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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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項垂れながら、純白の子ウサギがアニスに身体を摺り寄せ呟く。
愛しそうに何度もアニスの身体に鼻を押し付けた。

「嫌だな。とられたくないな! アニスが居なくなるのは嫌だな!」

子ウサギの発言に、今まで堪え、言葉として吐き出すのを躊躇していた動物達が、連鎖反応で一斉にざわめき出す。
話を聞いていれば分かる、アニスは、すっかりあの人間のトカミエルに心を奪われてしまっていた。
誰も見たことがなかった、頬を赤く染めて語るアニスを見るたび、不安と焦燥感で胸が苦しくなる。
喧騒の中、アニスは月の光りを浴びたまま、ぐっすりと穏やかに笑みを浮かべて眠りに就いている。
その、穏やかな笑みを動物達は護りたいと、そう思った。
人間と妖精、決して相容れぬ存在だろう。
上手くいくとは到底思えない。
・・・この、笑顔を。・・・近くで見て居たいんだ。それだけ、なんだ。

「我らが団結して、人間の街を襲えば良い。街を捨てて逃げ去るだろう」

暗闇の中から、気高き狼達が総出でやってきた。
鋭い眼光を煌かせながら、街の方角を見つめ、咆哮する。
動物達の生態系で、頂点に立つとも思われる狼達、しかし、この老樹の下だけは、どんな種族の動物達も決して争わない。
平素ならば逃げ惑うだけのウサギが、今はこうして狼達を頼もしく見上げていた。

「わしらも、協力しよう」

熊達がのっそりと、しかし、地面を雄雄しく踏みつけながらやってくる。
猪達が低く唸りながら、土煙を上げながら、遠方から突進してくる。
小動物たちも、体勢を低くして小さく唸りながら、街の方角を見やった、足元に噛み付くことくらい出来るだろう。

「・・・黙りなさい」

いきり立ち、それぞれ雄叫びを動物達が上げる中で、老樹が静かに怒気を含んだ口調で冷たい一喝を入れた。
その声は初めて聞く声で、瞬時に皆の先程迄の威勢を消失させる。
辺りは静寂に包まれ、動物達は尻尾を丸めて項垂れたまま、次の声を待った。

「そんな事をしてみてごらん。アニスはどう思う? 人間達と関わりたい、そう願っているアニスはどう思う? 闇雲に破壊だけでは、何も変わらんよ」
「でも、じゃあ、他に何が出来るのですか!? 教えてください老樹様。その膨大な知識で何か別の方法が思いつくのならっ」

鹿が吼えるように老樹に叫んだ。
仲間達が軽く制するも、その返答は皆聞きたいようで静まり返ったままのその場所。
方法か・・・。
小さく呟いた老樹は葉をざわつかせながら、月を仰いだ。
光り輝く星々を何度も目で追いながら、自嘲気味に笑う。
遠い遠い昔、老樹の兄弟達は、とある宇宙の片隅の爆発によって惑星ごと消失した。

「わしは、あの時の生き残り。遠い遠いこの惑星で芽を出し、育ってきた真実をしるどんぐりの生き残り」

そう呟いた老樹に、動物達は不安げに首を傾げる。
意味が分からない。
だが、酷く哀しそうで、今にも崩れ落ちそうな老樹を見ていると、それ以上何も言えなかった。
健やかな寝息を立てて眠り込んでいるアニスを見下ろし、暫し懐かしそうに見入っていたが、不意に人間の街に視線を移動した。

「歴史は繰り返すか。それとも、ここで断ち切るか」

謎めいた発言に動物達は眉を寄せたが、それでも言葉は発しない。
大人しく聞き入る。
独り言なのか、皆に言い聞かせているのか、自身に語っているのか。

「まぁ、共存しかないじゃろうな。ただ、人間達と隔たりなく接することが出来るかが問題だ。わしらは良くとも、人間達がそれを拒否すれば無理じゃの。一方通行の思いではどうにもならん。可能性は低いの」
「無理ですよ、そんなの! 無理だからこうして他に方法がないのかを話し合っているのですよ!?」

動物達が一斉に口々に言葉を吐き出す。
深夜の森林に、動物達の咆哮が木霊した。

「非常に難しいが、出来ないと決め付けるのは早い」

老樹は再び空を仰ぐ。
昔。
人間達よりももっと高度な神や精霊神に、一人の少女を守る為に、強いては宇宙を守る為に和解を求めたが、高慢な彼らは聴く耳持たずして、滅んでいった。
そんな相手でも受け入れは不可能だったのだから、今回の人間でも無理だろう、と老樹は深い溜息を吐く。

「懐かしい話じゃの。しかし、まるで昨日のようでもあり。廻り廻って歴史は繰り返されるのじゃ」

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