別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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トランシスとアサギの続き、アサギは戸惑いつつも、笑顔で全てを許してしまう。
日曜日はサッカーの試合、軽く流す程度。
その後、ガーベラルートへ入るので、天界城の図書館にアサギはいなければならない。
外伝3始動。
君に咲く花のアサギ視点を書く。
その間に、マビルとアサギを間違える村へアサギが出向く。
トランシスとのR18をどうにかぼやかして連続投稿。
日曜日はサッカーの試合、軽く流す程度。
その後、ガーベラルートへ入るので、天界城の図書館にアサギはいなければならない。
外伝3始動。
君に咲く花のアサギ視点を書く。
その間に、マビルとアサギを間違える村へアサギが出向く。
トランシスとのR18をどうにかぼやかして連続投稿。
ずっと、指を咥えていた。ちゅうちゅうと、吸っていた。指から口内に広がる、アサギの血液は、一度口にしたら止められない中毒性があるように思えた。
今まで口にした、どんなものよりも、美味しかった。
この世界で”贅沢”出来る人間など、限られている。どんなものでも喉を通って胃の中に入り、生きていく為の活力になるならば、それは御馳走だった。
アサギが作ってくれた異世界の食べ物よりも、優しかった義母が作ってくれた質素な食事よりも、飢えていた際に支給された、ごく僅かのカビが生えたパンよりも、脱水症状寸前だった時に口に流し込まれた水よりも。
アサギの血液は、美味なものだった。
甘いのに、しつこくない。さらりとしているのに、どこか柔らかで。ずっと、飲み続けていたいもの。
飲んでいるだけで、不思議と腹の底から力が湧き上がってくる気がした。
身体中の血が沸騰して、高笑いしたくなるほど、愉快な気分になってきた。神経が過敏になり、研ぎ澄まされた感覚が身体中を襲う。興奮状態になり、気分は高揚して、今日一日の疲労感や胸が痛んだ出来事に、嫉妬心も消えた気がした。身体も軽くなったような気がしてくる、今ならば何でも出来る気さえしてくる。
「あはは、なんだろ、これ」
トランシスは、恍惚した様子で、ひたすらアサギの指を吸い続ける。血の味が無くなれば、別の指を斬り、そこを舐め始める。
アサギの手の指、十本は全て傷が出来ている。
それでも、まだ、足りなかった。
「血が美味しいってコトは、他のも美味しいのかな」
吸い続ける音が、部屋に響き渡る。淫靡な音にも聞こえるし、狂気的な音にも聞こえる。
トランシス的には、どちらも、だった。下半身は熱を帯び、明らかに性欲も高まっていた。
血を吸った、だけなのに。
蒼褪めて、気を失ったままのアサギの姿も確かにそそられたが、一番の要因は血だった。
「血が美味しいなんて、聞いたことがないケド。そういうもんだったのかなぁ?」
自分が異常だ、とは考えず、教えて貰えなかった常識だったと、勝手に思い込んだ。
トランシスは、じっとアサギを見つめ、そっと唇を合わせる。かさついたいたアサギの唇を湿らせるように、ぬっとりと舐め上げた。
「アサギのモノは、オレのモノ。アサギは、オレのモノ。アサギの血は、勿論オレのモノ。アサギの全ては、オレのモノ。そのうち、身体も全部食べてしまおう」
食べる、という単語には二つの意味が込められていた。
純潔を奪う、という意味の食べる。
もう一つは、文字通り食料として体内に取り込む意味の食べる。
トランシスは、この時点で本気だった。どちらの意味でも、アサギを食べたかった。血がこれほど美味しいのだから、肉はもっと美味いものなのだろう、と。
乳が出なくなったヤギの肉を食べる、肉を食べる為に育てているウサギもいる。
人間の肉も、食べられる筈だ。血だって、こうして美味しく食べているのだから。
「もしかして、この世の贅沢な食事って、愛する女を食べることなのかもね。神を名乗ってやがる奴も、そういうことなのかも」
愛おしそうにアサギの頬に触れ、眠っているのを良い事に、額を、瞼を、頬を、鼻を、耳を、唇を、顎を、首筋を、指を、手首を、二の腕を、とにかく露出している部分は全て、舐め上げた。
「あぁ、やっぱり。血よりは劣るケド、こうして身体を舐めていても、やっぱり美味しい。アサギの”蜜”は、どれほど美味しいんだろう」
含み笑いをして破顔したトランシスは、考えさえ口にしなければ、爽やかで礼儀正しい普通の少年と青年を行ったり来たりしている微妙な年頃の男に見える。
けれども、何処かに毒を秘めて。
陰鬱な影は、時折男にとって優位なものになる。危険な香りは、多感期の少女にとって惹かれてしまう要因になる。
トランシスは、アサギに出逢い、その危うい魅了を、さらに開花させてしまった。
アサギが目を醒ました時、トランシスはまだ、その指を舐めていた。とうに血は出なくなっていたが、一心不乱に吸っていた。まるで、幼子が母から母乳を強請るように。
ソファに深く腰掛けたトランシスの膝の上にいたアサギは、その体制に軽く赤面をした。とくん、と胸が高鳴った。
指を吸われていたのを差し引いたとしても、好きな男の部屋の、膝の上でずっと抱かれていたというのは、少女の心を揺さぶるのに十分だった。
知らない世界が、日々増えていく。
有り触れたロマンティックでちょっとエッチな少女漫画を、アサギも友達と交換して読んだりしている。そういった内容の中に自分が入ってしまったようで、妙な興奮状態を覚えた。
「おはよう、よく眠っていたね」
「ごめんなさい、えっと」
ようやく指から口を離したトランシスは、悪びれた様子もなく笑顔を向ける。戸惑うアサギは、記憶を失う前の状況が、うろ覚えだった。まだ完全に目が覚めていないこともあったのだが、脳にもやがかかったように、記憶がブレている。
「寝顔が可愛かったから、ずっと見てた。だから、退屈しなかった。オレは、愉しかったよ」
「え、えええええ! 恥ずかしいからそういうのは見ちゃ、ダメなんだよ!?」
顔を真っ赤にして眉を吊り上げたアサギが愛おしく、トランシスは思い切り吹き出すと、胸に押し付けて抱きしめる。
「かーわいい! 好きだなぁ、大好きだなぁ、ずっと、一緒にいたいなぁ、このまま、こうしていたいなぁ。誰にも会わず、二人きりで過ごしたいなぁ」
トランシスの形良い唇から漏れる心地よい声は、アサギの思考を、満ち潮で埋められてしまう海岸のようにジワジワと消してしまう。正常な思考が、海に浚われていく。
泡になり、水に飲まれ、荒々しく揉まれてパチン、と掻き消える。
「あ……う」
何も言えないアサギの髪を撫でながら、上機嫌のトランシスは瞳を閉じた。アサギの指に絡ませ、擦りつければ、まだ唾液の粘着が残っている。
「ふふ、愉しい」
耳元でそう囁いたトランシスは、意味が解らず軽く顔を上げたアサギに、至福の笑みを向ける。
「愛しているよ、アサギ」
愛している、という小学生では聞き慣れない単語に再び赤面したアサギは、視線を逸らした。自分も言い返して良いのか解らず、口籠っていると、含み笑いしながらの要求が耳元で告げられた。
それは、軽々しい口約束程度のものだった。
しかし、内容は重苦しかった。
「だからまた、血を飲ませてね。とても美味しかったんだ」
その一言で、アサギは記憶を鮮明に取り戻した。凍り付いたように、硬直したアサギを不思議そうにトランシスは一瞥すると、抱き締めて背中を擦る。
腕の中で、震えることも出来ず、瞬きするのも忘れて、アサギは。
「は、い」
掠れた声を出していた。
怖かった、痛かった、血を吸うなんて有り得ないと思った。
けれども。
大好きなトランシスが望むのならば、それは応えなければならないと思った。
拒否してしまったら、嫌われてしまうのではないかと、思った。
トランシスは、喜んでいた。笑顔を見ることが出来るのであれば、アサギは、少しくらい自分が痛い思いをしても大丈夫だと、そう思い込んだ。
言われた通り、回復魔法で傷は塞げるだろう。ならば、何の問題もない筈だ。
「ありがとう、アサギ! 大好きだよ」
「は、い」
無邪気に微笑み、頬に何度も口付けて来るトランシスに、アサギは『自分の行動は間違っていなかった』と安堵していた。
この笑顔を見ることが出来るのならば、言うことを聞いておこう。言うことを聞いていたら、きっと嫌われない筈だ。大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫、大丈夫。
トランシスは、まだ、好きだと、大好きだと、愛していると言ってくれるから、大丈夫。
ミノルとは違うから、大丈夫。
嫌われないようにしないといけない、この想いを手放したくないから、一緒にいたいから、やれることは、やらねばならない。
アサギは、そんなことをぼんやりと考えていた。
地球時間の、二十四時間が経過してしまう。トランシスと会っていられる時間は、神クレロによって、制限されている。時間が来る、その時まで。時間が二人を別つ、その時まで。
二人は、互いを抱き締めてソファで眠っていた。
『アサギ、時間だ。戻りなさい』
転寝していると、クレロの声が脳内で響き渡る。
うっすらと瞳を開いて、アサギは気落ちし、気づかず眠っているトランシスの頬にそっと触れた。
解っていたことだが、還らなければならない。こうして監視されているので、忘れていた、では済まないようだ。
トランシスを起こさないように、アサギは静かに、抱きしめてくれていた腕を外していく。けれども、思いのほか強い力で、なかなか外れない。
アサギは、それが嬉しかった。離さないでいてくれたことが、本当に嬉しかった。
「ありがとう、トランシス。また、来るからね」
ごめんね。
アサギはそういうと、躊躇することなく、唇を合わせる。
身動ぎしたトランシスから、慌てて力任せにすり抜けることが出来たアサギは、一目散に帰路についた
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