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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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話は飛んで、最終話終了後から次開始なのです(何故)
やはり最終回を書きたくないという思考が動いたらしいです(作者万歳)。

というわけで、現在本編第7章最終話、最終回一歩手前なのでした。

久し振りにアサギを見かけたら、なんか・・・前にも増して・・・様子がおかしかった。
から、気になってトビィに会いに行って報告したんだ。
トビィは真顔で「そうか、オレが調べる」と行って去っていった。
・・・気になる。
気になって仕方がなかったから、アサギに会おうと思ったら、アサギのほうから会いに来た。
何だか雰囲気が以前より大人びて・・・というか、別人な気がして。
余程変な顔で見ていたのか、アサギが軽く笑った。

「お願い事があるのだけど」
「何?」
「約束して欲しいの。マビルを、よろしくね」

・・・なんだ? 突然。
真顔で言われて、反応に困った。
いや、約束と言われても、俺はもとからマビルを今度こそ護るつもりだ。
というか、気になるのはそこと、その言い方がまるで・・・。

自分が居なくなるから、代わりに宜しく、と言っている気がして。

「アサギ?」

瞳を細めて睨みつけるように見た、見ていたら・・・急に背筋が寒くなって思わず、剣に手を伸ばす。

「・・・マビルを、よろしくね」
「その言い方、なんだよ! アサギも居るんだからオレ一人に任せなくてもいいだろう? 言われなくても護る気でいるけどさ、いちいち・・・」

言い終えないうちに、アサギが唇の端を軽く持ち上げて・・・笑う。
笑った後、一瞬、泣きそうになったのを、見逃さなかった。

「約束できるのか、返事が欲しいのだけど」
「返事はYES! でも、代わりに聞きたい事がある」
「何? 私は私、トモハルの知っているアサギとは違うかもしれないけれど、”アサギ”で間違いはないよ」

全く感情のこもっていない声で、聞きたくても聞けなかったことを先に言って来た、思わず動きを止める。

「・・・何をする気だ」
「別に何も」
「嘘だ! 何か隠してるだろっ」
「別に何も」

叫ぶ俺に、目の前のアサギは表情変えず同じ事しか言わない。
反射的に、剣を引き抜いて喉元に当てる。
微動だせずに、アサギは喉元の剣も見ることなく、静かに口を開いた。

「・・・これは?」
「放っておくと! アサギがマビルを泣かせそうな気がするんだっ! お前、誰だ!? アサギじゃないだろう!?」
「だから先程も言ったように”アサギ”で間違いはない」
「俺はさっき約束したように、マビルを護る、マビルを泣かせないように、護る。・・・説明してくれないか、さっきの質問の意図を」
「・・・私がマビルを泣かせるから、剣を向けていると?」
「そういうこと。きちんと説明してくれよ、お前、誰だ?」
「合格。マビルを泣かせるかもしれない私を、変えようとしたところまでは誉めてあげる。
なら、ちゃんと止めなさいね? ・・・でもきっと無理だから。
『約束してね、マビルをよろしくね』」

言い終えるなり、俺の剣が何かに弾かれた、右手が痺れる。
目の前には見たことない武器を手にしたアサギが、無表情で立っていた。
純白の鞭。
・・・何だ、あれ?
アサギの武器・セントラヴァーズではない。

「勝てたら、教えてあげる。無理だけど」
「っ! やってみなくちゃ解らないだろっ!」

4星クレオの、アサギを見つけた荒野で、どこの国かも解らない荒野で。
何故かアサギと対峙した。

ちょっと待て、あれは誰だ。

アサギなら、少しくらい本気を出しても交すだろうし遠慮していてはこちらがやられる・・・と直感。
アサギなんだけど、何かがオカシイ。
迷っている暇はない、ともかくねじ伏せて話を聴かなければいけないと、そう思った。
がらん、とした植物すら滅多に存在しないこの場所なら被害を顧みることなく、戦えるだろう。

「未知なる領域、混沌の調べ。
気高き天空の長により、幾多の神々しき光を我の手に。
麗しの音色聞こえれば、闇夜を切り裂き眩き光が。
我の敵を貫く為にと、幾多の矢となり地上へ降り注がん。
時は来たれり、今この瞬間に。
我の敵の名”アサギ”、彼の者に鉄槌を。雷閃光波動撃!」

先手必勝、アサギの所持している武器の性能が全く不明なのであれを使われる前にどうにかする必要があった、だから。
無我夢中で禁呪を発動、長い詠唱だがアサギはじっとその場を動かずにこちらを見ている。
完成した、上空に眩い光の集合体、矢のように何本もその場からアサギへ向って降り注ぐ。
流星のような呪文だと、最初使ってみたとき思ったんだ。
手荒になるけど仕方ない、あのアサギは・・・危険過ぎる、そんな気がするんだ。
あれを交してこちらへ来そうだった、剣を構えて深呼吸。
見ていたら光の矢が迫りつつあるのに何もしない、冗談じゃない、せめて防御壁を張ってくれないと・・・と、思った矢先だった。

「・・・我の敵の名”トモハル”、彼の者に鉄槌を。雷閃光波動撃」

瞬間的に目の前で全く同じ呪文を復唱された、禁呪だぞ!?
俺固有の禁呪、俺しか扱えない筈のその呪文を、短詠唱で繰り出した、馬鹿な!?
唖然、思わず身を翻して舞う様に詠唱し、光の矢を大量に降り注がせたアサギに魅入る。
絶対相殺。
轟音が鳴り響いて目の前に光が溢れる、押し潰されそうな勢いで2人の呪文がぶつかり合った。
不意に妙な気配を感じて、身体が咄嗟に剣を下段で構え、”何か”を弾いた。
見えないし、考えたわけでもなく、防御の態勢を知らず取っていた。
音が聞こえない、目も見えない、己の感覚と勘を頼る。
その場に漂う光の残像が、空気すらも動かして、今どのようなかっこうで自分が立っているのかも解らない。
けれど何故か俺は構えたんだ、そして手に重い痺れ、吹き出る冷や汗。
剣に何かが当たった、鈍い音が爆音に混じって聞こえてきた。
ようやく慣れて来た瞳で震える手に力を籠める、後ろに気配を感じて思わず剣を突き出した。
ヒュッ!
空気を切り裂く音、剣にまた、何かが激突してきた。
唇を噛み締め、最弱な火炎の呪文を放つ、また別の色合いの光にぼんやりとアサギが浮かび上がった。

「!? っ・・・!!」

瞬間、腹部を貫かれるような痛み。
思わず口から唾液を吐いて地面にへたり込む、待て、重すぎるこの攻撃。
震えて呼吸すら儘ならない状態で、それでも防御の態勢をとらなければ・・・間違いなく瀕死だ。
容赦ない、アサギに全く”加減”という文字が見当たらないんだ。
・・・ダメだ、気持ち悪っ・・・。
胃の中のものを戻す、楽になって攻撃しないと、本当に・・・。
思わず、横に転がった。
反射的に、だ。
ボゴォ、と音と共に地中が抉り取られた。
・・・冗談じゃないぞ、凶悪過ぎる。
簡易な治癒の魔法を詠唱、なんとか立ち上がってアサギを見据えた。
鞭なのか、槍なのか。
あの武器の形状が全く定まっていないような気がするけど・・・。
口内が血の味で埋め尽くされるが、唾と一緒に吐き出して剣を構える。

「・・・禁呪なら。私も使えるの」
「流石、元要の最強の勇者様、ってトコ?」

そう言った時、アサギが唇を噛み締め俯いたのを見逃さなかった。
瞬間で一気に地面を蹴って、間合いを詰めると真一文字に剣を振るう。
鞭が目の前で変化した、やっぱり棒になって剣を弾くようにアサギが構えたけれど、全体重をかけて振った剣だ、非力なアサギではそれを防ぎ切れない。
小さく舌打ちして後方に下がったアサギ、勢いに任せた剣がどうもアサギの髪を一部切り落としたらしい。
ぱらぱらと地面に落ちる緑の髪、速度と魔力ではアサギのほうが上かもしれないけど腕力なら当然俺のほうが上だ。
髪を見ながらアサギがぼそっと、呟いた。

「・・・どうして勇者は六人居たと思う? 星の数に対して割りあわないと思ったでしょう?」

突然、そんなコトを言い出したから、面食らって口篭るしかなくて。
ぎこちなく頷いたらアサギが淡々と、口調も変えずに無表情のまま続ける。

「救うべき星は四つ。なのに勇者は六人。
その中に偽者が一人混じっていて、その人は魔王となるの。
対抗勢力である勇者を先に潰すつもりだったのかもしれないね。
けれど、同時に勇者側にも有利だった。
共に戦い実力を見極めることができる、クセを見抜ける・・・。
最悪の魔王を打ち砕くとこが出来る者を作る必要があったの」

多分だけど、ね。
アサギがそう洩らしたのを聞き逃さなかった、というか、ちょっと待った。

「最初から勇者はトモハル達四人の筈、そこに私という異物が紛れ込んで、・・・便乗してユキもついてきてしまった。
勇者の存在意義は、『魔王となった元仲間に止めを刺す』というコト。
間近で戦い方を見てきた勇者達なら”破壊の姫君”にも対抗が出来ると、そう望みを託されて。
絶対的な存在、魔王の中の魔王である破壊の姫君、運命付けられた未来を変える為に、先手を打ったのだと思う」
「ちょっと待った、誰がその運命を決めて、俺達を動かしたんだ? 
違うだろう、運命なんてありはしない。決まっている事柄なんてないはずだ」

そんな馬鹿げた運命なんて信じたくもない、明るい幸せな運命なら幾らでも来い、だ。
でも、アサギのいう運命は・・・俺達がアサギを・・・え。
つまり、困惑気味だけど。
アサギ曰く。

・・・アサギを倒さなければいけない、ということ? ・・・で間違いない?

不意にリョウの言葉が甦った、あぁ、そういえば。

『・・・最も、戦い難い相手。剣を向けたくないであろう、相手』

アサギのコトだと、今気が付いた。
・・・冗談じゃない。
俺達が数年前に勇者になったのは、魔王となって覚醒するアサギを止める為だった、ってこと?
で、魔王アサギは、もう・・・。

「覚醒しているのかっ、アサギじゃないみたいなのは、魔王として覚醒しているからってことかっ」
「覚醒とかそういう問題ではなくて。アサギはアサギ、私はアサギ。私がアサギ。トモハルが知っているアサギが偽りの人格。
運命はあるの、こうなることは必然。ここまで来た以上エンディングも見えてるの。
・・・さぁ、トモハル。
大事なマビルが死ぬところを見たくなかったら、私を止めないと。最後まで足掻かないと」

両手を突き出し、いきなり氷の吹雪を巻き起こすアサギ、詠唱も何もあったもんじゃない。
必死で防御しながら声を聞く。

「魔王の影武者として生まれたマビル、私の代わりに死んでしまう。
『約束して、マビルをお願いね』」

マビルを助けて欲しいのか、自分を助けて欲しいのか、何がしたいのかさっぱりわからない。
転がりながら距離を縮める、ともかく懐に入らないと・・・。
アサギのしていることが支離滅裂な気がして、どうしたらいいのかわからなくなってきた。
で、思い出したのは再びリョウの言葉。

『マビルを護る事だけ、考えて』

そうは言っても!
マビルはアサギが大事なんだ、アサギを傷つけたら泣くに決まっているじゃないか!
2人を救わないといけない気がした。
多分きっと、アサギは。
魔王とかなんとか言ってるけど違う気がしてしかたない、わざと俺を乗せてる気がして仕方ない。
演じてあんな冷たい台詞をはいている気がして・・・そう思いたい。
だから、今俺が成すべきこと。

全力で、アサギを叩きのめす!!

一か八かで火炎を放った、難なくそれを避けて武器を振るアサギに再度火炎。
眉を潜めてそれを避けて・・・同じ様に避けているアサギとの距離を、俺は縮める。
懐に入って、拳を叩き込むくらいしか思いつかないんだ。
やがて、アサギが困惑気味に額に汗を浮かべているのに気がついた、何故だか解らないけど怯えている様に見えた。
火炎がアサギの腕に当たって、小さく悲鳴を上げたから、思わず飛びついて地面に転がる。

「つ、捕まえたっ」
「・・・な、さ。ご」

剣を喉元に突きつけたら、アサギが大きく震えていたから、思わず息を飲む。
それで、解ったんだ。
火が、怖いという事に。
まだ、火が怖かったという事に。
だから何も出来なくて、そっと、壊れそうなアサギの髪に触れた。
触れたら突如、赤面して手をはたいて、逆に鳩尾に鋭い蹴り。
あ。
まずい、これ・・・。
ダメだ。
意識が遠のく中で、アサギが息を切らせながら何か囁いた。
ごめん、わからないよアサギ。
今、なんていった・・・?

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