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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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視点がころころ代わるので、視点ごとに掲載していくと膨大な量に(はぁう)。


あたしの名前はマビル。
それ以外は覚えていない。
気がついたら雑踏の中で一人立っていた、ここがどこかもわかんない。
お腹が空いたから軽く腹部を押さえて俯いてたら、変な男が声をかけてきた。
とてもとても変な男で、やたら嬉しそうに涙目であたしを見てきたから、誰かと間違えてると思ってた。
いきなり抱きつこうとしたから、思わず殴った。
ひょろ弱そうだったけど、思いの外がっちりしてて、何が何やらあたしは一つのお屋敷に案内されて。
で、素敵な物がたーくさんあったんだけど。

・・・違う。

解らないけど、あたしが欲しいものは、全く別のものだった気がする。
何が欲しいのかわかんないけど、何か大事なもの、失くした気がする。
変な男はトモハルというらしー、あたしはやけに距離を置いて話すこの男に何故か苛立ちつつ、色々と聞いてみた。
コイツ、あたしの事を結構知っているみたい。
けど、なんか隠してる。

ここにある、素敵な物を買ったのはコイツではなく。
じゃあ、あたしの品物を保管していたあんたはなんなんだ。
彼氏でも、なかったらしーし。

「・・・ふーん・・・違うんだ、残念」

あたし、ぼそ、とそう呟いた。

よくわかんないけど、コイツの彼女だったら楽そうだな、と。
・・・愉しそうだな、と思っただけだよ。

ゆうえんち、というとこにも連れてって貰った、とても愉しかった。
さっかー、というボール遊びの場所にも連れて行って貰った、ルールはよく解らないけど、見ているのは愉しい。
ともかく、世話を焼いてくれるコイツは、非常に便利だ。
喉が渇く前に、ジュースが出てくる、疲れる前に、休憩させてくれる。
あんた、あたしの、何だったの?

暫くして、なんとなくおぼろげにだけど、記憶が甦ってきて。
そして、ようやくあたし、待ち焦がれていた”人”に出遭えたの。

「おねーちゃんっ!!」
「おいで、マビル」

変わらない笑顔で、あたしをぎゅぅ、と抱き締めてくれたのは、おねーちゃん。
全部思い出した、あたし数年前に死んだはずだ。
でも。

生き返った。

どうしてかなんてわかんないけど、あたし最期の瞬間、願ったの。
人間になれたら、おねーちゃんに早く会って一緒に遊びたい、って。
それから、それからね。

ちゃんとトモハルの名前を呼ぼうって、また色んなトコに遊びに連れて行って貰いたいって、願ったの。

誰かが願いを叶えてくれたんだよね。

それからはトモハルをほったらかしにして、おねーちゃんと一緒に居た。
おねーちゃんの友達だという鈍くさい、田上奈留って変な女の家で寝泊りした。

大好きなおねーちゃんと一緒だ、とても幸せだ。
2人で一緒に眠るの、手を繋いで眠るの。
明日、トモハルにお土産を買って帰ろうかな。

久し振りにトモハルと出掛けた、とても浮ついていたトモハルは、何処かで見たような風景の場所へあたしを引き摺る。

「これ、はい」

池の白鳥のボートに乗りながら手渡された物、こんなとこで何を渡されたかと思えば。
あたしの好きなブランドのバッグだった。
しかも、やたら・・・大きい。
唖然、結構高い筈だ、コイツ、どうやって買ったの?
ありがとう、って言おうと思った。
でも、なんだか急に胸が熱くなって、言葉が出てこなくて、代わりに涙が零れそうになったから。

「こ、こんな大きいの、普段使えないでしょ!? アンタ何考えてんの!? もっと使いやすい奴にしてよねっ」

つい憎まれ口を。
それは定番の、ちょっと大き目の一泊二日の旅行とかに持っていくような。
そんなバッグだった。

ひょっとして、あの時から本当に・・・約束護ろうと?
あたしは、ぎゅぅ、と貰ったバッグを抱き締めた。
とても、嬉しいけど。
無理して買わなくてもいいのに。

でも・・・ありがとう。

でも、恥ずかしいのか勿体無いのか、あたし、それを使うことが出来なくて、部屋の奥に・・・閉じ込めたんだ。

そういえば、少し気になることがある。
奈留の家で、夜おねーちゃんに絵本を読んで貰ってたんだけど。
あたしはやっぱりお姫様のシンデレラとか、白雪姫とか、眠り姫が好きなんだけど。
気に喰わない話があった。
人魚姫。
何故、彼女は死んだのか、意味が解らない。
溺れていた王子様を救った、けど、王子様は他の女に恋をした。
それでも好きな人魚姫は声を失ってでも、人間になって王子様に会いに行った。
間近で他の女と一緒に居る王子様を、わざわざ観に行った。
おまけに、王子様を殺さないと自分が死ぬ、と知っても。
殺さずに自ら死を選んだ。
意味が解らない。
・・・と、言った時。
おねーちゃんは、いつかあたしにも解るときが来る、って言ったけど。
その時の表情が気になって仕方ないの。

・・・おねーちゃん?

物凄く、嫌な予感がしてきたんだけど、これは何?
おねーちゃんの寝顔を見ながら思ったの、ねぇ、おねーちゃん?

なんか、ものすごく・・・。

嫌な予感がするの、あたし。

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