別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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四人で出かける ←今ココ
リュウを召喚する
リュウを召喚する
今日はとても楽しかったね! 誘ってくれてありがとう。
……アサギが最後に告げた言葉に、ゆっくりと微笑んだユキだったが、手を振り別れた直後に唇を噛み締めた。ケンイチと二人で出かけていたら、こんな思いをしなくて済んだだろうにと、自嘲気味に嗤う。顔が引き攣った、全てが裏目に出てしまったと後悔した。
眩しいアサギは、何処へ行っても人目を惹く。今日だけで何人の男がアサギに見惚れていただろうか、何人の女が嫉妬の混じった溜息を吐いただろうか。それを、見ていた。彼氏が劣るからといっても、アサギが劣るわけはなかった。普段通りだった。
類稀なる美貌を持つ、可愛い可愛い女の子。アサギという名の、親友。
ユキは自室に戻ると頭を掻き毟りながら蹲る、優越感に浸れなかった、何処で狂った、何がいけないと悲鳴に近い声を発しながら頭皮に爪を立てる。数分してようやく落ち着いたので、長い髪をかき上げながら近くにあった鏡を見つめた。
疲れきった、顔。美少女の筈だが妙に冴えない色合い、朝の自分とは大違いだ。
「アサギちゃんが、悪いの……どうしていつもあんななの。私を気遣ってくれてもいいでしょう!? 親友なのだからっ」
鏡に爪を立てた、キキィ、と嫌な音がする。鏡に映る自分が、一瞬揺れて微笑んだ気がした。が、鼻息荒く無視して再び奇声を発する。
「私だって、私だって、私だってもっともっともっともっと見て欲しいのに! 全部アサギちゃんが持っていっちゃう! 親友なのに、気遣ってくれないっ! 最悪っ!」
『親友なんて思ってないんだよ、おそらく。見下してるんだよ、私の事。ねぇ、もう無視しちゃおうよ、関わらないほうが良いよ、損するだけだよ。親友の振りしているだけにしようよ、何があっても助けないこと。
優しいユキ、可愛いユキ、優しい私は苦しむアサギを助けたいと願うけど、それは駄目。……駄目だよ、私』
鏡の中の自分が、小首傾げてそう囁いた。耳元で囁いた、くすくすと笑いながら囁いた。ユキは虚ろな瞳で静かに頷くと、焦点の合わない瞳で口元に笑みを浮かべる。鏡の中のユキが嗤う、二人の狂喜の声が部屋中に響き渡った。
『そうだよ、私。絶対にあの子を助けないで、手を差し伸べてきてもその手を取らないで』
「取るわけないよ、私。だって私、あの子から何も貰っていないもの、あげるだけだもの。そんなの、おかしいよね。親友って対等な立場だよね」
『そうだよ、私。賢い私、良い子の私、あの子なんてもう知らない。それで良いよ』
「うん、そうする」
二人の会話が始まる、ユキは鏡にぴったりと顔を寄せるとうっとりと微笑んだ。鏡に映る自分がとても綺麗に思えた、普段の自分よりも勝気な表情、仕草に吐息を漏らす。
『大丈夫、私は可愛い。アサギの影になんて隠れてなくて大丈夫、もっと自信を持って。足りないのは自分を愛し、尊敬することだよ』
「そうだよね、そうだよね、そうだよねぇっ!」
カーテンを閉め忘れていたユキの部屋の窓から、月の光が差し込む。空は曇など浮かんでいない、満月に近い月がユキを照らす。月の周囲に肉眼では見えない小さな小さな遠い遠い宇宙の光が、無数に存在しゆらぁりゆらりと、光を放つ。
『思い出して、忘れないで、屈辱を。晴らすときが来たの』
「うん、解ってる。もう、失敗しない、負けない、私は勝つから!」
『うん、頑張ろうね』
一階で、母親が夕飯だと声をかけていた、が気付くことなくユキは鏡の中の自分と対話し続けた。風が舞った、壁に貼り付けてあったアサギとユキの映る写真が、ひらりと宙に舞う。写真の二人は笑顔で、手を繋いで笑っていた。身体を寄せ合い、中睦まじく微笑んでいた。
ユキの勉強机の片隅に置いてある硝子細工のペンギンは、アサギがお土産にと買ってきたものだった。机の引き出しを開けば、黄色いノートが出てくる。交換日記である、アサギとの。勇者になり、書いていなかったのだが出逢った四年生の頃から書き綴っていた。交換してきた、これでノートは6冊目だった。
お揃いの筆記用具、色違いのシュシュ、出かける度に二人で何かしら購入してきた。
「私、嫌いだったのずっと」
ずっと、嫌いだった。
風が窓を叩くので、アサギは勉強机から離れると不思議そうに窓を開いた。ふぅわりと風が入ってきて頬を撫でる。
「……なんだろ?」
小首傾げて、夜空を見上げた。星が瞬く、月光が降り注ぐ。思わず瞳を閉じたアサギは口元に笑みを浮かべると、小さく呟いた。
「今日もとても楽しかったです、一日ありがとうございました。ミノルと一緒に映画に行きました、大親友のユキが気を利かせてくれたからです、とても優しくて素敵な子に出会えてよかったです。
また、四人で一緒に出かけられたらいいのにな」
呟いたアサギは、肩を竦めて嬉しそうに微笑むと窓を閉じカーテンを閉め、机の上に飾ってあるユキと二人きりの写真を見つめる。自慢の親友だ、大人になっても一緒にいる親友だと……そう思っていた。
アサギは日記を書いていた、思い立った時に書いているもので、一行の時もあれば三ページ使用する時もある。毎日綴っているわけではない、本当に”心の声”を書いているだけだった。
シャーペンを手にし、丸くも整った読みやすい字で書き始める。
『今日はとても楽しかったです、たくさん楽しいことがあったけど、ユキに大感謝! の日でした。ミノルはラーメンが大好きで……』
……アサギが最後に告げた言葉に、ゆっくりと微笑んだユキだったが、手を振り別れた直後に唇を噛み締めた。ケンイチと二人で出かけていたら、こんな思いをしなくて済んだだろうにと、自嘲気味に嗤う。顔が引き攣った、全てが裏目に出てしまったと後悔した。
眩しいアサギは、何処へ行っても人目を惹く。今日だけで何人の男がアサギに見惚れていただろうか、何人の女が嫉妬の混じった溜息を吐いただろうか。それを、見ていた。彼氏が劣るからといっても、アサギが劣るわけはなかった。普段通りだった。
類稀なる美貌を持つ、可愛い可愛い女の子。アサギという名の、親友。
ユキは自室に戻ると頭を掻き毟りながら蹲る、優越感に浸れなかった、何処で狂った、何がいけないと悲鳴に近い声を発しながら頭皮に爪を立てる。数分してようやく落ち着いたので、長い髪をかき上げながら近くにあった鏡を見つめた。
疲れきった、顔。美少女の筈だが妙に冴えない色合い、朝の自分とは大違いだ。
「アサギちゃんが、悪いの……どうしていつもあんななの。私を気遣ってくれてもいいでしょう!? 親友なのだからっ」
鏡に爪を立てた、キキィ、と嫌な音がする。鏡に映る自分が、一瞬揺れて微笑んだ気がした。が、鼻息荒く無視して再び奇声を発する。
「私だって、私だって、私だってもっともっともっともっと見て欲しいのに! 全部アサギちゃんが持っていっちゃう! 親友なのに、気遣ってくれないっ! 最悪っ!」
『親友なんて思ってないんだよ、おそらく。見下してるんだよ、私の事。ねぇ、もう無視しちゃおうよ、関わらないほうが良いよ、損するだけだよ。親友の振りしているだけにしようよ、何があっても助けないこと。
優しいユキ、可愛いユキ、優しい私は苦しむアサギを助けたいと願うけど、それは駄目。……駄目だよ、私』
鏡の中の自分が、小首傾げてそう囁いた。耳元で囁いた、くすくすと笑いながら囁いた。ユキは虚ろな瞳で静かに頷くと、焦点の合わない瞳で口元に笑みを浮かべる。鏡の中のユキが嗤う、二人の狂喜の声が部屋中に響き渡った。
『そうだよ、私。絶対にあの子を助けないで、手を差し伸べてきてもその手を取らないで』
「取るわけないよ、私。だって私、あの子から何も貰っていないもの、あげるだけだもの。そんなの、おかしいよね。親友って対等な立場だよね」
『そうだよ、私。賢い私、良い子の私、あの子なんてもう知らない。それで良いよ』
「うん、そうする」
二人の会話が始まる、ユキは鏡にぴったりと顔を寄せるとうっとりと微笑んだ。鏡に映る自分がとても綺麗に思えた、普段の自分よりも勝気な表情、仕草に吐息を漏らす。
『大丈夫、私は可愛い。アサギの影になんて隠れてなくて大丈夫、もっと自信を持って。足りないのは自分を愛し、尊敬することだよ』
「そうだよね、そうだよね、そうだよねぇっ!」
カーテンを閉め忘れていたユキの部屋の窓から、月の光が差し込む。空は曇など浮かんでいない、満月に近い月がユキを照らす。月の周囲に肉眼では見えない小さな小さな遠い遠い宇宙の光が、無数に存在しゆらぁりゆらりと、光を放つ。
『思い出して、忘れないで、屈辱を。晴らすときが来たの』
「うん、解ってる。もう、失敗しない、負けない、私は勝つから!」
『うん、頑張ろうね』
一階で、母親が夕飯だと声をかけていた、が気付くことなくユキは鏡の中の自分と対話し続けた。風が舞った、壁に貼り付けてあったアサギとユキの映る写真が、ひらりと宙に舞う。写真の二人は笑顔で、手を繋いで笑っていた。身体を寄せ合い、中睦まじく微笑んでいた。
ユキの勉強机の片隅に置いてある硝子細工のペンギンは、アサギがお土産にと買ってきたものだった。机の引き出しを開けば、黄色いノートが出てくる。交換日記である、アサギとの。勇者になり、書いていなかったのだが出逢った四年生の頃から書き綴っていた。交換してきた、これでノートは6冊目だった。
お揃いの筆記用具、色違いのシュシュ、出かける度に二人で何かしら購入してきた。
「私、嫌いだったのずっと」
ずっと、嫌いだった。
風が窓を叩くので、アサギは勉強机から離れると不思議そうに窓を開いた。ふぅわりと風が入ってきて頬を撫でる。
「……なんだろ?」
小首傾げて、夜空を見上げた。星が瞬く、月光が降り注ぐ。思わず瞳を閉じたアサギは口元に笑みを浮かべると、小さく呟いた。
「今日もとても楽しかったです、一日ありがとうございました。ミノルと一緒に映画に行きました、大親友のユキが気を利かせてくれたからです、とても優しくて素敵な子に出会えてよかったです。
また、四人で一緒に出かけられたらいいのにな」
呟いたアサギは、肩を竦めて嬉しそうに微笑むと窓を閉じカーテンを閉め、机の上に飾ってあるユキと二人きりの写真を見つめる。自慢の親友だ、大人になっても一緒にいる親友だと……そう思っていた。
アサギは日記を書いていた、思い立った時に書いているもので、一行の時もあれば三ページ使用する時もある。毎日綴っているわけではない、本当に”心の声”を書いているだけだった。
シャーペンを手にし、丸くも整った読みやすい字で書き始める。
『今日はとても楽しかったです、たくさん楽しいことがあったけど、ユキに大感謝! の日でした。ミノルはラーメンが大好きで……』
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