ。アースは声を荒げる。
「ですが、慈愛の女神様! この子達に罪はありません」
『罪を犯したものが、罪を語るでない!』
「けれど!」
女神達が幾ら自分を侮蔑しようとも、引き下がらないアースだった。しかし、懸命に説得を試みていた声が止まる。
口を閉ざした。
急に大人しくなったアースに、エロースは大袈裟に溜息を吐くと鼻で笑う。口論で小娘に負けるとは思っていなかったが、自分は女神なのだからこの場でそれを知らしめなければならない。
アースを蔑み、自分を持ち上げなければならない。
女神エロースはやはり希代の有能なお方だと、再認識させねばならない。
『威勢はだけは良いのだな、もてはやされて図に乗るからそうなるのだ。身分を弁えよ! では通達通り、これより惑星スクルドは消滅に入る』
空から、映像が消えた。消えた途端に、アースの大きな瞳から涙が零れ落ちる。はらはらと流れるその涙を、動物達が悲痛そうな表情で見つめていた。
『この唇は、オレのもの。オレの唇は、アースのもの。だから、絶対に他の誰にも触れさせないで。オレも触れさせない。解る?』
トリプトルの声が聞こえた、思わずアースは自分の唇にそっと手を伸ばす。
「私の、唇は、トリプトルのものです。だから、誰にも、触れさせません。……でも、トリプトルの唇は、私のものでは、ありません。なら、この唇は、誰の、も、の?」
身体が震えだす、脚が竦む、思わず座り込み、大声で叫んだ。
「私は、トリプトルを愛してはいけなかったですか!」
忘れたくとも、映像は残る。空にまだ、映像が浮かんでいるようだった。脳裏から消えてくれなかった。
先程、エロースの背後にトリプトルがいた。
金髪の柔らかそうな長い髪の美しい女性と、口づけを交わしていた。
何度も何度も、交わしていた。以前自分を見つめてくれていた優しい視線を投げかけ、親しく寄り添っていた姿が見えた。
「トリプトルの唇は、あの美しい人のもの。あの美しい人の唇は、トリプトルのもの。……なら、私の唇は、トリプトルのものでは、ないのです」
その場に蹲り泣き出したアースを動物達が取り囲む、必死に声をかけるが、その声を聞き取る余裕がなかった。
――アース様逃げよう、女神はもう駄目だ。
――力を開放して、出来るはずだよ。
自分はいつから嫌われていたのだろう。首に下げてある、トリプトルから貰ったネックレスが揺れている。
何をして嫌われたのか、最初から嫌われていたのか。
分からなくなっていた。
ただ、美しい人の隣で微笑むトリプトルの姿だけが、忘れられなかった。
「いい、な。なんて、お似合いのお二人……きっと、愛し合っているのでしょう」
……いいな、いいな、いいな、いいな、いいな。
自嘲気味にそう呟くと、ようやく頬を舐めていたウサギの存在に気づく。そっと抱き寄せ、撫でた。
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