別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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冷たい、痛い。
痛い、冷たい。
アサギは軽く瞳を開いた。
微かに呻きながら、起き上がる。
どのくらい眠っていたのだろうか、ゆっくりと身体を伸ばす。
「あれ・・・?」
腹部の傷がない。
衣服も破れておらず、血もついていなかった。
アサギは軽く苦笑いをすると、頭を軽く擦る。
ようやく開けた視界に映った物は、冷たくて硬い石で出来た部屋であった。
小さな部屋に寝転がっていたようだった。
どうやらここは牢獄らしい。
アサギは辺りを見渡し、気配がないか確認すると、息を大きく吸い込んだ。
「誰かいませんかーっ」
叫んでみる。
不意に気配を感じてそちらに眼をやると、鉄格子の向こう側に看守が立って、こちらを見ていた。
思わずアサギは右手を前に突き出し、睡眠の魔法を詠唱する。
牢獄から出ないことには先に進めない。
看守を眠らせて鍵を手に入れて、ここから抜け出す計画だった。
が、看守は魔法を無効化しているのか、アサギの魔法が失敗したのか、眠らない。
『今さらジタバタするな、お前は明日の朝に処刑されるのだから』
看守はアサギを見下ろしながら、そう言い放つ。
処刑・・・、アサギは小さく言葉を漏らすと、困惑気味に俯いた。
「殺人、か、な・・・。・・・多くの人を殺してきたことに違いはないので」
ぽつり、と呟く。
瞳を硬く閉じると、その「殺してきた人物」達の顔が脳裏に浮かび上がっては消えた。
哀しそうに、笑う。
『その通りだ。さぁ今夜は最後の晩餐だ。食べたいものを言ってみろ、持ってこさせるよ』
やっぱり。
微かに笑う。
食べたいもの、と言われても・・・。
アサギは再び冷たくて硬い床に寝そべった。
瞳を閉じ、先程から消えない声を聞いていた。
知らず、涙が頬を伝って、床へと消えていく。
「お水。冷たい、美味しいお水が飲みたいのです」
思い立ったように静かに呟くと、看守を見てにっこりと笑った。
言い終えてから、アサギは再び瞳を閉じる。
涙を拭おうともせずに、笑みを浮かべたまま、静かに呼吸していた。
『なんだ、そんなものでいいのか。…どれほどのことをしてこようとも、所詮お前も凡人だったってことか。できることならもう少し話したかったな』
看守は拍子抜けしたようにそう言ったが、アサギにはそれが嬉しかった。
自分を平凡な人間、と見てもらえたような気がして。
これが看守との最後の会話になる・・・そう思い、アサギはゆっくりと起き上がった。
水を取りに行こうとする看守を呼び止め、鉄格子に軽く手を添える。
「あの。お話出来て嬉しかったのです。先程は唐突に魔法をかけてしまって、申し訳ありませんでした・・・。まさか、口を利いていただけるとは思わなかったので。・・・ちょっと、落ち着いてきたのです、ありがとでした。看守が、あなたでよかったのです。
本心。
殺人を犯してきた自分に死刑が下されるのなら。
最後に軽くでも人と会話出来たのなら、それはそれで良い。
ホントはギルザに会いたいけれど。
アサギはそう思って軽く笑った。
痛い、冷たい。
アサギは軽く瞳を開いた。
微かに呻きながら、起き上がる。
どのくらい眠っていたのだろうか、ゆっくりと身体を伸ばす。
「あれ・・・?」
腹部の傷がない。
衣服も破れておらず、血もついていなかった。
アサギは軽く苦笑いをすると、頭を軽く擦る。
ようやく開けた視界に映った物は、冷たくて硬い石で出来た部屋であった。
小さな部屋に寝転がっていたようだった。
どうやらここは牢獄らしい。
アサギは辺りを見渡し、気配がないか確認すると、息を大きく吸い込んだ。
「誰かいませんかーっ」
叫んでみる。
不意に気配を感じてそちらに眼をやると、鉄格子の向こう側に看守が立って、こちらを見ていた。
思わずアサギは右手を前に突き出し、睡眠の魔法を詠唱する。
牢獄から出ないことには先に進めない。
看守を眠らせて鍵を手に入れて、ここから抜け出す計画だった。
が、看守は魔法を無効化しているのか、アサギの魔法が失敗したのか、眠らない。
『今さらジタバタするな、お前は明日の朝に処刑されるのだから』
看守はアサギを見下ろしながら、そう言い放つ。
処刑・・・、アサギは小さく言葉を漏らすと、困惑気味に俯いた。
「殺人、か、な・・・。・・・多くの人を殺してきたことに違いはないので」
ぽつり、と呟く。
瞳を硬く閉じると、その「殺してきた人物」達の顔が脳裏に浮かび上がっては消えた。
哀しそうに、笑う。
『その通りだ。さぁ今夜は最後の晩餐だ。食べたいものを言ってみろ、持ってこさせるよ』
やっぱり。
微かに笑う。
食べたいもの、と言われても・・・。
アサギは再び冷たくて硬い床に寝そべった。
瞳を閉じ、先程から消えない声を聞いていた。
知らず、涙が頬を伝って、床へと消えていく。
「お水。冷たい、美味しいお水が飲みたいのです」
思い立ったように静かに呟くと、看守を見てにっこりと笑った。
言い終えてから、アサギは再び瞳を閉じる。
涙を拭おうともせずに、笑みを浮かべたまま、静かに呼吸していた。
『なんだ、そんなものでいいのか。…どれほどのことをしてこようとも、所詮お前も凡人だったってことか。できることならもう少し話したかったな』
看守は拍子抜けしたようにそう言ったが、アサギにはそれが嬉しかった。
自分を平凡な人間、と見てもらえたような気がして。
これが看守との最後の会話になる・・・そう思い、アサギはゆっくりと起き上がった。
水を取りに行こうとする看守を呼び止め、鉄格子に軽く手を添える。
「あの。お話出来て嬉しかったのです。先程は唐突に魔法をかけてしまって、申し訳ありませんでした・・・。まさか、口を利いていただけるとは思わなかったので。・・・ちょっと、落ち着いてきたのです、ありがとでした。看守が、あなたでよかったのです。
本心。
殺人を犯してきた自分に死刑が下されるのなら。
最後に軽くでも人と会話出来たのなら、それはそれで良い。
ホントはギルザに会いたいけれど。
アサギはそう思って軽く笑った。
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