別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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おかげさまで。
魔界イヴァン行き、決行です。
86話~アサギ編、再び
88話~トビィ参戦。
89話~束の間の一時
90話~ロシファ死亡
91話~混乱戦
92~アーサー達参戦、全集結
93~ラストバトル開始
100までには終わると思います、来年には終わりそうですな、月1連載でも(吐血)。
真似っこ企画⑤くらい。
新條まゆ先生のハートのダイヤ二巻の表紙より。
・・・左がミノルで右がトモハル。
BL(げきしん)。
表紙は手前に女の子がいるんですが、人物が一人足りないとこうなるのか・・・。
構図って偉大ですね。
描いてて思ったんですが、私新條先生の女の子が真似できません。
難しい、目が。
トモハルは描き易かったー! ミノルは無理だったー! 変な色気でたー(笑)。
流石新條先生・・・。
魔界イヴァン行き、決行です。
86話~アサギ編、再び
88話~トビィ参戦。
89話~束の間の一時
90話~ロシファ死亡
91話~混乱戦
92~アーサー達参戦、全集結
93~ラストバトル開始
100までには終わると思います、来年には終わりそうですな、月1連載でも(吐血)。
真似っこ企画⑤くらい。
新條まゆ先生のハートのダイヤ二巻の表紙より。
・・・左がミノルで右がトモハル。
BL(げきしん)。
表紙は手前に女の子がいるんですが、人物が一人足りないとこうなるのか・・・。
構図って偉大ですね。
描いてて思ったんですが、私新條先生の女の子が真似できません。
難しい、目が。
トモハルは描き易かったー! ミノルは無理だったー! 変な色気でたー(笑)。
流石新條先生・・・。
「王よ! 大変で御座います! 地下牢に不審者が!」
ジェノヴァ城、地下の衛兵が咳込んで走ってきた。
無論多くの人物を巻き込み、近衛兵やら、魔術師やらを連れ立って王に謁見だ。
ご推察の通り、地下牢には勇者御一行。
トモハル、ミノル、ライアン、マダーニが一人用の牢の中に押し込められている。
「・・・どーして、こんな場所に転送するんだよっ」
マダーニの胸の感触を背に、多少にやけ顔のミノルだが牢獄に顔を押し付けられながら不服そうに叫んだ。
「それは、万が一の為に御座います。申し訳御座いません」
牢の外で、多くの人物が平伏している中現れたのはどう見ても王だった。
美しい装飾品の冠、毛皮のマント、立派な髭。
「うっわ、典型的な王様だな、おぃ」
王と言えば、これ。
的な容姿の王の登場に思わずミノルが零してしまい、衛兵に槍を向けられる。
その槍を、王が徐に下ろさせると軽く頭を垂れていた。
「勇者様御一行に御座いますな? ピョートルからの来訪者でこちらを扱える人物となればそれ相応の方の筈」
言うなり、牢が開けられた。
ミノルが飛び出し大きく伸びをすれば、首を鳴らしながらライアンが出てきて王の前に跪いた。
女王から預かった手紙を丁重に差し出す、それさえ読めば全て解って貰えるだろう。
「ふむ、疑いはしないが間違いなくピョートル女王の印。このような夜更けに転送陣とは・・・さぞかしお疲れでしょうに。来客室の準備を!」
夜更けにも関わらず、王の態度は非常に有り難いものだった。
勇者の来訪ともなればそれくらいのことなのだろうが、四人は貴族が住まうような部屋に通され極上のベッドで一夜を過ごす。
マダーニなど一人で一室、広すぎて笑いが込上げてくるほど。
狼狽するライアンにミノル、トモハルだけは一人落ち着き払って出された果物や珈琲を啜る。
「お前、度胸あるな」
「んー、家族旅行行くとこういうホテルとかに泊まってるし」
「・・・そういやお前の親父、社長クラスだったっけ」
「社長じゃないよ」
異世界にまで来て、地球での生活環境の差が出てしまう。
悠々とのんびり身体を休めるトモハル、ミノルはおずおずと広すぎるベッドに横になる。
翌朝、これまた多すぎる朝食だ。
「オマール海老、林檎と大根のココナッツ風味サラダに御座います。スープは蕪をポタージュに致しました。真鯛のポアレにはトリュフをふんだんにあしらって御座います。フィレステーキにはグリーンペッパーを強調したソースを」
「・・・」
絶句するミノルと、優雅に食べ始めるトモハル。
朝からこれは厳しい、と言いたいところだが美味しかったのでミノルは全て平らげた。
「白い飯と味噌汁と卵焼きに漬物で俺はいーんだけど。あと焼き魚」
ぼんやりと満腹になった腹を擦りながら、ミノルは天井を見上げてぼやく。
そういえば、4年生の林間学校は現在の勇者達が全員同じクラスだったので楽しかったことを思い出した。
アサギと同じ班だったミノル、アサギが注いでくれた味噌汁をありがたく飲んだことを思い出す。
柿狩りをしたのだが、アサギは確かあまり柿が好きではなかった。
だが、ミノルが柿を「うっめー!」と言いながら食べていたら美味しいそうにアサギも食べていた。
「・・・あれ?」
首を傾げるミノル、脚色した過去だったかもしれないが確かにアサギはあの時にユキに「柿は苦手」と話していた。
優等生様にも苦手なものがあるんだな、と悪態ついた記憶があるのだが、アサギは美味しそうにトモハルと柿を食べた。
「・・・?」
デザートのメロンを食べながら、ミノルは再び首を傾げる。
『お、おいしいね、柿って』
そう言って話しかけてきたアサギを、思い出して赤面した。
『甘いんだね、知らなかった・・・』
「ん???」
まるで、自分が好きだから食べた、的なアサギ。
思わずミノルは首を振る、そんな筈がない。
ライアンが国王に一部始終を話している間、トモハルとミノルは剣の稽古である。
堅苦しい事は大人のライアン達に任せた、あとは腕が鈍らないように練習だ。
城下町から、ケンイチ達が呼ばれて駆けつけてきたのは昼過ぎである。
久し振りの再会に沸き立つ勇者達、ダイキ達も二日ほど前ジェノヴァに到着していたのだった。
「ケンイチは何してたんだよ」
「僕は、剣の道場に通ってたんだ。結構上達したと思う、実戦はあんまりだけど」
「ダイキは?」
「船旅が多かったから、俺が一番戦いとは無縁だったかも」
アサギを残し、全ての勇者が集結。
短期間ではあるものの皆、腕を上げている事に間違いない。
トビィが単独でアサギ救出に向かったことをクラフトが語るが、まだ、戻らない。
アーサーとて、戻ってこないが確認のし様子がない。
ブジャタがやってきたことで、最も位の高いブジャタとアリナが国王に改めて謁見した。
主要都市ディアスの市長の娘とお付の者となれば、当然だった。
堅苦しい事が苦手な事この上ないアリナにとっては、地獄の時間帯ではあるが仕方ない。
全てブジャタに任せて逃亡しようとしたが、無理だった。
その日の夜半にようやく解放されたブジャタとアリナは、皆と合流。
城に滞在し、一等部屋を用意してもらっている勇者達である。
ユキにいたっては全ての客室に感動し、昼間から輝かせて王宮内を物色。
ミノルは出される料理を片っ端から食べつくしていた、美味いのだ。
「今後は魔界イヴァンに向かう、船の手配もしてくださったからのぉ」
「万が一、トビィかアーサーがここへ戻った場合の手筈もしてくれたよ。心置きなく出かけよう」
全く、頭が下がる。
国王自ら勇者達を支援、舟を何艘も用意し兵もつけてくれるとの事。
よって、直ぐには旅立てないが魔界上陸など人類未踏、船の調達は有り難かった。
「でも、一刻を争うと思うんだ・・・。俺達の船が用意出来たら先に出発したいんだけど」
トモハルが素振りをしながら告げる、自分の剣はいまだ輝いてはいない。
「同感。国王に交渉してみる、参戦は後からでもいいと思うんだよね」
アリナが腕立て伏せをしながら、トモハルに同意した時点で決まりである。
一行は決戦になるであろう戦いに備えて、準備をした。
国王から、様々な武器や道具も与えられそれぞれの使い方を聞く。
お宝が大量だ、目を白黒させて見つめている一行だが、恐る恐る手にとる。
ケンイチとダイキの武器も支給された、余程の匠が造った剣だった。
薬草の調達、全員での行動だが以前と同じく大まかに三つの隊に別れて離れても無理なく戦闘が進められるように計画を。
トモハル、ミノル、マダーニ、ライアンが先発隊だ。
ダイキ、アリナ、サマルト、クラフトが中間地点を護る。
そしてケンイチ、ユキ、ブジャタ、ムーン、ミシアが後方支援。
ミシアはもっとも非力に思われるケンイチ達のグループへと再編されていた。
魔力だけならば後方が最も強力になる、ある意味最強かもしれない。
「トビィ殿とアーサー殿がいればもっと心強いのですけどねぇ」
クラフトがしんみりとぼやいた、が、いないものは仕方がない。
船の操作など自分達には出来ないので、船員の準備が整い次第一行は早々に出航した。
神官達から祈祷を受け、国王から一心の祈りを受け。
残る船も準備が整い次第、順次出航するとのことである。
流石魔王戦ともなれば、国王の協力が強大だった。
船風を受けながら、先端でトモハルは髪をなびかせている。
後方に、ミノルとケンイチ、ダイキ。
「アサギ・・・今、行くよ」
胸がそれぞれ、ざわめく。
とりわけ、トモハルの胸が何故か高鳴っていた。
「仔猫」
「は?」
思わず口にした、仔猫。
トモハルは怪訝な声を出したダイキに思わず赤面して苦笑いすると、なんでもない、と手を振る。
「さ、剣の稽古だ!」
勇者四人、剣での組み手を甲板で開始。
「クラフト、ミシアのこと」
「ブジャタ殿には話しました、大丈夫です」
要注意人物ミシアが、自分達から離れ移動したが、先の隊にはブジャタがいた。
クラフトが密やかに話をしていた為、三人は遠くから目配せを開始する。
ミシアは、ユキ、ムーンとともに魔法の訓練中である。
美少女三人、なんと華のあることだろうか、しかし、毒がそこに紛れている。
「さぁ、正念場よね」
「あぁ」
ライアンとマダーニは全ての荷物のチェックと、現時点で知り得ている魔界の地形を頭に叩き込む。
最終決戦は、海の向こうなのだから。
船の中で、トモハルの部屋アサギの武器・セントラヴァーズが静かにその時を待っていた。
勇者達が旅立って、一週間。
ジェノヴァに異国の者達がやってきた、知らせを受けて慌てて城から遣いがやってきて国王へと謁見。
アーサーだった。
「話は聴いておるよ、3星チュザーレの賢者アーサー殿とお見受けしたが」
「はい、恐れ入ります」
アーサー、ココ、リン、メアリ、セーラ、ナスカ。
それぞれ、笑顔での謁見だった。
アーサーは国王に悠々と話を聞かせた、快進撃であった。
「では、チュザーレは」
「はい、完全ではありませんがミラボーからの魔手を逃れました」
そうなのだ、一世蜂起したチュザーレの人間達は成し遂げた。
魔王ミラボーが不在だったこともあってか、手薄な各地の魔族の拠点を徐々に奪い返したのである。
王には陰りが伺えた、つまり、チュザーレの主力魔族部隊が4星クレオにいる、ということなのでは、と。
一定地を奪還した為、剣をダイキに届けるべく選ばれたこの6人がこうしてクレオへ来た、というわけらしい。
にしても、若く娘が多いこの来訪者に皆声を潜める。
確かにメアリはまだ、か弱き魔法使いで今回の作戦には入っていなかったが、どうしても行きたいと駄々をこねてついてきてしまった。
が、他のリンやココは無論、当然アーサーとナスカは秀でた魔力の持ち主。
見た目で判断してもらっては困るのである、何より自信で皆溢れている。
メアリが背負っている剣こそが、ダイキの剣3星の神器レーヴァテイン。
「勇者達は既に旅立った、が我らの兵も派遣しようと今船を用意している。明日には用意が出来るからそれで向かいなされ」
「なんという寛大な・・・。有難う御座います」
「平和な世になれば、チュザーレの各国とも是非交流したいものですな」
「ありがたきお言葉。わが国王・ボルジア17世に戻り次第お伝えいたしましょう」
城の一室を与えられ、眠りについたチュザーレの一行。
最強の賢者アーサーとナスカ。
剣士リンに、武術家ココ、神官セーラ。
と、見習い魔法使いのメアリ。
勇者達から十日ほど遅れて船でイヴァンへ旅立った、そう、勇者に再会する為に。
「メアリ、その剣はダイキという勇者に渡してください」
「ダイキ?」
「メアリよりも二つ下の少年ですが、一番背が高いので見れば解るかと」
「あら、おこちゃまなのね」
無邪気に笑うメアリに苦笑いし、アーサーは甲板にいたナスカに声をかける。
「守備は?」
「上々よ、かったるいから今すぐにでも敵が出て欲しいくらい」
「おやおや、好戦的だな」
くすくす笑うナスカに肩を竦めたアーサー、リンとココが組み手をしているのを横目で見ながら、洗濯していたセーラに近寄る。
「その仕事は船員さんがしてくれるのでは?」
「落ち着かないのよ、こうしてないと。コレが終わったら薬草の準備と調合ね」
「セーラらしいな」
海は、広大だ。
勇者の船には追いつけないだろうがこちらの船は全部で三艘、大規模な進撃だ。
「待っていてくださいね、アサギ」
・・・仲間達は、勇者アサギを救うべく魔界へ旅立っている。
ジェノヴァ城、地下の衛兵が咳込んで走ってきた。
無論多くの人物を巻き込み、近衛兵やら、魔術師やらを連れ立って王に謁見だ。
ご推察の通り、地下牢には勇者御一行。
トモハル、ミノル、ライアン、マダーニが一人用の牢の中に押し込められている。
「・・・どーして、こんな場所に転送するんだよっ」
マダーニの胸の感触を背に、多少にやけ顔のミノルだが牢獄に顔を押し付けられながら不服そうに叫んだ。
「それは、万が一の為に御座います。申し訳御座いません」
牢の外で、多くの人物が平伏している中現れたのはどう見ても王だった。
美しい装飾品の冠、毛皮のマント、立派な髭。
「うっわ、典型的な王様だな、おぃ」
王と言えば、これ。
的な容姿の王の登場に思わずミノルが零してしまい、衛兵に槍を向けられる。
その槍を、王が徐に下ろさせると軽く頭を垂れていた。
「勇者様御一行に御座いますな? ピョートルからの来訪者でこちらを扱える人物となればそれ相応の方の筈」
言うなり、牢が開けられた。
ミノルが飛び出し大きく伸びをすれば、首を鳴らしながらライアンが出てきて王の前に跪いた。
女王から預かった手紙を丁重に差し出す、それさえ読めば全て解って貰えるだろう。
「ふむ、疑いはしないが間違いなくピョートル女王の印。このような夜更けに転送陣とは・・・さぞかしお疲れでしょうに。来客室の準備を!」
夜更けにも関わらず、王の態度は非常に有り難いものだった。
勇者の来訪ともなればそれくらいのことなのだろうが、四人は貴族が住まうような部屋に通され極上のベッドで一夜を過ごす。
マダーニなど一人で一室、広すぎて笑いが込上げてくるほど。
狼狽するライアンにミノル、トモハルだけは一人落ち着き払って出された果物や珈琲を啜る。
「お前、度胸あるな」
「んー、家族旅行行くとこういうホテルとかに泊まってるし」
「・・・そういやお前の親父、社長クラスだったっけ」
「社長じゃないよ」
異世界にまで来て、地球での生活環境の差が出てしまう。
悠々とのんびり身体を休めるトモハル、ミノルはおずおずと広すぎるベッドに横になる。
翌朝、これまた多すぎる朝食だ。
「オマール海老、林檎と大根のココナッツ風味サラダに御座います。スープは蕪をポタージュに致しました。真鯛のポアレにはトリュフをふんだんにあしらって御座います。フィレステーキにはグリーンペッパーを強調したソースを」
「・・・」
絶句するミノルと、優雅に食べ始めるトモハル。
朝からこれは厳しい、と言いたいところだが美味しかったのでミノルは全て平らげた。
「白い飯と味噌汁と卵焼きに漬物で俺はいーんだけど。あと焼き魚」
ぼんやりと満腹になった腹を擦りながら、ミノルは天井を見上げてぼやく。
そういえば、4年生の林間学校は現在の勇者達が全員同じクラスだったので楽しかったことを思い出した。
アサギと同じ班だったミノル、アサギが注いでくれた味噌汁をありがたく飲んだことを思い出す。
柿狩りをしたのだが、アサギは確かあまり柿が好きではなかった。
だが、ミノルが柿を「うっめー!」と言いながら食べていたら美味しいそうにアサギも食べていた。
「・・・あれ?」
首を傾げるミノル、脚色した過去だったかもしれないが確かにアサギはあの時にユキに「柿は苦手」と話していた。
優等生様にも苦手なものがあるんだな、と悪態ついた記憶があるのだが、アサギは美味しそうにトモハルと柿を食べた。
「・・・?」
デザートのメロンを食べながら、ミノルは再び首を傾げる。
『お、おいしいね、柿って』
そう言って話しかけてきたアサギを、思い出して赤面した。
『甘いんだね、知らなかった・・・』
「ん???」
まるで、自分が好きだから食べた、的なアサギ。
思わずミノルは首を振る、そんな筈がない。
ライアンが国王に一部始終を話している間、トモハルとミノルは剣の稽古である。
堅苦しい事は大人のライアン達に任せた、あとは腕が鈍らないように練習だ。
城下町から、ケンイチ達が呼ばれて駆けつけてきたのは昼過ぎである。
久し振りの再会に沸き立つ勇者達、ダイキ達も二日ほど前ジェノヴァに到着していたのだった。
「ケンイチは何してたんだよ」
「僕は、剣の道場に通ってたんだ。結構上達したと思う、実戦はあんまりだけど」
「ダイキは?」
「船旅が多かったから、俺が一番戦いとは無縁だったかも」
アサギを残し、全ての勇者が集結。
短期間ではあるものの皆、腕を上げている事に間違いない。
トビィが単独でアサギ救出に向かったことをクラフトが語るが、まだ、戻らない。
アーサーとて、戻ってこないが確認のし様子がない。
ブジャタがやってきたことで、最も位の高いブジャタとアリナが国王に改めて謁見した。
主要都市ディアスの市長の娘とお付の者となれば、当然だった。
堅苦しい事が苦手な事この上ないアリナにとっては、地獄の時間帯ではあるが仕方ない。
全てブジャタに任せて逃亡しようとしたが、無理だった。
その日の夜半にようやく解放されたブジャタとアリナは、皆と合流。
城に滞在し、一等部屋を用意してもらっている勇者達である。
ユキにいたっては全ての客室に感動し、昼間から輝かせて王宮内を物色。
ミノルは出される料理を片っ端から食べつくしていた、美味いのだ。
「今後は魔界イヴァンに向かう、船の手配もしてくださったからのぉ」
「万が一、トビィかアーサーがここへ戻った場合の手筈もしてくれたよ。心置きなく出かけよう」
全く、頭が下がる。
国王自ら勇者達を支援、舟を何艘も用意し兵もつけてくれるとの事。
よって、直ぐには旅立てないが魔界上陸など人類未踏、船の調達は有り難かった。
「でも、一刻を争うと思うんだ・・・。俺達の船が用意出来たら先に出発したいんだけど」
トモハルが素振りをしながら告げる、自分の剣はいまだ輝いてはいない。
「同感。国王に交渉してみる、参戦は後からでもいいと思うんだよね」
アリナが腕立て伏せをしながら、トモハルに同意した時点で決まりである。
一行は決戦になるであろう戦いに備えて、準備をした。
国王から、様々な武器や道具も与えられそれぞれの使い方を聞く。
お宝が大量だ、目を白黒させて見つめている一行だが、恐る恐る手にとる。
ケンイチとダイキの武器も支給された、余程の匠が造った剣だった。
薬草の調達、全員での行動だが以前と同じく大まかに三つの隊に別れて離れても無理なく戦闘が進められるように計画を。
トモハル、ミノル、マダーニ、ライアンが先発隊だ。
ダイキ、アリナ、サマルト、クラフトが中間地点を護る。
そしてケンイチ、ユキ、ブジャタ、ムーン、ミシアが後方支援。
ミシアはもっとも非力に思われるケンイチ達のグループへと再編されていた。
魔力だけならば後方が最も強力になる、ある意味最強かもしれない。
「トビィ殿とアーサー殿がいればもっと心強いのですけどねぇ」
クラフトがしんみりとぼやいた、が、いないものは仕方がない。
船の操作など自分達には出来ないので、船員の準備が整い次第一行は早々に出航した。
神官達から祈祷を受け、国王から一心の祈りを受け。
残る船も準備が整い次第、順次出航するとのことである。
流石魔王戦ともなれば、国王の協力が強大だった。
船風を受けながら、先端でトモハルは髪をなびかせている。
後方に、ミノルとケンイチ、ダイキ。
「アサギ・・・今、行くよ」
胸がそれぞれ、ざわめく。
とりわけ、トモハルの胸が何故か高鳴っていた。
「仔猫」
「は?」
思わず口にした、仔猫。
トモハルは怪訝な声を出したダイキに思わず赤面して苦笑いすると、なんでもない、と手を振る。
「さ、剣の稽古だ!」
勇者四人、剣での組み手を甲板で開始。
「クラフト、ミシアのこと」
「ブジャタ殿には話しました、大丈夫です」
要注意人物ミシアが、自分達から離れ移動したが、先の隊にはブジャタがいた。
クラフトが密やかに話をしていた為、三人は遠くから目配せを開始する。
ミシアは、ユキ、ムーンとともに魔法の訓練中である。
美少女三人、なんと華のあることだろうか、しかし、毒がそこに紛れている。
「さぁ、正念場よね」
「あぁ」
ライアンとマダーニは全ての荷物のチェックと、現時点で知り得ている魔界の地形を頭に叩き込む。
最終決戦は、海の向こうなのだから。
船の中で、トモハルの部屋アサギの武器・セントラヴァーズが静かにその時を待っていた。
勇者達が旅立って、一週間。
ジェノヴァに異国の者達がやってきた、知らせを受けて慌てて城から遣いがやってきて国王へと謁見。
アーサーだった。
「話は聴いておるよ、3星チュザーレの賢者アーサー殿とお見受けしたが」
「はい、恐れ入ります」
アーサー、ココ、リン、メアリ、セーラ、ナスカ。
それぞれ、笑顔での謁見だった。
アーサーは国王に悠々と話を聞かせた、快進撃であった。
「では、チュザーレは」
「はい、完全ではありませんがミラボーからの魔手を逃れました」
そうなのだ、一世蜂起したチュザーレの人間達は成し遂げた。
魔王ミラボーが不在だったこともあってか、手薄な各地の魔族の拠点を徐々に奪い返したのである。
王には陰りが伺えた、つまり、チュザーレの主力魔族部隊が4星クレオにいる、ということなのでは、と。
一定地を奪還した為、剣をダイキに届けるべく選ばれたこの6人がこうしてクレオへ来た、というわけらしい。
にしても、若く娘が多いこの来訪者に皆声を潜める。
確かにメアリはまだ、か弱き魔法使いで今回の作戦には入っていなかったが、どうしても行きたいと駄々をこねてついてきてしまった。
が、他のリンやココは無論、当然アーサーとナスカは秀でた魔力の持ち主。
見た目で判断してもらっては困るのである、何より自信で皆溢れている。
メアリが背負っている剣こそが、ダイキの剣3星の神器レーヴァテイン。
「勇者達は既に旅立った、が我らの兵も派遣しようと今船を用意している。明日には用意が出来るからそれで向かいなされ」
「なんという寛大な・・・。有難う御座います」
「平和な世になれば、チュザーレの各国とも是非交流したいものですな」
「ありがたきお言葉。わが国王・ボルジア17世に戻り次第お伝えいたしましょう」
城の一室を与えられ、眠りについたチュザーレの一行。
最強の賢者アーサーとナスカ。
剣士リンに、武術家ココ、神官セーラ。
と、見習い魔法使いのメアリ。
勇者達から十日ほど遅れて船でイヴァンへ旅立った、そう、勇者に再会する為に。
「メアリ、その剣はダイキという勇者に渡してください」
「ダイキ?」
「メアリよりも二つ下の少年ですが、一番背が高いので見れば解るかと」
「あら、おこちゃまなのね」
無邪気に笑うメアリに苦笑いし、アーサーは甲板にいたナスカに声をかける。
「守備は?」
「上々よ、かったるいから今すぐにでも敵が出て欲しいくらい」
「おやおや、好戦的だな」
くすくす笑うナスカに肩を竦めたアーサー、リンとココが組み手をしているのを横目で見ながら、洗濯していたセーラに近寄る。
「その仕事は船員さんがしてくれるのでは?」
「落ち着かないのよ、こうしてないと。コレが終わったら薬草の準備と調合ね」
「セーラらしいな」
海は、広大だ。
勇者の船には追いつけないだろうがこちらの船は全部で三艘、大規模な進撃だ。
「待っていてくださいね、アサギ」
・・・仲間達は、勇者アサギを救うべく魔界へ旅立っている。
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