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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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2a042f19.jpeg転載するの忘れてました。
転載? あれ?

基本的に私の小説の書き方はこうです。

★このブログで書いてから、どこかに転載する

・・・なので、ここが一番掲載が早いはずなのですが。
21時~やたらと重くなってエラーになって全部消えたりしたことがあるので、メモ帳で書いてからこっちに転載するときもあります。
そうすると、こっちに転載を忘れたまま、小説家になろう様や、小説&漫画投稿屋様に先に掲載してしまうことに。

その後に、時間があったら別のブログにも転載しています。
のたらのたら。

←20120422に5分くらいで描いた魔王のリュウ。
この服お気に入りなので、色つけてあげたいです。

 馬に乗って、何日も旅をする。乗馬も嗜んではいたが、こんな長距離は無論初めてだ。
 僅かな食事で飢えを凌ぎ、小川の水で喉を潤し馬に休息を与えながら野宿をする。
 村を見つければそこで休むが、見つからないときは三人で野宿をした。
 幸いにも夜盗に遭遇することなく、また体調を崩すこともなく旅は続く。年老いた二人に合わせて旅を進めていたことが幸いしたのだった。
 稀に町を通りかかれば、トバエは装飾品を売って金にし、二人に寝心地の良い宿を与える。それが、せめてもの感謝だった。
 乳母の夫は狩りの達人でもあったので、トバエは旅の中狩りを憶える事ができたし、野草についても詳しくなった。川で魚も獲る事も、上手く出来るようになった。
 初めての生活だった、食事は自身で用意する。用意できなければ、空腹が待つのみ。
 城から眺めていた景色と違い、手入れされていない歩道を、山を馬で進む。
 途中、飢えに苦しむ村とて見た。土地が悪く不作だという。
「……もう、オレには何も出来ないがもっと視野を広げて城以外に注目しなければいけなかった。国の余っている金を地方に注がねばならなかった」
 旅をしているトバエ達の方が随分と裕福な集落で、ぼそりとトバエは呟く。
「そう思われているならば、やはり貴方様には王としての力量が備わっていたのですな。惜しい事です。ですが、そう思えるお方だからこそ、私達は供を申し出たのですよ」
 乳母の名はカルティア、その夫の名はウィル。カルティアは眩しそうにトバエを見つめ、ウィルは満足そうにトバエに平伏す。
 もう王子ではないのだから、と苦笑しトバエはウィルを立たせると以後、敬語も禁止だと嗜めた。
 年老いた夫婦と、その息子という偽りの設定を設けた。
 大きな街に辿り着いた、確かにここならば苦労もせず普通に過ごす事が出来るだろう。物資も溢れている、酒場を覗けば仕事も多々あった。
 何しろ城に勤める事が出来る認められた腕前の乳母カルティアと、物知りで狩猟に秀でたウィルである。年老いているとはいえ、働き口はありそうだ。カルティアは刺繍も上手く、それを売れば裕福な家柄の婦人たちに大うけしそうだったがトバエはここでの滞在を考える事ができずに去る。
 騒がしすぎた。
 もっと、静かな場所に居たかった。苦労してでも良いから、自分の居心地の良い場所が欲しかった。
 そんなトバエに夫婦は静かに頷くと、三人は再び旅を続ける。
 城を出てから、トバエの表情にも変化が訪れた。張り詰めた糸で絡め取られていたのだろう、冷酷にも見えた冷たい視線は太陽の光に触れて穏やかに色づく。
 上等だった衣服も汚れて幾箇所か継ぎはぎをした、顔も泥で汚れていた。
 だが、笑顔を見せるようになった。
「あれは? ウィル、あの美しい鳥は?」
「ウィル見ろ! 巨大な魚が獲れた! これは美味いのか?」
「カルティア、森で変わった茸を見つけたが……食べられるか? ほら、傘の形が不思議だ」
「可憐な花だな、小さくとも存在感がある華やかな深紅だ。名はなんと、カルティア?」
 行く先々で、トバエは全てのものに興味を持った。ようやく見せる子供らしい好奇心旺盛な感情に、夫婦は胸を撫で下ろす。
 城を出て半年ほど、傍から見たら元上流階級の親子のようだった。
 身分を偽っても、トバエの供え持った気品は隠せない。汚れても高貴で整った顔は人目を惹く。夫婦も元々上流階級だ、否応なしに品性が滲み出ていた。
 この子は、窮屈な城で暮らすよりもこうして外に出て正解だったかもしれないと夫婦は瞳を細める。確かに賢王にでもなれただろう、だがそれではトバエの気が休まらない。
 すでに自分達の愛しい息子の様に思い始めていた夫婦は、平凡な人生を歩ませる事になんの躊躇いももっていなかった。例え故郷の国が狂王によって、混沌に導かれたとしても、だ。
 夫婦には子供がいなかったこともあり、感情移入は早い。

 やがて、大河を船で渡り暫く歩いた山中に静かな村を見つけた。
 小さな村だったが、村の中心には小川が流れている。女達はそこで洗濯をしていた。山から湧き出た冷たく美味な水である、下流で洗濯をし、上流で飲食用に水を汲む。
 豊富な水源のある山なのか、小川だけでなく至る場所から水が湧き出ていた。水中花が綺麗に咲いている、ゆらゆらと揺れて美しい。
 鶏や牛や豚、山羊の鳴声が聴こえる、畑では逞しい腕の男達が土を耕している。
 質素ながらも心は裕福なのだろう、村人達は始終笑顔で突如現れたトバエ達にも軽く頭を下げて微笑む。トバエは感じの良い村人達に好感を抱いた。すでに、ここに住みたいと思っていた。
 トバエの瞳の輝きを見て、ウィルが直様村長へ謁見を申しでる。
 村長といっても、そんな立派なものではないと多少大きな家に案内された。なんと、畑仕事をし、村長の家へと連れてきた人物こそが村長だった。
 豪快に笑いながら、額の汗を拭い娘に客人を持て成すように伝える。娘と言っても、もはや三十路を超えているが。
 若く見えたが、ウィルよりも年上だと言い、それには三人が驚いた。
 出された茶は、娘が調合したというハーブティだった。レモングラス、レモンバーム、ペパーミント、スペアミント、ローズマリー。香り良いその茶に、トバエは瞳を閉じ香りを楽しんでから戴いた。
 湧き出ている水と、娘が丹精篭めて育てたというハーブ達の茶は、城で飲んだ高級な紅茶よりも美味しく感じられる。喉を通り抜ける自然の恵み、そのものだった。
 ウィル達に小難しい話は任せ、トバエは村を散策することにした。
 村長とてこの三人には気を許している様で、話は直ぐにまとまることもトバエには気付いていた。
 去り間際に、『廃屋がありますので……』と村長の言葉を聞いたからだった。
 思わず笑みを浮かべて小走りに村長の家を飛び出したトバエ、活気ある人々の生活に憧れる。
 自分はここで何をしようか、何が役に立てるだろうか。
 走り回る鶏を避けながら、村の端まで一気に駆け抜けるとそこは切り立った崖になっている。
 崖には幾つも黄色い小さな花が咲き乱れて、楽園のようだった。風で花が揺れると幻想的である。
 荒くなった呼吸を沈めるように大きく肩で息をした、だがその風景に興奮してしまう。
 と。
「ぁ……」
 思わず、声が出た。その黄色い花畑に、美しい若緑の髪を揺らして美少女が歩いている。崖の上の木の柵に縄を結んで、それを頼りに時折しゃがみ込み歩き回っているのだ。
 美少女といっても、まだまだ幼い。だが、すでに美しさが滲み出ている。
 危ない、と叫ぼうとしたのだがそれよりも身体に電撃が走って声が出ない。
 硬直した。呼吸が停止する、胸が躍る、身体が小刻みに震える。何かが体内を突き抜けていくように、血液が逆流するかのように、強い圧迫感を覚えた。
 トバエの視線に気付いたのか、ゆっくりと少女はそちらを向き、やんわりと微笑む。縄を懸命に握って崖から上がってくる。その姿が一生懸命で可愛らしい。
 美しい少女だった。着飾った少女達を城でも見たが、ここまでの美貌を目の当たりにしたのは初めてだ。健康そうな肌の色と上気した息遣いと頬、艶かしいしなやかな足。豊かな新緑色の柔らかく艶やかな髪に、温かみのある光を帯びた大きな瞳、軽く頬を桃色に染めて、熟れたさくらんぼの様な唇。
 まるで御伽噺の女神の様だと思ったが、同時に懐かしさが込み上げる。
 何故だか解らないが、胸が早鐘の様に鳴り響く。けれどもそれはなんとも心地良い。
「喜ぶ顔が、見ていたい。それだけだ。大輪に咲き誇る向日葵のような、地上の太陽のような眩しい笑顔で笑うから」
 ぼそ、とトバエは呟いていた。崖から顔を覗かせてにっこりと笑った美少女は、柵を軽やかに飛び越えるとトバエに一直線に向かってきた。
 周囲の空気が急激に変化した、村に入った時から異常なまでの安心感に包まれていたのだが彼女が近づくたびにそれが増す。居心地が良いと直感した村、彼女から溢れ出る不思議な空気のせいだ。
「早く、ここまでおいで」
 突っ立ったまま不意に呟いたトバエは、激しく脈打つ胸を押さえようと拳を作り、懸命に唇を噛締める。発狂しそうだった、歓喜に包まれて。
 興奮で頭に血が上り、まるで薄桃色の空気がトバエを包み込むように刺激してくる。呼吸が止まりそうだった、意識が朦朧とする、眩暈がする。
 けれども、少女の姿だけは瞳に焼きついたままだ。
 トバエが、徐に手を差し伸べた。
 ぱぁ、と笑顔を見せて少女が駆け寄ってくると軽くジャンプをしてトバエの胸に飛び込む。
 伸ばしていた手を戸惑うことなく、折り曲げて少女を抱きとめた。
 なんと、温かいのだろう。そして、胸が苦しいのだろう。反射的に抱き締めていたが、戸惑いを覚えた。
 人から抱き締められた記憶も、抱き締めた記憶も、ない。
 親子の様に接してくれているウィル達とて、まだトバエを抱き締めたことがない。
 両親が生存していた頃に抱き締めてもらったかもしれないが、それはまだ物心ついていなかった。憶えていない。
 けれども、懐かしく、安心する。思わず涙を零しなくなるほど、熱いものがこみ上げてきた。
―――遠イ昔ニ、コノ温カサヲ知ッタ気ガスル―――
 頭の中で、声がした。不快ではない声だ、寧ろよく知った声だ。
 自分の声だ。
「会いたかったよ、探していたよ。だからオレはここまで来たんだ」
 すんなりと、言葉が唇から漏れる。若干震えた声だ。
 少女は不思議そうに自分を抱き締めているトバエを見上げたが、大きな瞳を何度か瞬きする。
「わたし、アリア。おにぃちゃんは? おなまえは?」
 アリア。唇を小さく動かしたトバエ。
―――あぁ、見つけたよ、アース。君だね、君が―――
 アリアの美しく艶やかな髪を撫でながら、トバエは溜息を零した。
「トバエ。オレは、トバエだ。……アリア、今日からオレはここに住むからずっと一緒にいられるんだよ」
「トバエ! トバエおにぃちゃん!」
 アリアは名前を復唱すると、笑いながらトバエに更に抱きついていた。無邪気に。黙ってトバエはアリアを抱き締める、腕の温もりに若干身体を震わせながら。
 髪に、口付けた。城内の女ですら、ここまで見事な艶めいた髪を持つ女などいなかった。
 苦しかったのか、軽く身動ぎしたアリアを慌てて放せば瞳が交差する。見ているだけで吸い込まれそうな大きな美しい緑の瞳は、珠玉。直向で優しさの浮かぶ光。
 王位を放棄した美貌の王子、トバエ=カミュ=ラファシ13歳。
 名も無き村の美しき少女、アリア=ブラウン8歳。
 涙を堪えてむせ返るような歓喜を押し殺しつつ、安らぐ笑顔を浮かべたままのアリアを見つめたトバエ。
 2人は、この時代でこうして出逢った。
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