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眠いのでー。
コメントのお返事は、明日ーなのですー・・・・。
アル様、アル様。
マビルを助けて。←無理だから。
コロシアム、頑張るのですー。
えいえいおー。
※大丈夫か、背後よ。
あたしは、何人も人を殺してるし、物も破壊してる。
多分、きっと悪い子。
おねーちゃんが良い子だから、影のあたしは悪い子。
悪い子でしょ、あたし。
・・・悪い子だから、勇者のアンタは護らなくても誰も責めないよ。
「トモハル、お前邪魔だから少し寝てろ」
酷く重くて鈍い音、コイツの腹部に容赦なくトビィの拳が叩き込まれたらしく、ゆっくりと地面へと落下していった・・・あたしの人形。
「さて、ようやく話が出来そうだが・・・何か言いたい事は」
「・・・死んで」
攻撃態勢をとりながら、落下していくアイツを、目で追う。
「弱すぎて、役に立たないしー」
違うの。
「足手纏いだしー」
違うの。
「消えてくれて助かるー」
違うのっ。
助けに、行こうと思ったの。
きっと、痛がってると思うの。
助けに、行こうと、おも・・・。
「なんてこと言うのっ」
いきなり怒鳴られて、思わずあたしは振り返った。
おねーちゃんが涙目であたしを睨みつけていた。
「一生懸命トモハルは、あなたのこと助けようとしていたのに、どーしてそういうこと言うのっ」
・・・そんなこと、言われてもー。
あぁ、ホントに良い子ちゃんだね、おねーちゃん。
涙目で何を訴えるの?
アイツに対して、あたしの態度が酷いって?
・・・。
誰もが、あんたみたいに、素直に思いを言えるだなんて・・・思うなっ!!!
ホンット・・・ムカツクっ!!
「何? アイツに対して、あたしに謝れって言いたいの? ・・・もとはといえば、おねーちゃんが悪いんでしょっ。アンタは、あたしの欲しいもの全部持ってるクセにっ!! あたしなんか、所詮アンタの引き立て役にしかならないんだってっ。・・・冗談じゃない、あたしはそんなのイヤっ」
きょとん、としたおねーちゃんに大きく振り被って勢いに任せて殴りつけた。
反撃されるかと思ったけど、ただただ防御して必死に耐えているだけで、何もしてこない。
馬鹿にしてんの?
「あーもぉ、ホントむかつくねっ」
右手に雷撃、左手に火炎。
「死んじゃえっ!!」
呪文発動、流石におねーちゃんの顔が引き攣った、けど、瞬時に防御壁を張って相殺。
・・・この程度の呪文じゃ、相手にならないって?
強力な呪文は、詠唱に時間がかかる。
間合いを取って、それでもなんとか発動させないと・・・。
「ええと、少し話しをしたいのだけどー・・・」
「何も話すことなんか、ないっ」
火の玉を投げつけ続けて、間合いを取る。
離れたら、一気に禁呪を唱えてやるっ。
にじり寄って来るおねーちゃんに、必死に呪文を投げつけた。
「ええと、多分きっと誤解を色々としていると思うから、話を」
「知らないっ、誤解なんてしてないっ」
一個の火球が、おねーちゃんにぽこん、って偶然当たった。
小さく叫んで腕を押さえてる。
やーい、ざまーみろっ。
あたしを説得しようとするから、そんなことになるんだっ。
「貴様っ!」
冗談抜きで、忘れてた。
トビィが、剣を振り被ってた。
物凄い形相で睨みつけてる、向けられた殺意に思わずあたしは喉の奥で叫んだ。
怖っ!!
あの時のトランシスに、そっくりだ。
おねーちゃんを、苛めたから、その仕返しだ。
・・・いいねぇ、おねーちゃんは。
こんな強いオモチャをたくさん持ってて。
少しでも傷をつけられたら、誰かが反撃してくれるんだねぇ。
流石”魔王・破壊の姫君”様。
その影武者のあたしは、護るべき、遣えるべきおねーちゃんに反逆したからここで消えるしかないって?
恐怖で身体が硬直した、トビィの剣は、妙に変な魔力を放ってる。
あたし、殺されちゃう。
「トビィお兄様、待って、待って!」
おねーちゃんの叫び声が聞こえたけど、そうじゃなくて。
目の前が真っ暗になって、叫び声が聞こえたの。
あったかいものが、あたしを包んでいたの。
上も下もわかんなくなって、状況を把握しようとしたの。
「トモハル、トモハルっ!」
おねーちゃんが、アイツの名前を呼んでいた。
生暖かいものが、あたしの手に纏わりついた。
・・・?
血の匂いがした。
身体が落下していくの。
気づいたの。
「な、なにしてんの!?」
落下していく身体、無事なあたしの身体。
血は、あたしのじゃなくて。
「怪我はないよね? ・・・よかったー」
目の前で力なく微笑んだアイツ、アイツの血。
トビィに斬られて、背中から大量の血が、血がっ。
・・・助けに、来てくれたの?
庇って、くれたの?
「なんで?」
思わず口に出したら、コイツ、笑った。
「護るって、言ったじゃないか」
・・・。
誰か。
誰か、この馬鹿を。
助けて。
どさっ、って音がして、背中が痛い。
・・・固いものが背中に当たってる。
耳鳴り、身体が急上昇。
「ありがとう、クレシダ」
おねーちゃんの声が聞こえて、目を開けた。
上下に軽く揺れるあたしの身体。
・・・クレシダの背中に乗っていた。
地面ぎりぎり、そこで救われたらしい。
「何やってんだ、トモハルは」
「・・・この子を、護りたいのだと思います。とても大事なのだと思います」
呆れたトビィの声、いや、ちょっと、斬ったのはあんたでしょ!?
おねーちゃんが近寄ってきたから、思わずコイツの身体に隠れる、しがみつく。
「大丈夫だよ、何もしません」
微笑んで、何故かあたしの頭を撫でるおねーちゃん。
・・・。
震えるあたしの身体、反撃しなきゃ・・・。
それでも。
その微笑で、力が抜けた。
おねーちゃんはコイツに治癒の魔法を施している、あたしが見ても解るくらい、強力だ。
これが、おねーちゃんの力。
あたしの治癒魔法なんて、比較にならない。
ぎゅ、とコイツの身体を握り締めていたら、おねーちゃんが不意に耳元で囁いた。
「治癒の魔法、使えるよね? トモハルに使ってあげて欲しいな」
「はぁ!?」
なんでそんなことしなきゃいけないの!?
怒鳴って睨み返したら、それでもおねーちゃんは微笑んでいた。
・・・こ、この笑みは力を失くす。
渋々、あたしはコイツに治癒の魔法を使ってやった。
特別大サービス。
「ありがとう」
「ふんっ」
「素直な良い子なんだね」
「・・・はぁ!?」
力が抜ける。
おねーちゃん、やっぱり何か変だ。
あたしの何処が素直な良い子なのか、誰か教えて欲しい。
「あなたは怪我してない?」
「・・・別にっ」
「よかった。ところで、名前は?」
「・・・」
「私はアサギといいます」
「あたしはマビルと・・・」
言いかけて思わず口を塞ぐ。
にっこり微笑んだおねーちゃんに、唇を噛み締めた。
・・・わかった。
何故、おねーちゃんにこうも人が集まるのか。
空気が。
空気が変なんだ。
その微笑が。
汚い心を、疚しい心を、荒んだ心を・・・消していく。
だから、それに惹かれて焦がれて、多分、人が集まる。
天性のカリスマ。
だから、あたしが。
あたしが勝てるわけがない。
あたしが可愛くても、美人でも綺麗でもぴちぴちボディでも、・・・ともかく魅力満載でも。
『落ち着ける、安堵してしまう空気』の所持者には・・・勝てない。
それは眠りについて、安らかな寝息を立てている時のような。
朝、暖かいベッドで起きたら、思わず笑みを零してしまうような。
昼にきらきらした森の中でお昼寝をしている時のような。
・・・誰かに、傍に居て貰えるときのような。
おねーちゃんは、笑って、再度耳元で囁いた。
「必ず、ソコから出してあげる」
・・・?
前にも聞いた台詞だった。
そう、封印の森に居た時だ。
・・・あそこからは出られたのに? 何処からあたし、出してもらえるの?
眉を顰めて怪訝におねーちゃんを見たら。
ゾクリ
微笑んだおねーちゃんの、向こう側。
恐怖ではなくて、威圧感、なんていうの、これ・・・。
届かない人、平伏さねばならない人、というか・・・。
絶対的”存在”、敬うべき人。
これが、魔王?
次期魔王?
魔王?
魔王というよりも・・・。
「ところで、マビル。何故こんなことに? どうして攻撃を?」
何故って・・・。
「あたしがおねーちゃんの影武者だから。嫌だったから」
「その影武者、って何? それから、どうして私、”おねーちゃん”って呼ばれているの?」
「預言で、あたしはおねーちゃんの影武者をしなければいけなくて。あたしの双子の姉がおねーちゃんなの」
「ふ、双子???」
「・・・っていう予言があるのっ」
突っ込まれても、詳細は知らないからねっ。
「心底似てない双子だな」
トビィが深い溜息を吐いて、哀れみの瞳であたしを見ていた。
・・・どういう意味だそれは。
困惑気味のおねーちゃん、うんうん唸って、笑った。
「可愛い妹が出来て、嬉しいからいいことにします」
・・・。
ど、どうしよう、根本的に何かずれてない!?
い、イメージと徐々に狂ってくるんだけどっ。
唖然としていたら、おねーちゃんがぎゅう、と抱き締めてくれた。
「もう、大丈夫だよ。おいで、マビル」
おいで。
・・・。
でも。
「しかし、アサギ。マビルは人を殺し過ぎている。クレオにおいても、地球においても。どうするつもりだ?」
そう、大問題だ。
・・・きっと、手に負えない。
面倒だから、おねーちゃんとて、あたしを見放すだろう。
ほら、なんにも言わない・・・。
「俺がなんとかするから」
低く小さく、そんな声が聞こえた。
回復したオモチャ、起き上がってトビィを睨みつける。
「本っ気で斬っただろ、トビィっ」
「オレはいつでも本気だ。好きな女護りたいなら、もっと強くなるんだな」
・・・。
へ?
好きな、女???
誰のことだ。
コイツと、目が合う。
好きな女って、おねーちゃんのことだよね?
「大丈夫だよ、必ずなんとかするからね。一緒に暮らしていこう、マビル」
名前を、呼んだ。
あたしの名前を、呼んだ。
「よ、弱いから、嫌い! 不甲斐無い、あたしに操られてただけなくせにっ」
「弱いかもしれないけど、操られていたわけじゃないよ」
何を今更っ。
「あたしを、おねーちゃんと間違えていたくせに!」
「いやいやいやいや、間違えてないよ! ひょ、ひょっとしてだから名前を教えてくれなかったの!?」
・・・。
不意に出遭った日を思い出した。
『あ、ねぇ! なんて呼べばいい?』
あれは。
名前を教えてってことだったの!?
最初から、わかってたの?
あたしがおねーちゃんじゃないって、わかってたの?
嘘だ。
嘘に決まってる。
「確かに、あの、ほら、あれだよ、あのキスの魔法は・・・」
「キス!?」
周囲が鋭く叫んだ、ちょっと、外野うるさいっ。
咳してコイツは語りだす。
「あれされた時は意識が飛んだんだ、けど、ちゃんと解ってたよ。でなきゃお菓子もジュースも出さないし、ご飯も隠し持って部屋に戻らないよ」
じゃあ、なんで魔法にかけられたフリしてたんだっ。
「嘘だ、嘘だ! でたらめだっ」
魔法が解けてた? じゃあ、どうして手を握って眠ったの、どうして抱き締めて眠ったのっ。
あまりにもムカついたので、殴りかかった。
右手をパシッ、と掴まれて。
顔が近づく。
う・・・きゃーっ!!!!
近寄るな、近寄るな、近寄るなっ。
胸がおかしいから、近寄るな。
変だ、変だ、あたしは、変だ。
何これ、何これ!?
「マビルはアサギじゃないし。アサギの影武者とかそんなんでもないし。アサギにこだわって生きてるのはマビルのほうだよ。マビルは、とっても素敵な女の子なんだよ。俺は知ってるよ。
俺はマビルのこと、大好きだよ」
・・・。
な、なんかおかしなこと言ってるっ。
真顔で、それでもいつもみたいに微笑んで、おかしなこと、言ってる!
「好きなんだ」
ボン、って、音がした。
「好きなんだ、最初に見たときから、好きなんだ」
な、なんなの!?
「傍に居たいんだ。マビルのこと、護りたいんだ」
「・・・」
顔が熱い、あたしはどうなってしまったんだろう。
「私とトモハルで、マビルあなたを必ず護ります。今までマビルがしてしまったことは消すことが出来ません、けれど必ずなんとかします。私の大事な可愛い妹、姉が護りますからね」
「俺とアサギがいればどうにかなると思うんだ。というか、どうにかするから」
おねーちゃんが頭を撫でてくれた。
コイツが、ぎゅ、と手を握ってくれた。
あたし。
一緒に居てもいい?
人をたくさん殺したけど、居られるの?
影武者でも、大丈夫なの?
・・・もっと早くに、おねーちゃんに会いに行けばよかったの?
そしたら、受け入れてもらえた?
コイツを見たら、微笑んでくれていた。
照れて真っ赤にして、微笑んでくれていた。
深い溜息、トビィが腕を組んで一言。
「アサギがそう言うのなら、仕方ないな。協力しよう」
・・・憧れた、望んだ世界に、あたし。
居てもいいの?
「マビルは、何が好き?」
「パスタと紅茶が好きみたいだよ。あとフルーツジュースとか」
「・・・詳しいね、トモハル」
「れ、レアチーズケーキも好きだよっ」
「私、作れるから作ってあげるね」
「あ、あと、前おねーちゃんが魔界で食べてた丸い白いのが食べたいっ」
おねーちゃんは首を傾げて、コイツを見た。
トビィが小声でおねーちゃんに囁く。
「あれじゃないのか、”おにぎり”」
「・・・あぁ。おにぎり」
おにぎり、というのか、あれ。
みんなで食べてた、美味しそうな、あれ。
「あ、あと、お城というとこも見てみたい! 行ってみたい! 住んでみたい! 凄いんでしょ、綺麗なんでしょ!?」
「お城ね、わかったー。たくさん、遊ぼうね」
・・・わぁ。
おねーちゃんに手を握ってもらえた。
コイツを見上げたら、優しく微笑んでくれていた。
わぁ。
・・・嬉しい。
とても、幸せ。
一緒に居られるって、幸せ。
そ、そうか、別におねーちゃんに成り代わらなくても。
よかったんだ。
あたしが欲しかったものは、ちゃんと。
ちゃんと。
手に入るんだ。
嬉しくて、なんとなく泣けてきた。
けど、泣かないの、恥ずかしいから。
これでもう。
逃げて隠れる生活から、お別れ。
あ、明日から素敵な世界が・・・あたしにも。
「とりあえず、何処で住もうね?」
「私の部屋で良いんじゃないかな、帰って報告を・・・」
クレシダの背中から下りて、おねーちゃんが仲間達とお話をしていて。
コイツが案の定手を握って居てくれたから、安心して見上げてみて。
「へぇ~、トモハル、可愛い子と手なんか握っちゃって~!」
ボスっ、て鈍い音。
ミノルがコイツの腹部にパンチを喰らわせていた。
「い、いいだろっ。別に」
真っ赤になって、それでも手を離さないコイツ。
人が集まってきて、コイツを冷やかしている。
その輪の中に、あたしが居られることが嬉しい。
おねーちゃんが、こちらに向ってきた。
手を振って、笑顔で走ってくる。
から、みんながおねーちゃんを見た。
トモハルが嬉しそうにはしゃいで、するりと握っていた手を離して両手を大きく振った。
だから、あたしも真似して、照れながら、手を振ったの。
・・・え?
おねーちゃんの、叫び声。
みんなの、叫び声。
・・・アイツの、驚愕の表情、必死に手を伸ばして、あたしの名前を呼んでいた。
・・・え? 何?
身体が。
あたしの身体が、みんなから離れていくの。
な、なんで!?
どうして、何処へ行くの!?
後ろに、すごい勢いで引っ張られる。
と、止まらなきゃ、止まって!
魔力を、集中。
止まれ、止まれ、あたしの身体っ。
ぐんぐん引き離されて、それでも懸命に必死にこちらへ向ってくるおねーちゃんと・・・アイツ。
どうして、どうして、これはなんなの!?
あ、あたし、あそこに居たいの!
お、お願い、あたしから居場所を奪わないで!
あそこに、居させて!
助けて、助けて。
息が出来ない。
あたし、このままじゃ・・・殺される。
そう思った、”殺される”。
嫌。
嫌。
死にたくないの。
お、お願い、あたし、まだっ。
まだ、アイツの名前を一度も・・・。
「お、おねーちゃん、おねーちゃん! 助けて、助けて!」
泣き喚いた、声が出ているのかも解らないけれど、必死に喉が潰れるまで叫んだ。
―――馴れ合って貰っては困るんですよ。邪魔ですね、影武者―――
何処かで聞いた声だった、思い出せな・・・。
!
あ、あの、でかい犬と一緒に居た魔族の声だ!
ピ
痛い。
皮膚が切れる、血が舞う。
い、痛い、痛いよ!
た、たすけ、たすけて
手を、伸ばすの。
お願い、護って。
助けに来て。
一緒に、いたいよ。
あぁ、でも、死んじゃうみたいだ。
・・・今度、人間に産まれたいな。そしたら、おねーちゃん、一緒に遊んでくれる・・・?
ねぇ、トモハル。
あ、あたしね。
あたし・・・。
「たすけてーっ、トモハルーっ!」
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