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最悪なのです・・・(およよ・・・)。
めも4500文字
友達画、故人ロザリンド。
DES本編、名前のある人物で初めての故人ですねーそういえば。
ところで、これが平成10年の絵だと発覚。
となると、前回載せていた彼女のあの絵はそれ以前の絵なので、12~10年前のものです。
・・・いつみても上手だなぁ・・・。
彼女が私の小説の絵を描いてくれるだけで、ものすごい作品に見えたので(笑)、イラスト負けしてましたが、とても幸せでした♪
掃除をしていたらでてきたので、こちらでお披露目。
すぐ亡くなったのに、彼女に気に入られたお陰で登場イラストが多いロザリンド。
よかったね!
・・・下手するとアサギより多いかも(倒)。
目が冴えてしまったトビィ、再度眠ろうかとも思ったが夜風に当たるべく部屋を出て甲板へと移動する。
雨は上がり澄んだ空に輝く星々が浮かんでいた、夏といえどもまだ夜中は涼しく過ごしやすい、そしてここは海上である尚更気温も低いだろう。
ゆらりと波打つ海面を見つめる、今ここで自分の相棒の一体である水竜オフィーリアが顔を出してくれたらどんなに助かる事か。
トビィはそれでも静かに呼吸を整え、その場で全神経を集中させ瞳を閉じる。
―――応えろ、クレシダ、デズデモーナ・・・オフィーリア―――
ひょっとすると、水面に降り立って時下に手を下し呼べば水竜のオフィーリアが反応するかもしれない、とトビィはふと思いつく。
早朝、船員かあの話の解りそうな船長にでも緊急脱出用の小船か何かで、海面に降りられないか問う事にした。
南下しているらしいトビィの相棒達、しかし海上は広大だ擦れ違いだけは避けたい。
身体も冷えたので船室へと戻るトビィは、不意に昼間のミシアを思い出す。
何故か自分にしがみ付いていたミシア、非常に鬱陶しい。
初めて会ったのは例の洞窟で、他の仲間達と同様出会ったわけだが。
トビィは表情を翳らせた、そういうえばそこから妙に熱い視線を注がれていたような気がしてくる。
特に何もした記憶はないのだが、やたらと視線が気になった。
女から視線を受ける事は稀ではないため相手にもしなかったし、気にする素振りも見せなかったのだが・・・。
アサギと共に居る時ほぼ毎回視界に入ってきたので、『ウザイ』と判断したのだがやはり偶然ではないようだ。
故意だろう。
深い溜息一つ、トビィは船室に戻るとベッドには入らずに代わりにワインのボトルを一本手にして再度甲板へと舞い戻った。
コルクをあけて、海へとワインを流すように降り注ぐ、キラキラと光りながら上等のワインが零れ落ちた。
「マドリード・・・安らかに眠れ・・・」
せめてもの餞、花でも贈りたいが海上だ、ない。
結果トビィが考えた餞がワインである、戦闘に巻き込んでしまったのは自分かもしれない、と微かに自責の念に囚われる。
が、悔いても過去は変わらない、トビィは唇を噛み締めるとようやく眠る為に戻った。
一方戦闘で疲労し深い眠りにサマルトとダイキが就いている頃、アリナとクラフトは水を手にしてトビィがいる場所とは反対の甲板の上にいた。
アリナとミシアの部屋で会話しようかとも思ったのだが、万が一ミシアが戻ってくると非常に厄介だった。
他に部屋も思いつかず、ならば四方を自由に見渡せ、小声で話せば他人に聞かれることもない場所を、と甲板を選択したのだ。
手すりに凭れればあとは正面と左右にさえ気を配ればよい、背面は海である。
「なんとなく、考えている事は同じだと思うんだけど」
口を開いたアリナにクラフトが同意、二人して苦笑い。
「ミシア殿のことですが」
やっぱり、と小さい溜息、アリナが手にしていた水を一気に喉へと流し込む。
「今回の件ですがミシア殿の姿、戦闘中に目撃されましたか?」
「いいや、あの綺麗なねーちゃんが、投げ出されるまで全く気づかなかったね」
「私もです。というのも、彼女が得意とする風の呪文も、治癒の魔法も、そして弓矢ですら・・・見ていません」
治癒が得意なクラフト故に、もし自分と同等の治癒要員が居るならば分かる筈だ、分担も減る。
しかし、自分以外に治癒に当たっていたのは船員の男が二名ほど、それもあまり得意ではないのかクラフトに責任がかかってきたのだ、多大な。
ミシアが居るなれば、そんなことにはならなかったのではないか、と。
そして風の呪文、トビィ、アリナ、クラフト、サマルト、ダイキ・・・この五人は使用できない、唯一ミシアだけが詠唱可能である。
船員にも魔法使いが居たようだが、使用していない、誰も。
そう、誰も唱えなかったのだ。
戦場は雨、しかし風の呪文とて効果が激減するわけではない、雨も切り裂くだろうし効果的な筈だ、それをミシアは使用しなかった。
最後に弓。
先の戦闘を見ていた限りでは結構な名手だったはずだ、翼あるガーゴイルが今回相手だった、翼に当てれば効果的だったろうに・・・弓矢を見ていない、甲板にも落下していない。
そう、ミシアがその場に居た形跡が・・・なかったのだ。
貴重な戦闘要員でありながら、風の魔法も、治癒の魔法も、弓矢も使用していない・・・。
ならば。
「ミシア殿、何処にいたのでしょうか・・・?」
甲板へ出るまではあの場に共に居た、一緒に来たのだから当然である。
「ボクも戦闘に夢中で確かに100%、とは言い切れないけどさ、確かに居なかった気がするんだよねミシア。でも・・・」
「マドリード殿が甲板へ飛び出していた頃には、居た。声を聞いています」
「そしてそこから、戦闘を何度も経験している人物なのに、貧血だか眩暈だかで倒れこむように船員の世話になっていた。ボクはそれが非常に気に喰わないね」
「その後は治癒の為『目立って』いましたね、そう、治癒すれば『目立つ』のです」
クラフトが声を一層潜めた、つまり、何が言いたいのかというと。
二人同時に声を発する。
「確実にあの時までミシアは甲板に居なかった」
そういうことである、二人は気がついたのだ。
居ないとなると、何をしていたのか?
戦闘を放棄してまで、ミシアがしていたこととは?
「・・・問い質そう、あまりにも不自然すぎる」
「えぇ、しかし慎重に。・・・トビィ殿にも話そうかと思うのですが流石に本日は気落ちしていたので、遠慮したのですが」
「そうだな、仲間は多いほうが良い。サマルトとダイキはよそう、まだ若いし。それに・・・万が一、ミシアの真実の行動によっては衝撃を受けかねない」
アリナの言葉にクラフトは軽く吹いた、アリナとてサマルトとそう歳は変わらないはずだ。
些か不機嫌そうに唇を尖らせるアリナに、慌ててクラフトが謝罪する。
「まさかとは思うけど、あのねーちゃんの死に関与してないよなぁ?」
ぽつり、とアリナが漏らした。
流石にそれは・・・と苦笑いで返答が来ると思ったのだがクラフトは押し黙ったままである。
意外そうに、そして動揺を隠せずにアリナはクラフトを見た。
「・・・何故、ロザリンド殿はトビィ殿に忠告されていたのにもかかわらず、甲板へ来たのでしょうか。トビィ殿の身の上を案じ、影から見守っていた・・・なら解らなくもないのです。しかし、あの時トビィ殿が窮地に立たされていたわけではありません。飛び出した理由が見つからないのです」
「・・・」
「疑うのは失礼かもしれません、しかし我らが甲板へ出てから、残されたのはミシア殿にロザリンド殿、二人です。そのうち片方は・・・亡くなりました。ある意味不可解な死です」
「・・・」
「見間違いかもしれないのですが・・・」
ここまで一気に語ったクラフト、此処へ来て口篭る。
眉を吊り上げながらアリナは低く続けろ、と言った。
多少戸惑っていたが意を決し、クラフトは重く口を開いた。
「ロザリンド殿に、何やら刃物が突き刺さって居た様な気がするのです。無論、錯覚かもしれません、雨で視界は遮られます。しかし何やら光るものが見受けられました。それから落下も不自然だったような気も」
「つまり、クラフト。お前が言いたいのは・・・」
「ミシア殿が何故かロザリンドを刺したのではないか、ということです」
流石にそこまでアリナもミシアを疑わなかった、クラフトに相談しようとも思ったがロザリンド殺しの犯人をミシアと推測するだなんてことはしなかった。
しかし、あのクラフトが。
確かに慎重な行動と簡単には人を信用しない節があるクラフトではあったのだが、旅の仲間を・・・殺人容疑で疑心の瞳で見たとは。
音が鳴るほど豪快に唾を飲み込むアリナ、唖然とクラフトを見つめる。
「あくまで・・・私の憶測です。しかし。・・・不自然な箇所が多すぎて」
「まて、ロザリンドがミシアによって手にかけられたのならば甲板を走れないだろ? 刺されたのなら倒れてもいいだろう?」
「それが問題です」
「だろ? どうして飛躍してそんな話になったんだよ!?」
「トビィ殿を庇うわけでもなく、突如出てきたロザリンド殿の行動が、どうしても不可解だからです。自ら海へと落下した気がして仕方有りません。そんな行動に出る直前に会っていた人物がミシア殿、その人であるから。・・・それだけですけれどね」
口を開いて言葉を失い、呆けるアリナ。
「・・・そして以前から気になっていたのですが、ミシア殿、異質な感じがしてなりません・・・」
異質。
クラフトが喉を潤すために水を口に含み、微かに瞳を閉じる。
満天の星空を見上げて、息をゆっくり吐き出す。
「こう・・・上手く言えないのですが。何か・・・違和感が・・・」
魔力のないアリナには感じられない、クラフトの言う『ミシアの異質』それが何か解らないが人一倍感覚の鋭いクラフトが言うのだから間違いではないだろう。
しかし、間違いではないのならそれは・・・ミシアが。
ミシアを張り込む必要がありそうだ。
「簡単に尋問、では済まないかもしれません。私が言う通りならば慎重に事を進めないと・・・。お嬢は出ないで下さいね、感情的になりすぎますから。ともかく、まずはトビィ殿です、彼に相談しましょう」
「あ。あぁ・・・。しかしクラフト、よくトビィは無条件で信頼したね?」
まだ出遭って間もない筈だ、ここまで重要な話をする気によくなったな、とアリナは疑問だった。
「殺されたかもしれないロザリンド殿と親しかった人物である、それと。・・・確かにトビィ殿は何か我らに隠している事がありそうですが、今は必要もないと感じました。ただ、勇者であるアサギちゃんへの情熱はひょっとすると誰よりも強いものです。ならば勇者の味方である我らの味方でしょう」
「そういえばトビィにも訊きたいことがあったな、魔界育ちって言ってた」
「ええ、それは是非訊いてみましょう。味方に間違いはないと思うのですが・・・辛い思い出ならば関与は控えますけれどね」
「・・・寝るか、クラフト。流石に頭の回転が鈍い」
「そうしましょう」
二人は、妙な胸騒ぎを感じながらも、部屋へと戻る。
ここは、海上だ。
逃げ場がそう、ない。
それが吉と出るか凶と出るか・・・検討つかない。
「ともかく、明日ミシアの足止めをしてトビィに接触しよう。誰がやる?」
「私がミシア殿の足止めをします、お嬢はトビィ殿に説明を」
「りょーかい」
欠伸をして、部屋の前で別れた。
ベッドに倒れこんでアリナは瞬時に深い眠りへと誘われる、クラフトは唇を噛み締め不安そうに隣の部屋を見た。
ミシアがもし、自分の推理通りの行動をしていたとすると。
アリナが、同室のアリナが・・・危険ではないのか?
祈るように部屋の窓から夜空を見上げるクラフト、数分、祈りを捧げる。
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