別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。
いい加減整理したい。
※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。
絶対転載・保存等禁止です。
宜しくお願い致します。
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というわけで、左がトモハルで右がミノル。
ミノル、このブログでは多分、初公開。
なんのかんので仲良しコンビ。
こうしてみると、トモハルがいいとこのボンボンのようですが、一応アサギの次に金持ちのおうちに産まれております。
マビルが言ってた車三台↓
父がマジェスタ
母がクラウン
兄がFTO
マビルとのデート費用は、洗車したり、庭の草むしりをしたりと、一生懸命マビルと会う前の午前中に必死で働いてお小遣いを貰っていたのです(笑)。
というのが、本編だと見られるのでした。
結構律儀で頑張り屋さん。
このコンビは好きなので、本編第一章、第五章では目立つかな・・・あ?(疑問系)
メモがてらに。
トモハル・ミノル・ケンイチ・リョウ→サッカー部
ダイキ→剣道(独りだけ違ってちょっと寂しい感じ)
そろそろトモハル、記憶を取り戻すです。
がんばれ、おかーさんは応援しているぞっ!
アル様にまびるんを受け渡すまで、なんとか護りきるんだ!!
ミノル、このブログでは多分、初公開。
なんのかんので仲良しコンビ。
こうしてみると、トモハルがいいとこのボンボンのようですが、一応アサギの次に金持ちのおうちに産まれております。
マビルが言ってた車三台↓
父がマジェスタ
母がクラウン
兄がFTO
マビルとのデート費用は、洗車したり、庭の草むしりをしたりと、一生懸命マビルと会う前の午前中に必死で働いてお小遣いを貰っていたのです(笑)。
というのが、本編だと見られるのでした。
結構律儀で頑張り屋さん。
このコンビは好きなので、本編第一章、第五章では目立つかな・・・あ?(疑問系)
メモがてらに。
トモハル・ミノル・ケンイチ・リョウ→サッカー部
ダイキ→剣道(独りだけ違ってちょっと寂しい感じ)
そろそろトモハル、記憶を取り戻すです。
がんばれ、おかーさんは応援しているぞっ!
アル様にまびるんを受け渡すまで、なんとか護りきるんだ!!
記憶を消去されるのは、俺にミノル、ケンイチ、ダイキ、そしてユキと眠り続けているアサギ。
それから。
さっきからトビィと深刻に会話しているアサギの幼馴染のリョウ。
他にも俺達の家族も記憶を消されるけれど、数ヶ月この世界で旅をし、生きてきた俺達はやっぱり解っていても・・・ショックだ。
異世界で生まれた絆も、消える。
会話した内容も、消える。
全部、消える。
「アサギを、任せたからな」
「うん、やってみるよ、トビィ」
声が聞こえる。
トビィとリョウの声が聞こえる。
目が覚めたら、もうすぐ俺達は卒業だ。
中学生になるんだ。
俺はミノルと同じ中学、他のメンバーとは離れ離れ。
「・・・」
沈黙。
「もし。我等の魔力を超える程、強い想いがあったとしたら。消去の魔法が解けて、記憶が戻ってしまう。としても。決して他の仲間には話さぬように。それだけは約束して欲しい」
「万が一。自分と同じ様に記憶が戻ったメンバーに出会えたのなら、話してもいいということですよね」
「・・・思い出す、と言い切るのかリョウよ」
「僕は思い出すよ、アサギを思い出すよ」
唖然。
リョウって、もっと大人しい人物だと思っていた。
けれど堂々とこいつ、言い放った。
”思い出す”って。
眩しい、力強く・・・大きいと思った。
俺だって、思い出すよ、マビルを。
トビィが微かに笑った、リョウと2人で笑っていた。
「・・・もし。記憶が戻った仲間が揃ったのなら、会話しても可能だ」
「わかりました、ありがとうございます」
深く礼をして、リョウが下がる。
リョウ、5星マクディの・・・勇者及び神となるべく選出された、アサギの幼馴染。
そのリョウが。
俺を見て軽く何故か頷いた。
・・・何が言いたかったんだろう。
リョウとトビィは記憶が消去される瞬間まで会話していた。
何を、話しているのか解らなかったけれど。
でも。
・・・とても重要な気がしたんだ。
マビル。
君を救えなくてごめんね。
今、何をしているんだろう。
綺麗な物を見ているのかな。
美味しいものを食べているのかな。
愉しく笑って、過ごしているのかな。
もし、何処かで君と生まれ変わって出会えるのなら。
・・・そうしたら、今度こそ願いを、我侭を叶えてあげるからね。
思い出すから、それまで待っていて。
寂しくないように、みんなにマビルのお墓参りを頼んだんだ。
大丈夫だよ、心配しなくてもいい。
君は可愛いから人気者、明るく笑う、向日葵みたいな女の子。
苺みたいに甘くてすっぱい、でも可愛い可愛い女の子。
俺が、大好きな、女の子。
護らなきゃ、護らなきゃ。
女の子を、護らなきゃ。
泣かせないように悲しませないように、護らなきゃ。
恋人に護って貰えるまで、好きな人に護って貰えるまで。
泣かないように女の子を・・・
護らなきゃ。
俺は。
女の子を護らなきゃいけない。
・・・って、よく夢で俺が叫んでいるんだけどさ。
女の子って言ったって、大勢いるし。
誰を護ればいーんだろうね、俺?
俺の名前は松下朋玄。
この間小学校を卒業、中学生になった。
大好きなサッカー部に入って、毎日部活と勉強の繰り返し。
もともと成績優秀な俺だし、クラス委員も任されて教師からの評判も良い。
目立つから先輩方には時折しめられるけど、喧嘩も強いほうだ。
隣の家の腐れ縁の門脇実とは、悪友で同じサッカー部。
ここまでくると、ずっと一緒な気がする。
可愛い女の子が大好きな、ごくごく普通の・・・いや、普通より上の一般中学生男子。
中学生になったら決めたんだ、彼女を作るんだ。
可愛い子がいいなぁ、我侭で恥ずかしがりやの、寂しがりの。
マ・・・。
? ・・・誰のことだっけ?
まぁ、いいや。
・・・気になるけど、誰だっけ?
・・・。
中学二年にもなれば、生活にも慣れて告白もされるし後輩には頼られるし、先輩には誉められるし、いやぁ、首尾上々。
高校はサッカーが強いトコ行くつもりだ、このままの成績なら余裕で入れるらしいしね。
俺、凄い。
今日も他校の子から告白された、美人さんだった。
昨日は後輩ちゃんから告白された、可愛い子だった。
でも。
・・・なんか・・・。
違うんだよねー。
実と新しいスニーカーを買うために、日曜日街へ出掛けた。
お小遣いを貰ったけれど、さて、何を買おう。
「いいよなぁ、朋玄は金持ちでさぁ」
「んなことない、貯金が大変なんだぜ、これでも」
「何で、貯金してんの?」
「あぁ、それは・・・」
・・・なんで俺、必死に毎月お金を貯金箱に投入しているんだっけ?
何を買うつもりでいるのか、それが思い出せない。
思い出せないのなら、使えばいいのに、使えない。
「わー、たっけーな、ブランド物はやっぱり」
通りかかった店の前で実が苦笑い。
「女って、どーして高いものに目がないんだろうな」
「一概には言えないけど。でも、欲しがるよな」
「見ろよ、このバッグ。10万だぜ」
「ははは」
・・・あれ?
『大人になったら、買ってあげるね』
・・・なんだかこの店で、前誰かに俺そう言わなかったか?
誰に言った?
誰に言った?
どうして思い出せない?
不意に振り返ると、何処かで見たビルの隙間。
ビルの隙間。
・・・女の子を、待っていた。
あそこで、可愛い女の子を待っていた。
・・・誰だ・・・?
俺、どうして忘れている?
急に後ろで叫び声が聞こえた、実と振り返って叫び声を上げる。
「動くんじゃねぇぞ、お前らぁっ」
・・・昼間っから、酔っ払い!? ヤク中なのか、アル中なのか、ともかく。
変なおっさんが包丁を振り回して道のど真ん中で、女の子を人質にとっていた。
泣いている、女の子。
同じ歳くらいだろう、すっかり怯えている。
「警察、まだかよー」
実が呆れた声を出した。
・・・助けなきゃ、あの子を。
助けなきゃいけない。
「ぎゃー、朋玄っ」
思わず走り出して、躊躇うことなくおっさんを蹴り飛ばす。
浮いた包丁を何故か慣れた手付きで叩き落して、再度おっさんに蹴りを。
女の子の腕を掴んで、こちら側に引き寄せて・・・庇うように抱き締める。
・・・。
・・・。
・・・。
「大丈夫? 怪我はない?」
「は、は、はい、だいじょ、ぶ」
呻いてひっくり返っているおっさん、周囲から歓喜の声が次々に上がって、拍手が巻き起こった。
軽く溜息を吐いて、今頃緊張感に襲われる。
足がすくんで動けない女の子の背中を支えるようにして、この子の友達を探した。
独りで来ているわけではないだろうし。
「だからっ、お前はツメが甘いんだよっ!」
実の怒涛の叫び声、振り返ればおっさんがまた立ち上がって今度はナイフを手にしていた。
思わず女の子を背に隠して、構える。
それよりも先に後方から実が飛んで来て、見事に・・・踵落とし。
再度ぶっ倒れるおっさん、思わず俺はおっさんの両手首を踏みつけて、ナイフを遠くへ放り投げた。
何も他に持っていないか確認し、踏みつけたまま警察が来るのを待つ。
「ったく、やるなら最後まで気を抜くなよ」
「ははは、ごめんごめん」
俺達に周囲が駆け寄ってきて、口々に褒め称えてくれた。
小さい男の子が服を引っ張って一言。
「おにーちゃんたち、せいぎのみかた? ゆうしゃ?」
ぶふー、勇者だって。
実と顔を見合わせて笑った。
笑った。
・・・。
どうして、俺達。
特に格闘技なんて習っていないのに。
・・・。
怖くはなかった、ただ、助けなきゃと思って。
高校受験に向けて、必死に勉強を繰り返す毎日の中、春の最後の試合。
一応俺キャプテンですからー、実と打ち合わせをしつつ、会場をぶらついていた。
「うわ、実に朋玄!? なっつかしーっ!」
何処かで聞いた声に、思わず振り返る。
「健一!? ひっさしぶりだなぁっ!」
小学校のときの同級生、健一だ。
そうか、中学へ行っても同じ様にサッカーやっていたのか。
背が低かった健一だけれど、結構伸びたじゃないかー。
でも笑顔は幼いまま、大きく手を振って走ってくる。
久し振りの再会、他愛のない話をする。
「この後、大樹があっちの会場で試合なんだ。よかったら観に行かない?」
「剣道?」
「そう。強いんだ、凄い勢いで勝ち進んでる」
「いいね、いいね!」
久し振りに再会できた俺達は、試合後近所の公園でジュース片手に会話。
携帯の番号も互いに交換し、小学校の思い出話だ。
不意に、自転車の音がして俺達はそっちを見た。
ええと、あれは・・・亮か、三河亮、だっけ?
サッカーボールをぶら下げて、物凄い勢いで何処かへ走り去っていく。
あまり関わった記憶がないから、まあいいや。
「高校何処行く?」
健一がそう聞いたから、高校の話を始めた。
・・・驚いた、四人とも一緒じゃないか。
サッカーに力を入れている高校だったけれど、剣道も力を入れ始めたらしく、有望な大樹はお声がかかったそうだ。
面白い偶然だ、まさかこの時期に再会した俺達四人が同じ高校を目指しているだなんて。
「朋玄は余裕で入れるよな。こいつさ、未だに成績優秀なんだぜ。俺には少し偏差値がー」
頭を抱えて缶を握りつぶす実に、笑う。
いやー、それにしても驚いた。
なんだ、この偶然は。
「さっき通った亮も同じ高校だよ、確か」
「へぇ。小学校の知り合いがわんさか居そうだな」
「田上浅葱もだよな?」
「あぁ、確か浅葱も同じ筈だ」
田上浅葱。
・・・あぁ、あの子か。
健一と大樹が頷いて教えてくれた、まぁどうでもいいことだ。
何かと四人で出会う事が多くなった、同じ高校を志望校にしているためか、勉強をともにすることも増えた。
中学三年の、6月29日。
五百円玉貯金をしている俺は、さっきコンビニで雑誌を買ったお釣りで手に入った五百円を、いつものように棚に置いてある貯金箱に入れる。
10万が貯まるという、貯金箱。
ガチ
・・・あれ、入らない。
そうか、貯まったのか!
俺、すげーっ!
重たくなった貯金箱を引き摺り下ろして、思わず笑みを零す。
「これで買ってあげられる・・・」
え、何を、誰に?
自分で何を言っているのか解らないけれど、ともかく。
10万だ!
とりあえず、5百円玉を札に両替してもらわないといけないな。
貯金箱をこじ開けてみる事にした。
ザラザラ、と出てくる五百円玉。
そうか、これで10万もあるんだなー・・・。
郵便局か銀行で両替してもらえるはずだ、ビニール袋を二重にして移し返す。
「何だ、これ?」
五百円玉に混じって何か違うものが入っている。
危うく見落とすところだった、思わずそれを取り上げた。
苺のネックレスだった。
な、何だ、これ。
俺の???
しげしげと、それを持ち上げて見つめる。
・・・。
頭が、割れるように、痛い。
無理やり脳から何かが出てくるような、いた、痛いっつーのっ。
でも、あの時、マビルはもっと痛かった。
ごめんよ、マビル。
あ、あれ?
マビル。
マビルだ。
これ、俺がマビルにあげた・・・。
「お、思い出した・・・」
膨大な記憶が流れ込む、いや、湧き上がる。
綺麗な艶のある黒髪、大きな猫目、きらきら光る唇に、どんな服を着ても似合ってしまう可愛い顔立ち。
ドキドキするような身体つき、寂しがり屋の意地っ張りで・・・。
「マビル!」
思い出した、思い出せた。
俺の名前はマツシタ トモハル。
四星クレオの勇者の片割れ、伝承の剣セントラヴァーズの所持者。
三年前の今日、異界に召喚された勇者。
魔王を倒し、それでも異変が続く異世界で調査をし、そして・・・。
マビルに出会って、恋をした。
護れなかった産まれて初めて好きになった女の子。
記憶を消去されたけど、想いが強ければ思い出すって・・・。
思い出したよ、俺は記憶を消される前に10万が貯まる貯金箱を買いに行って、ネックレスを入れたんだ。
これが拍子で思い出す、それを信じて。
俺がマビルにあげたもの、マビルが死に際まで持っていてくれたもの。
思い出したよ、マビル。
いてもたっても居られなくなって窓を開ける、ミノル、思い出してくれ、ミノル!
それから。
さっきからトビィと深刻に会話しているアサギの幼馴染のリョウ。
他にも俺達の家族も記憶を消されるけれど、数ヶ月この世界で旅をし、生きてきた俺達はやっぱり解っていても・・・ショックだ。
異世界で生まれた絆も、消える。
会話した内容も、消える。
全部、消える。
「アサギを、任せたからな」
「うん、やってみるよ、トビィ」
声が聞こえる。
トビィとリョウの声が聞こえる。
目が覚めたら、もうすぐ俺達は卒業だ。
中学生になるんだ。
俺はミノルと同じ中学、他のメンバーとは離れ離れ。
「・・・」
沈黙。
「もし。我等の魔力を超える程、強い想いがあったとしたら。消去の魔法が解けて、記憶が戻ってしまう。としても。決して他の仲間には話さぬように。それだけは約束して欲しい」
「万が一。自分と同じ様に記憶が戻ったメンバーに出会えたのなら、話してもいいということですよね」
「・・・思い出す、と言い切るのかリョウよ」
「僕は思い出すよ、アサギを思い出すよ」
唖然。
リョウって、もっと大人しい人物だと思っていた。
けれど堂々とこいつ、言い放った。
”思い出す”って。
眩しい、力強く・・・大きいと思った。
俺だって、思い出すよ、マビルを。
トビィが微かに笑った、リョウと2人で笑っていた。
「・・・もし。記憶が戻った仲間が揃ったのなら、会話しても可能だ」
「わかりました、ありがとうございます」
深く礼をして、リョウが下がる。
リョウ、5星マクディの・・・勇者及び神となるべく選出された、アサギの幼馴染。
そのリョウが。
俺を見て軽く何故か頷いた。
・・・何が言いたかったんだろう。
リョウとトビィは記憶が消去される瞬間まで会話していた。
何を、話しているのか解らなかったけれど。
でも。
・・・とても重要な気がしたんだ。
マビル。
君を救えなくてごめんね。
今、何をしているんだろう。
綺麗な物を見ているのかな。
美味しいものを食べているのかな。
愉しく笑って、過ごしているのかな。
もし、何処かで君と生まれ変わって出会えるのなら。
・・・そうしたら、今度こそ願いを、我侭を叶えてあげるからね。
思い出すから、それまで待っていて。
寂しくないように、みんなにマビルのお墓参りを頼んだんだ。
大丈夫だよ、心配しなくてもいい。
君は可愛いから人気者、明るく笑う、向日葵みたいな女の子。
苺みたいに甘くてすっぱい、でも可愛い可愛い女の子。
俺が、大好きな、女の子。
護らなきゃ、護らなきゃ。
女の子を、護らなきゃ。
泣かせないように悲しませないように、護らなきゃ。
恋人に護って貰えるまで、好きな人に護って貰えるまで。
泣かないように女の子を・・・
護らなきゃ。
俺は。
女の子を護らなきゃいけない。
・・・って、よく夢で俺が叫んでいるんだけどさ。
女の子って言ったって、大勢いるし。
誰を護ればいーんだろうね、俺?
俺の名前は松下朋玄。
この間小学校を卒業、中学生になった。
大好きなサッカー部に入って、毎日部活と勉強の繰り返し。
もともと成績優秀な俺だし、クラス委員も任されて教師からの評判も良い。
目立つから先輩方には時折しめられるけど、喧嘩も強いほうだ。
隣の家の腐れ縁の門脇実とは、悪友で同じサッカー部。
ここまでくると、ずっと一緒な気がする。
可愛い女の子が大好きな、ごくごく普通の・・・いや、普通より上の一般中学生男子。
中学生になったら決めたんだ、彼女を作るんだ。
可愛い子がいいなぁ、我侭で恥ずかしがりやの、寂しがりの。
マ・・・。
? ・・・誰のことだっけ?
まぁ、いいや。
・・・気になるけど、誰だっけ?
・・・。
中学二年にもなれば、生活にも慣れて告白もされるし後輩には頼られるし、先輩には誉められるし、いやぁ、首尾上々。
高校はサッカーが強いトコ行くつもりだ、このままの成績なら余裕で入れるらしいしね。
俺、凄い。
今日も他校の子から告白された、美人さんだった。
昨日は後輩ちゃんから告白された、可愛い子だった。
でも。
・・・なんか・・・。
違うんだよねー。
実と新しいスニーカーを買うために、日曜日街へ出掛けた。
お小遣いを貰ったけれど、さて、何を買おう。
「いいよなぁ、朋玄は金持ちでさぁ」
「んなことない、貯金が大変なんだぜ、これでも」
「何で、貯金してんの?」
「あぁ、それは・・・」
・・・なんで俺、必死に毎月お金を貯金箱に投入しているんだっけ?
何を買うつもりでいるのか、それが思い出せない。
思い出せないのなら、使えばいいのに、使えない。
「わー、たっけーな、ブランド物はやっぱり」
通りかかった店の前で実が苦笑い。
「女って、どーして高いものに目がないんだろうな」
「一概には言えないけど。でも、欲しがるよな」
「見ろよ、このバッグ。10万だぜ」
「ははは」
・・・あれ?
『大人になったら、買ってあげるね』
・・・なんだかこの店で、前誰かに俺そう言わなかったか?
誰に言った?
誰に言った?
どうして思い出せない?
不意に振り返ると、何処かで見たビルの隙間。
ビルの隙間。
・・・女の子を、待っていた。
あそこで、可愛い女の子を待っていた。
・・・誰だ・・・?
俺、どうして忘れている?
急に後ろで叫び声が聞こえた、実と振り返って叫び声を上げる。
「動くんじゃねぇぞ、お前らぁっ」
・・・昼間っから、酔っ払い!? ヤク中なのか、アル中なのか、ともかく。
変なおっさんが包丁を振り回して道のど真ん中で、女の子を人質にとっていた。
泣いている、女の子。
同じ歳くらいだろう、すっかり怯えている。
「警察、まだかよー」
実が呆れた声を出した。
・・・助けなきゃ、あの子を。
助けなきゃいけない。
「ぎゃー、朋玄っ」
思わず走り出して、躊躇うことなくおっさんを蹴り飛ばす。
浮いた包丁を何故か慣れた手付きで叩き落して、再度おっさんに蹴りを。
女の子の腕を掴んで、こちら側に引き寄せて・・・庇うように抱き締める。
・・・。
・・・。
・・・。
「大丈夫? 怪我はない?」
「は、は、はい、だいじょ、ぶ」
呻いてひっくり返っているおっさん、周囲から歓喜の声が次々に上がって、拍手が巻き起こった。
軽く溜息を吐いて、今頃緊張感に襲われる。
足がすくんで動けない女の子の背中を支えるようにして、この子の友達を探した。
独りで来ているわけではないだろうし。
「だからっ、お前はツメが甘いんだよっ!」
実の怒涛の叫び声、振り返ればおっさんがまた立ち上がって今度はナイフを手にしていた。
思わず女の子を背に隠して、構える。
それよりも先に後方から実が飛んで来て、見事に・・・踵落とし。
再度ぶっ倒れるおっさん、思わず俺はおっさんの両手首を踏みつけて、ナイフを遠くへ放り投げた。
何も他に持っていないか確認し、踏みつけたまま警察が来るのを待つ。
「ったく、やるなら最後まで気を抜くなよ」
「ははは、ごめんごめん」
俺達に周囲が駆け寄ってきて、口々に褒め称えてくれた。
小さい男の子が服を引っ張って一言。
「おにーちゃんたち、せいぎのみかた? ゆうしゃ?」
ぶふー、勇者だって。
実と顔を見合わせて笑った。
笑った。
・・・。
どうして、俺達。
特に格闘技なんて習っていないのに。
・・・。
怖くはなかった、ただ、助けなきゃと思って。
高校受験に向けて、必死に勉強を繰り返す毎日の中、春の最後の試合。
一応俺キャプテンですからー、実と打ち合わせをしつつ、会場をぶらついていた。
「うわ、実に朋玄!? なっつかしーっ!」
何処かで聞いた声に、思わず振り返る。
「健一!? ひっさしぶりだなぁっ!」
小学校のときの同級生、健一だ。
そうか、中学へ行っても同じ様にサッカーやっていたのか。
背が低かった健一だけれど、結構伸びたじゃないかー。
でも笑顔は幼いまま、大きく手を振って走ってくる。
久し振りの再会、他愛のない話をする。
「この後、大樹があっちの会場で試合なんだ。よかったら観に行かない?」
「剣道?」
「そう。強いんだ、凄い勢いで勝ち進んでる」
「いいね、いいね!」
久し振りに再会できた俺達は、試合後近所の公園でジュース片手に会話。
携帯の番号も互いに交換し、小学校の思い出話だ。
不意に、自転車の音がして俺達はそっちを見た。
ええと、あれは・・・亮か、三河亮、だっけ?
サッカーボールをぶら下げて、物凄い勢いで何処かへ走り去っていく。
あまり関わった記憶がないから、まあいいや。
「高校何処行く?」
健一がそう聞いたから、高校の話を始めた。
・・・驚いた、四人とも一緒じゃないか。
サッカーに力を入れている高校だったけれど、剣道も力を入れ始めたらしく、有望な大樹はお声がかかったそうだ。
面白い偶然だ、まさかこの時期に再会した俺達四人が同じ高校を目指しているだなんて。
「朋玄は余裕で入れるよな。こいつさ、未だに成績優秀なんだぜ。俺には少し偏差値がー」
頭を抱えて缶を握りつぶす実に、笑う。
いやー、それにしても驚いた。
なんだ、この偶然は。
「さっき通った亮も同じ高校だよ、確か」
「へぇ。小学校の知り合いがわんさか居そうだな」
「田上浅葱もだよな?」
「あぁ、確か浅葱も同じ筈だ」
田上浅葱。
・・・あぁ、あの子か。
健一と大樹が頷いて教えてくれた、まぁどうでもいいことだ。
何かと四人で出会う事が多くなった、同じ高校を志望校にしているためか、勉強をともにすることも増えた。
中学三年の、6月29日。
五百円玉貯金をしている俺は、さっきコンビニで雑誌を買ったお釣りで手に入った五百円を、いつものように棚に置いてある貯金箱に入れる。
10万が貯まるという、貯金箱。
ガチ
・・・あれ、入らない。
そうか、貯まったのか!
俺、すげーっ!
重たくなった貯金箱を引き摺り下ろして、思わず笑みを零す。
「これで買ってあげられる・・・」
え、何を、誰に?
自分で何を言っているのか解らないけれど、ともかく。
10万だ!
とりあえず、5百円玉を札に両替してもらわないといけないな。
貯金箱をこじ開けてみる事にした。
ザラザラ、と出てくる五百円玉。
そうか、これで10万もあるんだなー・・・。
郵便局か銀行で両替してもらえるはずだ、ビニール袋を二重にして移し返す。
「何だ、これ?」
五百円玉に混じって何か違うものが入っている。
危うく見落とすところだった、思わずそれを取り上げた。
苺のネックレスだった。
な、何だ、これ。
俺の???
しげしげと、それを持ち上げて見つめる。
・・・。
頭が、割れるように、痛い。
無理やり脳から何かが出てくるような、いた、痛いっつーのっ。
でも、あの時、マビルはもっと痛かった。
ごめんよ、マビル。
あ、あれ?
マビル。
マビルだ。
これ、俺がマビルにあげた・・・。
「お、思い出した・・・」
膨大な記憶が流れ込む、いや、湧き上がる。
綺麗な艶のある黒髪、大きな猫目、きらきら光る唇に、どんな服を着ても似合ってしまう可愛い顔立ち。
ドキドキするような身体つき、寂しがり屋の意地っ張りで・・・。
「マビル!」
思い出した、思い出せた。
俺の名前はマツシタ トモハル。
四星クレオの勇者の片割れ、伝承の剣セントラヴァーズの所持者。
三年前の今日、異界に召喚された勇者。
魔王を倒し、それでも異変が続く異世界で調査をし、そして・・・。
マビルに出会って、恋をした。
護れなかった産まれて初めて好きになった女の子。
記憶を消去されたけど、想いが強ければ思い出すって・・・。
思い出したよ、俺は記憶を消される前に10万が貯まる貯金箱を買いに行って、ネックレスを入れたんだ。
これが拍子で思い出す、それを信じて。
俺がマビルにあげたもの、マビルが死に際まで持っていてくれたもの。
思い出したよ、マビル。
いてもたっても居られなくなって窓を開ける、ミノル、思い出してくれ、ミノル!
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