[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
ひっぱたかれ、引っかかれ、挙句の果てに魔法まで至近距離で放たれて。
必死に説得を試みるけれど、確かに傍から見たら・・・攫った状態だよな。
デズデモーナにどうにか昔俺が使っていた屋敷へと、飛んで貰った。
一室、丸ごと俺が所有していたんだ。
そこに、そこにマビルの物が置いてあるんだよ。
「こぉんのぉっ! へんたーいっ!」
「ちょっと、話を聴いてくれないかなっ」
強引に、部屋へ連れて行った。
ドアを開いて、中へ入る。
「だーかーら、あんたはなんなのっ」
殴りかかってきたマビル、けれども部屋の中身を見て、動きが止まる。
数年前、マビルがオレに見せてくれた物。
色んな人に貰った高価な物。
子供の俺でも解るくらい、売ればお金になる品々だ。
それを、ここに閉まっておいた。
マビルの物だから、どうせそんなに使わない部屋だから、と置かせてもらったんだよね。
「かわいー。きれー」
すっかり元自分の物に夢中になるマビル、大人しく手にとって見ている。
暫くして、不思議そうに振り返った。
「ねぇ。これ、あたしの?」
「うん」
大きな目で、じーっと見ながら首を傾げる。
「・・・あたしさ、過去の記憶がないんだよね。名前は解るんだけどなんであそこに居たのかもわかんないの。・・・で、これはあんたが買ってくれたの?」
「違うよ」
俺は軽く笑って部屋中を見渡した、今の俺ではとてもこんな品数買えやしない。
「マビルはね、とても可愛くて人気者だったから、色んな人からプレゼントされていたんだよ」
「・・・ふーん」
とてもじゃないが、俺があげた壊れた安物のネックレスなんか見せられない。
ここにあるものはどれもこれもマビルに似合う物だ、いつか、これくらい買える様になりたいけれど。
「ねぇ」
「ん?」
「あんたってさ、ひょっとしてあたしの彼氏だったりした?」
「え」
真顔で聞いてきたから、言葉に詰まる。
彼氏。
彼氏・・・じゃないよな。
なんだったんだろう。
「・・・違うよ、彼氏じゃないよ」
言ったらマビルは反対方向に首を傾げて、ふーん、と小さく呟いた。
「俺はね、マビルを・・・」
言いかけて口を閉じた、『護っていたんだよ』と言いたかったけれど。
死なせてしまったから・・・言えなかった。
「何? あたしのなんだったの?」
「ええと、マビルの・・・せ、世話役、かな・・・」
「世話役・・・じぃや、みたいな感じ? 最近流行の執事?」
「うーん・・・そんな感じかな」
「何、あたしお嬢様だったわけ?」
「・・・そう言えなくもないかもしれないけど」
性格はお嬢様というか、姫だった気がする。
「・・・ふーん」
その後、マビルはぶつぶつ何か小声で言っていたけれど。
俺は嬉しくて嬉しくて、どういう原理でどうやってマビルが生き返ったかなんてしらないけれど。
わからなくてもいいから、ともかく。
ずっと、マビルを見ていたんだ。
今度こそ、護り切ろう。
・・・護ると言っても、魔王はいないし・・・誰から?
数日間マビルと過ごした、春休みの間卒業旅行にも勝手にマビルを連れて行った。
呆れた顔したミノル達、苦笑いで許可してくれた。
ずっと、ずっと、一緒に居るんだ。
徐々に記憶を取り戻したマビル、俺はようやくアサギの元へマビルを連れて行く。
俺とマビルが歩いてきたのを見て、アサギは。
微かに笑った。
驚きもしないで、微笑んだ。
10 | 2024/11 | 12 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |