別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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本編が追いつかない(白目
寂れた小さな酒場で今日も歌うガーベラ、しかし状況は徐々に変化していく。口コミで広がり、徐々に客が増えたのだ。狭い店は今夜も満席だ、心地良い歌声は、ほっそりと流れ落ちる滝糸の様に繊細で煌き美しい。また、すでにある唄ではなくガーベラが創り出した唄なので物珍しいことも評判だった。
相変わらず給料を受け取ることはなかった、だがまかない食として夕食は戴くことが出来たし、客から酒を貰うこともあった。店主の厚意で、開店する一時間ほど前に掃除をするという仕事も貰えた。受け取った金は、とても掃除だけのものとは思えず、口下手な店主が今更唄に金を出すとは言えずに計らってくれたのだとガーベラは薄く微笑みそれを受け取る。
高額ではないが、好きな唄と簡単な掃除だけで金が貰えるのだから十分だった。
やがて店は、他の町や村からも客が来るようになった。全ては美しい風貌の娘の、麗しい声を聴く為だ。見事な緩やかな金髪、サファイアの様に不思議に光る瞳、男の目を惹くには十分過ぎる容姿だ。付け加えて柔らかな物腰と、稀な美声だ、噂は広まっていく。
嬉しかった、自分の唄が認められたのだから。けれどもその反面、心苦しさも感じていた。静かに唄に心酔してくれていた老人達は、人が増え居心地悪くなり店に足を運ばなくなった。店主も儲けを目当てに店をしていたわけではないので、溢れ返る客に少なからず苛立ちを感じている。一人で細々と営業していたが、流石に間に合わず人を雇った。
客足が増えれば、残飯も増える。客同士の争いも増えれば、勘定を誤魔化そうとする男もいた、酒も多々床にこぼれた。何もかもに手がかかる。
確かに贈られる拍手は増え、金がガーベラに手渡されることも頻繁にあった。だが、ここへ来て誉められたあの口数少ないながらに暖かな人々との触れ合いが消えてしまい、寂しく感じてしまう。
有名になる、というのは難しいことなのだとガーベラは溜息を吐き眉を顰めることが増えた。
その日も唄を終えて、店主達に挨拶をし帰宅する。普段通りだった、数人の男達が待ち構えていたこと以外は。気配に気がつき、ガーベラは硬直する。足が震えた、目の前の男達が酒臭く酔っていることくらい理解出来る。そして、下卑た笑みを浮かべて自分を見ていることも月明かりで浮かび上がる。後ずさった、だが直様腕を掴まれる。
「アンタ、娼婦だったって?」
想定内だ、それしかないと思った。そして身体を求めるのだろう、『以前はヤっていたんだろ、誰とでも』お決まりの台詞である。
腕が何本も伸びてきた、汗臭い男の体臭に吐き気をもよおす。髪を捕まれ、服を弄られ、口に布を詰められ、ガーベラの身体はそのまま路地へと消えていった。肌を這う無骨な手に寒気がする、過去に娼婦だったという事実が、唄うことに支障をきたすなど知らなかった。悔しくて涙が出た、折角見つけた居場所だったが、また別の土地へ移らねばならない。けれども、何処まで行っても自分が娼婦だったという事実を知る者が現れそうで、無理なのではないかと思った。
何時まで経っても、歌姫にはなれない。なれるのは”唄える娼婦”、それだけ。
瞳を硬く閉じ、歯を食いしばってやり過ごそうとした。その時、蛙が潰れたような醜い声が聴こえた。何度も聴こえた、何かがドサリと落ちる音、骨が砕けるような音……。
恐る恐る瞳を開いたガーベラは、見事な紫銀の髪をなびかせていた見知った男の姿を観た。
唖然と見つめる、整った顔立ちは見間違える筈がない。身長高く、バランス良い身体つき、一度見たら忘れられない美丈夫だ。
「トビィ」
口に詰められていた布を引き出し、名を呼んだ。舌打ちし、トビィは転がっている男達を踏みつけながらガーベラの手首を掴み路地から連れ出す。
眉間に皺を寄せ、瞬きしているガーベラを見下ろすと溜息混じりにようやくトビィが言葉を発する。
「……何をやっているんだか」
「どうしてここに?」
質問をしてきたガーベラに再び溜息を吐くと、自身のマントをガーベラにかける。男達に引き裂かれた衣服から、豊かな乳房や太腿が見えていた為だ。思ったより軽かったそのマントを摘んで身体を隠し、トビィを見上げたガーベラはその向こうにもう一人男がいる事に気がついた。
頭部に二本の角がある金髪、竜のクレシダだろう。無表情で呻いて地面に転がっている男達を見下ろしている。そうしているだけで、妙な威圧感を感じているのか男達は悲鳴を上げることも逃げることもしなかった。
「アサギがお前を気にしていた、余程歌声が気に入ったのだろうな、何度か出向いたが旅に出たとのこと。アサギが喜ぶかと思い、オレが探していた……そういう経緯だこちらは」
納得した、自分を探す理由はあの美少女勇者か。肩を竦めて笑ったガーベラは、髪をかき上げる。
「勇者様に見出されて私は幸運なのかしら? ……娼婦の女は、唄で評価してもらえないみたい」
相変わらず給料を受け取ることはなかった、だがまかない食として夕食は戴くことが出来たし、客から酒を貰うこともあった。店主の厚意で、開店する一時間ほど前に掃除をするという仕事も貰えた。受け取った金は、とても掃除だけのものとは思えず、口下手な店主が今更唄に金を出すとは言えずに計らってくれたのだとガーベラは薄く微笑みそれを受け取る。
高額ではないが、好きな唄と簡単な掃除だけで金が貰えるのだから十分だった。
やがて店は、他の町や村からも客が来るようになった。全ては美しい風貌の娘の、麗しい声を聴く為だ。見事な緩やかな金髪、サファイアの様に不思議に光る瞳、男の目を惹くには十分過ぎる容姿だ。付け加えて柔らかな物腰と、稀な美声だ、噂は広まっていく。
嬉しかった、自分の唄が認められたのだから。けれどもその反面、心苦しさも感じていた。静かに唄に心酔してくれていた老人達は、人が増え居心地悪くなり店に足を運ばなくなった。店主も儲けを目当てに店をしていたわけではないので、溢れ返る客に少なからず苛立ちを感じている。一人で細々と営業していたが、流石に間に合わず人を雇った。
客足が増えれば、残飯も増える。客同士の争いも増えれば、勘定を誤魔化そうとする男もいた、酒も多々床にこぼれた。何もかもに手がかかる。
確かに贈られる拍手は増え、金がガーベラに手渡されることも頻繁にあった。だが、ここへ来て誉められたあの口数少ないながらに暖かな人々との触れ合いが消えてしまい、寂しく感じてしまう。
有名になる、というのは難しいことなのだとガーベラは溜息を吐き眉を顰めることが増えた。
その日も唄を終えて、店主達に挨拶をし帰宅する。普段通りだった、数人の男達が待ち構えていたこと以外は。気配に気がつき、ガーベラは硬直する。足が震えた、目の前の男達が酒臭く酔っていることくらい理解出来る。そして、下卑た笑みを浮かべて自分を見ていることも月明かりで浮かび上がる。後ずさった、だが直様腕を掴まれる。
「アンタ、娼婦だったって?」
想定内だ、それしかないと思った。そして身体を求めるのだろう、『以前はヤっていたんだろ、誰とでも』お決まりの台詞である。
腕が何本も伸びてきた、汗臭い男の体臭に吐き気をもよおす。髪を捕まれ、服を弄られ、口に布を詰められ、ガーベラの身体はそのまま路地へと消えていった。肌を這う無骨な手に寒気がする、過去に娼婦だったという事実が、唄うことに支障をきたすなど知らなかった。悔しくて涙が出た、折角見つけた居場所だったが、また別の土地へ移らねばならない。けれども、何処まで行っても自分が娼婦だったという事実を知る者が現れそうで、無理なのではないかと思った。
何時まで経っても、歌姫にはなれない。なれるのは”唄える娼婦”、それだけ。
瞳を硬く閉じ、歯を食いしばってやり過ごそうとした。その時、蛙が潰れたような醜い声が聴こえた。何度も聴こえた、何かがドサリと落ちる音、骨が砕けるような音……。
恐る恐る瞳を開いたガーベラは、見事な紫銀の髪をなびかせていた見知った男の姿を観た。
唖然と見つめる、整った顔立ちは見間違える筈がない。身長高く、バランス良い身体つき、一度見たら忘れられない美丈夫だ。
「トビィ」
口に詰められていた布を引き出し、名を呼んだ。舌打ちし、トビィは転がっている男達を踏みつけながらガーベラの手首を掴み路地から連れ出す。
眉間に皺を寄せ、瞬きしているガーベラを見下ろすと溜息混じりにようやくトビィが言葉を発する。
「……何をやっているんだか」
「どうしてここに?」
質問をしてきたガーベラに再び溜息を吐くと、自身のマントをガーベラにかける。男達に引き裂かれた衣服から、豊かな乳房や太腿が見えていた為だ。思ったより軽かったそのマントを摘んで身体を隠し、トビィを見上げたガーベラはその向こうにもう一人男がいる事に気がついた。
頭部に二本の角がある金髪、竜のクレシダだろう。無表情で呻いて地面に転がっている男達を見下ろしている。そうしているだけで、妙な威圧感を感じているのか男達は悲鳴を上げることも逃げることもしなかった。
「アサギがお前を気にしていた、余程歌声が気に入ったのだろうな、何度か出向いたが旅に出たとのこと。アサギが喜ぶかと思い、オレが探していた……そういう経緯だこちらは」
納得した、自分を探す理由はあの美少女勇者か。肩を竦めて笑ったガーベラは、髪をかき上げる。
「勇者様に見出されて私は幸運なのかしら? ……娼婦の女は、唄で評価してもらえないみたい」
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