別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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転載が疲れてきたので、休憩しよう。
私の性格的に一気にやらないと、半年位放置する気がするのが恐ろしいです。
面倒くさがり屋め!
絵も新しいのを描きたいのですが、時間ないので昔のを出してみました。
画力、一緒だしね〈トオイメ)。
さて、次何しよう。
①トビィとテンザを戦闘に入らせてしまう
②リュウの話をここで入れてしまう
③外伝のデータを探すべく部屋を引っくり返す
・・・①にしよう、うん。
こっから、7月18日。
気がついたら7月です。
時間ありません。
6月に3つ更新とか頑張ったね、私!
別に途中から、シガリータにはまっていて小説を放置していたとか、そんなことはないです。
多分。
仕事が22時まで残業というだけで、シガリータに愛を注いでいたとかそんなことは(略)。
うろ覚えで描いてみました。
志賀君好きだぁああああああああああっ!
実況を見たりしていただけなので、自分でゲームしたいです。
ぐーっ!
時間がないけど、更新したいのでちょっと話変更。
アサギで。
私の性格的に一気にやらないと、半年位放置する気がするのが恐ろしいです。
面倒くさがり屋め!
絵も新しいのを描きたいのですが、時間ないので昔のを出してみました。
画力、一緒だしね〈トオイメ)。
さて、次何しよう。
①トビィとテンザを戦闘に入らせてしまう
②リュウの話をここで入れてしまう
③外伝のデータを探すべく部屋を引っくり返す
・・・①にしよう、うん。
こっから、7月18日。
気がついたら7月です。
時間ありません。
6月に3つ更新とか頑張ったね、私!
別に途中から、シガリータにはまっていて小説を放置していたとか、そんなことはないです。
多分。
仕事が22時まで残業というだけで、シガリータに愛を注いでいたとかそんなことは(略)。
うろ覚えで描いてみました。
志賀君好きだぁああああああああああっ!
実況を見たりしていただけなので、自分でゲームしたいです。
ぐーっ!
時間がないけど、更新したいのでちょっと話変更。
アサギで。
アサギの魔法の師匠には、元神官の魔王ハイと、最高位魔術師のホーチミン。自分の勤務がある為、ホーチミンは毎日ではないが、出来る限りアサギの指導についた。
気を利かせてアレクがホーチミンの勤務体制を変更したこともあり、頻繁に会うことが出来る。
ホーチミンが不在の場合でも、ハイが欠かさず傍にいる為、勤勉には困らなかった。
アサギの本来の力量も手伝い、数日後にはハイとホーチミンが得意とする魔法の中級クラスまでもを完璧に習得。”勇者”としての素質に、皆感嘆の声を上げるしかない。
旅での取得と違い、朝から晩まで魔法に力を注ぐ事ができた。真面目なアサギは、教えられたことを懸命に覚え、身につけようと何度も復唱する。それが、最も効果的だったのだろう。
「敵ではなくて、よかったと思う」
アレクが穏やかな笑みでアサギを見つめた、隣でスリザが口元を緩めて静かに頷く。時間が空けば、二人もこうしてアサギを見る為に庭を訪れている。
二人に気付いたアサギは、元気良く手を振って深くお辞儀をした。そんな様子にアレクも片手を振って、挨拶を。眩しそうにスリザはアレクを見つめ、表情豊かになった最近に嬉しさと戸惑いを覚えてしまう。
アサギが来てから、全てが変わった。アレクの変貌は大変好ましく望んだことだが、いとも簡単に変えた新たな風であるアサギに、多少の畏怖を感じてしまう。
女としての嫉妬なのだが、スリザにはそれが解らない。
「本当に、可愛らしい子」
ぼそ、っと呟いたスリザ。アレクは微かに笑って同意したが、何故かその時スリザの胸が軋む。
「……花の様に、明るく可愛らしく。誰からも愛される、子」
「スリザ?」
自分が何を口走ったのか、記憶がないスリザはアレクの呼びかけに惚けて首を向ける。酷く心痛そうな面持ちのスリザに、一瞬アレクが言葉を失った。
だが、アレクにはスリザの思いなど解らない。何を言って良いのか解らず、息を大きく飲み込むのみ。
そこへ。
「アレク様、失礼致します!」
「アイセル」
大股で騒がしく近寄ってきたアイセル、弾かれたように正気に戻ったスリザは慌てて剣を抜こうとするが、アレクが押し留める。
恭しく跪き、アイセルは俯いた瞬間に唇を思い切り噛締めた。血が噴出したが、そのまま顔を上げてアレクに挑むような目つきで。
「真に申し訳ありませんが、部下が暴動を起こしました。スリザ隊長の手をお借りしたいのですが、お許しいただけませんか」
「たわけがっ。部下の不始末程度、貴様でどうにかしろっ」
ガン、と剣先を壁に叩きつけ、怒鳴るスリザ。そのスリザの罵声に、目を丸くし唖然と見つめたアレク。初めて、感情を露にしたスリザを見たので、面食らったのだった。
視線に気付き、青褪めたスリザは恐る恐る剣を仕舞うと、震える声で「申し訳、ございません」と消え入りそうな声を出す。ようやく、失態に気付いた、この場に居られなくて自分で腕を握り締める。震えに、耐えていた。
「いや、驚いただけだ。そなたはいつも沈着冷静であるから」
微笑したアレクだが、瞳を伏せスリザは羞恥心で胸が締め付けられる。その優しさが、痛い。
見た目は、美男子のようなスリザだからこそ、せめて立ち振る舞いは凛とした美しい女性を演じていた。まさか、こんな場所でボロが出ようとは。
「アレク様。スリザ隊長はそこまで冷静ではいませんよ」
スッ、と立ち上がったアイセルは、火に油を注いだ。激怒したスリザの右腕を掴み、アレクに深く一礼するとそのまま走り出す。
アイセルのスリザへの想いは勿論、当然スリザの自分への想いも全く解らないアレク。ただ、首を軽く傾げて二人を見送ったが再びアサギに目を落としていた。
アイセルに引き摺られ、走ること数分。
「ええい、放せ!」
アレクから姿が完璧に消えた場所で、スリザはドスの効いた声を上げると力一杯腕を振り払う。簡単にアイセルの手は外れた、歯を剥き出しにして睨みつける。
目の前でアイセルは、小さく様子を窺うように、笑いもせずにスリザを見ただけでそのまま歩き出した。
拍子抜けだ、何か言うと思ったのに。
「おぃっ! 私をアレク様から引き離しておいて何を放置をっ。部下の暴動とやらはどうした」
「あんなの、嘘だよ。暴動くらい、俺一人でどうにでもなる。ただ、あの場にスリザちゃんを置いておきたくなかっただけ。ほとぼりが冷めたら、アレク様の元に戻りなよ」
唖然。
スリザは大きく口を開けたまま、遠ざかるアイセルを見ていた。後ろ姿を、見ていた。
名前を呼ぼうとしたのだが、プライドが邪魔して呼べない。呼べば、自分が屈したようで。
確かに、あの場から消えてしまいたかった。目の前の勇者アサギは美しく可愛らしく、そして長年仕えていた自分よりもいとも容易くアレクの心を変えた。
ある意味、恋人のロシファ以上の存在感である。恋人になれなくとも、せめて笑顔を魔界で浮かべて欲しくて健気に仕えて来た。が、まさか人間の娘に先を越されるとは。
嫉妬、という感情だった。が、スリザには解らない。
アサギは、好きだ。しかし、羨望の眼差しで見るしかない、雲の上のような存在だ。
羨ましい、酷く、羨ましい……。
気分が悪くなったスリザ、思わず壁にもたれかかると大きく呼吸を繰り返す。眩暈がする、熱い陽射しに目がやられたようで。
「もし? 大丈夫ですかスリザ隊長」
「あぁ、気にするな。休めば治る」
「冷たいお水でも、如何ですか? さぁさ、お座りになって」
「そうか……ありがとう。お前は、誰だ? 見かけない顔だ」
「最近城に入ったばかりの、駆け出しの魔術師に御座います」
「お前も、美しいな。とても女らしい妖艶な……」
スリザは、グラスを受け取った。グラスの中には、無色透明の水がなみなみと。グラスは冷たく、心地良い。
そっと、グラスを唇に近づければ目の前の美女がゆっくりと、微笑んでいた。黒髪に、紅蓮の瞳。身体にフィットするデザインのロングワンピースを身に纏い、菩提樹の木の杖を傍らに。
薄っすらと、邪悪な笑みを浮かべた目の前の美女。怪しい誘惑の、光る瞳だがスリザは気付かない。
「たくさんお飲み下さいませ。スリザ隊長。……ミラボー様がお待ちです」
一口。
スリザは口に含んだ。喉の奥で笑った美女・エーアだが不意に杖を硬く握り締めると、瞬時に結界を張る。
ガギイン!
鈍い音が響き渡る、側壁からの三角とびを食らわしたのは、アイセルだ。
忌々しそうに睨みつけるエーア、負けじと鬼のような形相で左足を直様繰り出し結界を破壊せんと猛攻撃を繰り出すアイセル。舌打ちし、エーアは悔しそうに後退する。
直接攻撃のアイセルに阻まれて、上手く得意の魔法が発動出来ないのだ。結界を保つだけで精一杯である。
重い攻撃だ、ミシミシ、と結界が軋む。辛うじて持ちこたえているだけで、あと何発も打撃を喰らえば破壊されるだろう。
それだけはエーアは避けたかった、目の前の筋肉達磨には全く勝てる気がしない。
「待て、女狐! 何処からの差し金だ!」
「……煩い男。忌々しい」
アイセルの両足が宙に浮いている瞬間を見逃さず、エーアは一気に結界を解くと直様杖を前に突き出す。簡易な魔法しか不可能だがめくらまし程度にはなるだろう。
ドン! という音共に杖先から飛び出してきた火球、避ける為にアイセルは無理やり身体を反転させると身体のバネをつかって宙返りをし、天井に脚を着く。
「待て!」
言われて待つわけもなく、エーアは逃走した。
天井を蹴り、廊下に舞い戻ったアイセルは周囲を窺うが気配がない。唾を吐き捨てるが、倒れこんでいるスリザの元へと駆け寄った。
今は、エーアよりスリザだ。
胸騒ぎがして戻ってみたら、案の定この有様。あの女が何者なのかはともかく、あのスリザがこうも容易く敵の手に堕ちるなど。
精神的に、よほど参っているのだろうとアイセルは思わず抱き締める。
自分もその原因の一つなのだろうが、こうして傍に居る事は止めたくない。スリザは、腕の中で大人しくしていた。微かに呻いているが、何かそういえば口にしたような?
「ごめん、スリザちゃん」
アイセルは一旦躊躇したが、容赦なく鳩尾に拳を叩き込む。隊長といえども、身体は女だ。アイセルの攻撃に、無論顔を顰めて嘔吐する。
「痛いだろうけど、何か飲まされた。吐き出して!」
背中を擦る、スリザは嗚咽を繰り返した。アレクに報告すべきか、しかしそれよりも。
アイセルはスリザを抱き抱えるとそのまま走り出す、行き先はスリザの部屋だ。隊長であるスリザはアレクの部屋付近に、簡素な執務室を持っている。
プライド高いスリザは今のこの現状を誰にも見られたくないだろうから、というアイセルなりの配慮だ。俊足に駆け、部屋に飛び込む。
女とは思えないほど、質素な部屋だった。ベッドとテーブルしかない。
が、そんなことはどうでも良かった。この部屋に足を踏み入れるのはアイセルは初めてである、緊張よりもスリザの身の安全を確かめたい。
ゆっくりとスリザを寝かせ、水差しからグラスに水を注ぎ込み、そっと身体を起こして口元にあてる。何を飲まされたのか不明だが、一応一部は吐き出した筈だ。あとは微量のものを薄めなければいけないだろう、最悪ホーチミンを呼ぶつもりだった。
「しっかり、スリザちゃん……。でも、精神は本当に繊細で儚いから、もう、限界だよ」
気を利かせてアレクがホーチミンの勤務体制を変更したこともあり、頻繁に会うことが出来る。
ホーチミンが不在の場合でも、ハイが欠かさず傍にいる為、勤勉には困らなかった。
アサギの本来の力量も手伝い、数日後にはハイとホーチミンが得意とする魔法の中級クラスまでもを完璧に習得。”勇者”としての素質に、皆感嘆の声を上げるしかない。
旅での取得と違い、朝から晩まで魔法に力を注ぐ事ができた。真面目なアサギは、教えられたことを懸命に覚え、身につけようと何度も復唱する。それが、最も効果的だったのだろう。
「敵ではなくて、よかったと思う」
アレクが穏やかな笑みでアサギを見つめた、隣でスリザが口元を緩めて静かに頷く。時間が空けば、二人もこうしてアサギを見る為に庭を訪れている。
二人に気付いたアサギは、元気良く手を振って深くお辞儀をした。そんな様子にアレクも片手を振って、挨拶を。眩しそうにスリザはアレクを見つめ、表情豊かになった最近に嬉しさと戸惑いを覚えてしまう。
アサギが来てから、全てが変わった。アレクの変貌は大変好ましく望んだことだが、いとも簡単に変えた新たな風であるアサギに、多少の畏怖を感じてしまう。
女としての嫉妬なのだが、スリザにはそれが解らない。
「本当に、可愛らしい子」
ぼそ、っと呟いたスリザ。アレクは微かに笑って同意したが、何故かその時スリザの胸が軋む。
「……花の様に、明るく可愛らしく。誰からも愛される、子」
「スリザ?」
自分が何を口走ったのか、記憶がないスリザはアレクの呼びかけに惚けて首を向ける。酷く心痛そうな面持ちのスリザに、一瞬アレクが言葉を失った。
だが、アレクにはスリザの思いなど解らない。何を言って良いのか解らず、息を大きく飲み込むのみ。
そこへ。
「アレク様、失礼致します!」
「アイセル」
大股で騒がしく近寄ってきたアイセル、弾かれたように正気に戻ったスリザは慌てて剣を抜こうとするが、アレクが押し留める。
恭しく跪き、アイセルは俯いた瞬間に唇を思い切り噛締めた。血が噴出したが、そのまま顔を上げてアレクに挑むような目つきで。
「真に申し訳ありませんが、部下が暴動を起こしました。スリザ隊長の手をお借りしたいのですが、お許しいただけませんか」
「たわけがっ。部下の不始末程度、貴様でどうにかしろっ」
ガン、と剣先を壁に叩きつけ、怒鳴るスリザ。そのスリザの罵声に、目を丸くし唖然と見つめたアレク。初めて、感情を露にしたスリザを見たので、面食らったのだった。
視線に気付き、青褪めたスリザは恐る恐る剣を仕舞うと、震える声で「申し訳、ございません」と消え入りそうな声を出す。ようやく、失態に気付いた、この場に居られなくて自分で腕を握り締める。震えに、耐えていた。
「いや、驚いただけだ。そなたはいつも沈着冷静であるから」
微笑したアレクだが、瞳を伏せスリザは羞恥心で胸が締め付けられる。その優しさが、痛い。
見た目は、美男子のようなスリザだからこそ、せめて立ち振る舞いは凛とした美しい女性を演じていた。まさか、こんな場所でボロが出ようとは。
「アレク様。スリザ隊長はそこまで冷静ではいませんよ」
スッ、と立ち上がったアイセルは、火に油を注いだ。激怒したスリザの右腕を掴み、アレクに深く一礼するとそのまま走り出す。
アイセルのスリザへの想いは勿論、当然スリザの自分への想いも全く解らないアレク。ただ、首を軽く傾げて二人を見送ったが再びアサギに目を落としていた。
アイセルに引き摺られ、走ること数分。
「ええい、放せ!」
アレクから姿が完璧に消えた場所で、スリザはドスの効いた声を上げると力一杯腕を振り払う。簡単にアイセルの手は外れた、歯を剥き出しにして睨みつける。
目の前でアイセルは、小さく様子を窺うように、笑いもせずにスリザを見ただけでそのまま歩き出した。
拍子抜けだ、何か言うと思ったのに。
「おぃっ! 私をアレク様から引き離しておいて何を放置をっ。部下の暴動とやらはどうした」
「あんなの、嘘だよ。暴動くらい、俺一人でどうにでもなる。ただ、あの場にスリザちゃんを置いておきたくなかっただけ。ほとぼりが冷めたら、アレク様の元に戻りなよ」
唖然。
スリザは大きく口を開けたまま、遠ざかるアイセルを見ていた。後ろ姿を、見ていた。
名前を呼ぼうとしたのだが、プライドが邪魔して呼べない。呼べば、自分が屈したようで。
確かに、あの場から消えてしまいたかった。目の前の勇者アサギは美しく可愛らしく、そして長年仕えていた自分よりもいとも容易くアレクの心を変えた。
ある意味、恋人のロシファ以上の存在感である。恋人になれなくとも、せめて笑顔を魔界で浮かべて欲しくて健気に仕えて来た。が、まさか人間の娘に先を越されるとは。
嫉妬、という感情だった。が、スリザには解らない。
アサギは、好きだ。しかし、羨望の眼差しで見るしかない、雲の上のような存在だ。
羨ましい、酷く、羨ましい……。
気分が悪くなったスリザ、思わず壁にもたれかかると大きく呼吸を繰り返す。眩暈がする、熱い陽射しに目がやられたようで。
「もし? 大丈夫ですかスリザ隊長」
「あぁ、気にするな。休めば治る」
「冷たいお水でも、如何ですか? さぁさ、お座りになって」
「そうか……ありがとう。お前は、誰だ? 見かけない顔だ」
「最近城に入ったばかりの、駆け出しの魔術師に御座います」
「お前も、美しいな。とても女らしい妖艶な……」
スリザは、グラスを受け取った。グラスの中には、無色透明の水がなみなみと。グラスは冷たく、心地良い。
そっと、グラスを唇に近づければ目の前の美女がゆっくりと、微笑んでいた。黒髪に、紅蓮の瞳。身体にフィットするデザインのロングワンピースを身に纏い、菩提樹の木の杖を傍らに。
薄っすらと、邪悪な笑みを浮かべた目の前の美女。怪しい誘惑の、光る瞳だがスリザは気付かない。
「たくさんお飲み下さいませ。スリザ隊長。……ミラボー様がお待ちです」
一口。
スリザは口に含んだ。喉の奥で笑った美女・エーアだが不意に杖を硬く握り締めると、瞬時に結界を張る。
ガギイン!
鈍い音が響き渡る、側壁からの三角とびを食らわしたのは、アイセルだ。
忌々しそうに睨みつけるエーア、負けじと鬼のような形相で左足を直様繰り出し結界を破壊せんと猛攻撃を繰り出すアイセル。舌打ちし、エーアは悔しそうに後退する。
直接攻撃のアイセルに阻まれて、上手く得意の魔法が発動出来ないのだ。結界を保つだけで精一杯である。
重い攻撃だ、ミシミシ、と結界が軋む。辛うじて持ちこたえているだけで、あと何発も打撃を喰らえば破壊されるだろう。
それだけはエーアは避けたかった、目の前の筋肉達磨には全く勝てる気がしない。
「待て、女狐! 何処からの差し金だ!」
「……煩い男。忌々しい」
アイセルの両足が宙に浮いている瞬間を見逃さず、エーアは一気に結界を解くと直様杖を前に突き出す。簡易な魔法しか不可能だがめくらまし程度にはなるだろう。
ドン! という音共に杖先から飛び出してきた火球、避ける為にアイセルは無理やり身体を反転させると身体のバネをつかって宙返りをし、天井に脚を着く。
「待て!」
言われて待つわけもなく、エーアは逃走した。
天井を蹴り、廊下に舞い戻ったアイセルは周囲を窺うが気配がない。唾を吐き捨てるが、倒れこんでいるスリザの元へと駆け寄った。
今は、エーアよりスリザだ。
胸騒ぎがして戻ってみたら、案の定この有様。あの女が何者なのかはともかく、あのスリザがこうも容易く敵の手に堕ちるなど。
精神的に、よほど参っているのだろうとアイセルは思わず抱き締める。
自分もその原因の一つなのだろうが、こうして傍に居る事は止めたくない。スリザは、腕の中で大人しくしていた。微かに呻いているが、何かそういえば口にしたような?
「ごめん、スリザちゃん」
アイセルは一旦躊躇したが、容赦なく鳩尾に拳を叩き込む。隊長といえども、身体は女だ。アイセルの攻撃に、無論顔を顰めて嘔吐する。
「痛いだろうけど、何か飲まされた。吐き出して!」
背中を擦る、スリザは嗚咽を繰り返した。アレクに報告すべきか、しかしそれよりも。
アイセルはスリザを抱き抱えるとそのまま走り出す、行き先はスリザの部屋だ。隊長であるスリザはアレクの部屋付近に、簡素な執務室を持っている。
プライド高いスリザは今のこの現状を誰にも見られたくないだろうから、というアイセルなりの配慮だ。俊足に駆け、部屋に飛び込む。
女とは思えないほど、質素な部屋だった。ベッドとテーブルしかない。
が、そんなことはどうでも良かった。この部屋に足を踏み入れるのはアイセルは初めてである、緊張よりもスリザの身の安全を確かめたい。
ゆっくりとスリザを寝かせ、水差しからグラスに水を注ぎ込み、そっと身体を起こして口元にあてる。何を飲まされたのか不明だが、一応一部は吐き出した筈だ。あとは微量のものを薄めなければいけないだろう、最悪ホーチミンを呼ぶつもりだった。
「しっかり、スリザちゃん……。でも、精神は本当に繊細で儚いから、もう、限界だよ」
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