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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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5にするか、7にするか。
迷いましたが、5にします。
7は結構えぐいのです。
……2よりはエグくないかな。


そういうわけで、5で!

多分10話位で終わるかと思います。


アリン・アリハンブラ

トラリオン・シュナー
トロン・シュナー

ベルギー・ハドソン
リュカ・ティマー

あとは7だけだー、頑張れ私ーでも、本編が全く更新できてないぞー。

 名前を呼ばせてください、貴方の名前を呼ばせてください。
 私に何か力を下さい、奇跡を起こせる力を下さい。
 その代償として、何かを失っても構いません。
 どうか、どうか。
 あの人の名前を呼ぶことが出来るように、また、会えるように。
 ……会いたい、です。

 暗闇の中、照らす光は何でしょう。
 明るい太陽の光でしょうか、優しい月の光でしょうか。
 それとも、全てを焼き尽くす炎の煌きでしょうか。
 それはきっと、貴方の光。

 ***

 おはよう、と声が聴こえた。ゆっくりと、口角を持ち上げて頷いた少女は、口を開く。

「おはようございます、トロンお兄様。今日はお天気ですか? 雨ですか?」
「今日は晴天だ、アリン。洗濯を手伝ってくれるかい?」
「はい!」

 今日は、雲1つない晴天だ。アリンはそっと上半身を起こし、背に添えられた腕に支えられてベッドから下りる。

「着替えはここだ。置いておくよ。何かあったら呼ぶように、いいね?」
「はい、トロンお兄様」

 大きくて暖かな掌が添えられ、衣服の場所を教えられた。アリンは頷くと、そっと衣服を手に取る。
 数年前まではトロンが着替えを手伝ってくれたのだが、年を重ね、思春期を迎えると流石に気まずくなり一人で着替えを試みている。
 アリンは、産まれた時から盲目だった。
 豊かな新緑色の柔らかく艶やかな髪に、大きな瞳は美しい深緑色。軽く頬を桃色に染めて、熟れたさくらんぼの様な唇を持ち。まるで少女達の夢物語、御伽噺の中のお姫様のような容姿。その愛くるしい顔立ちは、見る者全てを魅了してしまうと言っても過言ではない。
 魅惑的なその瞳には、光がない。宝石の様に美しいが、視界に何も映らないので人と話しても当然焦点は合っていなかった。それが逆に神秘的にも見えるほど、類を見ない美貌の持ち主ではあった。
 今年で12歳になるアリンは、トロンと年老いた義父と村の外れの小屋で暮らしていた。
 トロンとは血が繋がっていないが、産まれた時から傍に居たので兄だと思っている。5つ年上の、何をするにも頼りになる男だった。
 アリンは、本当の両親を知らない。捨てられていたところを今の義父に拾われた。まだ現役で狩人をしていた義父が山奥で見つけたという。狼や熊の出没するその山中で泣いていたアリンを見た時、義父は瞳を丸くした。
 赤子が無傷で、元気に鳴いていたからだ。奇跡の子だと思い、連れて帰った。
 トロンも、その義父の本当の子ではない。川沿いを歩いていた時に、大声で泣いていて拾ったのだ。
 2人とも、捨て子。けれども3人は仲睦まじく、本当の親子の様に暮らしてきた。
 まさかアリンが盲目だとは気付かなかったが、最初に気がついたのはトロンで、それ以来親身になって世話している。
 山羊の乳を飲み育ったアリンは、瞳に光すらなくとも、健康で正直、そして飛び切りの美しい娘になった。
 義父は思っていた、まさか本当に天の使いではないのか、と。
 でなければ、あの山中に赤子が1人きりで薄布一枚。いつ捨て置かれたのか解らないが、よくもまぁ無事であったものだと、不思議に思う。義父は何度もその話を2人に聞かせていた。
 小さく笑って聞いているアリンの隣で、髪を撫でながらトロンも義父の話を半分信じている。
 近づけば甘い良い香りがし、傍にいるだけで心が落ち着くアリンはこの世のものではないように思えるのだ。
 それは恋だと、義父に言われた。トロンがアリンに恋をしているから、そう思えるのだと教えられた。
 トロンはそれはそうだと「確かに愛している」と真正直に答えたが、それとは別のものでアリンには特別な感情も抱いている。
 血が繋がらない2人は、婚約も無論可能だ。義父もそうさせるつもりだった。共に育ったので今後もそうあるべきだろう、と。盲目の娘なので、見知らぬ男には渡したくないのが、義父の本音だ。トロンならば信頼できる。
 本当の娘の様に可愛がってきたので、不憫な思いはさせたくなかった。
 トロンも、相当な美しい男だった。珍しい紫銀の長い髪を1つに後ろで束ねており、濃紫の切れ長の瞳は全てを見透かすような眼力がある。長身で細身ながらも筋肉質、教えた事は何でも直様覚えてしまう器用さである。
 街へ買い物へ出かければ、娘達の10人中9割が振り返って色めき立つような、美男子だ。
 それこそ、本当に似合いの2人なのである。こんなに絵になる男女を義父は見たことがなかった、自慢の息子と娘だ。
 成長したトロンが川で森で食料を獲ってくる、小屋の隣の畑では義父が丹精篭めて野菜を作っていた。
 どういうわけか、特別な肥料など使っていないが街で売られている野菜達よりも遥かに大きく味も良い。
 鶏も庭を走り回り、大きな卵を産んでくれる。山羊達も元気でミルクからチーズも作ることが出来た。
 アリンは瞳が見えないが、義父が与えてくれた糸で反物を作った。それが街で高く評価され、飛ぶように売れる。
 慎ましくも、恵まれた生活だった、静かで平和な時間を過ごしてきた。
 それが、ずっと続くものだと思っていた。
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