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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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眠いっ(ばたーん)。


「わー・・・」

思わずショーウィンドウに近寄って眺めてみる。
駆け寄ってきたコイツを見上げて、溜息。
だって、絶対お金持ってないんだもん・・・。

「これ、好きなの?」
「うん」
「・・・高いなぁ・・・小学生には無理な値段だなぁ・・・」

苦笑いしてブツブツなんか言ってる、いーよ、そんなのわかってる事だ、誰も強請ろうなんて思ってないよ。
これだから、貧乏人は。

「高校生になれば、バイトでもして買ってあげられそうだけど・・・」

歩き出すあたしを、慌てて追いかけてくる。
コレが高いことくらい、あたしにだって解る、でも、可愛いんだ、このシリーズ。

「大人になったら、買ってあげるね」
「・・・うん」

大人? 安心しなよ、大丈夫。そのうち、あたしに殺されるんだから。
照れくさそうにそう言って、強目に手を握ってきた。
・・・変なの。
歩いていたら、なんか小さな屋台が並ぶ場所に出た、一軒一軒見て廻る。
ここは”0”が一つ少ないから、安いお店だ。
やたらキラキラしているけれど、キョーミが湧かない。
コイツは一生懸命何かを探している様子だったので、あたしはアイスクリームを買ってもらって一人で食べていた。
暫くして戻って来たそいつは、手に何かを持っている。
何かを買ったんだ。

「はい」
「? 何これ?」

紙袋を手渡される、小さな小さな紙袋。
中を見ると、苺の形のネックレスが転がってきた。
・・・や、安っぽい!
ちなみにあたしが今身につけているピアスは15,000。
ネックレスが20,000。
ワンピースが78,000。
バッグが120,000。
ミュールが28,000。
・・・。

「苺、似合うと思って」

笑うコイツ、腹に腕を突き刺そうかと思った。
あたしは、こんな安っぽい女じゃない、馬鹿にしてるわけ?
けれど、思ったよりそれが可愛かったのであたしは渋々と、身につけた。
だって、きっとおねーちゃんなら『わぁ、ありがとう♪ うれしー』とか言うに違いないもん。

「わぁ、うれしー、ありがとー」

棒読みで、あたしはそう言う。
コイツはふてぶてしくそう言った私にも、何故か穏やかに笑みを浮かべていた。

「大人になったら、もっと高いのを買ってあげるね」

シツコイ。
ウルサイ。
解ったから。

「ねぇ、あたし、新しい服が欲しいんだけど」
「服!? ・・・女の子の服かぁ・・・」

困ったように腕を組んで、一頻り唸った後、手を引いて歩き出す。
着いた所は・・・。
ぐちゃぐちゃに服が押し込められている、小さなお店だった。

「気に入るのがあればいいんだけど・・・」

店の外に、汚れるんじゃないかというくらいでしゃばって飛び出ている服。
・・・冗談じゃない、なんなの、この店!?
今までは、もっとキレーで、見やすい、素敵なお店に連れてってもらえたのに!
こ、こんなお店で服買いたくない! やめようよ!
あたしらしくないよ、ここ!!
良く見たら、値札も500とか書いてある。
0が足りないっ!
けれども、そいつはどんどん中へと突き進んでいった、ちょっと、やーめーてー。
色々と服をあたしに宛がいながら、何か呟き、何度も何度も服を合わせる。
やがて、一つのワンピースを買ってくれた。
笑顔で差し出されたので、引き攣った笑みを浮かべ、着てみる。
・・・あぁ、素材がなんかごわごわするっ!
安っぽい生地、何コレ、お肌荒れちゃうっ。
けれど、鏡に映ったあたしは似合っていた。
デザインは悪くない、素材も作りも悪いけど、確かに、可愛い。
ソイツはあたしを見るなりこう言った。

「わぁ、可愛いねぇ! 似合う似合う」

・・・あたし、安い服はあんまり着たくないんだけどっ。

「やっぱり、安い服でも可愛い子が着ると高く見えるね」

さらり、とそう言ったソイツ。
・・・当然。
だって、あたし可愛いもん。
可愛いから、服だって・・・そうだ、安くても豪華に見えるんだ、あたしが着ると。
きゃはは、可愛いって素敵。
純白のシンプルなワンピース、でも、そうだ、着ているあたしが可愛いから素敵に見えるんだ。

「ねぇ、あのカップル可愛いね」
「ホントだー、お似合いね」

並んで歩いていたら通りすがりの人間にそう言われた、酷い屈辱。
どうしたらあたしとコイツ、お似合いなの?
目が腐っているんじゃないの?
見上げると、目が合った。
!?
目が会うと、静かに微笑んで、空いている手で髪を・・・撫でてきた。
・・・。
思ったより、悪く、ない・・・。

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マビルちゃんー。
最近すっかりマビルちゃんがお気に入りになったのです、えへ。
トモハルマビルの更新が楽しみなのですv

書きたいものたくさんだとは思いますが、睡眠しっかりとって下さいねっ(’’。
哀うしろ。 2008/07/25(Fri)03:13:56 編集
主人公(アサギ)ぴーんち!
マビルは、以前から女の子には人気があったのですー。
作者、幸せ(うへへ)。
作者の私はアサギとマビル、どちらか選べといわれたら、迷って迷ってアサギを選ぶのです。

頑張って寝ながら書くからーっ(ぐっ)。
まこりた 2008/07/25(Fri)07:06:51 編集
無理しちゃあかん!
更新楽しみだけど(笑)


とりあえず寝て、すっきり書いた方が良いよ



寝ながら書くとわけわからん様になる(苦笑)

しかも書きながら寝落ちるし(爆)
みやち 2008/07/25(Fri)15:48:00 編集
親ばかなので
トモハルが心配でー(爆笑)。

問題は、私が上手にトモハルとマビルの誤解を解けるように書けるかどうかなのですが。
頑張らなきゃ、予定通り、トモハルが非常に乏しいお馬鹿な勇者に(倒)。

お馬鹿なんです。
マビルが一番欲しかったもの、12歳の時には解っていたのに、大人になったら解らなくなってしまったのです。
まこりた 2008/07/26(Sat)00:16:19 編集
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