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おねーちゃんは、大好きだ。
でも、おねーちゃんみたいな恋はしたくない。
身内を誉めるのもなんだけど、おねーちゃんは、あたしから見ても可愛いんだ。
ついつい苛めたくなるし、護りたくなるし、傍に居て欲しくなるし。
おねーちゃんみたいに可愛く出来ればいいな・・・とは思わないけど、それに憧れる人が多く居るのは解るよ。
でもね。
そんなおねーちゃんですら、恋に破れて、息が止まるくらい、心が砕けるくらい、何も見えなくなるくらい、泣いて泣いて、自分を消したんだ。
今は、幸せそうだからいーけどね。
そんな、おねーちゃんですら、そんなんだから。
あたしは。
一人の恋人なんて要らない、浅く広く、誰か適当な人が傍にいればいい。
だって、どうせ居てくれないんでしょ?
じゃあ、要らない。
求めておねーちゃんみたく、ボロボロになるくらいなら、あたしは。
最初から望まないね。
だって、ボロボロになって泣き喚くの、あたし、絶対嫌だもん。
あたしには、おねーちゃんが居ればいい。
一番じゃなくても、あたしのことを大事に思ってくれるおねーちゃんが居ればいいの。
後は別に、どうでもいーや。
あー・・・トーマは結構好きかも、弟だし。
アイセルも、おにいちゃんだから、結構好きかも。
トビィは顔は大好きだけど苦手だしなー・・・トモハルは問題外だしー・・・。
・・・ま、いーやー。
散々我侭言ってれば、どーせ離れていくんでしょ? 手に負えなくて離れて行くんでしょ?
面倒になったら、消えるんでしょ? 違う? そーだよねぇ?
だから、あたしも、そーするんだ。先にそーするんだ。
「・・・」
昨日は不覚をとった。
わざわざ部屋まで来たのに、このあたしが自ら部屋に来たのに。
その男といえば、なーんにも手を出してこない。
なんか武器の手入れを帰宅するなり初めて、あたしのほうなんて見向きもしない。
何、この人。
つまんなくて、寝るのを止めてその人の手を見てた。
長い指でなんか器用に武器を手入れしてて、真剣な眼差しで磨いてるんだけど。
うん、かっこいいね。
でもね、あたしじゃなくてその人は『武器』を見てるんだよね。
この人は。
どうやって女の髪を撫でるんだろう?
この人は。
どうやって女を見つめるんだろう?
この人は。
どうやって女を抱くんだろう?
興味深いね、面白い。
・・・とか考えてたら、いつの間にか眠ってたの。
不覚。
起きたら、その人はテレビを見ながらなんか豆を挽いてた。
あたし、コーヒーは苦手なんだ、苦いから。
真っ黒だし、最初見たとき、飲み物なのか疑ったのー。
トビィが大好きでよく飲んでたから、付き合いで飲まされる羽目になったけど、ミルクと砂糖をたーくさん入れないと無理。
香りは好きなんだけどね、うん。
ともかく、あたしは一人、何時の間にやら寝かされたらしくてベッドの上だった。
一人で、眠ってしまった、久し振りに。
男の部屋に居たのに。
・・・どういうこと?
なんで、手を出してこないの?
あたしは、ちょっとムカっときた、だって変じゃない?
この『美少女』のあたしが、無防備に寝てるんだよ。
寝込み襲われないなんて、有り得なくない!?
綺麗なベッド、乱れてないあたしの着衣。
何もされてない。
・・・シンジラレナイ、何暢気にこの男は豆を挽いてるわけ?
「おっかしーなー・・・あたしの色気、落ちた?」
思わず口にしてしまった、その言葉。
男なら今まで、この容姿を餌にして、適当に喰ってきたのに。
昨日も飲み屋で珍しく頑張ったのだけど、特に何もなかったし?
思い出したら、イラついてきた。
わざわざおねーちゃんの真似までしたのに、何の興味も示してなかった気がするけどっ。
こうなったら、全力で落としてやるっ。
ここまでこけにされて、尻尾巻いて逃げ帰るわけにはいかない。
どーせ、会っても数日の人だろうし、別に今後困る事もないし?
悪魔か何か知らないけど、あたしには関係ないし?
・・・どーせ、ずっと居たって興味を示さないか飽きて捨てるんだろうし。
捨てられるの、ヤだもん。
や、別に好きになったとかじゃないけどさ、ただのあたしの気まぐれだけどさー。
ちょっと、興味を持ってるだけだもん、別に好きとかじゃなくて、いつもの。
いつものゲームだ。
どれだけの時間で落とす事が出来るか、どれだけ相手に痛手を与えてあたしが笑いながら消えるかの、ゲームだ。
負けるのはヤなんだ、泣くのは嫌だから。
心が痛いのはヤなんだ、苦しくてどうしたらいいのかわからないから。
や、泣くなんて決まってないし、だってこれはゲームなんだし。
何焦ってる、あたし。
何時も通りだ、何時も通りすればいい。
まだ二日目、チャンスは転がってる。
あたしは、勝たなきゃいけない、勝たなきゃいけない。
だって、だって。
「どーせ、そのうち『家に帰れ』って追い出すんでしょ。邪魔になって追い出すんだ。・・・別にいーけどさ」
おねーちゃんは、ここにはいない。
あたしより大事な大事な存在の旦那さんとずーっと一緒、あたしは、一人ぼっち。
おねーちゃんみたく、料理も掃除も家事が一切出来ないあたしは、多分役たたず。
したいとも思わないしー。
おねーちゃんみたく、可愛くその人にずーっと付き添うのも無理。
・・・どーせ、あたしは。
あたしは。
・・・。
・・・夜が怖いのは、冷たいから、寒いから。
冷たい狭い部屋に繋がれて、一人ぼっち、出られずに。
月を窓から見上げて助けを呼んだの。
でも、誰も助けに来てくれなかった。
痛いの、怖いの、ここから出して。
可愛いって、頭撫でて綺麗な物と、美味しいもの。
それだけでよかったのに、『好き』とか『愛してる』とか、意味不明な単語並べないでよ。
変に期待した、あたしが馬鹿だったんだ。
痛いのは、身体じゃなくて、ココロのほう、あたしには用がないんだって、あたしはどーでもいいんだって。
怖いのは、持ち上げられて捨てられること、怖い、怖い、あたしが壊れる。
誰でもいいから、可愛いって言って。
誰でもいいから、頭撫でて。
気持ちイイにこしたことはないけど、あったかければ、それでいーから。
誰か、一時でいいんだ、傍に居てよ。
あったかくないと、怖いんだ。
「おねーちゃん・・・」
痛くて苦しくて、唇噛んだ。
思わずおねーちゃんに助けを求める。
けど、駄目だ、おねーちゃんはここには・・・いないんだ。
金髪の男を見やる。
何故だか解らないけど、なーんにもしてこない男。
・・・失敗したのかな、あたし。
痛い。
怖い。
駄目だ、逃げようか。
・・・あたしが、あたしじゃなくなる音がする。
あたし。
可愛く、ない?
・・・可愛くないあたしになったら、なーんにも、残らないんだろーな・・・。
その日、部屋に戻ったあたしは一目散でお風呂に突入した。
暑かったし、色々あったし。
お湯をたくさん溜めて、ざぶんと浸かって瞳を閉じる。
あの男の部屋のお風呂だ、勝手に借りた。
可愛いものが何も無い、綺麗な程片付いたお風呂場。
女の影なんて、全く無い。
ちょっと、安心。
?
何で安心???
で、このシャンプーはあたしに合うのかな?
しまった、奈留から借りてこればよかった、あたしの艶のある髪を維持しないと「可愛い」って言ってもらえないのに。
髪、撫でて貰えないのに。
それでも仕方ないからシャンプーを手にとって洗ってみる。
初めて使う銘柄だけど。
・・・あ。
香りが一緒だ。
あの男と香りが一緒だ。
?
なんで、あたし、うれしーの???
あの男と一緒のボディソープにシャンプーか、悪くは無い。
・・・。
・・・。
ちょっと自分で何を思ったのか、意味が解らないんだけどー。
洗い終わって浴槽に再び入って、軽く手足を伸ばす。
肌の艶だって何時も通りだよね? 髪だってさらさらだよね? 眼も濁ってないし? 唇も潤ってピンク色だよね? 胸、小さくなってないよね?
なんで、あの人、何もしてこないの。
好みじゃないのかなー・・・。
おっかしーなー・・・。
「おねーちゃん、助けて。あたし、なんか変」
なんかされないのが、こんなに不安なんて、知らなかったよ。
・・・家なんかに、来るんじゃ、なかった・・・。
お風呂にずっと入ってても仕方ないし、あたしはなんか涙らしきものが浮かんだ瞳でそこから出る。
タオルを巻いて、てこてこと、男のトコへ歩いた。
やっぱり武器の手入れをしてる。
ジーっと見つめるけど、反応なし。
湯上りタオル姿のあたしにも、興味全くなし、か。
・・・おねーちゃんの旦那みたく、この人にも誰か大事な人がいるから、見向きもしないんだろーか。
ヤダ。
もー、面倒だ。
あたし、おうちに帰る。
奈留のとこ、帰る。
気分が乗らないんだ、なんか、もやもやするんだ。
突っ立っていたら、男がこちらを見た。
なーんにも、言わない。
ほらね、興味ないんだよ、多分。
悔しいのかなんなのか、なんだろね、これ。
わけもわからず、胸がドキドキするんだけど、何コレ?
綺麗な、眼なんだー・・・。
綺麗なんだけど、でも、きっと。
その眼にはあたしは、映ってないんじゃないかな。
あたしなんて。
きっと、空気みたいに透けてるんだよ。
昼間、寝ぼけてあたしを優しく抱いて、頭撫でてくれたのは、きっと。
・・・誰かと間違えたんだ。
多分この人、あたしのこと、見向きもしない。
あたし、おねーちゃんじゃないから、一人の人にずーっと想いを寄せるなんて無理だ。
もっと簡単な方法がいい。
っていうか、想いなんて寄せるわけないじゃん。
あたし、別にこの人のこと、好きじゃ・・・な・・・い・・・も・・・ん・・・。
見るなっ。
あたしを見るなっ。
あたしが変になっちゃうから、見るなっ。
そんな優しそうな眼で、見るなっ。
どーせ、どーせ、どーせっ!
あぁ、もう、もやもやするっ。
何でこんなに顔が熱いの、脈拍が乱れてるっ、なんなの、これ!?
あたしは視線に耐えられなくて、慌ててタオルで身体を拭くと、濡れた箇所もあったけど服を被った。
「あー、そだ。朝言った事だけど、べ、別にヤなら一緒に寝なくてもいーよ。
ちゃんと一人で寝られるよ、冗談だよ。
奈留のトコ帰るから、もういーよ。
なんかよくわかんないけど、傍に居ると胸がバクバクして煩くて眠れなさそうなのっ。あたしは、安心して眠りたいのっ! 近寄らなくて、いーからねっ。
あたし、きっと、変な悪魔が乗り移っちゃったんだ・・・」
悪魔のせいにして、帰ろう。
もう、駄目だ。
あたし、変になちゃったんだ。
・・・こんな気分は、ヤなの。
身体から立ち上るこの人と同じ香りが、恨めしいけど嬉しいという矛盾点を抱えつつ。
あたし、あたしっ。
ここに居たいけど、居ると苦しいから、もう、帰る!
帰ったほうが、楽なのっ!!
だって、この人、きっと、あたしのこと、好きになってくれないもんっ。
一人で好きでもしょーがないんだもんっ。
・・・あぁ、そうか、あたし、この人のこと。
好きなのかー。
おねーちゃんだったら、上手く可愛く、接するんだろうな。
でも、あたし無理だ。
もっと、他の粗野な人探そう。
思い切り振っても、ココロが痛まないよーな人。
この人はあたしには「綺麗過ぎる」。
楽しかったよ、ありがとね。
いーや、奈留がここで悪魔退治するなら、あたし、一人でおうち帰る。
トビィに遊んでもらおう、そしたらきっと。
すぐに忘れるよ。
綺麗な髪とか、澄んだ瞳とか、長い指とか、色々、色々。
昼間にあんな風に抱き締めなければ、あたしきっと。
あたしのペースのままいけたのに。
どーしたらいーのか、わかんないんだ、あたし。
出て行きたいけど、出て行きたくない。
ねぇ、ねぇ。
引き止めてくれる?
・・・くれない、か。
※マビルの心境を書いてみたらこうなりましたが、戦闘終了後こうなるかはわかりません(笑)。
ダスク様、お風呂協力ありがとでしたっ。
『男は必ず寝込み襲うものだって‥‥お前はどういう男と付き合ってきた!?』
‥‥だそうで(爆
アル、合コンの時も『泊める“だけ”』って強調してましたものね(笑
お風呂場の質問聞いた時は『ええー』と思いましたが、こういう小説になるとは‥‥!
いい小説、拝見させて頂きましたw
このシーンから例のイラストのキスシーンに持ってこれるよう‥‥戦いの後親密度急激に上げる様にしましょうか?(笑
マビルはDESの準ヒロインです(即答)。
だって主人公の双子の妹だものー。
過去に暗いことがあったのに、明るく振舞う彼女が大好き。
でも、ホントはアサギより弱くて甘えんぼ。
・・・可愛いー(親馬鹿)。
ダスク様>
アル様からの伝言がっ。
こちらも伝言がー。
マビル「そんなこと言われても(悩)。・・・あたし、どういう男と付き合ってきたっけ、おねーちゃん? そのへんの人だよねぇ?」
アサギ「ええと、ええとー。んー、アサギが傍に居てあげられなかった時間のほうが多いですからねー。アサギが解るのはトモハルくらいですけど、トモハルとも付き合っていたのかどうか(汗)」
作者「正しくはこうです。↓
(1)人と交際する。まじわる。
「長年―・った仲」
曖昧だなぁ(笑)。
彼氏より、一時の人肌のほうがマビルは好きなので(いなくなると嫌だから)、特定の人とは長く付き合ってません。
好みのタイプを見つけたら突進、飽きたら消える、の繰り返しでしたねー。
というわけで、結論」
三人「付き合ったことないと思います」
以上。(爆笑)
こうなるように、親密度が上げられるのなら、こちらも必死で上がるように努力しまs(強打)
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