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「綺麗、ですー」
壊れかけの城内にて、ぽつりとアサギはそう呟いた。
月が雲隠れしている今宵、敵の軍隊が孤立したザークスロイドを取り囲んでいた。
月の光がないので、より一層敵の手にしている松明の炎が目立ち、闇に浮かび上がる。
それが妙に綺麗だったので、そう呟いた。
「さて、と」
アサギは一時その光を見つめていたが、笑みを浮かべると仲間の下へと歩き出す。
そう長く持たないのは百も承知、それでも最後まで仲間達と共に。
顔を汚しながら賢明に看病を続けているシュネリナとまぁるの元へと、足を動かす。
二人の少女はアサギに気がつくと、嬉しそうに手を振ってくれた。
「アサギちゃんっ」
「二人とも、大丈夫ですかー? 無理しちゃダメですよー?」
二人を抱きしめながら、アサギは軽く苦笑いした。
と言ったところで、この二人は無理をするのが分かっていたから。
頑張り屋で、優しい、心配性の二人。
この国でこの二人と出逢い、女の子同士、楽しい話をした。
図書館を開いき、時折本を書き足していくアサギの物語を、一生懸命読んでくれた。
まぁるはどうやらアサギの事を以前から知っていたらしく、子犬のようにいつも駆け寄ってきてくれる。
シュネリナは、穏やかに微笑みながらいつも会議室で仲間と会話していた。
「また。一緒にチョコレートを作って。それから、また本を書くのです。二人の為に本を書くのです」
お願いします、奪わないで。
小さく聞こえたその思い、涙を瞳に浮かべてまぁるが繰り返し繰り返し、そう呟く。
隣でシュネリナが耐え切れずに俯いて、肩を震わせて泣き始めた。
二人の頭を撫でることしかアサギには思いつかず、そして自分は泣かないようにと唇を噛み締め。
「大丈夫、ですよ」
気休めに言った。
大丈夫なわけがない、解っているけれどこの言葉しか思いつかない。
アサギは再度二人の頭を撫でると、その場を離れた。
「おぅ、アサギ」
「狸様」
右手を軽く振りながら、普段のように近づいてくる彼はすっかりザークスになくてはならないマスコット的存在になっている。
しけた顔すんな、とばかり右手でアサギの背中を叩き、悪戯っぽく笑った。
「すっごい昔みたいですけど。狸様は途中参加でしたよね」
「んー、そうだな」
間違えてザークスへ足を踏み入れた彼は、何時しかこの場所を『楽しい』と、『共に居たい』と思うようになり、小さな軍の一員となっている。
そんな彼の気持ちがとても嬉しかった、立ち寄ったこの国をそう表現してもらえたならば、満足だ。
「狸様。またお遭いしましょうね、話が途中ですし」
アサギは小さく笑うと、手を振って彼の傍を離れていく。
魔法使いとか不死身の男とか、ワニとかネズミとか、クイーンとか、そんな話をまた、したい。
「あさぎちゃん」
「みやちゃん♪」
綺麗な羽を広げながら近寄ってきたミヤチに、アサギは飛びついた。
くすぐったそうに笑いながら、抱きとめてぽんぽんと背中を叩いてくれるその心地良さに、アサギは瞳を閉じる。
彼女とは結構長い縁になる、気の知れた大事な友達だった。
言葉を交わさなくとも、大体お互いの考えている事は解るので、沈黙が続く。
「あさぎちゃん、無理しないようにねー」
「へっきなのですよ。とりあえず、落ち着いたら下着のデザインしないといけないので♪」
「あははー、楽しみにしてるよ、可愛いやつ」
「任せて、みやちゃん」
ミヤチから離れて、王の間へと。
「ロド様、そろそろ、ですかー?」
「そうかもな」
軽く微笑む優しい王様、人一倍頑張り屋で、たまに抱え込みすぎて心配になるのだが。
日夜お疲れの様子で、笑顔にも影が落ちているので、アサギは眉を顰める。
以前は神社を開いて、お御籤を引かせてくれたのだが、今はそこまで手が回らない。
ザークスの国民は、そんな優しい彼が好きだった。
彼の最も優れた点は、誰でも分け隔てなく接することが出来るその広い心だろう。
彼の治める国に居られて、アサギはとても幸せだった。
そっと敬礼をし、一瞬深く息を吸い込むと、アサギは自身の武器を呼び寄せる。
何処からかアーウィンが近寄ってきて、アサギに寄り添った。
「オレも行こうか」
「アーウィン様が来てくださるのでしたら、心強いのです」
最愛の兄の親友であるアーウィンは、アサギの剣の稽古相手でもあるので、背中を預けるのには十分すぎる存在だ。
アサギは深く頷くとその場を立ち去る。
外でドラゴンのクレシダが待っていた。
「主からご伝言が『あまり無茶をするな』とのことですが」
「相変わらず心配性なのですねー・・・へっきですよー」
苦笑いしつつも、嬉しそうにアサギは有難く言葉を受け取る。
クレシダの横を通り過ぎて、見慣れた濃紺の長い髪をなびかせている夫の隣へと。
アサギは何か小さく夫に告げると、そっといつものように首に腕を廻して口付ける。
こうすると落ち着くのだ。
「大丈夫だ、任せろ」
夫に抱きしめられ、アサギは一瞬泣きそうに顔を歪めたが。
強く抱きしめ返し、勢いよく夫を見上げると「はいなのです」と、元気良く笑った。
身体は震えていない、怖くないから。
怖いことは、最愛の夫と離れ離れになることだけで、それは有り得ない。
ので、アサギにとって、怖いものは何もない。
「行こっか、セントラヴァーズ」
自分の武器の名を呼ぶ。
右手の中で淡く光った、その慣れた剣を硬く握ると、アサギはクレシダに飛び乗った。
高名な二人の猛将が前線に来ているらしいので、是非ともお相手願いたいところである。
こんな機会、滅多にない・・・というか、今後ないかもしれない。
大事な友達の父親でもあるその人とは、過去に一度だけ、会話したことがあった。
あまりにも昔過ぎるし、当然そんなことその人は憶えていないだろうけれど。
その時の印象は人を笑わせるのが好きそうな、気さくな人に見えた。
居たい場所とか、護りたい絆とか、大事なものとか、かけがえのない人とか。
人それぞれ違うのだから、衝突は避けられない。
別に、目の前に居る人達は嫌いではないけれど、アサギの後ろには護りたい人達が居る。
故に、剣を抜くしかなく。
けれども、大事な友達の父親と対峙するのはやっぱり気が引けた。
「まぁ、傷を負わせること自体、出来ないかもしれませんけどね」
けれど、楽しそうだ。
だって相手はキロロ様に柳生様。
お二人揃って戦場のそれも最前線に居るなんて、有り得ない気がする。
「こんばんは、なのですよー」
二人の高笑いが響き渡るその場所に、ドラゴンに乗って、名も無い小さな軍で楽しく時を過ごしていた一人の女が降り立った。
※・・・ホントに参加してよかったのだろーか(卒倒)
そして、背後は今から洗濯物を干すのです(瀕死)
明日はライラの冒険を観に行くのですよー。
・・・寝てないと彼氏に怒られそうだー。
・・・3時(激震)。
・・・GWの予約をするつもりだったのに(遠い目)。
・・・吐血。
おやすみなさいーなのでした。(ばたん)
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