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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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104a7aab.jpg次の次で、クレシダ達登場予定ですー!!
頑張れトビィ!

というわけで、友達から頂いたトビィお兄様でも。
ちょっと薄いので見難いですが、かっこいいのです。
この方の描かれるトビィは凛々しくて大好きなのでしたー。

メモ
36→トビィお兄様、水面に降り立ちオフィーリアに呼びかけるけど、魔物が出てきてさぁ大変。

37→アリナ、海面へ故意に落とされ、トビィお兄様救出に向うべく海へダイブ。
クレシダ達、ようやく参戦。
トビィお兄様、嬉々として単独で魔界へまっしぐら。

38→途中立ち寄った土地にて、魔族のサーラに出会う
『外伝8』開始
何故アサギが勇者になりたがっていたのか、判明

39→トビィお兄様、過去について物思いに更ける


翌日、先に眠っていたサマルトとダイキはクラフトよりも早くに目が覚めた。
目を擦りながらも甲板に出ると二人して素振りを始める、船員達がそんな二人を感心してみていた。

「お前、結構剣の腕いいよな」
「剣道のお陰かな」

じんわりと額に汗を浮かべながら、ダイキはそう軽く微笑んで返答する。
そう、ダイキは剣道を小学生に入った頃から習っているのだ。
勇者の中ではアサギと並んで剣、というものに近いだろう。
最も真剣は初めてだが、当然。

「サマルトは皇子なのに親しみやすい」
「悪かったな、気品がなくて」

不貞腐れたようにとれるサマルトの言葉に、慌てて剣を振るのをやめるとダイキは弁解を始める。
が、赤面してこちらを向かないサマルトに気がついたのだ。
照れているようだ。
吹き出したいのを堪えて、ダイキは素振りを再開、確実に二人の仲は良くなっていく。
太陽が上がってきたので、空腹もあり部屋へと戻るとクラフトが起きていた。

「お嬢を起こしたら、皆で朝食でも食べに行きましょう」

クレオの字が読めるクラフト達が同行するので、好きなメニューが食べられる事に二人は嬉しい悲鳴を上げる。
文字が読めないというのは、非常に不便だと痛感。
トビィも誘って五人で食堂へと向かう、朝は簡単なものしか選べないらしく、それでも地球の喫茶店の様に三種類から選択可能だった。
船の食料は限られてくるので簡素なものだが、それでも十分だ。
皆揃って魚のフライを挟んだサンドイッチを注文、それに珈琲。
そこへ船長が現れた、深く頭を下げ言い出したことは『船員の戦闘指導』。
昨日の能力を見て、依頼料は当然支払うので船員を鍛えて欲しいとのこと。
毎回の食事をつけて貰えればそれで、と二つ返事で同意する。
講師は二人、トビィが剣を教える事になった、サマルトとダイキも無論参加する。
アリナが体術を担当、武器がない場合は自身の身体が頼れる唯一の武器となる。
合間を見て、クラフトがダイキに呪文を教える事にしたわけで、勇者が一人のこのパーティはそれが故に多彩な技を教えてもらえそうである。
早速朝食後、手の空いた船員達から順に甲板にてトビィの指導が開始された。
最初は渋々だったが、食費が免除になるのでやらないわけにはいかないトビィ。
客も暇を持て余していたが、その光景を見て時間を潰す。

「まずは基礎体力の向上からだ、剣は使わない。掃除ついでに甲板を磨く事往復100回、ただし立ち止まるのは却下」

非難の声が上がるが、船長は上機嫌だ、掃除も出来て一石二鳥である。

「モップを使用していいんだ、感謝しろ。本来ならば雑巾でやらせるところだ」

腕を組んで手すりにもたれて余裕たっぷりに言い放つトビィ、軽く嘲笑っている気がする。
当然サマルトとダイキもそこに混じって、非難の声を上げていた。
しかし、トビィの意図があった。
モップを手にして慣れさせ、武器代わりにするつもりであった。
使えるものは、とことん使用する。
文句を言いたくとも昨日の実力を目にしているのだ、反論出来ず。
その間トビィは空くので指示だけ出して、順にサマルト、ダイキを呼びつけた。

「特別扱いだ、相手になってやる」

掃除をしなくて良いと解り笑みを浮かべる二人だが、数分後掃除の方がましだったと気づかされた。
木刀を使用し、トビィ相手に二人で飛び掛ったのだが・・・惨敗である。
丸腰のトビィだが、軽やかに二人の剣を避け、後ろに回りこみ蹴りを食らわした。
容赦なく。
甲板に倒れ込む二人だが、冷ややかな声が降り注ぐ。

「少しは持ち堪えろ、やはり掃除から始めたほうがいいか?」

二人は顔を見合わせ、大きく頷くと一気に立ち上がって同時にトビィに剣を振り下ろした。
しかし後方へ宙返りで難なく避け、振り降しが終わったと同時に右足で甲板を蹴り上げ、一気にもとの場所へと戻ると二人の腹に拳を叩き込む。
観客から歓声が沸きあがった、見事だ。
やられた二人はたまったものではないが。
・・・容赦ない。
その後も何度も打ち込むが、二人がかりでもトビィには傷一つ負わせられなかった。

「は、半端ねぇっ・・・!!」

己の身で改めてトビィの強さを感じたサマルト、愕然と眩しいくらいのトビィを見上げた。
ただの、少しばかり秀でた色男だとばかり思っていたのだが、違う。
この実力は本物だ、一瞬背筋が凍った。
そうこうしているうちに、モップがけ往復100回が終了したようだ。
昼食後、暫し休憩を取ってから再開することにし、一旦終了。
反対の甲板ではアリナがこれまた基礎から教えていた、腰幅に足を開き、腕を交互に突き出すこと、200回。
モップがけよりかはましかもしれないが、腕が攣る。
その後は腕立て伏せ、200回。

「腕から強化だよー! 男なら泣きっ面見せるなよー」

楽しそうに笑顔で自分も同じようにメニューをこなしていくアリナ、女には負けまいと必死になる船員。
次は両腕を地面と垂直にし、交互に後ろへ肘を押し出すのを各200回。

「肘打ちの練習ねー。速ければ威力も上がる、体重を肘にかけるように意識して。そのまま倒れて地面に相手を叩きつける感じでね」

鋭いアリナの肘打ち、見事だ、あんなものを胸に打ち込まれたら骨が折れそうだ、と震える船員。
こうして高ランクの講師、トビィとアリナは暇する事無く船旅を終えそうだ。
午後からは食料捕獲の為、魚漁の網を海へと何度も放り込み、全員で引き上げる事も行った。
桶で水を必要以上に汲み上げ、塩分を抜き取り真水にする作業も必死で行う。

そんな中クラフトは一人ミシアの姿を捜して船内を歩き回った、そう、朝から姿を見ていない。
部屋にも戻っていないようである、熱の子の看病が長引いているのだろうか?
夕方になり、トビィ達の船員訓練が終了した頃ようやくミシアの姿を見つけたクラフト。
そ知らぬ振りして近づくと、後姿のミシアの肩を叩いた。
ゆるやかに振り向いたミシア、不思議そうにクラフトを見て微笑。

「あら、クラフトさん。どうされました?」
「熱の子は大丈夫ですか? 慣れない環境でやられたのかもしれませんね」
「はい、衰弱していましたが先日ジェノヴァで購入した薬草を飲ませて、熱を下げたところです」
「流石ミシア殿です。となると、知らないでしょうから本日の出来事でも。船長に頼まれてトビィ殿とお嬢が船員達の戦闘訓練を開始したのですよ」
「まぁ・・・」

驚いて瞳を丸くするミシア、クラフトは微笑んで事細かに説明を始めた。
アリナがトビィに接触出来ていれば良いが、ともかく時間稼ぎをするべきだと判断。
真剣に頷いて聞くミシアに、クラフトも腹の底の疑惑を顔に出さず話す。

「ミシア殿も相当な弓手であると見受けています、どうですか、指導されては? 弓矢も飛行の魔物にかなり効果的ですし、海上ですから出会う確率も多いでしょう。そう、昨日のような」

意図的に昨日の話をここで入れた、どう反応するか見る。
にこやかに微笑んで頷くミシア。

「そうですね、申し出てみましょうか。でも、ふふっ、過信しすぎですよ。そこまでの技術ではありませんもの」
「いえ、集中して敵の急所を見定める事が出来ると思いますから、確実に狙えると思うのです。どうです、是非明日から。しかし二人に比べてミシア殿の指導は優しそうですね」
「案外厳しいかもしれませんよ? 考えておきますね」
「夕食、皆で食べませんか? 用事でもあるのですか?」

立ち去ろうとしたミシアに控え目に誘った、申し訳なさそうに首を横に振って礼をするミシア。

「一旦部屋に戻り、薬草を選んでから再度あの子の看病に戻ります。解熱作用が切れると、爆発的に体温が上がるので心配で・・・」
「わかりました、根つめて看病されないように。ミシア殿の身体が参ってしまいますよ?」
「お気遣い、有難う御座います。では、また」
「えぇ。お大事に、とお伝え下さい」

クラフトは歩き出したミシアの後姿を一瞥してから、甲板へと向かう。
甲板では昼間とは打って変わって静まり返った空気の中、トビィ達が何やら談話していた。
手を上げて近づく、アリナが気づいた。

「めしー! 船長さんが話があるから特別にここで食事だぞ」
「ほほう、それは素敵な趣向ですね。あ、そうそうミシア殿はまだ看病しているので共に食事は摂りません」

ぴくり、とアリナの眉が動き目配せする、トビィが軽く微笑んだのをクラフトは見逃さなかった。
やがて簡素なテーブルが運ばれてきて、そこに食事が並べられる。
当然魚料理ばかりだが香草焼きなど手間がかかっていた、腹に刺激的な香りだ。
夢中で食べ始めたサマルトとダイキ、やってきた船長は豪快に笑いながら他の三人にも食事を勧め、ワインを振舞う。

「本日は有難う御座います、今後も宜しくお願い致します。心ばかりですが本日はこのような場を設けさせて頂きました。お楽しみ下さい」
「お心遣い、有難う御座います、感謝致します。安全に船旅が出来るのも、船長殿並びに船員殿達のお陰です。こちらこそ宜しくお願い致します」

深く頭を垂れたクラフト、トビィが横から口を開いた。

「明日で構わないのだが水面に降りられないか? 脱出用の小船でも下げてもらえると助かるのだが」

意外そうに一斉にトビィを見る一同、船長も首を傾げる。

「出来ない事はないのですが・・・何か?」
「あぁ、少し水面に触れてみたいだけだ」

変わった事を言い出したなぁ、とサマルトは口一杯にパンを頬張りながら、奇怪な瞳で見ていた。

「わかりました、しかし海面に突如魔物が浮上してくる場合があるので・・・」
「それくらいならば問題はない。オレは大丈夫だ」

そう。
水面に小船を下ろすと、餌と間違え魔物が寄って来る危険が高いので船長は渋ったのだ。
しかし、引かないトビィに断念、真っ直ぐに見つめてくるトビィの瞳は頑固で強情だ。
以後、食事をしながら今後の計画を練り、海路を確かめつつ解散する。
早急にトビィに相談を持ちかけたかったアリナとクラフトは、部屋に一旦戻るとアリナだけがトビィの部屋へと出向く事にした。
トビィの部屋へ向かう途中、ミシアらしき後姿を目撃したアリナは、顔色一つ変えず一目散に足を速める。
追いたくもなったのだが止めておいた、気配を掴むように神経を耳に集中させて歩く。
トビィの部屋にノックをして入り込むと、寝そべっていたトビィに近づいて手を振る。
しかし。
何故か本題に入れないまま、無難な話をして一時間後アリナは部屋に戻った。
本能が告げたのか、「今は話すな」と危険信号が光ったのだ。
部屋に戻るとベッドに寝転がり瞳を閉じる、明日こそは話そうと。

アリナの勘は当たっていた、ミシアがドアの前で聞き耳を立てていた。
運悪くロザリンドの取ったこの二等の部屋、人通りが少ないのだ。
アリナがトビィの部屋に入っていく様子を間近で見ていたミシア、歯軋りをして壁に爪を立て、憎悪と嫉妬の眼差しで血眼で睨んでいた。
部屋に入った後も、悪鬼の如く形相で部屋の中の二人を想像する。

「あの・・・メス豚・・・!」

身体をわなわなと震わせて立ち尽くしているミシア、そう、アリナが帰る気配のするまでその場で待っていた。
張り巡らされる妙な妄想、中では他愛のない話をしているだけだというのに。
・・・いや。
トビィと二人きりで会話する事自体、ミシアの逆鱗に触れるのだろう。
やがてアリナが立ち去る気配を察知したミシアはそのままスッ・・・と廊下を流れるように歩き、一角に消える。
アリナが出て行ったことを確認すると、今すぐにでも呪殺する勢いで胸元から妙な呪具を引っ張り出したが、震える手でそれを押し戻した。
トビィのドアの前へ移動し、恭しく熱い口付けをドアにした後、急いである場所へ向かう。
そう、昨夜と同じ場所だ。
案の定ポールが待っていた。
焦点の合わない瞳で、ミシアを見つけると抱きついて押し倒し、唇を塞ぐ。
抱かれながら鼻につく香りを胸いっぱいに吸い込んで、危険な香りの虜になる。
そう、幻惑のトビィに会う為に。

「アリナ・・・死に値するわね」

ぼそり、と呟いた。

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おー
見事にトビィだらけ…(笑)
楽しみだー
トビィ(後 2008/08/25(Mon)12:53:40 編集
もちろんー
39話でトビィ編は一旦閉幕なのですよ。
ケンイチ編に突入なのです。
アサギ編、トモハル編はメインにつき交互になるのですー。

問題は、そろそろデータが行方不明な箇所なので、激しく面倒だというk(強打)。
アサギ 2008/08/25(Mon)23:47:28 編集
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