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本サイトとのずれが生じているっぽいので、直さなくちゃ・・・。
アイラを部屋へと連れ帰り、一礼すると騎士達は部屋の外で普段通り待機である。
マローつきの騎士がすでに数人室前には居たのだが、今日はアイラつきの騎士達も普段以上の人数で待機していた。
「交代で、食事と仮眠を」
騎士団長がそう告げると、皆深く頷き順に三人一組となって休憩へ向かう。
万が一の為だ、女官がまたアイラを呼びにこないように、トレベレスが迎えに来ないように。
騎士達は張り詰めた面持ちで待機している。
ミノリとトモハラは互いに顔を見合わせると持ち場に着いた、最も下の位の騎士である、休憩は夜明けになるだろう。
だが、そのほうが都合が良かった。
今はこの二人の姫君の傍を離れたくなかった、不安ゆえに。
二人は、トライの言葉を自然と思い出し、顎を引くと何かを睨みつけるように廊下の先、薄暗い先を見つめる。
自室に戻ったトレベレスはソファに軽く横になると舌打ちし、傍らのワインをグラス一杯、一気に飲み干していた。
今まで。
間近で触れ合わなかった姉姫・アイラ。
「・・・チッ」
何が気に入らないのか、頭を掻き毟るとトレベレスは我武者羅に再びワインを飲み干す。
表情を思い出せば、香りを思い出せば。
無性に重苦しい気分になった。
立ち上がり、机の引き出しから一つの指輪を取り出し、ランプに透かす。
それは、あの時拾ったトライがアイラに送った指輪だ。
返しそびれ、未だに隠し持っている。
返す口実があれば、再び会いに行けるのだがどうにも返したくない。
「どういうことだっ、何をオレはここまでイラつき・・・」
手の中の指輪を握り潰しそうになり、悲痛なアイラの表情を思い描いて慌ててやめる。
額の汗を拭いながら、再びグラスにワインを注げば。
静かに、ノックの音。
「トレベレス様、夜分に失礼致します」
「・・・何の用でしょうか?」
入ってきたのは、この城の女官達だ。
そう、先程の。
手にはワインを抱え、魅惑的な身体と挑発的な衣装を着た情婦のような女も後ろに控えている。
「先程はアイラ姫が失礼を。宜しければ、と選りすぐりの美女を揃えましたが・・・如何ですか? 王子の為ならば喜んで一夜とて、身体を差し出したいと」
「気遣いは有り難い、が。気分が削がれた」
「やはり、アイラ姫のほうが宜しいでしょうか? 連れてきましょうか?」
その言葉に、トレベレスの眉が微かに動く。
喉の奥で微かに笑い、女官達を嘲るように腕を組んで深々とソファに腰を落とし。
「余程、そちらの姫君をオレに抱かせたいのだな。何故でしょう?」
それが意味するものとて、トレベレスは知っている、がワザと訊いて見た。
わざとらしい質問に、女官達はそれでも冷静である。
「女王が亡くなられ、双子の姫はおられど、この国は無力に等しく。強き国と手を結びたいと思う気持ちなど、王子にはお解かりでは?」
「どちらかというと、アイラ姫よりマロー姫に来ていただきたいのですが?」
微かに笑いながら、トレベレスは女官達に挑むような目つきのままそう告げる。
「マロー姫様は、まだ夜伽の準備が出来ておりません。アイラ姫なれば、存分にお相手出来ましょう」
「ほぅ? 何故アイラ姫だけ? 勤勉においても優秀なのはマロー姫でしたよね? 」
「アイラ姫様は勤勉には向きませんが、”そちらのほう”は優秀ですから」
「そちらのほう、ねぇ。・・・トライ曰く、アイラ姫のほうがマロー姫より学については優秀だと。実際のところ、どうなのでしょう」
含み笑いで語るトレベレスだったが、女官は一歩も譲らない。
「試しに、アイラ姫にお相手させてみましょう。なんでしたらばこの女達も置いておきますし。今宵はお手が空いているのではありませんか?」
どうすべきか。
トレベレスは瞬時に脳内で考えをまとめる。
どのみち、この城は、いやこの国は今宵で最期を迎える。
今この時も、自分の、そしてベルガーの臣下達が殺戮を繰り返しているはずだ。
姫を始め、女達をこの部屋に招きいれておけば、それはそれで早そうである。
トレベレスは近くに居た側近に小さく耳打ち、軽く頷いた側近は頭を下げ女官に申し出る。
「では。アイラ姫を」
女官は微かに笑みを浮かべると、控えていた女性達はその場に残し、静かに部屋から出て行った。
残された女達は静かに、ゆっくりとトレベレスに近寄るとまず、酒を勧める。
「オレ一人で相手をしてもよいが・・・」
側近に再び何か告げれば、部屋から3人ばかりの臣下を呼び寄せた。
にっこりと微笑み、トレベレスは注がれたワインを呑みつつ、部屋の状況を確認。
自分と側近含め臣下は5人。
女官二人がアイラを連れてきて、この情婦含めると女は7人となる。
アイラつきの騎士達が何人この部屋へ来るかが、鍵だが、こちらが5人も居れば容易いだろう。
トレベレスは女達の相手をしつつ、させつつ皆に瞳で剣の位置を、武器となりえるものの確認をさせる。
三人一組となり、休憩すべく仮眠室へと戻ったアイラの騎士。
喉が渇いたので厨房で水を飲んでいたのだが、何かに足が躓いた。
「な!?」
料理人が、床に伏している。
「がっ!!」
何事かと仰向けにさせたところで、三人の騎士は喉を掻き毟りそのままその場に倒れ込んだ。
毒だ、水に毒が入っていたのだ。
「あ、アイラ・・・さ、ま・・・。知らせ、な、けれ・・・ば・・・」
普段通り、水瓶から飲んだのだから、水に何かが混ざっているのだろう。
騎士達は必死にもがいた、もがいて床を這った、だが。
力尽きる。
足掻きも虚しく、三人の騎士はそこで息絶えていた。
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