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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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あと少しー。

えいえいーおおおおおおおおおおお。

トモハル話です。
次がマビルです。
あと数回交代したら。


おわりです。

寝ていたはずのマビルが居なくなった。
門から出ずに、どうも部屋の窓から飛び出したらしく、寝室のカーテンが夜風に揺れて。
夕飯も食べずに、何処へ行ったのか。
俺は庭に出てクロロンとチャチャを呼んでみたけど、二匹はマビルと一緒ではなくて。

「あの、トモハル様」
「あ、うん」

誰だろう、服装からして食堂の見習い料理人だろうか?
同じくらいの歳、俺の後ろに立って挙動不審気味に身振り手振り。

「何か?」
「あの、ですね。マビル様なのですが、その」
「マビルが? 何?」
「じ、実は先程・・・」

聴き終えた途端、俺。
この男を突き飛ばしてソイツらのとこへ、ブチ切れして出向いたんだ。

悲鳴が聴こえた、静まり返った、誰かが数人止めに来たから振り払った。

「マビルに、何を言ったって・・・!?」
「い、いえですから、その、あの」
「マビルに何を言ったんだって訊いてるだろっ!」

俺の武器、セントガーディアンを思わず引き抜いて大きく横に振った。
そこにあった銅像が、轟音立てて崩れて周りは騒然となった、けど。

「マビルは、そんな子じゃないし! ・・・アサギと比べられるのが大嫌いな子なんだぞ!?」
「ま、まさか聴かれているだなんて思わなくて」

目の前で狼狽しているこの2人が、心の底から腹立たしい。
何度この剣で斬りつけようかと思った、けれど、流石にそれは出来ない。
けれど、本音。
あぁ、そうだね、殺したいくらいだよ。

「そんなこと、影で言われて傷つかない人間がいるわけないだろ!? 考えれば解るだろ!? ・・・とりあえず、お前ら2人とも、今日限りで首」
「ちょ、トモハル様!?」
「優秀な人材だろうが、今後の計画に必要だろうが。・・・人のことを思いやれない人間は、この国には不要だ」
「こ、困ります! 家族もおりますし」
「マビルのこと”不要”って言ったんだろ!? 他人を不要と言える人間など、こちらからお断りだっ。不要な人物なんて、この世に誰一人存在しないっ。・・・あー、もう、本当に苛立つなぁ、情けないやら、悔しいやらっ」

剣を。
コイツらに突きつけた。
座り込んで、床に這い蹲って必死に懇願する2人を見下す。
あぁ、正直自分も腹立たしい。
・・・こんな人間を傍に置いていただなんて。
そんな風にマビルを見ていた人間を、見抜くことが出来なかっただなんて。
それは確かに誤解なのかもしれない、確かにマビルの風貌はアサギと比べたら不真面目だろう。
根は。
とても良い子なのに。
また、俺はマビルが傷つく事を防ぐ事が出来ずに。
怒りで震える手を、どうすれば。
何にぶつければいいんだろう。
マビルは泣いている。
マビルは、泣き叫んでる。

「ほ、本当に申し訳ありませんでした、ですからっ」
「マビルに謝れよ・・・!? 謝れよ!!」
「は、はい、勿論」

近寄って、頭部に剣先を触れさせた、鋭い悲鳴と、誰かが泣き叫ぶ声に、倒れたような音。
あぁ、このまま一突きにしたいくらいだ。

「それくらいにしておけ。・・・お前のやるべきことはそうじゃないだろ」

その声に、弾かれたように振り返る。
溜息吐きながら近づいてきたのはトビィだった、思わずそのまま剣をトビィへ向けて薙ぎ払うように横に振った。
よかったよ、人殺さずに済みそうだ。
トビィなら。
全力で斬りかかっても、どうにでもなるだろう。
ともかく俺はこのどうしようもない怒りを、鎮める方法が思い浮かばなくて。
我武者羅に剣を振り舞わす、そうでもしないと全身の血が沸騰してさ、爆発しそうだったんだ。
少ししかめっ面をしながら、トビィが抜いた剣とぶつかり合った。
飛び散る火花、あちらの剣の属性は水だったな。
双方、神器クラスの剣だった、俺はほぼ全力で薙ぎ払ったんだ。
響く金属音に、更に悲鳴が上がる。

「・・・マビルを捜しに行け、ここで油売ってる余裕はないと思うが?」
 
言われて気づいた、そうだ。
軽々と剣を弾き返して静かに俺の隣をすり抜けていくトビィ、その背を睨みつける。
・・・いや、感謝してるんだけど、これでも。
皮肉めいて笑ったトビィ、俺の代わりにその2人に剣を突きつける。

「よかったな、この場に居たのがトモハルとオレで。・・・アサギだったらお前ら2人共、即死だろうな」

愉快そうに、喉の奥で笑ったトビィが振り返ると忌々しそうに俺を見つめる。
・・・早く行け、ってことか。
うん、そうだな、マビルを捜さなきゃいけない。
トビィ、そっちは任せたから。
・・・有難う。

携帯の電源はこの世界では入らない、当然だけど。
念の為部屋に戻ったらマビルの携帯電話はベッドの上に転がっていた、地球に居たとしても連絡はつかない。
落ち着け、何処へ捜しに行く?
考えるより行動、窓から飛び出して思い当たる先へ急いだ。
マビルが一番好きなもの。
双子の姉のアサギ。
アサギとの思い出が残る場所へ行ってみた、この城下町の美術館にも寄ってみた、以前マビルが住んでいた小屋にも行ってみた。
大都市ジェノヴァの行きつけのカフェにも、立ち寄った。
・・・いない。
目立つから、聞き込みしつつ捜したけれど、誰も、見ていない。

マビル、何処へ・・・何処へ行った?
地球へ、行ってみた。
実家に帰ってみたけど、マビルはいない。
結構マビルはお袋に懐いていたから、ひょっとしたら、と思ったんだ。
アサギの家にも行ってみた。
田上奈留さんの家にも行ってみた。
・・・いない。
こちらの世界では、マビルの行動範囲は限られてくる筈だ。
2人で行った場所を、一通り走り回った。
降り出した雪、時折空を見上げている恋人同士が目に入る。
・・・いいなぁ・
と、そんな事を思っている場合ではないね。

もう、城に戻っているかな?
そうなら、良いけど・・・。
一度、戻ってみようか。
最後に、もう一度。
最初にマビルを見かけた、あのビルの隙間に行ってみた。
もう、夜更けを通り過ぎて朝方だ。
居るわけがない。

・・・あぁ、あの隙間付近でマビルは歩いていて。
小学六年生だった俺は、物凄く綺麗だけれど、物凄く寂しそうなマビルに胸を鷲掴みにされたんだっけ。
見た時の衝撃、言い難い。
華やか過ぎて、近寄れない、声をかけたいけどかけられない。
けど、気になって気になって、ついてまわった。
ようやく、声をかけたんだ。
怪訝に俺を見たマビル、血の香り、不機嫌そうな顔。

覚えて、いるよ。

城に戻っても、マビルは居ない。
現在朝方の5時。
一足先に帰ったトビィに後で礼をするとして、城の門でマビルを待った。
ようやく城の者達が起き出して、動き出して朝食を持ってきてくれたりしたけれど、食べる気がしない。
10時ごろ、ようやくマビルが戻ってきた。
疲れた顔、元気のない声、・・・風邪をひいた?
早く眠らせてあげるとして、その前に。
約束をしてもらった。

何処かへ行くときは、メモでいいから、行き先を書いておいて欲しい、と。

渋々だけど、マビルは頷いてくれたから・・・少し安堵。

先日解雇した二人の分、仕事が増えてしまった。
トップに立って計画を進めてくれていた人達だから、確かに痛手だとは解っていた。
けれど、どうしても許せなくて。
知らなかった、俺は結構心が狭いのかな。
と、考えても仕方なく。
マビルが自分で練った計画書を借りて、今日も会議。
マビルはあれ以来、会議に誘っても顔を出さなかった。
「忙しいから」って言っているけれど、怖くなってしまったんだろう。
気にはしているみたいだけれど、あんなこと言われたら・・・当然か。
マビルの力が必要だけれど、無理強いはしたくないので、夜に部屋でマビルと打ち合わせをし、その意見を翌日の会議で話す事に。
知らなかったけれど、マビルは城下町によく出向いているらしく、馴染みの店が既に何件もあるのだそうだ。
礼を言われて知ったんだけど、実家の桃を売るお店が一軒あるんだけど・・・。
ジュースとしてか、桃を丸ごとでしか売ってなかったんだよね確か。
けれど、マビルがアドバイスして、桃の紅茶やお菓子を付属で販売したり、カットした桃を透明のカップに入れて食べながら歩けるようにしたり。
おじさんが一人で切り盛りしているらしけど、若い子に人気が出てきたんだそうだ。
最近流行の洋服屋があると思ったら、マビルが原因だった。
勝手にコーディネートしたマネキンを店に置いて貰って、意見を言って服を作ってもらってマビルがそれを着ていたら・・・人気が出たとか。
知らないところでマビル効果が出ていて、驚く反面嬉しかったり。
・・・そらみろ、マビルは、俺のマビルはしっかり仕事をしているんだ。
後で聞いた話だけれど、あの解雇した二人のうちの片方。
娘さんが大のマビルファンで、俺の代わりにあの人をこっ酷く怒ったらしい。
解雇後も、城下町で店を始めることとにしたみたいだ。
解ってくれればいいんだ、誰も、この場所に”不必要な人はいない”。

朝、マビルと食事して。
昼は違うけれど、時折庭で会って。
夜、マビルと食事して。
就寝前に、二人で会話。
それが。
そんな繰り返しが俺にはとても大事で特別で、手放したくなかった時間だった。
ずっと。
続くと思っているし、願っているし、信じているよ。
そしてそんな頑張っているマビルを聞いて、何かご褒美をしたくなったから。

「あ、ちょっとちょっと!」
「どうされました? トモハル様」

メイドさんに聞き込みを始めたんだ、丁度次の企画でこの城発信の新聞計画で女の子専用の記事だけを取り上げたページも作ろうと思って。
それを読んだ女の子も、そして男もさ、得するような情報?
欲しいものとか、好きな場所とか聞き込んで、形にしていくけど、マビルもそうなのかな、と思って。
その企画担当のメイドさん三人と、色々と聞き込みを始めて、会話もして、人気が出てきている店にも出向いた。
マビルにも聞いてみよう、情報が早いんだよね。

夕飯にマビルがいなくてさ、俺は一人だったから少し冷えたミネストローネにパンと、適当に焼いた肉を食べて早めに部屋に戻ったんだ。
そうしたら、マビルがすでに眠っていた。
今日は早いな、と思って。
明日ゆっくり話をしようと思ったんだ。
静かに隣の布団に入ろうとしたら。

「・・・一緒に寝るの?」

布団の中で目を閉じずにマビル、起きてたんだ。

「え、そうだよ、何で?」

一瞬、何を言ってるのか意味が解らなくて、布団を持ち上げたらいきなり枕が飛んで来た。
思わずキャッチ。

「あたし、一緒に寝たくない」
「え・・・」

起き上がって、マビルはもう一つの枕を投げつけてくる。
言われた言葉を再生してたら、枕がキャッチ出来なかったから身体に当たった。

「でも、ほら、手を繋がないと! マビル、手を繋いで眠ったほうが良いだろ?」

それで気がついたから反論したんだ、一緒に寝たくないってことは、手が繋げないんだ。
それは、困るよ、駄目だよ!
今までずっと一緒だったじゃないか、それだけは、それを変えてしまったら。

「もう子供じゃないんだから、そんなことしなくてもいーのっ! うざいっ」

跳ね起きて、俺の目の前に来て、マビル。
懸命に俺を部屋から押し出そうと、必死なんだ。
マビルの力じゃ、俺は動かないよ。
というか、俺出て行きたくないよ。
出て行きたくないから、動かないよ。

「マビル、落ち着いて。急にそんな」
「急じゃないっ、前から思ってた! あたし達、もう子供じゃないっ。手なんか、手なんか、要らない!」
「ふ、二人だとあったかいじゃないか」
「あたし、寒くないもん!」
「で、でも・・・」
「だから、さっきから言ってるでしょ、うざいの! 顔見たくないの! 一緒に寝るなんて、絶対に嫌っ」

怒鳴りながら懸命に押してくる、これは・・・本気だ。
何故だろう、俺は何かしたんだろうか?
落ち着こう、俺。
マビルは。
そんなこと、思ってない・・・と。
思うんだ。

「じゃ、じゃあ手を繋がないから。その床で寝るよ。それならいいだろ?」
「嫌だ! 出てって! こっから出てって!」

嫌だよ、マビル。
俺だって、本当に嫌だよ。
それがなくなったら。
・・・マビルと接する時間が減るんだ。
嫌だよ、何の為にこの城を用意したのか解らなくなってしまうよ。

「理由を聞かせて、どうして?」
「ほんっと、鬱陶しいなぁ! うざいんだってばっ!」

マビルの渾身の押し、別に・・・力では負けないけれど。
マビルの言葉のほうが、とても心痛でさ。
本当に嫌がっているみたいだったから、そっと、少しづつ、後退して。
部屋のドアに背が触れたから、そのまま。

「出てけーっ!」

叫ぶマビルの言葉通り、そのまま。
部屋を出たんだ。
でも、行くところがないし、意味が解らないから。
仕方なくまた、来客用の部屋に潜り込む。
手放しちゃ、いけないのはマビルの手。
マビルが手を繋いでくれなくなったら・・・。
それは。
考え出して、頭を振った。
考えるな、その先を考えるな。
少し落ち着こう。
マビルは・・・大丈夫。
明日、きっと部屋に戻れば入れてくれるはずだ。
今日だけの、辛抱だ。
言い聞かせる、言い聞かせる。

次の日も、その次の日も。
俺は眠る為に、マビルと手を繋ぐ為に、二人の部屋へと戻った。
けれど、マビルはやっぱり部屋の入口で俺を追い出すんだ。
ちょっと待て、俺が何をした。
流石に毎日来客室を使うわけにいかないし、かといって外は寒いし。
地球へ戻ってもいいんだけど、何かあると至急で戻れないし。
食堂で寝たり、執務室で眠ってみたり。
そうこうしているとメイドさんに不審がられて、大惨事だ。

「私の部屋、来ます?」
「遠慮しておくよ」
「私の部屋でもいいですけど?」
「いや、だから・・・」

苦笑いで断った、なんて情けない国王だ。
一週間、マビルの元へ通った。
というか、戻った。

「一緒に、寝ようよマビル」
「うっさい! しつこいっ! 大嫌い! もう来んな! 本当に嫌がってるのっ」

・・・本当に、嫌なんだろうね。

「・・・俺だって。嫌だよ」

呟いた、情けなく呟いた。
あぁ、嫌だよ。
せめて、同じ部屋に居させて欲しい。
ベッドを二つにしてもいいし、俺は床でだって眠れるよ。
だからどうか、俺から離れていかないで、追い出さないで。
隣に居れなくてもいいから、近くに居たいんだ。
けれど。
俺。
あの時、決めたんだ。
マビルの我侭を願い事を、叶えるって。
マビルが俺と居るのが嫌ならば。
・・・部屋を出よう。

翌日、朝のうちに俺は自分の荷物を運び出した。
城の片隅に一室、開いている小さな部屋があったから、そこに運んだ。
俺の荷物なんて極僅か、ほとんどマビルのものなんだよね。
みんなは国王がそんな部屋で寝なくても、って慌てたけどさ。
別に寝るだけだし小さくても不都合な事はないんだ、大丈夫だ。
それよりも、マビルが。
本当に大丈夫なんだろうか? 泣いてないだろうか?
寂しがり屋だから、心配なんだ。

「手を。繋いでいて欲しいのはね、マビルよりも俺だったかもしれない」

部屋で眠れなくて、独り言。
あの日、泣いていたマビルの手を思わず握った、そうしたらびっくりして俺を見たっけ。
安心して眠っていたから、嬉しくて。
ずっと、あの手を握り続けた。
マビルを、安心させてあげれるんだ、と嬉しかったし、それだけでよかったんだ。
・・・もう、要らないのだろうか。
子供じゃないけれど、大人だって手を繋いで眠るだろう?

両手を見た。
頬に当てた。
マビルに、会いたかった。

数日、こっそりとマビルの様子を見に部屋に行ってみたけれど、泣いてないといいけど、と思ったけど。
マビルは、部屋に何日間もいなかった。
どこに、居るんだろう。

数週間後、トビィから連絡が来たんだ。

「黒猫が迷子になってるから、受け取りに来い」

黒猫? クロロン?
そんなわけもなくて、何故かトビィの家でマビルは爆睡していて。
苦笑いで引き渡される。
後方でクレシダとデズデモーナとオフィーリアがしかめっ面で、俺達を見ていた。
背に眠っているマビルをおぶって、城に戻ると寝かせて。
手を、久し振りに握った。
軽く身動ぎしたから、慌てて離したんだけど。
それでも。
手をまた繋いだら、なんだかマビルが微笑んだ気がしたから。
床に座って昔みたいに手を繋いだ。
朝、マビルが起きる前に、そっと繋いだ手を解いて、部屋に戻る。
・・・おやすみ、マビル。

知られたらまた嫌いだ、とか言われるのだろうけれど、その日から俺。
マビルが寝ると、そっと手を繋ぐために部屋に入ったんだ。
毛布一枚で寒いけどさ、まさか同じベッドに入るわけにもいかないから、床に座って手を握る。
自己満足だけど、それで安心したから。
心なしか、マビルも・・・嬉しそうに・・・。
・・・してくれている気がするのは、俺の願望であって。
そんなわけ・・・ないんだ。

けれど。
少しだけ、夢を。
夢を見させて。

離れていかないで、どうか、傍にいて。
好きにならなくてもいい、居てくれればいいんだ。
何でも願いは叶えよう、マビルの為に叶えよう。
もし、いつか。
マビルが俺を少しでも気にしてくれたら、それで。
いいからね。

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