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その日。
あたしは気配に気づいた、空を見上げてお城の方角を睨み付けた。
足元に転がっている死体を、どう処分すべきか迷っていたら、気づいてしまった。
「おねーちゃん? おねーちゃんだよね」
口から漏れた言葉、忌々しく吐き捨てて死体に火炎をブチ込んで・・・焼却。
来ると思っていたけど、案の定森を掻き分けて、おにーちゃんが血相抱えてこっちへ駆け寄ってきた。
「マビル!」
「ご苦労様、おにーちゃん」
息を切らせて全速力で来た事丸出し、やだなぁ、あたしが何かするとでも思ったの?
あたしの目の前で大きく肩を上下に揺らして、深呼吸しているのはアイセルって名前のおにーちゃんだ。
「おねーちゃんが来たんでしょ? 判ったよ。でもさ、弱弱しくない? ホントに合ってる? ホントにあたしのおねーちゃん? 次の魔王で合ってる?」
「オレもまだお会いしていないが、間違いないだろう。現に非力な魔力であっても、オレもお前も気づいたんだ。間違いないだろうな」
「名前は?」
「だから、今到着したばかりだろう。オレがこれから調べるからお前は今まで通り大人しくしているんだぞ?」
「つまんないね」
燃え尽きた元死体、肋骨が微かに原型を留めていたからあたしはそれを蹴り上げた。
白い粉がぶわ、っと空気に舞ったから怪訝に眉を顰めて口を閉じた。
「・・・マビル、これは何だ? というか、ちょっと待て、お前・・・」
絶句したおにーちゃん、遅いよ、今頃気づいたの?
そうなのだ、死体がごろごろ転がってるの。
「遊んでたら、みんな壊れちゃったの。この子はさ、腕がとれちゃった。あの子は眼が綺麗だったから、取り出そうとして引っ張ったら死んじゃったの。で、あれは・・・なんだったかな、あぁ。あたしに贈り物くれるっていうから喜んだの。綺麗な真っ赤なお花だったんだけどね、数日したら汚い茶色の変な物体に変わっててさ。『君のように綺麗だから』って言ってくれたのに、そんなんになったでしょ。頭にきて、殴ったらお腹に穴が空いて死んだの。・・・あとは覚えてない」
死体、邪魔。
放置しておくと、すんごいニオイがして耐えられないから最近は魔法で燃やしてしまうことを思いついた。
だからさっきから燃やしてるんじゃないか。
何か、悪い?
「・・・殺し過ぎだ」
「殺したくて殺してるわけじゃないくて、遊んでたら死んでるの! あたしのせーじゃないっ」
哀れむように見てくるおにーちゃんに、イライラしてあたしは思い切り右手で魔力を増幅させるとそのまま呪文を発動する。
おにーちゃんなら、多少本気でかかっても、死なないよねぇ? 強いもんね。
「おにーちゃん、うっさいっ!」
「マビル、お前はっ」
瞬発力がおにーちゃんのほうが上なんだ、あたしは背を取られて首筋に何やら打撃を受けて、そのまま。
・・・あれ、記憶がない。
どーやら、気絶させられたらしい。
・・・チクショウ。
数日後。
おにーちゃんからおねーちゃんの話を聞かされた。
名前は『アサギ』というらしい、変な名前ー。
ただ、途轍もなく気に入らないのは。
「は? 勇者? 人間の勇者? は? へ? ・・・どういうこと」
そういうことだ、アサギというのは人間で勇者なんだそーだ。
大笑い、いやー、ここまで来るとバカバカしいね、涙出てきたよ。
チョット待て。
「あのさぁ? あたしはぁ、次期魔王である類稀なる魔力を持った、自分とそっくりなおねーちゃんの影武者なんだよね? そーだよね? ・・・なんで人間の勇者なわけ? 魔王じゃないじゃん!」
「落ち着けマビル。些か予測に不具合が生じている、妙な事だが紛れもなく彼女は次期魔王・・・の・・・はずなんだが・・・」
「一体誰よ、この変な予言したのは?」
「オレも混乱してるんだ、少し大人しくしててくれないか」
「・・・馬鹿げてる。あたし、遊んでくる」
そう、あたしは。
現魔王アレクにしか知られていない、『予言家』の一員だ。
で、生まれたときに自分に双子の姉が存在し、その姉が次期魔王であるが故に、影武者となるべく育てられてきた可哀想な子なのであるー。
物凄い強いって聞かされてた、そう、数分で世界なんて破壊できるくらいに。
そんな凄い姉なら、付き従って一緒に世界破壊ってのも楽しそうだと思ってた。
のに。
人間。
勇者。
・・・人間の勇者が魔王になるって?
は、馬鹿らしい!
予言が失敗したのか、そのアサギとやらが偽者なのか。
どちらにしろ・・・冗談じゃない、影武者なんてやめだ、やめっ!
あたしは、好きに生きる。
そもそも、あたしのほうがどう考えても強いんだし。
あぁ、そっか。
あたしがそのアサギとやらに成り代わってしまえばいーんだ。
・・・楽しい。
楽しみが増えた。
あたしが魔王になればいい、素質はあるはずだ。
ただ、この結界が張り巡らされている森から出て行けないだけで。
死んだ両親にアイセル、そして弟のトーマ、ついでに魔王アレクが施した、ご丁寧なあたし専用の結界。
これのせいで、出るに出られない。
小さい頃からここに閉じ込められて、森は行き来できるけど広範囲で遊びに行けない。
準ヒロインの一応旦那ですからー。
散々貶しても、やるときゃやりますよ?
例えアル様にまびるんを奪われようとも、簡単には渡しませんよ?(笑顔)。
5分で倒れやしませんよ?
というわけで、マビルとトモハルの話を開始するのでござりゅん。
変な相手じゃアル様に失礼、ブログ読んで下さってた方々ごめんなさい、そう易々とうちのトモハル倒れませんよー(笑顔)。
騙してごめんなさい、本気で書かせていただきます。
先にキャラを蹴落としといて、本編で巻き返す、これ、私流。
同様に。
もう一人。
散々貶された人物が一人。
トランシス・ライフ・ディアシュ。
彼がアサギへ贈る愛はギルザを愛するアサギ並み。
なら何故、失敗したかって?
本編最後にならないと解らないのー。
だから、言ったの。
”そんな悲劇の恋の物語”
さて、ダスク様に伝言伝言。
ダスク様が上手に書いてくださる方で感謝なのです。
こちら、本気でトモハルで戦わせていただきます。
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