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お手紙を貰ったので見せに来たよ
「こんばんは、実は同じ様にお手紙が来たのですよー」
嬉しい事だよね、私はとても幸せなんだ
「よかったですー、頑張ってくださいね」
大勢の人でなくて良いから、一人の心に残りたい
続きが読みたいとか どうなるの、とか
別のお話を、とか 言われると、とても嬉しくなるよ
『貴女の為に、詩を紡いで唄を歌う
私の物語を、言葉をくれた貴女に届けましょう』
災禍の守護天使が、緑の娘にこっそり言いました。
それは、緑の娘が所持する能力で本人が最も使いたがらなかった能力でした。
けれども緑の娘は使うことにしました、役に立てるかもしれないと、思ったので。
彼女なら、望めば本当は何でも手に入ってしまいました
あの時も、その時も、彼女さえそう望めば、本当のことに出来てしまいました
それだけの能力を、彼女は所持していました
けれども、彼女は使おうとしませんでした
だって。
・・・人間はそんな能力を持ち合わせていなかったからです
魔族ですら、エルフですら、天上の神ですら
・・・そんな能力を所持していませんでした
似た能力ならありました、けれども彼女はどうしても使えませんでした
一緒に居る為には、人間で居たかったから。
せめて、”地上の””生物”でありたかったから。
違っても良かったのだと彼女が気づいた時に、目の前にいたのは
紫銀の男ではなく、濃紺の男でした。
こんなことが、ありました。
『鏡、見られないのですか?』
「楽しいの?」
『興味深いですよ、特にここ』
「・・・」
『興味深いでしょう? 貴女様が必死に逃れようとして、あの場は乗り越えたのに。
数年後にこうなってしまっていますね』
「・・・」
『古来より、魂同士を結びつける強い絆と縁。・・・こうしてここに存在して』
「そうしてまた、同じ事を繰り返す。異物は廃除せねばならないの。
自然の力は偉大で絶大、どんな異物が入り込んでも必ず、除去しようと作用する。
それより前に気づいた”異物”は、運命の歯車を正常に正すべく自ら消滅させるのよ。
それが先に気づいた私なりの誇り」
『貴女様に言葉が届かない、裏を返せばすぐに解るのに。
言葉を必死に投げかける貴女様が、どうしてそれを受け止めない』
「私は、人でも魔族でもエルフでも・・・まして、神でもなんでもないもの。
その理には当てはまらない」
『今、貴女様は紛れもなく、魔族とエルフと神の知識と力量を兼ね備えた地上の人間ですよ』
「そんな奇怪な生物、存在し得ない。
早く消滅しないと、壊れた歯車が加速して、また誰かが泣いてしまう」
『苦痛、激痛、号泣、嫉妬、憎悪。それらは生きている証で、時に必要不可欠な感情です。
それらがあるからこそ、幸福、希望、安堵、愛情、恋心、様々な喜びを感じられます。
本当は、ご自身でも解ってらっしゃるのでは』
「解るけれど、私にはあってはならないもの」
『・・・鏡を見れば、解るのに。すぐ傍に、貴女様が求めたものがあるのに。
一度で良いのです、お使いなさいませ。
”ゲート・カタストロフィ”
お言葉を語りなさいませ、そこに、確かに存在していますから』
「・・・」
『貴女様さえ気づいてくれれば。
双子の妹様が姉を失って号泣する事もなく。
義兄様が己の無力さを悔やむことなく。
勇者様方が悲しみに明け暮れることなく。
ご家族様が落胆した毎日を過ごす事もなく。
貴女様を護って死んだ者達が悲しみに囚われる事もなく。
戦友様方が気力を失うこともなく。
そして、愛した方が発狂する事もな」
『素敵な御伽噺ね、私には少々重すぎる。
ここで全てを終わらせます、それは絶対に変わりません。
マビルにはトモハルがいる。
トビィお兄様にはもう負担をかけなくても済むし。
トモハル達は確実に力をつけたから、自身の為に力を使ってほしいし。
家族は、これで安堵する。
私を護ってくれた人達は生き返らせてみせるし。
みんなはそれぞれの道を、選んだ道を歩いていける。
・・・あの人はもう苦しまなくて済むんだもの」
『どうして、言葉が届かないのでしょう』
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