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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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住み慣れたオールド大陸に、巨大な笹の樹が出現したという知らせ。
時は夏。
アサギは嬉しそうに微笑む。
手にした短冊に、一つの願いを込めて。
静かに河畔の樹へと進む。

夜空の星座が煌めく夏。
澄み切った空気に、宝石箱をひっくり返したような星の輝き。
自宅の窓からそれを愛しい人と眺めることは、アサギの幸せな日課だった。
肩を抱かれながら、飽きる事無く夜空を見つめる。
不意に流れる星を見つけ、小さく叫んで祈り事。
そんな夜空に浮かび上がる、真っ白な星々。
天の川、ミルキーウェイ。
オールド大陸では銀の河と呼ばれるらしい。
聞いた話では、その河に阻まれて、再会できないでいる恋人達の為に、二つのアイテムを揃え、差し出すと。
その恋人達がお礼に、特別な短冊をくれるらしい。
その短冊に願い事を書いて、樹に吊るすのだ。

どうしてもその場所へ行きたかったアサギだが、どうして良いのか判らず右往左往。
アイテムなんて、何処で見つけるんだろう?
恋人達を救って、自分も願いが掛けられるなんて、素敵すぎる。
どうしても叶えたい願いがあったアサギは、日夜調べ続けた。
だが、そのアイテム達は手の届かないような存在で。
半ば諦めかけていた。
アイテムがなければ、どうにもならない・・・。

だが、部屋の片隅で溜息吐くアサギを、そっと見つめていた男性がいた。
アサギの夫・ギルザである。
アサギがそのアイテムを欲していたことに、いち早く気がついた彼は、アサギよりも先に入手先を調べ、そして手に入れていた。
溜息吐きつつ、その樹のある場所を遠望していたアサギの為に、なんとか用意したかったのであろう。
ある朝、アサギの目が覚めると。
枕元に二種のアイテムが置いてあった。
『アサギへw これで銀の河までおいで』
見慣れた筆跡の手紙、そしてアイテム。
思わずアイテムを掴み上げて、アサギは無我夢中で走る。
息を切らして、それでも笑顔で。
このアイテムを使用して、短冊に交換して貰い。
光り輝く不可思議な短冊を手にした時に、ようやくアサギは足を止めた。
深呼吸し、荒い鼓動を静めさせる。
額の汗を拭い、手にした短冊に願いを込めて。
マジックで書き綴る。
ずっと、書きたかったその願い事。
ずっと、思っていたその願い事。
流れ星にも願いを掛けたが、今一度ここでも。

『ずっとギルザさんと一緒に居られますように』

一文字一文字、丁寧に書き綴る。
満足そうに書き上げた後、アサギはゆっくりと河畔の樹へと、足を勧める。
すでに樹には、たくさんの短冊が吊るされている。
一人一人の特有の願い事が、樹を彩る。
願いが込められた短冊が、一斉に風に揺れた。
と。
見慣れた筆跡の短冊を見つける。

「あ・・・」

思わず声を発し、唖然とその短冊を見つめた。

『アサギを護る為に強くなりたい』

自分の名前が書かれた短冊、書いた主は一人しかいないだろう。
胸に熱いものが込み上げ、知らず頬を涙が伝った。
手の中の短冊を握り締め、震える指でその短冊に触れる。
涙で霞む瞳で、再度短冊を見つめる。

「これが、見せたかったんだ」

風が吹いた。
聞き間違えることのない、大好きな声が聞こえる。
笹と短冊が揺れ、心地良い音を出す。
振り返れば、愛しいギルザが微笑んで立っていた。
おいで、というようにギルザが両腕を広げた直後。
吸い込まれるようにアサギは駆け寄り、胸に飛び込んだ。

「泣き虫だなー、アサギはw」

笑いながら髪を優しく撫でるギルザの胸の中で。
握り締めて微かに形の歪んだ短冊を、アサギは見つめる。
小さく唇を動かし、音にする。

ギルザさんとずっと一緒に居られますように。
ギルザさんを癒し続けられる存在でありますように。

・・・2人の短冊を隣同士に吊るした、その真下。
ギルザの髪の色のような夜空に、儚げに瞬く星々。
心地良い気温の真夏の夜、静かに浮かび上がった三日月の光。
流れる水音、魚が跳ねる音が辺りに響き渡り。
・・・口付けを交わそう。
2人の願いが叶うように。
銀の河に想いを寄せて、寄り添ったまま。
願いを叶えて貰うのではなく、願いを叶える為に。
口付けを交わそう。
優しき月光、淡く2人を照らしたのなら。
永遠の誓いを、今ここに。
2人は、決して離れることが出来ないのだと。

「愛しています」 

※数年前、小説の間のコンテストで優勝させていただいた時のものなのです。
お気に入り♪
手直ししたかったけれど、そのまま転載ですよー。
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