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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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部屋の場所だけ教えてもらい、まだ明るいので街へと繰り出す。
骨休めをする者と、ここぞとばかりに遊ぶ者。
アサギはユキとアリナと海岸を散歩することにした。
砂浜は静まり返っており、波の音がやけに大きく聞こえる。
海に光る太陽に暫し見とれていた三人であったが、休息に暗くなり始めたので三人は宿へと踵を返す。
星が、月が顔を出し始めたその頃、何処かで鋭い叫び声が発せられる。

「女の子!?」

アリナが振り返ると、一直線にその声の方角へと駆け出す。
砂浜が柔らかくて、思うように走れない。
声の主の姿が見えず焦りを感じる、後ろからついてくるアサギとユキを気にしながら、アリナは人を探した。
やがて、人影が見えてきた、どうやら数人居るようだ。
漆黒の短髪、小柄な少女が男達に組み敷かれ、暴れている。
舌打ちしてアリナはその場を目指した、これだから、男はっと吐き捨てた。

「あまり暴れるなよ、小娘」

一人の男が少女の衣服に手をかけ・・・

「ざけんなよ、この腐り果てた人間どもっ」

・・・られなかった。
気合で組み敷いていた男達を吹き飛ばした少女、ゆっくりと砂浜から身体を起こすと腕を組んで仁王立ち。
吹き飛ばされた男達は、口から砂を吐き出し剣を引き抜く。

「このアマァ! 優しくしてやりゃ、つけあがりやがって」

どの辺りが優しくしていたのか理解に苦しむが、ドスのきいた野太い声に普通の少女なら怯えそうだが、この少女はのんびりと欠伸をしている。
腕を振り回し威嚇する男達を見下し、少女は笑う。

「あたいはさ、あんまり心広くないんだよねー。あんたらみたいなのが居るから、魔族が人間を滅ぼそうって考えるんだよ。判る?」

眉を潜めて首を傾げる男達、何が言いたいのか判らないようだ。
前髪を掻き揚げ、ゆっくりと残忍そうに笑う少女。

「あたいに触れていいのは、あたいが愛した男だけなんだぞ」

言うなり、右手を空へと掲げてなにやら呟く。
瞬間、一気に彼女の身体が発光した。
悲鳴を上げる男達と、追いついたアリナは慌てて後ろを向いてアサギとユキを覆うように抱きしめた。

「まずいな、これはちょっとボクの予想外かもー」

助けに来た筈だったが明らかに少女のほうが強そうだ、立場が逆転している。
情けなく砂浜を逃げ惑う男達、アリナは少女を見据えた。
そう、彼女は。

「あっははー、ばいばーい」

その背に生えるコウモリの様な羽、紅蓮の瞳、後方の月が妙に似合う少女は、悠然と宙に浮かんでいる。
その右手が男達に向かって繰り出された、風が舞う、男達の身体を瞬時に切り裂く。
アリナは腰に下げていた二本の小剣を抜き放つと、アサギとユキの前に庇うようにして立ちはだかった。
どう見ても彼女、人間ではない。
ようやく少女が三人の存在に気がついた、面倒そうに唇を尖らせる。

「なんだ、他にも人間が居たのか。可哀想だけど、忘れてもらう」

ふわり、と移動する少女。

「初めて見たよ、人型の魔物は。魔族って奴かな」
「人聞き悪いな、魔物だなんて。お察しの通りあたいは魔族」

慣れない砂浜の感覚、相手は人間では比べ物にならない魔族。
ミスった、苦笑いするアリナはそれでも後方のアサギとユキを気にしていた。
まさか街中で魔族に遭遇するなんて、思いも寄らなかったのだ。
計算外もいいとこである、街の警護なんて杜撰なものだ。
アリナが緊張し、額に汗を浮かべている中、アサギはその背から飛び出して宙に浮いている少女を見上げる。

「こ、こらアサギ! 危ないからボクの背に隠れてっ」

狼狽するアリナにお構いなしに一心不乱に少女を見つめるアサギ、微かに微笑んでいる。
一方少女は突如顔を出した美少女に見つめられ、顔を赤らめると腕で自分の身体を覆い隠した。

「な、なんで見てくるんだよ、馬鹿っ。て、照れるじゃないかっ」

アサギの視線と交差する、身体が仰け反って、震えだした。

「み、見るなよっ。なんだよ、お前っ」

あっちへ行け、と手を振る少女、それでもアサギは動じない。
にっこりと微笑んで手を伸ばすアサギ、アリナが唇を噛み締めた。

「空、飛んでる」

それだけ呟くアサギ。
月を背に、舞っている少女を羨望の眼差しで見つめるアサギは、不意に拍手をした。

「いいな、いいな。空飛べていいな」

そう、それだけ。
無邪気に少女に手を伸ばしたアサギに、アリナは口元を緩ませる。
少女も強張らせていた身体を脱力し、頭を掻きながら地面へと降り立った。

「調子狂う奴だなー・・・。戦う気が削げた。びっくりさせて悪かったよ」

砂浜を移動し、三人に近づいてきた少女は頬を膨らませてアサギを見る。

「あたいは、ラキ。特別出血大サービス、名前を教えてやるよ」
「ボクはアリナ。この子がアサギで、この子がユキ。こんなトコで何してんの、魔族さん」
「ちょっと用事でさ、ついてきたんだ。別に人間の虐殺に来てるわけじゃないよ。ただ」

口を開きかけたラキは、慌てて自身の口を塞ぐ。
明らかに何か言いかけて止めた様子に、アリナは眉を潜めた。

「・・・ナイショだった。ごめん、言うとあたいの立場が悪くなる」
「そんなこと言われたら気になるね」

ひゅ、と射程範囲に入った小剣をラキの喉元へと向けるアリナ、が、慌ててアサギがそれを制した。

「ダメだよ、アリナ。この子、悪い子じゃないよ」
「でも、何か隠してる」
「隠し事だって人にはあるよ。でも、私達を殺そうとしてないし名前を教えてくれた。大丈夫だよ」

懸命に引き止めるアサギに、不貞腐れて渋々剣を仕舞う。
意外そうにラキはアサギを見据える。

「変な子」
「・・・空を飛ぶって、どんな感じ?」

興味深々に身を乗り出し訊いて来るアサギ、動じなさ過ぎてたじろぐラキは、一歩後退した。
その瞬間、後ろにつんのめって熱を含んで熱くなった砂浜に倒れこんだラキ。
昼間の太陽の熱を吸収した砂は、思いのほか熱い、顔を顰めた。
立ち上がりかけると、急に声が振ってくる。

「ラキ」

溜息交じりの声の主、突如姿を現したフードを被った者に三人は釘付けになった。
ラキの後方に突っ立っている、何時の間に現われたのか。
顔を引き攣らせて、喉から震える声を振り絞ったラキ。

「お、オークス、カナ? な、なんでここが」
「あれだけ魔力を放出すれば、嫌でも判る」

情けない声を出し、深い溜息を吐いたオークスに、勢いよく立ち上がって振り向き様に弁解を始めたラキ。

「こ、これには色々と理由があって! 変な男に絡まれたものだからっ」
「いいわけはしなくていい、ラキ」

落胆気味に見つめてくるオークスに、ラキは半泣きで俯くと小さくすすり泣く。
肩を震わせているラキに、容赦なく言葉をかけるオークス。

「失敗だった、約束だったじゃないか。人間には接しない、それが第一条件だと」

言いつつも、オークスの表情は何処か優しそうだ。
けれど、それを見ていないラキは知る由もなく、ただ謝り続ける。

「ごめん、なさい・・・」
「皆様方、申し訳なかったですね。驚いたでしょう」
「ラキよりも、ボクはあなたのほうに驚いてますけど」

状況把握が出来ていないアリナは、乾いた笑い声を上げた。

「そうですか、申し訳ないですね」

フードをオークスが取る。
氷のような透き通った瞳、宝石のタンザナイトを連想させる瞳だ。
けれど、冷たいわけではない、心地良い温かみがある。
碧い髪を一つに束ねてゆったりと微笑むその姿、何処かしら威厳があった。

「オークス、と申します」
「ご丁寧にどうも。アリナとアサギとユキです。で、魔族さんが何用?」
「ヤボ用です」
「・・・」

にっこりと微笑み、決して手の内明かさないオークス、苦手なタイプだとアリナは直感した。
オークスは静かにアサギを見つめ続ける、首を傾げて微笑むアサギ。

「・・・お邪魔しました。では」
「待てよ、何しに来てたんだよっ」

魔族が人間の街に来るのならば、それ相応の理由があるはずだ。
まさか観光というわけではないだろう。
アリナの剣幕に苦笑いするオークス、なんでもありませんよ、と静かに口を開いた。

「なんでもないで済む訳ないだろっ」
「・・・様子を観に来たのです。それだけです、敵意はありませんよ」
「なんの様子か、はっきり言って貰いたいねっ」

不安そうに見つめるラキの側、オークスが小さく笑う。

「勇者の様子です」
「え」
「では、また。何れお遭いできましょう。味方として」
「えぇ」

オークスはアリナから視線をアサギへと移した、恭しく一礼したオークスに、慌てて弾かれたように礼をするラキ。
二人は羽を広げると、夜空へと飛び立つ。

「ま、待てっ。勇者、味方!?」

混乱するアリナの隣、月に向かって飛ぶような二人の魔族にアサギは見惚れていた。
空を飛ぶ、二人。
いいな、と思った。

「空が飛べたら、探しに行ける。何処へでも、探しに行けるのに」

小さく、呟くアサギの声は、誰にも聞こえることなく。
砂浜に風が吹き抜ける、唖然と見送るアリナと、切なそうに見つめるアサギ。
後方で呻いた男達の存在に我に返った三人は、直様駆け寄った。
余程恐ろしかったのか、口々に悲鳴を上げている男達。
けれど悪いのはラキを組み敷いていた男達だ、自業自得である。

「殺されなかっただけ、よしとしなきゃ」

アリナは足先で倒れこんでいる男達を蹴り上げた。


すっかり時は過ぎ暗くなった夜道を宿へと戻った三人、心配されて出迎えられる。
あの後、その男達が実は婦女暴行の容疑で指名手配されていたと知り、役所に突き出していたら時間が遅くなったのだ。
謝礼金も受け取ったので、帰路までの屋台で三人は冷えたパインを買って食べ歩きしていた。
アリナは、重要な事を言うのを忘れていた。
『魔族に出会った』
その報告をすっかり忘れていたのだ、パインが甘くて上機嫌だった為に。
修学旅行並みに点呼の多いこの一行、全員揃ったのでライアンは安堵した。
宿の共同風呂で身を洗い、就寝しようとした矢先、アサギは不意に廊下で誰かに引き止められる。

「トビィさん、こんばんは。おやすみなさい」
「おやすみ、アサギ。・・・と言いたいところだけれどまだ歩く元気はある?」
「ありますよー。お風呂が気持ちよかったので」
「それはよかった。手間は取らせないから、連れて行きたい場所がある」
「あ、はーい」

アサギは部屋に戻るとマントを手にして部屋を後にした、ユキが首を傾げる。

「どっか行くの?」
「うん、トビィさんとお散歩」
「いってらっしゃい」
「はーい」

ユキは一人、布団に入る。
女性陣で一つの部屋だが、ユキ以外誰もいなかった。
ムーンとミシアは二人でロビーで地図を見ていたし、マダーニとアリナは居酒屋に出掛けたし。
ドアをノックする音が聞こえ、渋々ユキは布団から這い出る。

「アサギは居ますか?」

アーサーだ、ユキは苦笑いで丁重に断った。

「トビィさんと出掛けましたよ」

次いでサマルトがやってくる。

「アサギ居る?」
「トビィさんと出掛けました」

次いでトモハルがやってきた。

「アサギは?」
「・・・トビィさんと以下略っ」

ユキは、勢い良くドアを閉めるとそのまま布団に潜り込む。
ドアの外では三人が何やら喚いていたが、同じ方向へ走り去って行った。
探しに行くようだ。
再びドアを叩く音、うんざりして今度は誰かとユキは不機嫌な顔でドアを開く。

「あれ、一人?」

ケンイチが立っている、後ろにダイキも居た。

「ミノルは爆睡、トモハルはアーサーやサマルトとクラフトを引き摺って出て行ったけど。折角だからみんなでゆっくりしない? 昼間にお菓子かって貰ったんだ」

ダイキが笑ってユキにお菓子を見せた、クッキーのようだ。
嬉しそうに頷いてユキは部屋に二人を招きいれる、テーブルにお菓子を広げて三人は楽しく談笑した。
思えばこの世界に来てからゆっくりみんなと話すことも出来なかった、こんな時間は久し振りだ。
飲み物は部屋に用意されていた水だが、地球でいうミネラルウォーターだ、軟水のようで美味しい。

「地球、どうなっていると思う?」
「トモハルがいうように、時間が止まってくれているといいよね」
「無事、魔王倒せるかな?」
「倒さないと帰れないよね」

本当に修学旅行みたい、ユキは可笑しそうに笑う。
不意にケンイチと視線が交差した、微笑まれて、微笑み返す。


トビィに手を引かれて、アサギは公園に来ていた。
静まり返る空気、時折恋人が同じ様に手を引いて歩いていたり、ベンチに腰掛けていたりする。
七月上旬、蒸し暑い夜である。
遠くで波の音が聞こえる、夜空に輝く満点の星の下、二人はあてもなく歩いた。
この時期はあまり雨が振らない、と説明してくれたトビィに軽く頷く。
公園は見渡す限り草花が植えられており、様々な色彩の花が咲き乱れている。

「きれいですよね」

うっとりと呟いたアサギの頭を撫で、満足そうにトビィは微笑む。

「喜んでもらえたかな? この景色が見せたくて。星々の煌きの中で咲き乱れる花の色合い、微かに届く波の音。アサギが好きそうだったから」
「とても、素敵です」

笑顔で返すアサギに満足そうに頷くと、トビィはベンチを見つける。
二人で並んで腰掛けると、アサギはぼぉ、と風に揺れる木々を眺める。

「疲れてない?」
「全然大丈夫です」
「あぁ、そうだ。これを」

トビィはそっと包み紙をアサギへと手渡した、不思議そうにそれを見つめるアサギ。
ゆっくりと開くと小さく歓喜の声を上げるアサギ、丁寧にそっと手で掬う。

「あ、あの、これっ」
「似合いそうだったから、買った。よければ身につけて」
「わぁ、ありがとうございますっ。えへへ、嬉しいなっ。可愛いー」

早速出てきたネックレスを身につけるアサギ、もたついていたので吹き出してトビィがつけてくれる。

「似合います?」
「あぁ、見立て通りだ、似合ってる」

嬉しそうに淡水色の石を見つめているアサギの髪を、そっと撫でて愛しそうに一言。

「アサギは、綺麗だな」
「? そ、そうですか?」

思わず身体を硬直させるアサギ、トビィの視線があまりにも真っ直ぐで、思わず息を飲む。

「なんだろうな、優しいけれど芯が強く。明るいけれど時折憂いを見せるね。初々しいけど、稀に妙に妖艶な仕草をする。不思議だ」

あまり言われない単語を並べられてアサギは混乱気味に額を押さえる、とりあえず、小さくおじぎをする。
どう反応して良いのか判らず慌てふためくアサギを、そのまま抱きしめようかとも思ったのだが、トビィは堪えた。
その全てが愛しくて、戸惑うアサギが可愛らしくて、笑みが零れる。
やっと、二人きりになれた。

「好きだよ、大好きだ」

トビィの口から飛び出した言葉、有りの侭の想いを込めて。
他人にそんな言葉を投げかけた事など、一度もない。
その言葉は、アサギの為に、アサギの為にこそ伝えるべき言葉だと。
約一ヶ月前に出会って、伝えたかった言葉を、ようやく。
君が好きだ、大好きだ。
狂おしいくらいに、愛している。
君を護る為だけに産まれてきた、そう思うんだ。
全ては君を護る為に、君の笑顔を見続ける為に
叶えたい願いは、そう君の――――

「私も、大好きですよー」

思いのほか、アサギから早く返事が返って来た。
目の前でアサギはくすぐったそうに笑っている、大きな瞳で視線を逸らさず見つめてくる。
その言葉を聞き、安堵したトビィはそのまま抱き締めた。
微かに身じろいだアサギだが、照れながらもトビィを見上げる。
そっと、頬に手を触れ唇を近づけるトビィだが。
誤算であった。
アサギの言う『好き』とトビィの言う『好き』の種類が違ったのである。

「あの、厚かましいと思うかもしれませんが『お兄様』って呼んでもいーですか?」
「は?」

腰に手を廻し、顔を見上げさせてどうみても口付けする気であったトビィは、珍しく素っ頓狂な声を出す。
一瞬脳を叩かれたような衝撃、状況把握に時間を要した。
この状況下で、この子は何を言い出した。

「ですから、お兄様になって欲しいんです。あのですね、弟が二人居るのです。昔からお兄さんの存在に憧れてて。トビィさんは強いですし頼りがいがありますし、優しいし。お兄さんみたいだな、って思ったのです。トビィお兄さん、より、トビィお兄様のほうが、なんだかしっくりくるので。・・・だめ、ですかー?」
「・・・」

面食らったトビィ、言葉が出てこない。
『お兄さん』、『恋人』とは程遠くないか?
冗談ではない、それは異性として見られていないということではないのか?
夜に連れ出し二人でムード漂う公園のデート、夜景も綺麗で耳に届くは波の音、香る花の甘い誘惑、星の祝福の真下で口付けを・・・のトビィ的計画が台無しである。
途中までは完璧だったはずだ、今でもこうしていつでも口付け出来る状態である。
が、アサギは不安そうに潤む瞳で懇願している。
口付けではなくて、『お兄様』というその格付けを。
トビィには、選択の余地がない。
あぁ、唇まであと少し、少しの距離なのに。

「・・・トビィお兄様」

思考回路、停止。
トビィは、アサギの頬から手を離すと、ゆっくりと頭を撫でる。

「あぁ、いいよ。今からオレがアサギのお兄さんだ」

そう、選択の余地が全くなかったのだ。
あの視線からは逃れなれない、草食動物の丸くて大きな瞳でおねだりされたならば。
・・・受け入れるしかなく。

「ホントですか!? わぁい、やったぁ♪ ・・・トビィお兄様っ」

アサギは嬉しそうに笑うと、そのままトビィの首に抱きつき弾む声でそっと囁く。
そう、耳元で。

「トビィお兄様、だーいすき」

思わず、トビィの背がぞくりと波打つ。
・・・まずいな、これは。
苦笑いして無邪気にじゃれてくるアサギの背を撫でながら苦笑い。
思った以上の、小悪魔だ天然の。
意図がないから、性質が悪い。
溜息吐きつつトビィはそれでも笑う。
アサギの温もりは、すぐ傍に。
星の廻りは、そのままに。
離れることなく、ずっと隣に。
お兄様でも、まぁいいだろう。
片っ端から兄の権限で近寄ってきた男を蹴散らす事が出来る、そう判断。

キィィ、カトン・・・

二人は、歯車が廻った音を聞いた。
星空の真下で、誓う事は。

「アサギ。必ずオレの傍を離れるな。護り続けるから」
「護られるだけは嫌いです、一緒に戦います」
「あぁ、そうだよ。共に居続けよう」
「はいっ」
「良い子だ」

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こんなわけで
本命に手が出せなかったトビィ君。
そんなだから、トランシスに横取りされるのでござりゅんよー・・・と言いつつ。

これがアサギちゃんが「トビィお兄様」って呼ぶようになった経緯なのでござりゅんよ。
まこりた 2008/05/25(Sun)19:04:37 編集
トビィー(叫
この時押し倒せば良かったのにな(極悪
いやー、懐かしくて笑えた
トビィ若いね(笑

ここで外伝3をさり気無く入れてくるとは思わなかったよ
トビィ(の後ろ 2008/05/25(Sun)21:23:22 編集
例の如くメモ
トビィ君>
トビィ君がこの場で押し倒していたら、話が変わる・・・ような気がしたけど、変わらないかも(倒)。
名前はないけど、そのネックレス売ってる親父は、別の外伝でも出してみようと検討中(何その優遇)。

以下メモ
25話:タイトル未定
①トビィ、クレシダ達の情報を探る
②破壊の女王の話を聞く
③旅立つ
④ハイ到着、追跡開始

26話:「ここいるから、出ておいで」
アサギ、庇ってくれたトビィの怪我を見て逆上、一人で突き進む。
故に、超必発動。(早)
緑色の髪の毛になる。

27話:ハイVSトビィ
ハイとトビィの第一回戦勃発。
でもって、アサギが攫われるので仲間達もバラバラに。
トビィ、クレシダ達を探しに単独行動開始

28話:
アサギ、魔界へ到着

29話;
マビル登場っ。

がんばれ私っ!!!
まこりた 2008/05/25(Sun)23:53:33 編集
なるほど・・・・
職場からこっそり(笑

トビィさ・・・・・(フルフル
せっかくのムード満点の告白だったのにねぇ~

考えてみれば第2次成長前にお子様だ。
反応がずれててもおかしくない(苦笑

アサギちゃんは無敵だねー(爆

ここで押し倒されたらどうなってたんだろうね。
それも楽しかったなぁ。

ここまでの話を半分以下しか読んでなかったので想像なのだが、過去にも出てた?>露天のオヤジ
みやち 2008/05/27(Tue)12:52:57 編集
露店親父は
外伝3に出ていたのです(笑)。
別の外伝でも、トビィ(の過去の人)が買いものすづ度、必ず彼が店主だったりとか。
外伝1のみ、アサギにネックレスを渡すのはトランシスなので(濃紅色で涙型のネックレス)、トビィは渡しません。

ちなみに、アサギは無敵ですが(笑)トランシスだけ例外だったのです。
魔界へ来てからはハイ&リュウの三人で一緒に寝るんですが(トビィが魔界へ来てからはトビィ含む※何この図)その時も特に何も起こりませんー。
問題はトランシスが出てきてからです。

この人だけが無茶苦茶なことをs(以下略)。
ので、規約にひっかかりそうなのでしたー。
でも、それしてもらわないと、トランシスがトビィに殺されてしまうのですー。
(続く)
アサギ後ろ 2008/05/28(Wed)00:16:18 編集
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