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別サイトへ投稿する前の、ラフ書き置場のような場所。 いい加減整理したい。 ※現在、漫画家やイラストレーターとして活躍されている方々が昔描いて下さったイラストがあります。 絶対転載・保存等禁止です。 宜しくお願い致します。
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Image359.jpgというわけで、確かあっちのサイトは一ヶ月更新がないと非常に大参事を引き起こすような気がしているので。
ええと、前回更新は・・・11月10日。

大変!(滝汗)

43→ザーク、死亡。
死因を探るべく、調査。

44→なんかユキがケンイチを気にし始めた今日この頃、いかがお過ごしですか(おい)、な話。
道場に出向き訓練をする日々。

45→頻繁に街で起こる強盗や殺人を突き止め、裏と対峙

46→アリナ達、船から降りる。
シポラ城へ

47→ミシア、魔族2人に崇められ「破壊の姫君」であると告げられる
何食わぬ顔で仲間達と合流

48→ジェノヴァへ戻り、集結

49→アサギ・トモハル編開始


今日は、衣替えとかお掃除とかしていたので何も出来ず。
明日、彼氏が来なかったら、書ききろうっ。(気合)

おやすみなさい(ぺこ)。

※イラストはいつものように、背後友人ですっ。
ケンイチと、ムーン。
この時のムーンの服は、私がデザインした中でもかなりお気に入りなのでそのうち全身を描いてみようかな。
こういう服、欲しいなぁ・・・。

宿を出て、街の探索を始める四人。
ケンイチ、ユキ、ムーン、ブジャタの、ジェノヴァ帰還組みである。
先日は、皆で観光気分で歩き回ったが気分は重く、晴れない。
それは当然人数が少ないから、背に乗せた使命が違うから。
あの時はただ、浮かれて店を回った。
よもや、仲間の勇者が、友達が攫われるだなんて思わなかったからだ。
沈黙が続く、ブジャタを先頭にして歩き続ける。
ベッドで眠りについた、けれど、案の定眠れなかった。
眠たいはずなのに、眠りたいはずなのに。
宿を出て、長い下り坂を進めば街の中心路に到達だ。
この辺りの坂は左右に宿が立ち並ぶ、多少遅めの出発だったので人影はまばらだ。
ただ、路の脇で遊んでいる子供達の姿は目に入る。
ユキは、この間の買い物で買ってもらったリボンつきの杖を手にしながら、ケンイチの少し後ろを歩いていた。
その杖、風の精霊を封じ込めてある代物とかで、その者の魔力・精神によっては突風を巻き起こせるというのだ。
マダーニの妙な交渉により、”本物であるならば”高額な杖だが比較的安く手に入れた。
ただ、ユキはそのような説明どうでもよかった。
その杖のリボンと、付属の石が非常に気に入って購入しただけだ。
何より、自身が選んだ衣装にも似合っていた。
まさに、装飾品代わりの杖である。
そんな杖を手の中で遊ばせながら、ケンイチを見つめる。
ユキは異性と話すことが苦手だった、大人しい印象に見られていたので、小学校でもアサギの隣で話を聴いて頷くだけ。
ムーンは優しく知的で頼れるお姉さんなので、話し易くて安堵していた、ブジャタも近所に住むお節介おじいさんの様で、気が楽だ。
ケンイチは。
そこまで会話した記憶がなかったので、実は多少とっつきにくいイメージがあった。
ミノルやダイキに比べれば、ケンイチのほうが話し易いのでその点は肩の荷を降ろせるが。

「トモハルのほうが、よかった、な」

小さく呟く。
トモハルは非常に人気者で、女子に囲まれており、大人しいユキにも気を使って話しかけてきてくれる。
それに甘えてトモハルとは会話が出来た、一番心を許せるのはトモハルだったのだ。
軽く溜息、同じ勇者であるにも関わらず、ケンイチはユキを気遣うわけでもなく、ムーンと親しく話をしていた。
一人にされたような、感覚。
トモハルならば、戻ってきてその輪の中に入れてくれただろう。
つまらなさそうにユキは二人から視線を外すと、唇を噛み締めて街を見渡す。
自分から、最初からある輪に入るのには勇気が必要だ。
けれども、その輪に入りたい。
ならば、ケンイチが呼びに来てくれれば良い、呼びに来るのを待っている。
とぼとぼと、足取り重く歩く。
これからこの四人で当分一緒だ、それが憂鬱である。
恨めしそうに、ユキはケンイチを軽く睨みつけ、石畳へと視線を移した。

「ケンイチは、ロシアに似ているわ」

呟いたムーンの隣で、ケンイチは人懐っこい笑顔で訊き直す。

「ロシア? ええと、それって」
「私とサマルト、他にも数名勇者と合流するはずの仲間が居たの。その中の一人が”ロシア”。
途中で、死んでしまったの。大剣使いで、頼れるリーダー的存在だったわ」

寂しそうに微笑んだムーンに、思わず息を飲むケンイチ。
しかし、どう反応して良いか解らずに「そっか」と呟くと俯いた。
言葉が出てこない、”死んだ”と言われてどう言葉を切り返せば良いのだろうか。
日本では、死する確率がこの世界より低いだろう。
運悪く不慮の事故に合う事もあるだろうが、常に魔物との隣り合わせの状態ではない。
俯いてしまったケンイチに、母のように、姉のようにムーンは優しく頭を撫でる。
身長はムーンのほうが上だ、5cm程しか違いはないのだが。

「弟みたいね」

くすっと小さく吹き出して、優しく頭を撫でるムーン。
母親は身体が非常に弱く、出産は命取りだと言われた状態でムーンだけをこの世に産み落とした。
母親は奇跡的にも命を取り止め、ベッドの上で毎晩ムーンの頭を撫でてくれた。
一人娘のムーン、城での遊び相手も遠慮して思い切り遊べない平民の子、ゆえに同じ立場であるサマルトやロシアに出会う日を、待ち遠しく思って過ごしてきた。
特にロシアは優しく逞しく、歳とて然程変わらないが兄のように頼れて、淡い恋心を抱いていた人物だった。
城へ来た時も訓練を欠かさず、広場で剣の稽古をしており、生真面目な人だと好感を持ち。
それでいて気さくな人柄なのだ、メイドの中にも憧れるものは多かった。
隣の小さな勇者、顔がロシアに似ている。
その黒髪、大きな瞳、屈託のない笑顔、強い意思を秘め正義感溢れる様子のケンイチとだぶらせてしまった。

ロシアの、生まれ変わりなら良いのに。

そういったムーンの思いが心に芽生えた、別人であるはずなのに、似ていた為。
俯いていたケンイチが顔を上げて軽くムーンを見て微笑む、先頭を歩いていたブジャタに声をかけた。

「ブジャタさん。戦いの実戦を積むのも当然大事だと思うけど、手当たり次第倒すのは良くないと思うんだ」
「ほぅ」
「だからさ、実戦相手は被害を加えたことのある魔物に限定したいんだ。
他に、人間の中にも悪党って当然いるでしょう? そういう奴らとか」

立ち止まり、後方を振り返ったケンイチ、すかさず視線を合わせたユキはそこへ合流する。
首を傾げてブジャタを見ているユキに、真剣な眼差しのケンイチ、驚愕の表情を浮かべるムーン。
三人を見比べてからブジャタは豪快に笑い出す、そしてケンイチに歩み寄ると満足そうに深く頷いた。

「そうですなぁ。
手当たり次第惨殺していては、訓練を積んだ事にはなりませぬのぉ。
殺すより、生かすほうが難しい。殺生だけなら傭兵に任せれば良し。
勇者は、敵を生かし、更生させることを目的と致しましょうか。
・・・何、実は。
宿のご主人から盗賊の討伐依頼を承りました、本日からそれについて調べようと思っていたところですぞ。
道中で商人が襲われ、一部の物産が到着しないのだとか・・・。
それさえ倒せば謝礼金も手に入りますしのぉ、治安も良くなり人々に貢献できますじゃ。
どうです」

思わずケンイチはユキを見た、きょとんとしているユキに思わず笑みを浮かべる。
その笑顔は晴れ晴れとしており、思わずユキも顔を赤らめた。
あまりに、無防備な笑顔。

「よし、それで行きましょう! 人相手のほうが、剣の上達が早そうですしね」
「治安隊も動いているそうじゃ、街中でも昨今盗賊が出没、市民の生活を脅かしていると」

方向は固まった、やるべきことは「盗賊討伐」。
しかし、突如大声を出して話を中断させた者がいた。
ムーンだ。
息を切らして、切羽詰ったように軽く敵意を剥き出しにして声を発する。
切実な、声だった。

「待って。人間の盗賊の事は、治安隊の方々にお任せしましょう。
私達のやるべきことは、人に害成す魔物の撲滅です。
魔物は人に襲い掛かります、駆除すべきです。
ココへ来るまでにも、何度か魔物に襲われたでしょう?」
「でも、ムーン。魔物の中には攻撃してこない奴だっていると思うんだ。
戦いを仕掛けられたら挑めば良いけど、それなら目先の敵をどうにかしようよ。
治安隊よりも先に討伐できれば、それだけ一般人に安堵が戻る。
人間に悪い奴がいるように、魔物にも良い奴がいると思って・・・」
「そんなの、存在しませんわ!」

金切り声を出し、真っ向からケンイチを視線をぶつける。
一瞬ケンイチはたじろいで後方へ下がった、しかし、唇を結び直して見据える。
ムーンは、幼馴染達を魔物に殺された。
家族も城の民も、殺された。
魔物への憎しみは人一倍だろう、それは解る。
言葉を選び損ねてケンイチはそれでも食い下がれずに、立っている。
隣から静かにブジャタが割って入った。

「落ち着きなされ、亡国の姫君」
「私はいつでも落ち着いております」

苦笑いでムーンを見た、明らかに動揺しているのが手に取るように解るが。

「そなたが持つ憎悪、悲痛。我らには計り知れないものであろうが、それでも。
魔物を惨殺していては、魔物と同じになってしまうじゃろう。
無益な殺生は、極力避けるべきだ。命の重みは、種族が違えど同じはずじゃろう?
そなたならば、解る筈じゃ。
連鎖する前に、食い止めねばならぬ。でなければ戦いは未来永劫終わらないじゃろうて。
同じになってはならぬよ、自分が抱いた嫌悪感を忘れてはならぬ。
忘れずに回避できる方法を、他人に抱かせないためにはどうするかを考えねばならぬ。
大事な事は真実の見極めじゃて。
賢いそなたなら、解る筈じゃ。
確かに魔物に良いものなどいないかもしれぬ。
けれども目先に困っている人がいるならば、まずはそちらを救う優先をせねば。
魔物からの襲撃があれば、当然そちらを優先しよう」

道端の幼子達が、手の中に千切った花弁を握り締めそのまま走り出す。
やがて手の中の花弁は大きく振られて宙へと待った。
風に乗って、揺ら揺らと進むのを子供達が追いかける。
ムーンの桜色の頬に、すみれの花弁が一枚ふわり、とくっついた。
笑い声を上げ、子供達は坂を下りていく。
ゆっくりと、仄かに香るすみれの香りを胸いっぱい吸い込み、頬の花弁を優しく摘んだ。
目の前でじぃ、とそれを見つめるとふっ、と軽く息を吹きかけ花弁を宙に舞わせて髪をかき上げた。
香るすみれ、心穏やかに。
子供の笑い声、小鳥の囀り、暖かな日差し。
小さく瞳を閉じたムーンは、それに酔いしれた。

すみれの花言葉は、純潔・誠実。

 

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