別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
×
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うみねこのなく頃に
(の、ソフトに入っていた曲が聴けるモード)
弟が貸してくれたのですが、やる時間がないのですー・・・。
仕方ないので曲だけでも聴いて(ほろり)。
DESも、一気に本編を進めたいのですが、なかなか時間が(ほろり)。
とりあえず、この回だけでも書き切りたいですねー・・・。
これさえ乗り越えれば、あと数回でトビィがクレシダ達に再会出来るのです。
ミシアがおっそろしいことになってますが、この人はこーいう人なので。
実はKOCにこの人で行こうかとも一瞬考えたのですが、友達が出来なさそうだったのでやめました(笑)。
今思うと、危険な事をしようとしていたなぁ・・・。
イラストは無論、引き続きお友達ですー。
左がミシアで、右がロザリンド。
ロザリンドねーさんは、結構人気があったのですが。
私も好きだったのですが。
情婦なのか占い師なのか・・・謎です(おぃ)。
その頃、甲板の上では船員達がざわつきながら、辺りを駆け巡っていた。
木の軋む音を聞いた一人がその方向を見やる、そこにはドアを開いて甲板へ出てきたトビィ達の姿があった。
見つけた船員は手を振って取り込み中だ、と迷惑そうに追い払おうとしたのだが、船長が真正面に立つと深く礼をする。
船員が呆気にとられる中、アリナが勝気な瞳で船長の身を起こした。
「やだな、礼はなしですよ。ボク達は確かに乗客だけど、困った時はお互い様。それに腕には自信が有るし。な、みんなっ」
「かたじけない」
ほっとしたように微笑む船長の姿に、船員達は首を傾げ訝しがった。
「船長? この方々は・・・?」
何の状況も把握出来ていない船員、怒鳴りつけ強引に頭を下げさせる船長。
「馬鹿野郎共が! この嵐が自然のものじゃないってぇぐらい、分かるようになれ! この方々は戦士様だ、それも・・・とびきりのな」
そう言うと、トビィとアリナ、二人を見つめてにやりと豪快に笑う。
ふーん、ボク達の強さがわかるんだ、と感心するアリナ。
確かに現時点で強力な人物といえば、この両者だろう、船長は見抜いていた。
船旅とて安心できない、魔物の襲来、海との戦いで船長も船員もそこそこに強くなければいけないのだ。
故に、気配でトビィ達の力量を見抜いたのだろう。
目配せし合うトビィとアリナ、船長が大声で指示を出した。
「いいか! 魔物が攻めてくるぞ! 戦闘じゅーんび! 急いで配置につけぇ!!」
「いえっさー!!」
その一言で訓練通り、素早く持ち場に着き、各々武器を手に取る。
或いは船の調子を調べ始める。
物置に掃除道具を投げ込み、代わりに剣や弓、手製の爆弾を取り出した。
「では、ご協力を宜しくお願い致します」
船長もそう言いつつ、腰に下げてあった愛用の剣を引き抜いた、空を見つめて唇を噛み締める。
「了解、まっかせてーっ」
アリナが構えた、トビィが剣を引き抜いた、サマルトとダイキが真似して後方についた、クラフトが神経を研ぎ澄ませた。
降り頻る雨の中、一筋の雷鳴が鳴り響き、それを合図に空から下卑た叫び声を上げて舞い降りてきた魔物達。
紫の変色した皮膚、真っ赤に燃え盛る瞳、蝙蝠のような羽、細長い尻尾を持つ・・・ガーゴイルである。
空の暗さはこの魔物達が居た為なのか、かなりの数のようだ。
もともとは邪悪な銅像に命が吹き込まれたのが生命誕生とされるが、今はどうでもよい。
半ば呆れつつ、しかし好戦的なアリナは嬉々としてその招かれざる客を迎え入れた。
「さてと。どうするトビィ? 全滅させる、追い払うだけ?」
「こちらの被害を最小限に抑える、全滅させたほうが早ければそれで良いだろう。・・・行くぞ」
揺れ続ける船体、二人は瞬間で瞳を合わせると一気に主力のは駆け出し、急降下してくる魔物の中へと突入した。
「嵐の中、どうもご苦労様だねっ」
信じられない速度で軽々と宙に舞い上がり、そして何時引き抜かれたのか腰の小剣二本を巧みに操ると魔物の羽を根元から切り落とした。
無様な姿で甲板に転がったそれを、小さな悲鳴を上げた船員に愉快そうに片目を瞑ると言い放つ。
「それくらいなら、君らだってどうこう出来るだろ?」
言われて赤面する船員、もちろん自分の力量や度胸を見透かされていたからだ。
飛び上がらないから、恐れる事はない、甲板から海へ放り出すのも剣で突き刺すのも苦労しないだろう。
彼らにはとても、ガーゴイルと対等に渡り合えるだけの技量が、まだ備わっていなかった。
アリナの大胆かつそれでいて優美な戦闘に、皆が息を飲んだ。
戦いの中でこそ、その本来の美しさを極限まで発揮出来るアリナ、戦いの女神的存在だ。
トビィとて、負けてはいなかった。
張り合っているつもりは全くないのだが、目立ってしまう。
妖しくも美麗な魅力の剣、それの持ち主であるに相応しい者・・・アリナに負けず劣らず素早い。
確実に一撃で敵の急所を貫き、生命を奪っていくのだ・・・死神の如く。
そんな二人に刺激を受け、対抗して頑張っているのがダイキとサマルトである。
武器の扱いはそこそこだ、しかし二人には魔法があった。
揺れる足元でも、壁に寄りかかって安定した場所で魔法の詠唱が可能である。
「いっくぜぇ! 天より来たれ、我の手中に。その裁きの雷で、我の敵を貫きたまえ。眩き光と帯びる炎、互いに呼応し進化を遂げよっ!」
サマルトの放った魔法、上空から何本もの雷が魔物の群れへと落下し、直撃を受けたものが海へと落下する。
甲板へと落下したならば、船員達が何人がかりかで、止めを刺した。
「呼ぶは大いなる力、集めるはその源。結集せよ、我の前に。望むは強大なる力、我の敵を吹き飛ばすべく弾け飛べっ!」
懸命に練習したダイキの魔法、空中に大人の頭ほどの電撃を走らせる黄色の球体が出現した。
それを魔物の群れの中へと一気に放つ、避ける間も無く閃光を放って弾けとんだそれと共に、巻き込まれた魔物はバラバラに吹き飛ばされた。
成功した嬉しさで、飛び上がって互いの手を叩くサマルトとダイキ、しかし高度な魔法を雨の中で唱えたため精神を思いのほか消耗したようだった。
もともとダイキはこのような悪天候の戦闘に慣れてはいない、地球に居た時とて雨が降れば傘をさした。
励ましあいながら、ダイキとサマルトは二人で魔法を唱え続ける。
クラフトは、傷ついた人々を救うべく甲板を駆けずり回っている。
癒しの呪文を唱え、そしてアリナの援護をし・・・。
船員達も勇気付けられ、懸命に応戦していた。
その為だ、皮肉にもその為にミシアの姿が甲板にないことに、誰しも気づかなかったのである。
甲板で激戦が繰り広げられている中で、ミシアの心は跳ね上がっていた。
今から自分は舞台に立つ、期待溢れる新人として華々しくデビューを飾るのだ。
その駒に、薄汚いメス豚のロザリンドを用いる。
「本当、幸運よねメス豚。美しくて優しい私に殺されて良かったわよねぇ」
そう呟きながらチラリと傍らのロザリンドを見つめ、唇の端を持ち上げて薄く微笑む。
「さてと、そろそろね。いいこと、あなたはトビィの後を追って甲板へ飛び出すの。私は助けようとするのだけど、間に合わなくて海の底へと転落。自分を悔いて嘆き悲しむ私を、トビィが慰めてくれるの。・・・そういう筋書き、分かったかしら?」
ロザリンドは、かくかくと首を縦に振った、満足そうに笑うミシア。
「さあ・・・行きましょうか」
ミシアが顎で指図すると、ロザリンドは焦点の合わない瞳でぎこちなく動き、ドアを開くと真っ直ぐに甲板へと飛び出す。
雨と風、雷の音でロザリンドがドアを開いた音など、誰にも届かない。
戦闘中なのも加わり、周囲に構ってはいられないのだ。
しかし、余裕のあるトビィとアリナはその存在に気がついた。
明らかに戦士でも、船員でもない姿の女が甲板を走っている。
訝しげに雨の中、その姿を見つめはっとしたアリナは行く手を阻む魔物を蹴散らし、庇おうと走った。
トビィもロザリンドのもとへと駆けつける、だが二人の中間地点ほどでロザリンドは大きく揺れた船体と、魔物の鋭い爪によって背中を引き裂かれ、荒れ狂う海へと投げ出された。
「ロザリンド!」
「ねぇちゃん!?」
トビィとアリナが同時に叫ぶ、身を乗り出して落下していくロザリンドを唖然と見つめた。
ゆっくりと、頭部から海へと落ちていくその姿、あまりに美しく。
船員達も何事かとその方向を見た、そう、ミシアに注目するものなど誰もいない。
平然とドアの物陰から事の成り行きを見守っていたミシアは、注意がそちらに惹きつけられたのを良い事に堂々と甲板へと足を踏み出すと、そこから一気に駆け出す、叫ぶ。
「あぁっ、ロザリンドさんっ!!」
やがて海に引きずりこまれるようにして、ロザリンドの姿は消えていった。
唖然とその場に立ち尽くすトビィであったが、それでも急降下してきた魔物を視線を移す事無く、剣で一突きにする。
緑色の粘つく液体がトビィの髪に、身体に降りかかるが、それを気に留める事無く無言で、しかし憎悪がはっきりと伝わる表情で残りの魔物を一掃していく。
まさに鬼神、アリナさえ声をかけられずに、唇を噛み締めながら痛々しくその姿を見つめる。
心のざわめきを感じながら、再度戦闘に戻ったのだが・・・。
その瞳の端、青褪めた表情で立ち尽くしているミシアの姿が目に飛び込んできた。
何気に見たが、そういえば戦闘中ミシアの姿を見ていなかった気がしてきた。
不審に思い、敵を倒しながら見ていると、あまりにも青褪めていたせいなのか船員に声をかけられて、肩を貸されていた。
確かに人が死んだ、しかし今まで何度も戦闘に携わってきているであろう人物が、それくらいで眩暈を覚えるだろうか。
第二の犠牲者を出さないために、少しでも戦力になる者は早めに戦闘を終わらせるべく、必死になるはずではないのか。
口元を押さえながらここからでもはっきりと分かるように、ミシアは涙を零している。
ええい、泣くな鬱陶しい
それは戦闘が終了してからにしてもらいたい、哀情の念に耐えないのは分かる、しかし時と場合を考えて欲しい。
皆の注意力を乱しているから、そこを魔物に付け入られた。
ミシアを支えている船員に、容赦なく爪を振り立てる魔物、間一髪ダイキが振りかぶった剣が見事喉元に入り、危機は切り抜けられた。
見るからに気分優れぬ様子、立っているのすらやっとであるミシアにダイキは心底心配して、休んでいてください、と声をかけていた。
船員も同意し、ミシアを船内へと連れて行こうとするのだが、それを・・・拒否したようだ。
か細くも、内に情熱を秘めたような眩しい瞳、そして凛とした声で。
「いいえ、私もお役に立たなければ・・・。私のせいで、あなた達を危険な目に合わせてしまった。ダイキが助けてくれたからよかったようなものの・・・。本当にごめんなさい・・・。でも、大丈夫です、私、戦えます」
悪趣味だ。
先程まで悪態をつきながら人を嘲ていた人物と同一とは、全く思えない。
二重人格なのか、演技が上手いのか・・・今はか弱くも芯のしっかりとした儚げな女である。
ふらつく足取りで、今にも倒れてしまいそうな様子に、船員とダイキは押しとめようとする、だがミシアの決意は変わらない。
「無理しないで休んでいて下さい」
「そうだよ、この船員さんに連れて行ってもらいなよ。後はどうにかなるよ」
汗ばんでいる額、荒々しい呼吸、そんな中でも強引に笑顔を作り、微笑むミシア。
しかし、顔を顰めて俯いた・・・ようにその場にいた二人は感じたのだが。
実際、俯きミシアは・・・愉快そうに笑ったのだ。
そう、全ては演技である。
気を失いそうな振り、心のうちでは自分の思い通りに進むこの状況が愉快で愉快で、興奮状態で見ていたのだ。
呆気ないほど思い通り、この計画は完璧である。
ふふっ、まだまだ序の口だけれどね・・・?
「さぁ、頑張りましょう。敵の数は減ってきていますものね」
面を上げる、皆を勇気付けるかのように言ったその言葉、ダイキも船員も不安そうに見つめながらも頷いた。
この時点で船員・ポールはこの「大人しそうだが知的で、挫けない心を持った美しい少女」と見たミシアに恋をしてしまったのだ。
流れるようなすべらかな髪、強き光を持った瞳、筋の通った鼻に薄くもほんのり紅に染まる唇。
横顔をぼぅ、っと見つめていた時、不意に瞳が交差した、そこでミシアがゆっくりと・・・微笑んだ。
もう、虜である。
アリナは舌打ちしてそんなポールの様子を見ていた、非常に気に喰わない。
傍目でも分かるほど、ミシアに惹かれている、一目瞭然。
マダーニの妹、確かに頭の回転は速そうだった、しかしどうもアリナはいけ好かなかった。
どうも、雰囲気が一歩下がって接してしまう、近寄り難い。
大きな瞳で睨み付けた魔物を蹴落として刺す、それは最後の一体であったようで周囲で歓声が巻き起こった。
大きく肩で息をする、トビィの姿を捜して近寄った。
一人で剣に付着した魔物の体液を布で拭う、それから海を一瞥し、立ち去る。
一直線でドアに向かい、何者も寄せ付けないような雰囲気で、船内へと。
アリナは声をかけられずにクラフトと合流した、ようやく額の汗を拭う。
周囲では魔物の死骸を掛け声と共に海へと放り込んでいる、甲板の掃除を始め、魔物の体液を洗い流し・・・と船員達が忙しなく動いていた。
此処から先は、アリナ達の出る幕ではない。
掃除をした後、聖水を丁寧に船体に撒く、清めて魔物との遭遇の確率を減らすのだ。
慌しく動く船員達の中、サマルトとダイキがこちらへ向かってきた。
ミシアは何時の間にやら多数の船員に取り囲まれ、治療を施している。
そんな中、訝しげに何かを見つめていたクラフトに、アリナは小さく声をかけた。
「クラフト? どうした」
緊張の糸が解ける、安堵の様子でアリナをゆっくりと見やると悲しそうに呟いた。
「トビィ殿・・・かなり気落ちしてらっしゃいましたねぇ。ご覧になられましたか海の中、餌を求めるものどもが・・・死骸を喰らっております。・・・あれでは・・・」
「あぁ、トビィのことは本当に気の毒だと思うよ。ボクも彼女の事は気に入ったし・・・。後でトビィに会いに行くよ」
「そうですね、時間を置いて訪れましょう。今は誰とも会いたくないでしょうから」
アリナとクラフトが口を噤み、互いの表情をじっと見つめた。
普段はこうするだけで赤面し、俯いてしまうクラフトだが今回ばかりはそうはいかない。
何か重要な、人目を憚らねばならない会話がある時、こうしてクラフトは常に無言になった。
言葉には出さずに、心で訴える。
アリナとて同じだった、気にかかる事が出来てしまったのだクラフトと内密で会話がしたい。
軽く二人は頷き、ドアへと向かう。
クラフトも直ぐ続き、慌ててダイキとサマルトが後を追う。
ミシアは遠くからそんな四人をひっそりと見つめ冷笑。
周りは自分に酔いしれている男共溢れ返っている、そんなミシアの先程の笑みすら、艶やかなものでしかない。
溜息があちらこちらで聞こえた。
「さぁ、他に怪我をなさっている方は・・・? どうか、あなたのその怪我を、私に治させてください」
ダメ押しに、ミシアは聖母のように船員達に微笑みかける。
笑う、笑う、心で笑う、嘲り笑う。
木の軋む音を聞いた一人がその方向を見やる、そこにはドアを開いて甲板へ出てきたトビィ達の姿があった。
見つけた船員は手を振って取り込み中だ、と迷惑そうに追い払おうとしたのだが、船長が真正面に立つと深く礼をする。
船員が呆気にとられる中、アリナが勝気な瞳で船長の身を起こした。
「やだな、礼はなしですよ。ボク達は確かに乗客だけど、困った時はお互い様。それに腕には自信が有るし。な、みんなっ」
「かたじけない」
ほっとしたように微笑む船長の姿に、船員達は首を傾げ訝しがった。
「船長? この方々は・・・?」
何の状況も把握出来ていない船員、怒鳴りつけ強引に頭を下げさせる船長。
「馬鹿野郎共が! この嵐が自然のものじゃないってぇぐらい、分かるようになれ! この方々は戦士様だ、それも・・・とびきりのな」
そう言うと、トビィとアリナ、二人を見つめてにやりと豪快に笑う。
ふーん、ボク達の強さがわかるんだ、と感心するアリナ。
確かに現時点で強力な人物といえば、この両者だろう、船長は見抜いていた。
船旅とて安心できない、魔物の襲来、海との戦いで船長も船員もそこそこに強くなければいけないのだ。
故に、気配でトビィ達の力量を見抜いたのだろう。
目配せし合うトビィとアリナ、船長が大声で指示を出した。
「いいか! 魔物が攻めてくるぞ! 戦闘じゅーんび! 急いで配置につけぇ!!」
「いえっさー!!」
その一言で訓練通り、素早く持ち場に着き、各々武器を手に取る。
或いは船の調子を調べ始める。
物置に掃除道具を投げ込み、代わりに剣や弓、手製の爆弾を取り出した。
「では、ご協力を宜しくお願い致します」
船長もそう言いつつ、腰に下げてあった愛用の剣を引き抜いた、空を見つめて唇を噛み締める。
「了解、まっかせてーっ」
アリナが構えた、トビィが剣を引き抜いた、サマルトとダイキが真似して後方についた、クラフトが神経を研ぎ澄ませた。
降り頻る雨の中、一筋の雷鳴が鳴り響き、それを合図に空から下卑た叫び声を上げて舞い降りてきた魔物達。
紫の変色した皮膚、真っ赤に燃え盛る瞳、蝙蝠のような羽、細長い尻尾を持つ・・・ガーゴイルである。
空の暗さはこの魔物達が居た為なのか、かなりの数のようだ。
もともとは邪悪な銅像に命が吹き込まれたのが生命誕生とされるが、今はどうでもよい。
半ば呆れつつ、しかし好戦的なアリナは嬉々としてその招かれざる客を迎え入れた。
「さてと。どうするトビィ? 全滅させる、追い払うだけ?」
「こちらの被害を最小限に抑える、全滅させたほうが早ければそれで良いだろう。・・・行くぞ」
揺れ続ける船体、二人は瞬間で瞳を合わせると一気に主力のは駆け出し、急降下してくる魔物の中へと突入した。
「嵐の中、どうもご苦労様だねっ」
信じられない速度で軽々と宙に舞い上がり、そして何時引き抜かれたのか腰の小剣二本を巧みに操ると魔物の羽を根元から切り落とした。
無様な姿で甲板に転がったそれを、小さな悲鳴を上げた船員に愉快そうに片目を瞑ると言い放つ。
「それくらいなら、君らだってどうこう出来るだろ?」
言われて赤面する船員、もちろん自分の力量や度胸を見透かされていたからだ。
飛び上がらないから、恐れる事はない、甲板から海へ放り出すのも剣で突き刺すのも苦労しないだろう。
彼らにはとても、ガーゴイルと対等に渡り合えるだけの技量が、まだ備わっていなかった。
アリナの大胆かつそれでいて優美な戦闘に、皆が息を飲んだ。
戦いの中でこそ、その本来の美しさを極限まで発揮出来るアリナ、戦いの女神的存在だ。
トビィとて、負けてはいなかった。
張り合っているつもりは全くないのだが、目立ってしまう。
妖しくも美麗な魅力の剣、それの持ち主であるに相応しい者・・・アリナに負けず劣らず素早い。
確実に一撃で敵の急所を貫き、生命を奪っていくのだ・・・死神の如く。
そんな二人に刺激を受け、対抗して頑張っているのがダイキとサマルトである。
武器の扱いはそこそこだ、しかし二人には魔法があった。
揺れる足元でも、壁に寄りかかって安定した場所で魔法の詠唱が可能である。
「いっくぜぇ! 天より来たれ、我の手中に。その裁きの雷で、我の敵を貫きたまえ。眩き光と帯びる炎、互いに呼応し進化を遂げよっ!」
サマルトの放った魔法、上空から何本もの雷が魔物の群れへと落下し、直撃を受けたものが海へと落下する。
甲板へと落下したならば、船員達が何人がかりかで、止めを刺した。
「呼ぶは大いなる力、集めるはその源。結集せよ、我の前に。望むは強大なる力、我の敵を吹き飛ばすべく弾け飛べっ!」
懸命に練習したダイキの魔法、空中に大人の頭ほどの電撃を走らせる黄色の球体が出現した。
それを魔物の群れの中へと一気に放つ、避ける間も無く閃光を放って弾けとんだそれと共に、巻き込まれた魔物はバラバラに吹き飛ばされた。
成功した嬉しさで、飛び上がって互いの手を叩くサマルトとダイキ、しかし高度な魔法を雨の中で唱えたため精神を思いのほか消耗したようだった。
もともとダイキはこのような悪天候の戦闘に慣れてはいない、地球に居た時とて雨が降れば傘をさした。
励ましあいながら、ダイキとサマルトは二人で魔法を唱え続ける。
クラフトは、傷ついた人々を救うべく甲板を駆けずり回っている。
癒しの呪文を唱え、そしてアリナの援護をし・・・。
船員達も勇気付けられ、懸命に応戦していた。
その為だ、皮肉にもその為にミシアの姿が甲板にないことに、誰しも気づかなかったのである。
甲板で激戦が繰り広げられている中で、ミシアの心は跳ね上がっていた。
今から自分は舞台に立つ、期待溢れる新人として華々しくデビューを飾るのだ。
その駒に、薄汚いメス豚のロザリンドを用いる。
「本当、幸運よねメス豚。美しくて優しい私に殺されて良かったわよねぇ」
そう呟きながらチラリと傍らのロザリンドを見つめ、唇の端を持ち上げて薄く微笑む。
「さてと、そろそろね。いいこと、あなたはトビィの後を追って甲板へ飛び出すの。私は助けようとするのだけど、間に合わなくて海の底へと転落。自分を悔いて嘆き悲しむ私を、トビィが慰めてくれるの。・・・そういう筋書き、分かったかしら?」
ロザリンドは、かくかくと首を縦に振った、満足そうに笑うミシア。
「さあ・・・行きましょうか」
ミシアが顎で指図すると、ロザリンドは焦点の合わない瞳でぎこちなく動き、ドアを開くと真っ直ぐに甲板へと飛び出す。
雨と風、雷の音でロザリンドがドアを開いた音など、誰にも届かない。
戦闘中なのも加わり、周囲に構ってはいられないのだ。
しかし、余裕のあるトビィとアリナはその存在に気がついた。
明らかに戦士でも、船員でもない姿の女が甲板を走っている。
訝しげに雨の中、その姿を見つめはっとしたアリナは行く手を阻む魔物を蹴散らし、庇おうと走った。
トビィもロザリンドのもとへと駆けつける、だが二人の中間地点ほどでロザリンドは大きく揺れた船体と、魔物の鋭い爪によって背中を引き裂かれ、荒れ狂う海へと投げ出された。
「ロザリンド!」
「ねぇちゃん!?」
トビィとアリナが同時に叫ぶ、身を乗り出して落下していくロザリンドを唖然と見つめた。
ゆっくりと、頭部から海へと落ちていくその姿、あまりに美しく。
船員達も何事かとその方向を見た、そう、ミシアに注目するものなど誰もいない。
平然とドアの物陰から事の成り行きを見守っていたミシアは、注意がそちらに惹きつけられたのを良い事に堂々と甲板へと足を踏み出すと、そこから一気に駆け出す、叫ぶ。
「あぁっ、ロザリンドさんっ!!」
やがて海に引きずりこまれるようにして、ロザリンドの姿は消えていった。
唖然とその場に立ち尽くすトビィであったが、それでも急降下してきた魔物を視線を移す事無く、剣で一突きにする。
緑色の粘つく液体がトビィの髪に、身体に降りかかるが、それを気に留める事無く無言で、しかし憎悪がはっきりと伝わる表情で残りの魔物を一掃していく。
まさに鬼神、アリナさえ声をかけられずに、唇を噛み締めながら痛々しくその姿を見つめる。
心のざわめきを感じながら、再度戦闘に戻ったのだが・・・。
その瞳の端、青褪めた表情で立ち尽くしているミシアの姿が目に飛び込んできた。
何気に見たが、そういえば戦闘中ミシアの姿を見ていなかった気がしてきた。
不審に思い、敵を倒しながら見ていると、あまりにも青褪めていたせいなのか船員に声をかけられて、肩を貸されていた。
確かに人が死んだ、しかし今まで何度も戦闘に携わってきているであろう人物が、それくらいで眩暈を覚えるだろうか。
第二の犠牲者を出さないために、少しでも戦力になる者は早めに戦闘を終わらせるべく、必死になるはずではないのか。
口元を押さえながらここからでもはっきりと分かるように、ミシアは涙を零している。
ええい、泣くな鬱陶しい
それは戦闘が終了してからにしてもらいたい、哀情の念に耐えないのは分かる、しかし時と場合を考えて欲しい。
皆の注意力を乱しているから、そこを魔物に付け入られた。
ミシアを支えている船員に、容赦なく爪を振り立てる魔物、間一髪ダイキが振りかぶった剣が見事喉元に入り、危機は切り抜けられた。
見るからに気分優れぬ様子、立っているのすらやっとであるミシアにダイキは心底心配して、休んでいてください、と声をかけていた。
船員も同意し、ミシアを船内へと連れて行こうとするのだが、それを・・・拒否したようだ。
か細くも、内に情熱を秘めたような眩しい瞳、そして凛とした声で。
「いいえ、私もお役に立たなければ・・・。私のせいで、あなた達を危険な目に合わせてしまった。ダイキが助けてくれたからよかったようなものの・・・。本当にごめんなさい・・・。でも、大丈夫です、私、戦えます」
悪趣味だ。
先程まで悪態をつきながら人を嘲ていた人物と同一とは、全く思えない。
二重人格なのか、演技が上手いのか・・・今はか弱くも芯のしっかりとした儚げな女である。
ふらつく足取りで、今にも倒れてしまいそうな様子に、船員とダイキは押しとめようとする、だがミシアの決意は変わらない。
「無理しないで休んでいて下さい」
「そうだよ、この船員さんに連れて行ってもらいなよ。後はどうにかなるよ」
汗ばんでいる額、荒々しい呼吸、そんな中でも強引に笑顔を作り、微笑むミシア。
しかし、顔を顰めて俯いた・・・ようにその場にいた二人は感じたのだが。
実際、俯きミシアは・・・愉快そうに笑ったのだ。
そう、全ては演技である。
気を失いそうな振り、心のうちでは自分の思い通りに進むこの状況が愉快で愉快で、興奮状態で見ていたのだ。
呆気ないほど思い通り、この計画は完璧である。
ふふっ、まだまだ序の口だけれどね・・・?
「さぁ、頑張りましょう。敵の数は減ってきていますものね」
面を上げる、皆を勇気付けるかのように言ったその言葉、ダイキも船員も不安そうに見つめながらも頷いた。
この時点で船員・ポールはこの「大人しそうだが知的で、挫けない心を持った美しい少女」と見たミシアに恋をしてしまったのだ。
流れるようなすべらかな髪、強き光を持った瞳、筋の通った鼻に薄くもほんのり紅に染まる唇。
横顔をぼぅ、っと見つめていた時、不意に瞳が交差した、そこでミシアがゆっくりと・・・微笑んだ。
もう、虜である。
アリナは舌打ちしてそんなポールの様子を見ていた、非常に気に喰わない。
傍目でも分かるほど、ミシアに惹かれている、一目瞭然。
マダーニの妹、確かに頭の回転は速そうだった、しかしどうもアリナはいけ好かなかった。
どうも、雰囲気が一歩下がって接してしまう、近寄り難い。
大きな瞳で睨み付けた魔物を蹴落として刺す、それは最後の一体であったようで周囲で歓声が巻き起こった。
大きく肩で息をする、トビィの姿を捜して近寄った。
一人で剣に付着した魔物の体液を布で拭う、それから海を一瞥し、立ち去る。
一直線でドアに向かい、何者も寄せ付けないような雰囲気で、船内へと。
アリナは声をかけられずにクラフトと合流した、ようやく額の汗を拭う。
周囲では魔物の死骸を掛け声と共に海へと放り込んでいる、甲板の掃除を始め、魔物の体液を洗い流し・・・と船員達が忙しなく動いていた。
此処から先は、アリナ達の出る幕ではない。
掃除をした後、聖水を丁寧に船体に撒く、清めて魔物との遭遇の確率を減らすのだ。
慌しく動く船員達の中、サマルトとダイキがこちらへ向かってきた。
ミシアは何時の間にやら多数の船員に取り囲まれ、治療を施している。
そんな中、訝しげに何かを見つめていたクラフトに、アリナは小さく声をかけた。
「クラフト? どうした」
緊張の糸が解ける、安堵の様子でアリナをゆっくりと見やると悲しそうに呟いた。
「トビィ殿・・・かなり気落ちしてらっしゃいましたねぇ。ご覧になられましたか海の中、餌を求めるものどもが・・・死骸を喰らっております。・・・あれでは・・・」
「あぁ、トビィのことは本当に気の毒だと思うよ。ボクも彼女の事は気に入ったし・・・。後でトビィに会いに行くよ」
「そうですね、時間を置いて訪れましょう。今は誰とも会いたくないでしょうから」
アリナとクラフトが口を噤み、互いの表情をじっと見つめた。
普段はこうするだけで赤面し、俯いてしまうクラフトだが今回ばかりはそうはいかない。
何か重要な、人目を憚らねばならない会話がある時、こうしてクラフトは常に無言になった。
言葉には出さずに、心で訴える。
アリナとて同じだった、気にかかる事が出来てしまったのだクラフトと内密で会話がしたい。
軽く二人は頷き、ドアへと向かう。
クラフトも直ぐ続き、慌ててダイキとサマルトが後を追う。
ミシアは遠くからそんな四人をひっそりと見つめ冷笑。
周りは自分に酔いしれている男共溢れ返っている、そんなミシアの先程の笑みすら、艶やかなものでしかない。
溜息があちらこちらで聞こえた。
「さぁ、他に怪我をなさっている方は・・・? どうか、あなたのその怪我を、私に治させてください」
ダメ押しに、ミシアは聖母のように船員達に微笑みかける。
笑う、笑う、心で笑う、嘲り笑う。
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