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メモ。
アサギ ⇒ 現在 7月8日
ミノル&トモハル ⇒ トロルと戦闘して、トーマと合流して暫し経過
ケンイチ&ユキ ⇒ 盗賊を倒してひと段落中
ダイキ ⇒ トビィと別れてまだ船の上、もうすぐ大陸につくんじゃないかな
ダイキの話を開始したいです。
勇者で単独話が出てないの(アサギ絡みで)、ダイキだけですものねぇ。
あ、でも、メアリとの関連ならあったかな。
小学5年時の、運動会の話をちょこっと触れてみたい今日この頃。
トモハル、いるしねっ!
←色をつけようと思ってたアサギ。
っていうか、いい加減、主要人物の絵をアップしようぜ、私。
7月30日。
か、カウンター壊れました??? 何事38(激震)。
「マビル、勇者」
「は?」
帰宅後、アイセルはすらすらと、絵を描いてマビルに渡した。
紙を覗き込んだマビル、思わず吹き出す。
お世辞でも上手いとは言えない絵が、そこにはあった。
「これ、人間なの?」
「…………」
腹を抱えて爆笑し始めたマビルに、アイセルは歯軋りすると自分の額とマビルの額を乱暴にくっつける。
ぶつかって、痛みが走った為にマビルは牙をむいた。
「痛いっ」
「煩い、大人しくしろ」
瞳を閉じる、マビルも唇を尖らせながら瞳を閉じた。
ツイ、と額から流れ込むようにマビルの脳裏に一つの映像が。
「見えるか、マビル」
「うん、見える」
二人して神経集中、昼間にアサギが見せてくれた写真の記憶をマビルに見せているのだ。
「勇者は大勢いるらしい、中央がアサギ様だ」
「……解ってる」
言われなくても、見れば解る。
容姿格好、マビルに確かに似ていたからだ。
「鎧を着ているのが1星ネロの勇者ミノル、アサギ様の隣の少女が1星ネロの勇者ユキ、身長が高いのが3星チュザーレの勇者ダイキ、一番低いのが2星ハンニバルの勇者ケンイチ、そして端っこにいるのが4星の勇者トモハル」
興味ない、とばかりに不意にマビルはアイセルから離れた。
一応、最後まで説明を聞いていたのでアイセルは苦笑いしつつもそれ以上何も言わなかった。
離れてソファに転がるとうつ伏せになり瞳を閉じる、全く興味が湧かない。
しかし、何故か最後の一人が気になった。
薄い茶色の髪、鼓動が何故か速まった。
悟られまいと、マビルはワインをグラスに注ぎ一気に飲み干す。
「憶えたか?」
「多分ね。あたし、お利口さんだもーん」
「本日、アレク様の時期妃であるロシファ様が宣言された。今後全ての種族は共存を計るだろう、その先頭に立つのがアレク様にロシファ様、そしてアサギ様だ」
震える胸を押さえつつ、ある意味歴史的瞬間に立ち会った気がするアイセル。
その感動を口にしたくとも、上手くできないが。
神々しいばかりの三人だった、瞳を閉じるだけで映像が焼きついて離れない。
心酔しているアイセルを放置し、マビルは鼻で笑うと宝石箱からお気に入りのピアスを取り出して眺めた。
無関心のマビルだが、アイセルは一人自分の世界へ引き篭もる。
「恐らく、アレク様とロシファ様が婚姻なさり、魔王の座を放棄。その後継者としてアサギ様が選ばれると思われる。……そうなると、マビルの出番だ」
「はてしなーい。ってか、平和な世に、あたしの存在価値なんてあるのかしら?」
眉を顰めて、舌打ちするとピアスを投げ捨てた。
脚をばたつかせて真面目に話を聞く気のないマビルに、深くアイセルは溜息を吐くしかない。
「とにかく、憶えておけよ?」
「はいはい、でも、全員あたし好みじゃないんだもん。特に、あのなんか中途半端に優しくてウザくて女にめろめろそうな茶色の髪の男とか、ホント最悪」
「……はぃ?」
マビルは、眠りについた。
寝息が直様聞こえ始めたので、狸寝入りかとも思ったが本当に寝ているようだ。
近寄ってみれば、気持ち良さそうにしている。
抱き起こし、ベッドに運ぶと寝かせてシーツをかけてやる。
湯を沸かし、珈琲を淹れてアイセルは両親が残していた預言書を読むことにする。
預言書は、アイセルの自室に隠してあった。
万が一にも、他人の手に渡ろう物ならば大問題である。
預言家にしか読む事が出来ない暗号文で書かれているのだが、念には念を。
アイセルとて、これを解読するのには随分と苦労したものだった。
預言書は、自室のクローゼットの冬用コートのポケットの中だ。
誰もこんな場所に隠してあるとは、思うまい。
コンパクトな預言書は、持ち運びしやすいように作られたのだろう。
それを取り出し珈琲を片手にマビルの寝ているベッド付近に、小さなテーブルと椅子を移動させる。
寝静まったマビル、過酷な運命を課せられている妹は不憫だ。
しかし、達成されれば皆が幸せに暮らすことが出来る筈。
強いてはマビルとて、幸福に満ち足りた日々を送れるだろう。
今しばらくは、辛抱。
ふと、アイセルは首を傾げた。
何気なく聞いていたがマビルの最後の言葉が、今になって気がかりだ。
恐らくトモハルの事を指したのだろうが、そんな見た目に見えない。
頭をかきつつ、アイセルも深くは考えなかったのだが。
……遠い昔の黒の姫、この日初めて茶色の騎士を見た。
夢以外、で。
ロシファと出会ってから、翌日。
アサギは意を決して、ハイに相談事を持ちかける。
「あの、ハイ様。お願いがあります」
「何でも言うと良い。そなたの望みは全て叶えよう」
美少女の言う事を聞く、駄目な大人。
目に入れても痛くないくらいに可愛がっているハイにとって、アサギの願いを叶えるというのは生きている事が楽しくなる。
でれでれと鼻の下を伸ばし、ハイは真剣な眼差しのアサギに手を伸ばす。
「魔法教えてください。みんなと一緒に居た時は、魔法も剣も勉強していました」
「成程、熱心なのは良いが危ない事はアサギはしなくてよろしい。アサギはただ、笑っていれば良いのだよ」
過保護な駄目大人、万歳。
願いを叶えていないハイ、アサギは眉を顰めて唇を尖らせる。
「私、勇者です」
「しかし、剣は危ないな。防御と回復の魔法ならば伝授しよう」
「……とりあえず、それでお願いします」
納得いかないが、渋々アサギは了承した。
その日から、魔王に魔法を教わることになった勇者アサギ。
城内の庭にて、ホーチミンも立会い指導が始まる。
贅沢この上ない授業だった、魔族の魔法書はアサギがクリストバルで授かったレベルの比ではないのである。
「まずは、アサギの特性から調べていこう。不得手がある」
珍しく真面目な表情のハイ、アサギもやる気が出てきた。
ホーチミンはサイゴンに用意してもらった純白のテーブルセットに茶菓子と紅茶を用意して、優雅にそれを傍観中。
話を聞いて、アレクとスリザもやってくる。
魔王が攫ってきた勇者の力量、アレクは見ておきたかった。
バルコニーから、リュウも観覧だ、加わる事はなかったが。
「使用可能な魔法、全て解き放ってごらん」
「……解りました!」
勤勉が好きだったアサギにとって、この時間は非常に有意義なものだった。
数日魔法を発動していなかった為微かに不安が過ぎったが、そっと脚を肩幅に開くと両腕を前に突き出す。
「いきます!」
「うむ」
現時点でアサギが使用可能な魔法は、全て初歩魔法だが火炎、水氷、真空、電雷、爆発、回復、そして。
「闇に打ち勝つ光よ来たれ、慈愛の光を天より降り注ぎ浄化せよ。聖光っ」
光の魔法だ、”邪悪な者”に有効な。
「げっ」
「ちょっ」
詠唱が始まった途端、魔族達は慌てふためいた。
この魔法、魔族達で使えるものは存在しなかった。
「ま、待てアサギッ! それは拙っ」
ハイが止めるのもきかず、アサギは魔界の城の庭で魔法を発動。
カッ!
周囲を、眩い膨大な光が覆い尽くす。
悲鳴。
「あ、あれ?」
狼狽しつつアサギが出した、引き攣った声。
周囲が収まれば、皆顔を押さえて俯いていた。
「あの、ひょっとして使っては駄目でした……か?」
「……い、いや、へ、平気、だ」
苦し紛れのハイの声、若干冷汗。
殺傷能力がなかったので、誰も負傷しなかったが、流石に焦った。
勇者が使う光属性の魔法など、流石に食らう気はしないだろう。
一人、平然としていたのはバルコニーに立っていたリュウである。
リュウは、魔族ではない、悪魔でもない。
邪悪な存在では、微塵もない。
「ご、ごめんなさい!」
「い、いや、私が最初に使える魔法を確認しなかったのがいけなかった。気に病むでないぞ」
落ち込んで俯いたアサギを、ハイが、アレクが宥めてフォローする。
「……魔王が勇者に手解き。信じられないね」
リュウは、投げやりにそう呟いた。
瞳を細め、アサギを見つめる。
酷く、心痛そうに憂いを帯びて。
ギリリ、とバルコニーの手すりを力を込めて握る。
下では半泣きのアサギが、ようやく落ち着いたところだった。
「うむ。力量は見させてもらった。やはり荒削りだな。しかし、驚いた。多彩だな」
「対極に当たる魔法の習得なんて、出来たのね。初めて見た」
ホーチミンが近寄ってくる、宮廷魔術師であるホーチミンの興味をそそるには十分だった。
「勇者だからなのかしら?」
「まぁ、そうとしか言い様がないだろう」
アレクがアサギを見て微笑する、アサギは首を傾げた。
「えっと?」
ホーチミンは、右手を掲げると左手に持っていた長い杖先に力を込める。
ボゥ、と火炎が燈された。
「私は火炎属性、得意魔法よ。相対する水や氷の魔法は使用出来ないの」
「普通、そういうものなのですか……?」
「そうね。少なくとも魔族達の中ではそうよ」
「…………」
アサギは、そっと自身の手を見た。
普通に使えたので疑問を抱かなかったが、どうしてだろう。
「火炎は私は不得手だ、ホーチミンよ、アサギに教えてやってくれないか。私は回復と真空が得意だ」
「あら、ハイ様回復魔法なんて使えたのですね」
「うむ。あとは攻撃補助魔法に暗黒魔法だが」
……流石に暗黒魔法をアサギに伝授するのは気が引ける、というか勇者が扱う波動ではないだろう。
その日から、アサギの魔法取得授業が始まった。
「アサギの得手は、見たところ全て平均的。飛びぬけている属性が見当たらない」
アレクがそっと隣のスリザに告げる、スリザは魔法関連は全く無知である。
「申し訳ありません、お役に立てず」
「いや、そなたは剣技をアサギに教えてやってくれ。サイゴンも呼び寄せよう」
「はっ、畏まりました」
地獄耳のハイ、その会話を聴き終えて目くじら立てて金切り声で叫んでいた。
「アレク! アサギには危ない刃物は持たせない! 持たせるなら可愛らしいステッキだ」
一同、沈黙。
アサギは落胆気味で、ハイを見上げた。
ほとぼりが冷めたら、剣も教えてもらおうとアサギは苦笑いするのだった。
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